『ぼくとベルさん:友だちは発明王』あらすじと読書感想文・例文と書き方  

こちらでは、2018年の「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」)小学校高学年の部の課題図書
『ぼくとベルさん:友だちは発明王』の「あらすじ」と書き方のポイントをご紹介いたします。


ぼくとベルさん:友だちは発明王 (PHP研究所)
著者:フィリップ・ロイ・著 櫛田理絵・訳【櫛は木偏に節】
222ページ
本体価格:1,400円
ISBN978-4-569-78623-0
 
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『ぼくとベルさん:友だちは発明王』簡単あらすじとオススメ度
『ぼくとベルさん:友だちは発明王』のあらすじ(ネタバレ)
『ぼくとベルさん:友だちは発明王』の読書感想文の例文と書き方

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『ぼくとベルさん:友だちは発明王』簡単あらすじとオススメ度


ぼくとベルさん:友だちは発明王 (PHP研究所)
著者:フィリップ・ロイ・著 櫛田理絵・訳【櫛は木偏に節】
222ページ
本体価格:1,400円
ISBN978-4-569-78623-0

作品概要
「みんなにはできて、ぼくにはできない……」読み書きが苦手な少年、エディ。電話の発明家、ベル氏との出会いが、彼の人生を大きく変えていき……。
「エディ、きみとわたしは似た者同士だな。きみは読み書き、わたしは発明。世間がよってたかって無理だと言ってきたって、われわれは、さらにがんばるのみだ! 」
「がんばった結果がなかなか出ないこともあるかもしれない。このまま一生うまくいかないんじゃないかと思うことだってあるだろう。でもね、夜のあとには朝が続いているように、必ずそのときはやって来る」
1900年代のカナダを舞台に、電話の発明家とし知られるアレクサンダー・グラハム・ベル氏と、主人公の少年・エディとの交流を描いた歴史フィクション。周囲との違いに悩み苦しみながらも、何事もあきらめずに、粘り強く挑戦する大切さを伝える一冊。カナダ図書館協会2014年ブック・オブ・ザ・イヤー最終候補作の翻訳版。

内容(「BOOK」データベースより)
「みんなにはできて、ぼくにはできない…」読み書きができない少年エディ。発明家・ベルとの出会いが、彼を大きく変えていく。

読みやすさ★★★☆☆
感想文の書きやすさ★★★☆☆

こんな人におすすめ
・苦手な勉強がある
・コンプレックスがある
・障害や病気など頑張れないワケがある子
・努力が苦手
・自分に自信がない
・夢や目標を叶えたい
・天才とはどういう人か知りたい

ぼくとベルさん:友だちは発明王…コンプレックスをチャンスに変える小学生向け自己啓発書

読み書きが苦手な少年、エディ(10歳)
全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害の中の主に「学習障害」と言われるものです。知的障害とは違うので、当てはまる学習障害を除けばまったく普通なので「勉強が出来ないバカな子」という扱いのまま大人になってしまう事もあります。

学習障害には3つあります
読字障害(ディスレクシア)・・・読みの困難
書字表出障害(ディスグラフィア)・・・書きの困難
算数障害(ディスカリキュリア)・・・算数、推論の困難

エディは算数は大人顔負けな天才的才能があるのですが、主に読み書きの困難が強い子で文字や単語が全く覚えられないのです。そのことが家族や学校でバレてからはエディに対する周りの反応が変わります。とたんにバカ扱いされて「読み書き以外も何もできない頭の悪い子」とされてしまうのです。

大人は忘れてしまうかもしれませんが、子供だって誰にも言えないコンプレックスや悩みを抱えることがあるのです。
勉強や運動、友達関係や容姿、家の事や複雑なさまざまな悩み。「このまま大人になったらヤバイかな?」でも抱えているコンプレックスがあってもその悩みの解決方法がわからないし、自分で努力しても上手く行かなければもう見て見ぬフリしかなくなって、時間が経つにつれて悩みはもっと深くなる…自信喪失したまま「どうせ自分はダメだから…」と自分にスネてしまうと、本当はそれ以外に素晴らしい能力や可能性があっても気がつかないで終わってしまうかもしれません。

エディは周囲からバカ扱いされて自尊心が深く傷つくのですが、たまたま同じ町の「世界一の天才」発明家のアレクサンダー・グラハム・ベルと出会うのです。ベルはエディの事を「若いのにたいした哲学者だよ」と言い、不得意な事もヘレン・ケラーのように努力次第でなんとかなると言います。それ以上に普通の人とは違う天才のモノ考え方「このように考えるから、天才になれたり、大発明ができる」というような、いわゆる人生の成功哲学を教えてくれるのです。

子供の時の小さなつまづきは、立て直すチャンスはいくらでもあります。そのきっかけをくれる人がいるかどうか?自分でもどういう風に物事を考えたらいいか?で未来の可能性は大きく変わります。
物語のエディの場合は、あまりに都合良く物事が展開するので「フィクションだな…」と思ってしまうのですが、頼れる大人がいない子にはおすすめしたい作品です。
  

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『ぼくとベルさん』のあらすじ(ネタバレ注意)

こちらでは『ぼくとベルさん』のあらすじと作品の中でベルさんが言った名言「読書感想文はコレを書け!」をご紹介します。赤字はベルさんが言った本書の中の名言です。黒字はその他の人が言った名言です。

1~3
エディ10歳の住む街に、世界に名だたる発明家のグラハム・ベルが帰郷するので父さんが近所のマクレアリーさんにベルさんが何時に帰るかたずねる手紙をわたすおつかいをたのまれた。だがこの件でエディが文字が書けない事がみんなにバレてしまう。父さん筆頭に家族はエディに失望(母さんは将来農夫だから心配ないと言う)先生は気づいてたけどほおっておいたと言い友達からはバカにされだした。

噂のベルさんとは、エンピツを拾ってあげた事で知り合うが、その話を誰も信じようとしない。
次にエディが湖面の水平線でも地球が丸いか確かめられるか見ていると、ベルさんが話しかけてきてエディの思い付きを「すばらしい!」とほめて助言をくれた。
・発明に必要なのはすばらしく豊かな想像力、それを実現する根気
・読み書きをできないと言った「”みんな”の方がまちがっている事がほとんど」
・人が何かできるようになるのは、できるようになりたいと思う心があるから

地球が丸いか確かめるかしこい子なら読み書きだってきっとできると言い、ヘレン・ケラーに合わせて上げると言ってくれた。


以前、目の見えない子牛が産まれたがすぐに死んでしまった。母さんは「自然がまちがえたのだ」と言った。エディはヘレン・ケラーのように目や耳が聞こえない状態を知りたくて納谷で目隠しと耳に詰め物をしていると、父さんに見つかり「これから先、おまえは生まれ持った能力全てをつかって生きていかなきゃならん、目や耳をむだにして、人生をこれ以上ややこしくするな」と言われ、マクレアリーさんにハンマーを届けるおつかいをたのまれる。
エディはマクレアリーさんは自分のタバコの火の不始末で農場の一部が火事になったのを見ていたし、牛がケガをしないように石を敷き詰めるアイデアを言ってあげても、誰にも何も言わずエディを見下したような態度を取る。


エディは算数が得意でも誰もかしこいと思ってくれない。授業で先生が朗読した古代ギリシャのアルキメデスの発明した道具に興味があった。その本は「応用数学(モノを動かしたりする時、利用する数学)」で読めないのが悔しくて読み書きの練習を決心した。「h」と「n」のちがいをおぼえ、「one」ワンは「ワ」の音で発音するのに「w」が入っていない。逆に発音しないのに「w」が入っている場合もあるなど、英語を作ったヤツはふざけてるとしか思えず、ヘトヘトになり、書けるようになる見込みはない気がした。


「自然がまちがうことってあると思いますか?」とベルさんに聞くと「若いのにたいした哲学者だ」「それは神がまちがうかとたずねてるに等しい。神はまちがわないから、自然もまちがわない。それが結論」と言われたがエディは「算数は得意なのに読み書きはできない、自然がまちがって何か手違いがあったとしか思えません」とベルさんに言った。するとベルさんはエディの算数と読み書きの能力をテストしてから
・先に進もうとする前に、まずは出来た事を喜ぶ、失敗はくよくよしない
・われわれは失敗から多くを学ぶ。失敗があるから挑戦する。失敗にも感謝しなくちゃいけない

そしてヘレン・ケラーに会わせてあげると家に招待され「失敗と成功どちらがためになる?」との質問を考えておくように言われた。

7~10
ベルさんは一緒に飛行機を作っているケイシー・ボールドウィンとダグラス・マカーディを紹介してくれた。
ヘレン・ケラーはエディのくちびるを指で触って何を話しているか読み取る。エディは突然「かしこさとは強い欲求」のようなものだと感じ、絶対わかってやるという強い思いこそが、かしこさの正体だと知った。
ベルさん、ケイシー、ダグラスさんに飛行機の研究室を見学させてもらった。
「失敗と成功」の質問をエディは「失敗すると、もっと頑張り、自分が強くなった気がする」と答えた。だがベルさんは例外があると言った。
・法則には例外がつきもの…例外の良いところは、人に油断をあたえないこと。例外に人は敏感になるのは良い事だ

11~14
エディは父さんから「学校よりこっちを身につけるのが必要」と雨の中ひとり森の手前にある大きな岩のまわりを掘るように言われる。父さんは岩をよけて畑にしたがったが動かせないのでがっかりしていたので、エディは学校で「応用数学」の本を借り、イラストや辞書で調べてかっ車の仕組みを理解した。翌日マクレアリーさんに「左右をつり合わせる」と適当に言ってロープとかっ車を借り、馬2頭をつかって1日がかりで岩を森の手前まで動かした。学校をさぼって岩を動かしたことを信じなかった母さんはソレを見て言葉を無くし、父さんはその話を聞いて、エディがとても賢くて頭のキレる子だと知ったと話した。

15
読み書きはあまり進展がないまま、秋になり久しぶりにベルさんの家にあいさつしに行く。かっ車の話をし読み書きに苦労していると話した。かっ車は見事なアイデアだが、蒸気の力や、ガス、石油、電気、太陽光、風力、塩水などの動力もあるので200年遅いと言われた
・苦労するのはいいことだよ、苦労のない朝を迎えたことなど一日もない、もし上手く行ったことの数で人を成功者かどうか測るなら、私は前代未聞の敗北者の一人になる

16~18
応用数学の本を読みまくるエディは友達3人を手押し車に乗せて丘に登って見せたので「おまえ勉強のしすぎだよ」と言われ、父さんには辞書はエディが持ってていいと言われた。算数はすぐできるが、単語は相変わらず覚えられない。将来農夫になりたくないが、字が読めないと何の仕事も付けない。そう思っていたころ、ベルさんから小さな本(ゼノンの逆説)をプレゼントされ、家族にベルさんやヘレン・ケラーと知り合いだと教え、父さんからベルさんにお礼の手紙を書くように言われた。先生はゼノンを知らなくてエディは先生は思ってるほど、物知りでもなく、左手で字を書くのも禁止するのも間違っているかもと思った。
とこらが学校視察員が来た日にエディの左利きを治す方法として、左手をひもでしばりつけ頭をひっぱたいた。悔しくて早退すると父さんも激怒して「この世は完璧とはいかない。…おまえが神様から授かった手を使いなさい。そのことでとやかく言われる筋合いも、誰にも文句を言う権利もない」と学校に抗議に行った。父さんが抗議をしたので学校でも左手を使えるようになった。エディはゼノンの逆説のなぞを解いたことを手紙でベルさんに伝えたかった。

19
ゼノンの逆説を父さんに説明すると「おまえは農夫に向いていない、もっと合うモノがあるだろう」と言われた。
ベルさんへのお礼の手紙は何度も書き直し父さんにも確認してもらい完成した。ところがベルさんからもらったその本を失くしたのだ。さがしてみるとマクレアリーさんが納谷で眺めていて、本の内容を(読んでいる風)語ると「だれかに本を読んでもらったのははじめて」「わしにも、おまえさんみたいな頭があったら」と言われた。母さんもマクレアリーさんが字を読めないのを知らず「生まれたときから飛び方を知っている鳥とはわけがちがう…世界中の人に飛ぶのと、読めるのどちらか選ばせたら、だいたいの人は読む方を選ぶ」といい、エディは違うような気がした

20
クリスマスの日、教会でベルさんが飛行実験をする噂話でみんな盛り上がっていた。だがベルさんは発明家としてはもう終わっているとの噂もあった。父さんは「なにも発明は若い人だけがやる事じゃない。興味さえ失わなければ、年を重ねるほどにかしこくなるものだと思う」と言った。そしてベルさんあてのお礼状を父さんに出してもらうように渡した。
年明け1月になり、フォードが一般人向け自動車生産をはじめ、世の中は変わり始めていた。
学校では分数の授業が始まり、クラスのジミーはわからなくて窓の外をながめはじめる気持をエディはよく知っていた。相変わらず朗読の授業にはついて行けないが、それなりに勉強は続けていた。ヘレン・ケラーがやめなかったように、エディもあきらめないと思った。ある日ベルさんが授業中にクラスに訪ねてきてエディはみんなの前で「ゼノンの逆説」の暗記した部分を読んでいる風に見せた。みんなから拍手をもらいエディは誇らしく感じた。

21
ベルさんの飛行実験の日、エディの家族もみんな見に行くが父さんがいつまでも現れない。エディだけ父さんを探しに行くと、木の下敷きになっていた。誰かを呼びに行くのは間に合わないので、マクレアリーさんちのロープとかっ車を借りて、一人で父さんを助け出した。弟は飛行機が飛ぶところ見られなくて残念だったねと言うがエディは「何もかもうまくという訳にはいかないさ。とりあえずうまくできたことを喜ぶ事にするよ」と言った。父さんは骨折してしばらく寝たきりだがエディに「おまえをほこりに思う」と言ってほめた。そしてベルさんがお見舞いに来てくれた。ベルさんはエディに「きみとわたしは似た者同士だ。きみは読み書き、わたしは発明。世間が無理だと言っても我々はさらにがんばるのみだ」
・夜の後には朝が続いているように、必ずその時はやって来る。だからぜったいあきらめたりしない。…できたことを喜ばなくては」

『ぼくとベルさん:友だちは発明王』の読書感想文の例文と書き方

第64回 青少年読書感想文全国コンクールより
用紙・字数:小学校高学年の部(5、6年生)本文 本文1,200字以内
趣 旨:より深く読書し、読書の感動を文章に表現することをとおして、豊かな人間性や考える力を育む。更に、自分の考えを正しい日本語で表現する力を養う。
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募のルールについての詳細はこちら⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」


気になったセリフのページにはふせんをつけよう!

ベルさんが言う名言は物語を展開させます。エディが成長するきっかけとなるからです。
本を読みながら付せんをつけておくと、後から読書感想文を書きやすくなりますのでオススメです。

読書感想文の「構成」「話の広げ方」「表現方法」などは下記のページに書かれています。中高生向けですが、参考になる点も多いはずです。

【最重要ページ】読書感想文で「高得点」を得るためのポイントはこちらのページに書かれています!ダウンロードできる「そのまま使えるテンプレート」「構成のサンプル」もありますので是非活用してください。

読書感想文の書き方のコツ図解
(テンプレート付き)

 

「ぼくとベルさん」1236文字…出来た事を喜ぶのは自分を冷静に見る第一歩

「勉強は何が好き?」と聞かれるとなんとなく答えにくくなったような気がします。好きな勉強は得意かどうかが関係してきたり、逆に苦手な科目もあってそちらの方が気になるからです。それに苦手教科をそのままにしていおくと大人になった時に困ったり、生きづらくなるのかな?と誰にも聞けない不安があるのも事実です。

エディは極端に読み書きつまり文字が苦手な少年です。算数は特別にできるのに、文字のちがいが判断できないレベルです。そのことが10歳の時に周りに知られてしまい、家族も学校も友達も今までとエディの扱いがかわります。失望されたり、あきらめられたり「自分より下」というような目で見られます。
小学生もクラスの中での位置づけがあります。勉強ができる、おもしろい、運動ができるなどはクラスの上位です。その中の勉強が障害レベルでできないと「気の毒な奴」とまともに相手されなくなるのです。どうにもならないコンプレックスを感じるとどう生きて行けばいいのかわからない気持になり、嫌な事は考えなくなります。それが苦手科目が苦手なまま終わる理由なのだと思います。苦手な事に挑戦して、なかなかできないのに、挑戦するたびに見たくない自分と向き合うのが辛いからです。

「ぼくとベルさん」ではこのようなどうにもならない辛さを解決する一つのヒントをくれた気がします。
エディは偶然世界的な発明家のグラハム・ベルに出会います。
ベルはエディの読み書きの能力と算数の才能の両方を見極めます。そして自然と好きな算数への勉強意欲は上がって「応用数学」まで学びます。でも勉強の意欲が上がると読み書きの必要も迫られて、ひとつづつ単語をおぼえるという形で単語にチャレンジするのです。なかなか覚えられないエディですが、なんとか続けられるのはヘレン・ケラーから「かしこさとは強い欲求」だと気付き、「どうしても知りたい」と強く求める事が頭が良くなることだと体で体感したのでした。それにベルさん自身も世間からは「終わった発明家」と思われても絶対あきらめないのは、父さんが左手事件の時に言った「だれかにとやかく言われる筋合いはない」と同じような気持があったのかもしれません。

自分の良いところや考え方を見つけそれを認めてくれる。得意なことをもっと伸ばす為の方法を教えてくれる。少しでも出来たらそれを喜んでいい、苦手な事でもあきらめない。と生きることに希望を見出す方法を教えてくれる人がいるエディが正直うらやましいです。でもエディは自分の好きな算数について考えていたからベルさんに会えたのです。人生はもしかしたら好きな事を先に一生懸命伸ばす方が、いい出会いやチャンスに恵まれたり、苦手な事を乗り越える方法も見つけられるのかもしれません。
自分が出来た事は当たり前なので大したことないと思ってきました。でも自分自身の事を喜ぶことは、自分を冷静に見ることの始まりかもしれないと思い、そこからやっと怖がらないで苦手な事に向き合えるのかなと思いました。
  

「ぼくとベルさん」1265文字…書評・信じて、温かく支える家族の力が必要性

舞台は1908年のカナダ。主人公は十歳の少年エディ。彼は算数に才能があるなかなか頭の良い子なのだが、ディスクシアという学習障害がある。どうしても言葉の読みとスベルが覚えられないのだ。当時、この障害については全く知られておらず、学校でもただ「読み書きのできない子」とレッテルをはられ、本人も父母も悩んでいる。

ある日、エディは自分の人生を変えるほどの運命的な出会いをする。
一人は電話を発明した有名なグラハム・ベルと、かのヘレン・ケラー。
お互い年齢も立場も知名度もかけ離れたベルとエディ。ベルはこの少年の中に、自分と共通するあふれる好奇心や探究心、直観力や観察力を見い出し、本物の賢さをも感じとる。もちろん「世界一頭のいいベルさん」が子供の自分の話に心から耳を傾け、同時に自分の経験談をも話してくれる事によろこびを感じ、エディはベルから努力することや失敗を恐れないこと、苦労の大切さなどを学ぶ。
もう一人のヘレン・ケラーからは出会った瞬間に、ヘレンから「本当の賢さとは何か」を学びとる。「なんとかして知りたいというひたむきな思いがあるから何でもできるようになる」んだと。それからのエデイはスペルはなかなか覚えられないが努力は惜しまない。応用数学の本の内容をイラストと辞書を使って一つ一つの言葉の意味を調べあげ理解していく。

エディの努力は目に見える形で現れ、応用数学のかっ車を利用して父の農地から大きな石を一人で動かしたり、ベルからもらった哲学の本を読み解き、暗記してクラスメイトの前で立派に暗唱した。そして再びかっ車を利用して、倒木の下敷きになった瀕死の父を一人で救い出した。すべてはエディのこれまでのひたむきな努力と使える本物の学力そしてベルから教えられた直観力が働いたおかげなのだ。あきられていた息子が実は天才と知り、心から息子を誇りに思うようになる。
エディが学習意欲を持てたのは「読み書きのできない僕は、自然がまちがって造ったからなの?」との質問に「いいや、自然はまちがりてなんかいないよ」という嬉しい答えをベルからもらえたからだろう。
字が読めなくても左手でしか書けなくても、それはエディの個性であって、決して自然がまちがって造った結果ではない、との確信を得たから強くなれたと思う。自分が立つしっかりした土台を得たのだ。
もしかしたらベルは学習意欲よりも、生きる希望の言葉をくれたのかもしれないと思えた。そして「二人は似た者同士」とベルは言い「だから発明とスペルをずっとがんばっていこう」と。本書はフィクションだが、ベルの妻は読み書きが苫手だったこと、ベル自身が難聴の人やディスレクシアの人たちと交流があったことなどから、発明王として知られるベルのもうひとつの側面に光を当てている。
人にはそれぞれ隠れた才能があるが、人生の途上でのすばらしい出会いによってそれが見事にひきだされることがあると思う。そして、子どもの個性や才能、更に障害さえもブラスの力に変えて発揮させるためには、子どもを常に信じて、温かく支える家族の力が必要だとも思う。
 

1200字用の感想文の例はこちらのページにもあります。
『ぼくとベルさん』読書感想文の書き方【例文2作】
 

  

「ぼくとベルさん」その他の感想

428文字
主人公は、1908年の春、10才になったばかりの少年エディです。彼は、少しクラスのみんなとは違って数学は得意なのですが、読み書きが大の苦手です。頭ではよくわかっているのに、字に書こうとすると書けません。頭の中で何かが邪魔して、こんがらがり、こんな簡単なことのために全神経を集中しなければならないのです。自分の方が賢いのにと分かっていても、それを証明することができないのです。家族も、彼のことを理解力がない子だと誤解します。
そんなある日、発明家のアレクサンダー・グラハム・ベルさんと運命的な出会いをします。ベルさんが落とした鉛筆をエディが拾ってあげたことがきっかけで友だちになり、エディの人生が変わっていきます。ベルさんは、エディに言います。「きみと私は似た者同士だ。世間が無理だといっても、頑張るのだ。何事も絶対に諦めないことだ。きみは私に素晴らしい手紙を書いてくれたしヽクラスでもあんなに見事な発表ができた。できたことを喜ぶんだ。いいね!」と。
  
参照: 絵本ナビより…534文字 
電話を発明したことで有名なグラハム・ベルが、障害者の支援もしていたことを初めて知りました。左利きも、学習障害も、全く理解のない時代を生き抜き、困難と立ち向かい、才能を開いていく少年の姿は感動ものです。
親兄弟にも理解されず、学校では愚か者扱いされ、全く希望されなかった人たちの苦しみが伝わってきて、涙が出る場面もありました。ちょっと前には、左利きを無理やり「治す」ことが、日本でも、私の身近な場所でもまかり通っていました。障害や個人の特性にたいする無理解が、どれだけ本人の心を傷つけるか、将来有望な若者の人生を台無しにするか…そんなことも、この物語を読んでいて考えされされました。
登場人物の心の動きがよく描かれていて、その場面にいるような感じがしました。
文字と音を結びづけて、文字を書くことが困難な状況が、よくわかりました。
もし、私がこのような学習障害(ディスレクシア)であったら…物語を通して、自分とは違う特性を持った人の苦しみを知ることができ、考える事ができました。年齢を問わず、いろんな人に読んでもらいたい一冊です。そして、できることなら、この本に描かれている「理解のある人」のように、自分もいろいろな困難を抱えている人たちを理解できるようになりたいと思いました。

255文字
100年前のカナダ。世界的な発明家グラハム・ベルと、農家の少年エディの交流。読み書きが苦手なため親にも先生にも将来をあきらめられていたが、ベルさんの家でヘレン・ケラーにも会い「かしこさとは強い欲求のようなものなのだ」と気づくエディ。ついに母さんに「かしこい子」と呼んでもらえるほどの活躍を見せる。でも結局読み書きはそれほど上達しないというのがリアル。その場しのぎの勉強に10代の貴重な時間を費やした自分を振り返って悔やむことも多い昨今だが、好奇心があれば年をとっても何とかなるんじゃないかと思えるようになった。
  

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