【夏の庭】読書感想文の書き方と例文(あらすじ・ネタバレ)
こちらでは
「夏の庭 The friends」著:湯本香樹実の「あらすじ・ネタバレ」と、おすすめの読書感想文の書き方・例文などをご紹介いたします。
本作は2001年に出版され、今も多くの読者に語り継がれる、小学生・中学生から、大人も“泣ける”夏が舞台の物語です。
読書感想文を書く人気定番小説で、読んで絶対損しない、おすすめ作品です。
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【夏の庭 The friends 】こんな人にオススメと感想文書き方のコツ
【夏の庭 The friends 】あらすじ・登場人物(ネタバレ)
【夏の庭 The friends 】読書感想文の書き方のポイントとキーワード
【夏の庭 The friends 】読書感想文の例文4作と感想文レビュー
うんちく~こんな作品もオススメ
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【夏の庭 The friends 】こんな人にオススメと感想文書き方のコツ
【出版社内容情報】
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだー。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが…。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。
読みやすさ ★★★★★
感想文の書きやすさ ★★★★★
こんな子におすすめ
・小学校高学年から
・読書が苦手
・冒険モノが好き
・中学受験を控えている
・転校の予定で友達と別れる事になっている
・家庭問題・親との関係などモヤモヤした悩みがある
・おじいちゃんやおばあちゃんなどお年寄りとの付き合いがない
・家族が亡くなった悲しい経験がある
・死について考えることがある など
【夏の庭】感想文書き方のコツ
管理人がこの本を読んだ感想を一言で言うと悲しいでも読後さわやかです。(一言じゃない;)
男の子の冒険モノと言うと、ドキドキわくわくして盛り上がるものですが
【夏の庭】はそれ以上に読んだだけで
主人公たちと一緒に子供から大人に成長できる物語です。
・友情に年齢は関係ない事を知れる
・おじいさんやおばあさんにも青春があったと実感できる
・死とはなにか感じ取れる
・誰かと別れる悲しさをどう乗り越えるか?
・何か悩んだり問題にぶつかった時の解決の仕方を知れる
【簡易あらすじ】
最初は「人が死ぬところを見たい」と
“死にそうなおじいさん”を観察対象にしか思ってなかった3人
だけど、おじいさんと触れ合う事になってしまい
最初はイヤイヤだったのが、おじいさんの恋や苦労や人生を聞き
観察対象から好きなおじいさんになっていく
おじいさんのために、おじいさんと一緒に何かしたくなっていく
これからも、もっと楽しい事を…と思った矢先のあっけないおじいさんの死
読者もあまりに急な展開にショックを受けます。
死の喪失感はとてもつらいものです。
ですが少年たちの「悲しい気持ちの切り替え方」と心の成長に
読者ならだれでも生きる勇気と新しい価値観をもらえます。
本来なら触れ合えることのない人との出会いで、人は大きく成長できるのです。
「前向きに生きる」とは勇気がいる事です。
3人の少年はおじいさんとの交流でかけがえのない勇気を持つことが出来た物語です。
【夏の庭 The friends 】あらすじ・登場人物(ネタバレ)
※図書館で映画化されたDVDがある場合も( ^ ^ )
原作と少し違うので映画は★★★
【登場人物】
木山『きゅうり』・・・ひょろひょろ背が伸びて来て空気を読み過ぎる性格。中学受験を控えている。
両親が不仲でお母さんはアルコール依存気味で雰囲気が悪い。河辺とは幼稚園からの付き合いでウソも聞き流している。
河辺『メガネ』・・・木山の母曰く「エキセントリック」と言われる。キレやすく、イラつくと貧乏ゆすりし父親についての虚言癖がある。わからない事や理解しにくい事への探求心がスゴイ。父がよそに女を作り離婚して、母子家庭になり母から「後悔させてやりなさい」と言われている。
山下『でぶ』・・・太っていてトロい。からかわれがち。本人は父の魚屋を継ぎたいが、母は「魚屋じゃ結婚もできない」と勉強して他の仕事に就くように言われていて、中学受験も控えているが成績は悪い。
おじいさん・・・近所から「もうすぐ死にそう」と噂の「過去のある」引きこもり老人。3人に見張られているうちに成り行きで付き合うようになり、家の掃除をやらせたりしているうちに子供たちと友達になるが…。
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杉田・・・同じクラス。河辺の宿敵で意地悪してくる
松下・・・杉田に舎弟的につるんでいる
田島ともこ・・・クラス2大カワイイ(田島派)の子。テニスの好きな健康的なお嬢様
酒井あやこ・・・同じく2大カワイイ(酒井派)の子。色白でにこにこしてる桃の妖精みたいな子
古香弥生・・・おじいさんの別れた奥さん。老人ホームにいる。ボケているのか(?)おじいさんを戦争で立派に死んだという。
種屋のおばあさん・・・古香弥生の替え玉にされる。北海道出身でおじいさんと同郷。
あらすじ(ネタバレ)
1~4~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小6の木山(きゅうり)は、クラスの山下(デブ)が祖母の葬式に出てから“物体のような遺体”の夢を見たという話を聞き、河辺(めがね)らと「死」について考えるようになる。
河辺は「近所で一人暮らしのおじいさんが死ぬのを目撃しよう」と提案し、3人はおじいさんの生活を見張ることになる。
雑草とごみだらけの庭を壁の塀から、初めはこっそり見張っていた3人。
おじいさんはTVを観てるだけで動きもせず、3日に1度のコンビニ通いの際、世の中に「なにか文句あるか」と目線を配るだけで誰とも話さない生活。
山下は「あまりいいもの食べてない」と心配した。
木山はじぶんのご飯は作ってくれるけど、母自身お酒とおつまみしか食べず、父にもお茶漬け程度しか出さないことを思った。
店から差し盛りをくすねてドアの前の敷石に置いたり、木山は「寝坊ばかりでゴミが出せないのだろう」と皆でたまったゴミ袋を出そうする。
が、おじいさんに「親の顔が見たい」と言われ河辺が逆上。
「お前がどんな死に方するか、絶対見てやるからな!」と河辺中心にバレバレの尾行をする。
おじいさんは前より元気に毎日出かけ、自炊もするようになった。目線は3人を探しているような感じだった。
尾行中、河辺が「ほんとうは父親は死んでいないし、俺とは別の子供とお母さんがいる」「しね」「嘘ついてごめん」と言われ木山は戸惑う。
カンカン照りの翌日、おじいさんの家に動きがなく3人は「死んでるんじゃ?」「言いすぎた、あやまっておけばよかった」と不安になったところに、おじいさんの手が震えながら窓から出て来てVサインをした。
河辺は激怒し、木山も心配した分頭にきて「あれは絶対、オレたちへの宣戦布告だ」と罪悪感もなく見張り続ける事を決めた。
5~6~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
おじいさんはせっせと庭を片付けだした。
3人も隠れもしないで見張り、おじいさんも意識しながら独り言を言う。
そこに天敵・杉田と松下が来て
「いつもおじいさんちを覗いてる」「プライバシーのシンガイ」とインネンを付けてきた。
するとおじいさんが助け舟を出すように洗濯物を干すように言われ、3人はヤケ気味に手伝う事にした。
おじいさんからロープの結び方を教わり、河辺は洗濯物を干すのが上手いと褒められマンザラでもなかった。
が、すぐにハメられて翌日は大量のゴミ出しをし杉田と松下の手前、庭の雑草抜きもやらされることになった。
「3人がおじいさんのお手伝いしてエライ」とクラスの2大美女、田島と酒井も手伝いを申し出たのに、河辺はガンと断り、もじもじするおじいさんをみて「女って得」デレデレの木山・山下に「見てられない」と言う。
だが、3人は日頃の生活の事を忘れ、夢中で草むしりをしオバケの夢を見る事もなくなった。
4日目に草むしりが終了し、達成感に浸る3人におじいさんがスイカをまるごと出してきた。
山下は切れない包丁を砥石で上手に真剣に研ぐのでおじいさんに感心される。
包丁は父親に仕込まれ、魚屋の仕事が好きなのに「お母さんはお父さんみたいなちっぽけな魚屋になってどうするっていうんだ、ろくなお嫁さんだって来ないわよ、勉強してもっとちがうことをしろ」と思いがけず山下の悩みを聞いた。
4人で美味しく切れたスイカを憎まれ口をききながら食べて、おじいさんはいつもとちがう「ははは」と笑い「庭に何か種を撒こう」と色んな花の名前を言った。
~7~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日、種専門店のおばあさんにサービスしてもらった大量のコスモスの種をみんなでまいた。
コスモスの花ことば「乙女の純潔」に、一人ピンと来てない山下にイラつく木山と河辺の様子を見ておじいさんは笑い、水やりでできた虹に通りかかった田島と酒井はキレイと喜び、河辺の顔に水がかかって大笑いした。
翌日からおじいさんの家の手入れを始め、ヤスリのかけ方、ペンキの溶かし方、刷毛の使い方、のこぎりの使い方を教わり悪戦苦闘しながら外壁のペンキ塗り、天戸の修理をした。
杉田と松下は「サッカー教室どうするんだ」と言いに来たが忘れてたし、忙しいから休むよう伝えてと答えた。
家は「知らない人が訪ねてみたくなるような」感じに完成し、おじいさんも「やってみるもんだ」と満足。
河辺がおじいさんに「結婚したことある?」の質問に答えたくなさそうだったが別れて子供いないという。
河辺はふいに、自分の父親が「2度も結婚して、両方に子供がいる」事、「わからないことばかりだから、どこかにうまくいく仕組みが隠れているんじゃないかって考える」「オレはそういう仕組みを見つけたい」「音より早く飛べる飛行機があるのに、どうしてうちにはお父さんがいないんだ、どうしてお母さんは日曜のデパートであんなおびえたような顔をするんだ、どうしてオレは、いつか後悔させてやりなさいなんて言われなくちゃならないんだ」
おじいさんはさっさと河辺にスイカを差し出し、河辺はガツガツと食べた。
~8~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
おじいさんの生活は規則正しくなり、塾帰りコスモスの成長をのぞくけど見張りをする感じじゃなく、やることがなくなりプールに行った。
河辺はお母さんからテストが悪くてキツいお仕置きを受け、木山は全然信用していない嫌な目で見られた。
気付くと山下がいない。山下は溺れていて先生が蘇生処置をしている最中、木山は声がうわずり、河辺はあごをガクガクさせながら貧乏ゆすりをした。
先生からは「お母さんを呼びましょう」と言われたのに、山下は絶対やめて欲しいと、拒否をした。
「案外、簡単に死んでしまうものなのかもしれない」「死ぬのは別に、不思議な事じゃないんだろうな。だれだって死ぬんだから」「だれだって死ぬのに、どうして怖いって思うんだろう」
山下は溺れた時の記憶はないが「ヒラメのお造りができるようになっても死んでもいいって気になるかわからない」木山は死んでもいい、と思えるほどの何かをみつけたいと思った。そうでなきゃ何のために生きているんだ。
木山の両親が夜中にケンカした翌日、母さんはソファにグッタリ眠ていた。
台風だが嵐の中おじいさんの家に行くと「コスモスが心配」と河辺と山下もいて木山が来るか賭けていたという。
負けた2人のせいでみんなでおじいさんにアンマをし、TVから流れた戦争のニュースに
河辺は「戦争に行ったことある」と話を聞いた。
おじいさんは嫌そうだったが「こわい話だぞ」と
戦争中、生きるためにジャングルの村で身重の女の人を殺した話をした。
「戦争だからね」「聞かなきゃよかっただろ。こんな話」と気まずい空気になった。
だが河辺が「いいんじゃないの、話して」「そういうことは話しちゃったほうがいいんだよ、きっと」言い、おじいさんはちょっとびっくりしたみたいな顔をして「そうか」と窓の外を見た。
戦争から帰っても奥さんのもとに戻らず行方をくらました事。
奥さんが古香弥生というきれいな名前な事を語り、疲れ切ったように眠ってしまった。
河辺は名前を手がかりに、電話帳で居場所を探し3人で老人ホームに会いに行ったが、弥生さんは考え込んでから「だんな様はとっくに亡くなりました」と語る。「会わない方がいい」と思っているのだろうと3人は話し合った。
~10~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれから塾が終わるとおじいさんの家はたまり場になり、コスモスを見て、買ったパンを食べ、宿題をした。
「また来たのか」と言いつつきれいなカバーのかかった座布団が4枚に増えて、おじいさんと河辺はしょっちゅう言い合いをし、歴史や漢字を教えてくれた。
3人はおじいさんのために、弥生さんに似ている種屋のおばあさんを弥生さんのふりをさせおじいさんに会わせたが、嘘はすぐにバレてしまい決定的に厳しい言葉で怒られた。ホンモノの古香弥生さんに会いに行った事もバレてしまい、様子を話すと少しショックを受けていた。
そこへ種屋のおばあさんが謝りにやって来て、偶然2人とも北海道出身と知り2人は楽しそうに故郷の思い出話をする。2人を見ていると歳を取るほど思い出が増えて、年を取るのは楽しい事なのかもしれないと思った。
~11~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
木山のお母さんはいつ食べてるのかわからないのに、まぶたが腫れぼったい感じで太ってしまった。おじいさんに教わったので梨をむいてあげるとお母さんはびっくりして夢中で梨を2個食べて、泣きたい気分になった。その日お母さんはお酒を飲まなかった。
3人は夜おじいさんと初めて出かける事になり、家に嘘をついて川原に連れて行かれ、待たされている間にカップルのスポーツシャツの男にのぞきだと、責められているとおじいさんが打ち上げ花火をあげた。おじいさんは花火職人だったのだ。
スポーツシャツの男は気をよくして「一杯おごりたい」と大人ばかりのお好み焼き屋に連れて行き、初めておじいさんがビールを飲む姿やどんな仕事をして来たかを聞いた。
スポーツシャツは3人に「大人になったら、なんになる」と聞かれ、木山だけ答えられなかった。
また「彼女を除かれたと思ってカーッときた」と言うと、おじいさんに「そんなに大事なら、一緒になればいいじゃないか」と言われ一瞬心底驚いていたが「それもいいかも」と言い、彼女は眼をパチパチさせうつむいていた。
~12~14~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夏の終わり、3人はサッカー教室の合宿に行く。
山下は夜中一人でトイレに行けないと3人で連れションになり「なぜ人間は暗闇が怖いのか」「そこに何が潜んでいるかわからないからかな」「正体がわからないものが一番怖い…わかってしまえば怖くなくなる」と話し合った。
翌日それをからかう杉田・松下と因縁の関係が爆発し自分を押さえてきた木山も殴り合いに発展した。
合宿から戻り3人はお土産をもっておじいさんの家に行くと、おじいさんは部屋で横になって死んでいた。
4人で食べるためにブドウが洗っておいてあり、おじいさんの顔は少し小さくしぼみ乾燥した感じだけど優しくそこに横たわっていた。
合宿で初めて大ゲンカしたことやその日の出来事など楽しく話す妄想をして夜寝るのが怖くなくなっていた。
おじいさんにブドウをひと粒、押し当てても何も言ってくれない。それから初めて木山は泣いた。
葬式で、甥と言う人からおじいさんはけっこう遺産を弥生さん宛に残していた事、「いつか自分が死んだら、君たちのうちの誰かに必ず連絡してくれって書いてあった」と聞き3人は打ちのめされた。
煙突の先の白い煙をぐっと目を見開き、僕はしっかりと見届けなくてはならない。最後まで、決して目をそらしてはならないと思い、おじいさんのお骨を見てもう生き返る事はないとわかり、心が不思議なほど静かで素直な気持に充たされた。
もっといろんなことを話したり、受験や将来の事を相談に乗ってもらいたかった。花火やスイカ、大人になったら一緒にビールを飲みたかった。
それが出来ないのはすごく寂しく、心細い。だけどそれは結局、ぼくの問題なのだ。
おじいさんの白い骨が”立派にめいいっぱい生きたのだ”と教えてくれているようで僕も頑張るよと心の中で話しかけた。
1か月後、おじいさんの家が取り壊されるので3人はコスモスをつみに来た。
山下は「この家を忘れないように、この敷石だけは絶対覚えてようと思う」という。
木山はおじいさんが見えた気がした後、コスモスを机に飾り受験勉強する気持に切り替えた。
お母さんは肝臓を壊して入院し、お父さんが料理をするようになり、将来の事を聞かれた。
木山は“もの書き”「忘れたくない事を書き止めて、ほかの人にもわけてあげられたらいいと思う」と言い、今年の夏休みのことを書こうと思った。
木山は合格した私立中学に進学する。
山下は落ちたので公立中だが魚屋になるのを許してもらえそうと喜んだ。
河辺は母親の再婚でチェコに行くことになった。
母の再婚は気に入らないが「もしおじいさんだったら、なんて言うかな」と考え
「3人家族でうまくやっていかなきゃ」という河辺に山下は「おまえ、すごく男らしい」とほめた。
3人は後ろ髪惹かれる思いで別れたが
山下が振り返り「もう1人でトイレに行けるようになった」「だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。それってすごい心強くないか!」と叫び、木山、河辺も「だよなーっ!」と夢中でうなずいた。
「また会おうな」「うん、きっと」と叫び別々の方向に走って行った。
【夏の庭 The friends 】読書感想文の書き方のポイントとキーワード
-1-
●とにかくぼくは、誰かが死んだらどんなに気持になるかなんてこと、全然知らないのだ
●「・・・ひとりぼっちで死んでしまったら」…もし何か最後の言葉を言っても、やがて消えてしまうのだろうか。
●「頭ではわかっているのに信じられない事…についてもやもや考えているのがオレは耐えられない。人間が進歩したのは、知りたいという欲望があるから」
-3-
●ぼくはなかなか、おじいさんの顔をおぼえることが出来ない…どうしてなんだろう。
-5-
●塾の先生は「この夏が勝負だ、辛抱しろ」と毎日のように言っている。新聞にはイヤなニュースがくりかえし載っている。…ぼくたちはそんな息苦しい毎日からの出口を探していたのかもしれない。
●たしかに、人に見られていると張り切るというのは、ある。
-6-
●「指、切ったことある」…「あるよ」なんだそんなこと、と言わんばかりだ。「でも、こわがってさわらないでいたら、いつまでたっても使えないから」
-7-
●死ぬ、というのは息をしなくなるという事だと教えてくれたおじさんがいた。…でも、それは違う。生きているのは、息をしているってことだけじゃない。それは絶対に、違うはずだ。
●おじいさんは見ていないみたいな顔をして、ぼくたちのことをよく見ている。(忘れ物の本が僕のモノだとわかっている)
お母さんがお酒を飲みながら、ご飯を食べる僕をじっと見つめるのとは、ちょっと違う感じだ。
-8-
●死ぬ、というのはそういうすべてが僕の目の前から消えてしまう、もう会えなくなるという事だと、ようやく気付いた。もう会えない?…それなのに僕は生きていて、世界は何事もなかったように動き続けるんだろうか。それは、すごく恐ろしい事のように思えた。
-13-
●隣のテーブルのコーチがわっはっはと豪快に笑った。ぼくはなんだかコーチに裏切られたような気分になった。だいたい大人っていうのは、ちょっと無神経な所がある。
●去年まではなんとなく「お年寄り」と言う風にしか見てなかった…でもそういう見方はちょっと違うんじゃないか、と思う。おじいさんとはまるで違う。そういう細かいことが、とてもよく見えてくるのだ。
-14-
●お棺のふたが開けられ、おじいさんは信じられないほど小さくこわばって「見たくない」「これはおじいさんじゃない」と思う。…すべてがぼんやりとした膜におおわれているみたいだった。泣いている僕とは別のもうひとりの僕が、眠り込んでいるような感じなのだ。
【夏の庭 The friends 】読書感想文の例文4作と感想文レビュー
~読書感想文・書き方のポイント
下記の読書感想文・例文は「読書感想文の書き方のポイント」に合わせて書いています。
本の簡潔な説明
なぜ面白かったのか
心に残ったところ
本を読んでわかった事学んだこと変わったとこ
「夏の庭」を読んで(市長賞受賞)西ノ岡中学校 2年 藤木 志帆 さん(1905文字)
感想ライブラリー 20代女性(1893文字)・30代女性(993文字)
読書感想文の例文
「ひとり暮らしの老人が、ある日突然死んでしまったら、どうなると思う」「そこを発見するんだよ」と言い出した河辺は悪趣味な少年なのだろうと特に感じ悪く思いました。
なぜなら日頃の生活でも「死」をそんな風に軽々しく扱ってはいけないと思うし、おじいさんの事を理科の実験の観察対象としか見ていないと感じたからです。
でも河辺たちは一見不純でも「死」や「命」について本当に真剣だった事という事が後になってよくわかったのは、彼らは少年なのに日々鬱積した悩み囲まれて無意識に息絶え絶えだったからです。
狙いをつけたおじいさんは世間でいう「独居老人」
死んでも誰に知られず悲しまれず、息はしてるけど死んでいるように生きているおじいさんです。
おじいさんの荒れた生活を見て山下や木山はほおっておけなくなり、おじいさんに気づかれてからは成り行きで交流が始まり、憎まれ口をきいていたのにそれぞれの悩みや苦しみが癒されていく。
なくてはならない存在になった時、おじいさんは亡くなり3人の子どもたちがどれだけ頼りにされていたかを知りショックを受けるが、初めて人生を受け止める責任と自覚を持ちそれぞれの道に歩み出すという物語です。
「死」は一般的に“けがれ”として、縁起が悪いとか軽々しく口に出しちゃいけないとされます。
自分の祖母は彼らと同じ年くらいの時に亡くなりました。
とてもかわいがってくれたのに、少し大きくなって思春期のなり初めだからか?なんとなく疎ましく感じ気持ちや顔に出ていた事を物凄く後悔し、罪悪感にさいなまれていました。
でも長く闘病していた祖母は最後の死化粧であまりにかわいく微笑んでいたので許されたような、祖母は良いところへ旅立てたような気がしました。
今思うのは「愛された事への感謝」しかありません。
ですが、娘である母は祖母の死後30年以上たってもいまだに「かわいそうだった」「もっと生きれたのに」と受け入れられていない事に違和感を感じました。その悲しみは誰のためのものなんだろう?と。
3人の少年たちは小6と言う子供と青年の間なのかもしれません。
自分を取り囲む環境を純粋な眼で見れる分、理不尽さや怒りや悲しみがあるのに上手にそれを表現する事もできないし、解決もできない。
文句を言ったところで子供扱いされるのがオチです。
ですがおじいさんは彼らを悪ガキと思っても、人として扱いました。
過保護にもしないし、理不尽な怒り方もしない。
彼らが抱えている悩みもちゃんと受け止め、おじいさん自身、その苦しみを開放してくれたことに素直に身を委ねました。
それは彼らを子供扱いしなかったからです。
そんなおじいさんとの交流に、それまで“お年寄り”という一色たんのカテゴリーで見ていた事は間違いで、それぞれに多くの経験があり、求めていた温もりをくれる人生の先輩のように慕っていました。
無情にもおじいさんの死はそんな願いをバッサリと断ち切ります。
ですが彼らはおじいさんを失うことで、人生でとても大切なモノを受け取る事になりました。
「3人のうちの誰かに必ず連絡してくれ」の遺言におじいさんから子供ではなく親友として頼りにされていた事に打ちのめされたからです。
彼らはそれまで大人たちからあまりに「子供だからいいだろう」と無神経に扱われてきました。
でもおじいさんだけは彼らと真心でいてくれたのです。
「人は見られているとはりきる」とありましたが、誰かに頼られる事はそれ以上に責任感を持てる事です。
人間同士の信頼は一長一短でできないけど、誰かからの「信じられている」は人を真摯にするのです。
それまで親に対して悲しみや怒り言えない気持があった事も、無暗な反抗心が消え、親と協力していこうと思えようになったのも
良い意味で自尊心を持てたからなのだと思います。
おじいさんを恋しく思い「もっとこうしたかった」という思いも、さびしくても“ぼくの問題”願望であって、ちゃんと寿命で亡くなったおじいさんの死を泣き続けるより、その人生を称え、出会いに感謝し「おじいさんならどうするか?」とその生きざまや考えを伝承する事が残された者の役割なのだと彼らは自然に感じ取りました。
あの世には自分と縁のあるご先祖様がたくさんいるのかもしれません。
生き物にとって死は100%間逃れることは出来ません。
この本を通じて得たものは、自分にとっての後悔しない死とは「自分自身が幸せになる」という事です。
それは好き勝手の意味でも、願望をかなえるだけでもなく、いつも感謝できるような自分になる事です。
誰かの幸せに協力できてよかったと思える人になりたいです。
幸せは自動的になれるものではなく、手のひらからこぼれやすく、前向きに努力が必要だと思うのです。
きっと祖母も戦争で戦死された方々も「一番の願い」は、今の平和な社会の中で
穏やかに幸せになっている事や、平和を守り続けて行く事なのだと思います。
自分はよく、一人で生きているつもりでも「誰かに生かされている」という意味をこの本を読んで初めて実感する事ができました。
幸せになる事をためらわず、勇気をもって生きようと思いました。(2081文字)
「夏の庭 The friends」読書レビュー
読書感想文のレビューからも読書感想文に役立ついろんな感想があります。様々な意見や着眼点を参考にしてみましょう!
●とにかくこの本は読んで良かったと思える1冊。 夏の光景と、人の心情がしっかり伝わってきました。
何度か涙する場面がありましたが、爽やかな明るいラストでさえも涙が溢れるくらい、出会いと別れの喜びと切なさを感じることができる作品でした。
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●怒鳴っていたおじいさんも 3人の子供達も みんな子供で仲が良くて、1人の命がとても重いことを改めて痛感しました。
あの時 おじいさんはなぜ花火をあげたのか?夏を楽しませたかったから?びっくりさせたかったから?
それとも、来年の夏が無いことを少しだけ感じていたから?「あの世に知り合いが居る」という言葉に救われました。一生大事にしたい言葉です。
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●おじいさんの最期はとても幸せだったと思う。そして少年達は真っ直ぐで立派な大人になっていくのだろう。
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●一番面印象に残った言葉が「だいたい大人ってちょっと無神経なところがある」そう思たことがよくあったなあと。
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●最後は小学生3人の心境の変化、心の成長に涙が出そうになった。
小学校の卒業式の日、自分の意志でしっかり前を向いて進んでいこうとする後ろ姿を応援せずにはいられなかった。
「あの世に知り合い」というのはいい表現だなぁ。「死」がテーマなのになんて爽やかなんだろう。
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●おじいさんとの何気ないひとコマが彼らにとってのかけがえのない夏の思い出となり、まだまだ続くと思っていた交流が、あっけなく終わってしまった時、三人の気持ちを思うと胸がしめつけられます。
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●不思議にこの物語の世界に引き込まれていったのは「おじいさん」が、みるみるうちに最初の印象と異なり男同士の固い友情を子供らと築きだしていることに「既視感」というか懐かしい類のものを感じたからだ。
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●思い出を増やしながら歳をとることは、楽しいこと。その持ち主が、亡くなってしまっても、思い出は生き続ける。
●「死」に対する不思議な感覚を言葉にしてくれた本。
少年たちがひょんなきっかけで全く縁のないおじいさんと関わりを持つ中で、普段の人間関係ではできない経験をし、成長していく。
それらはおじいさんの人生を知ることや昔ならではの生活だったり「老い」そして「死」だったりする。
親、先生、サッカーコーチとは違う役割としてのおじいさんが描かれおり、愛おしくなる。
おじいさんは人生を語り合える少年たちと出会ったことで幸せだったんだろうな。
人に出会え、心残りだった人に償いをするきっかけができた。少年たちを心待ちにしてたのだろう。
●トリオと老人の攻防戦(?)が可笑しくて、大人みたいな表情を見せたかと思いきや
やっぱり子どもだなぁという一面も見えて、くすっとできた。 これは友情だろうか。人間同士ってだからおもしろい。
もう少し思考を深めたいならこんな作品もオススメ
【西の魔女が死んだ】著:梨木香歩
『西の魔女が死んだ』あらすじと読書感想文【例文5作】
(あらすじ)
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
こちらは女の子版「夏の庭」です。
主人公まいは夏の庭の少年たちよりもっと学校生活をこじらせているのですが、西の魔女とよぶおばあちゃんの家で過ごした経験と別れおばあちゃんの最後のメッセ―ジがまいに人生で大切なものを気づかせます。
感動作品ですが、夏の庭よりももう少し大きい学年にはこちらもおすすめです。