【111本の木】あらすじ・ネタバレと読書感想文の書き方大ヒントと例文
111本の木
発売日:2021年02月02日頃
著者/編集:リナ・シン, マリアンヌ・フェラー
出版社:光村教育図書
発行形態:絵本
ページ数:36p
ISBN:9784895722681
内容紹介:インドに、女児の誕生を111本の木を植えて祝う村があります。ジェンダー平等を提唱するこのエコロジー活動により、村は豊かな自然を取り戻しました。女児に学ぶ機会を与え、児童婚から守るために行動した村長を描く実話。
こちらでは
2022年の「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校中学年の部(3,4年生)の課題図書「111本の木」のあらすじ・ネタバレと読書感想文の書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。
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『111本の木』あらすじ・ネタバレと感想・こんな子にオススメ
『111本の木』読書感想文の書き方の大ヒントと感想文例文
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『111本の木』あらすじ・ネタバレと感想・こんな子にオススメ
【111本の木 登場人物】
シャム・スンダル・パリワル
小さい頃にお母さんが亡くなる。大人になって村長になって村を変える活動を始める
おかあさん
スンダルさんのおかあさん。まずしい生活で子どもがかわいそうと夜に泣いている
あらすじ・ネタバレ
はじめに
ほんの少し前まで、インドのある村では家のあとつぎになる男の子が生まれると働き手になるのでお祝いしますが、女の子が生まれるとお嫁に出すとき、たくさんのお金(持参金)がかかるので静まりかえるという状況でした。でも、今では女の子ひとりうまれるたびに、村は111本の木を植えてお祝いする村にすっかりかわりました。
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ある所に、お母さんと水くみに行くのが大好きな少年がいました
それはとてもつらい仕事だけど、そのときだけお母さんをひとりじめできたからです。
でも夜になると、おかあさんは11人家族でまずしくひもじく、せまい家に住んでいることを泣いていました。
ところが、お母さんは毒蛇にかまれて死んでしまいました。
その日から、少年は水をくみに行く女の人を見ると木にかけよって、抱き着きました。
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その男の子はシャム・スンダル・パリワルは大人になって、けっこんして2人のむすめと1人のむすこが生まれました。
そして自分たちのくらしが、自然にささえられ、それらを大切にすることを子どもたちに教えました
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そのころ村のちかくの大理石工場ではたらいていましたが
どんどん荒れ地がひろがっていくことが不安になりました。
「荒れ地に、木を、植えてください」社長にたのんでもきいてくれないので、スンダルさんは怒りで、工場をやめてしまいました。
スンダルさんは、荒れ地を緑ゆたかな土地にもどしたい
まずしい村の人たちにひもじい思いをさせたくない
男の子も女の子も学校に行かせたい
水くみだけのくらしをさせたくない。
そのために、選挙に出て、村長になりました。
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1年後、スンダルさんの上の娘が、病気で亡くなってしまいました。
12日間、部屋に閉じこもって泣き続けたスンダルさんは、13日目に木を植えます。
自分の悲しみを土にうめ、木と共に、娘の思い出とともに生き続けるように。
このとき、スンダルさんは、自分がすべきことがわかりました。
この村に、女子のが 生まれるたびに、111本の 木を植えて おいわいしよう。
村人たちは、「村長さんは頭がおかしくなった」とウワサされて、考えがわかってもらえませんでした。
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スンダルさんはあきらめませんでした。
大理石工場が 自然破壊していること。
女の子と男の子が 平等にあつかわれること
水と電気が たっぷりある月に行けるくらいの 富と知識がある国が ほかにあること
「わたしが 娘さんのために 木を植えるので、娘さんを学校に行かせ、18歳まで結婚させないでください」
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少しずつ、村人に理解はされましたが「木を育てる、水はどうする?」
スンダルさんは、水道をひく、技術者を呼びました。
堀をつくり、雨水をためて その水は 飲み水にもなるので水くみに行かなくてよくなりました。
植えた木に シロアリよけに 木の間にアロエベラを植えました。
アロエベラを使って、商売もはじめたので 暮らしに困らなくなりました。
村のお母さんと娘たちは 木のせわをして 神聖な糸を木に結んで 自分と木との きずなをたしかめました。
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村にはいろんな木が植えられて 緑の木におおわれた 美しい村になりました
みんなにゆきわたる きれいな水が たっぷりある村。
女の子たちは 学校で勉強しています。
そして 今日も女の子が生まれるたび 111本の木を植えています
読みやすさ ★★★★★
感想文の書きやすさ ★★★☆☆
こんな子におすすめ
・自然が好き
・男女平等が大切だと思う
インドは複雑な国です。
「インドはいまだにこんな国なのか」と子供たちにすり込みされすぎてもいけないのですが、同じインドでもカースト制度の上位の人にジェンダーの不平等はなくなってきています。都会のインドギャルはミニスカートも着るし、大学院まで進学するし、バリバリにキャリアウーマンにもなります。
ただ「田舎の方が古い因習にこだわる」傾向があるので、これまであった問題を改善しようとする動きの一つです。「111本の木」のエピソード以外にも「ダンガル きっと強くなる」(レスリングフェミニスト)や「パッドマン 5億人の女性を救った男」(生理用品フェミニスト)など、男性が女性の地位向上をさせた人々の話が映画になっています。
「ダンガル きっと強くなる」は娘の幸せを願う不器用な父親の愛に、感動して号泣します。
『111本の木』読書感想文の書き方の大ヒントと感想文例文
読書感想文・用紙と字数のルール その他の詳細
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校中学年の部(3,4年生)本文1,200字以内
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
読書感想文大ヒント【作者のねらい】
〈スンダルさんとピプランドリ村〉
スンダルさんは娘の思い出のために木を植えました
そのとき、フッと『なぜ、自分の娘おためだけなのだろう? すべての娘たちのためでなければいけないのでは?』と思ったのです。
〈ジェンダーの不平等〉
インドでは男の子は、「農業の働き手」としてよろこばれます。女の子は 「結婚するの持参金が用意がたいへん」で、女の子の教育にかけるお金の余裕がないのです。
女の子は生まれた時点で負担になる文化なので、産まれてもすぐ亡くなったり、中絶されることもあります。
〈スンダルさんの計画〉
・18歳未満の女の子が結婚させられる習慣を、やめさせたい
・女の子に教育を受けさせたい
〈アロエベラ〉
・村の女の人に収入を得る手段を持たせたい
〈スンダルさんが、エコフェミニストになったわけ〉
スンダルさんはおさない時に、お母さんが亡くなったとき、お父さんに「すべての命あるものを尊ぶこと」を教わりました。
そして自分の娘が、亡くなった時、女の子も男の子も同じように尊くて、大切な存在であることをわかってもらおうと、活動をはじめたのです。
~読書感想文書き方のコツ・例文~
①この本を選んだきっかけ
・111本の木というタイトルに興味を持ったことです
・「女の子が生まれるたびに111本も木を植える?」そんな風にお祝いしてもらえるなんて羨ましいと思ったからです
②簡単なあらすじ
スンダルさんは、自分の住んでいる村には古い習慣があります。
1つは女性が、水くみに行くつらい仕事をうけもつこと。
もう1つには、女の子が教育も受けられず、大事にされずに育てたれ子供のうちに結婚させられることです。
大人になって、村の自然が破壊されていること、男女の不平等、子供を学校に行かせたくて村長になり、あきらめずに村を改革していきます。
③感想(共感・反感・驚き・気づき・疑問など感情が動いたところ)
・女の子が結婚する時に「多額の持参金がいる制度」はやめたほうがいいと思います
・木を植えることで、どうして村を変えられるのかが最初意味が分かりませんでした
・スンダルさんのお父さんが「すべての命が尊い」と教えたのがまずえらいと思います
・インドの複雑な問題(カースト制、宗教性、都市と農村部のちがい)を知らないと、インド中こういう悪習なのか?と誤解されてしまう
④自分の意見、似たような経験談
・問題の解決方法に、貧困、教育、古い文化の固定概念の変化なのだと思った
・なにかをやるなら「あきらめない心」が必要
⑤本を読んでの読書感想文・例文
(本を読んで学んだこと、自分の意見、今後の生活に生かしていく。など)
これは“地方再生”と“女性の活躍”の物語だと思います。
スンダルさんの村は、アジア最大の大理石工場のせいで環境破壊されていることに心を痛めていました。
工場の社長に木を植えるようにたのんでも、大理石工場のおかげでこの村の経済が回っているのでしょうし、「木を植える意義」を社長は理解してもらえませんでした。
巨大な大理石工場で働けば、大変な仕事ですから良い給料をもらえるでしょう。
ですが給料を得たとしてもも、ますます生活しずらい村になります。
かつて子供時代にお母さんと遠い水場へ、つらい水くみをしたように
これから村が、荒れ地になることで土地は乾くと、水くみ場はさらに遠くなるでしょう。
子どもたちは、水くみや畑仕事のために、ますます学校に行けなくなるでしょう。
水がなければ、畑も作れなくなり、みんな貧しくなること。
スンダルさんにとって村が荒れ地になることは、村の人を苦しめることだと気が付きました。
スンダルさんは、村を愛していたのだと思います。
そして村に住むすべての人と共にしあわせになりたいと願い、選挙にでて村長になれたのだと思います。
1年後、上のむすめが亡くなり、むすめの思い出のために木を植えますが「なぜすべての娘のためじゃないのか?」と気が付きます。
思えば子どもの頃より、スンダルさんのお母さんが水くみで苦労したり、生活苦で泣いている姿を見ています。
そのお母さんが亡くなった時、お父さんから「すべての命は尊く、大切な存在」と教わりました。
苦労ばかりだったお母さん、そして村の女性たちもなぜ虐げられるのか?
環境破壊、女児の未就学、女児を持つことでの経済的な差、女児の死亡率・堕胎率の高さなど、実は全部の問題がつながりがあり、それを解決したのが「111本の木」でした。
最初は「女の子が生まれるたびに111本の木を植えてお祝いしましょう」と言われても
村人は「おめでたいのはお前のアタマだ」と思われた事でしょう。
女の子の誕生=持参金という借金を背負うようなものですから。
「早く嫁に出してしまいたい」となると学業より、家事を手伝わせた方がいいと考えるのも自然だったと思います。
わたしは根本的な問題は女性差別ではなく“貧しさ”にあるのだと思います。
自由に使える水がすぐそばにあり、女性たちが収入を得る手段がある。
教育を受けた女の子たちには、結婚以外に自分の可能性を伸ばすこともできるでしょう。
男女ともに収入を得ることができれば、どちらが尊いなどのジェンダー問題にならないと思います。
私はこの物語から気が付いたことは、一見ばらばらの問題でも全部つながりのある問題だということ。
そして、問題の糸を解きほぐすには、意外なアイデアとあきらめない気持ちが必要だと学びました。
スンダルさんのエコフェミニストのタイトルは、亡きお母さんと娘さんへの愛で生まれた感情です。
人は大切な誰かを思うことで、すごい力を発揮できるのだとわかりました。【文字数1204】
【みんなの感想】
今の日本の子供では想像できない暮らしをしていたインドの村の人々の考えを覆した人のお話。
やはり何と言っても男女平等に教育の機会を持てるという事の幸せ。
水が近くにある事の幸せ。
当たり前の事が大切なんだと改めて知る事ができる一冊。
「女の子を大切にしよー」という言葉だけでなく、植樹という具体的行動と結びつけることで、村人たちの心が変わっていく。仕組みを作れる人は、本当に素晴らしいと思う。
昔の話かと思ったらそうでもなかった。絵がステキ。内容はヘヴィ。場所をGoogle mapで探そうと思ったらPiplantriで探すと良いですよ。ピプラントリでは出てきません。パキスタンの近辺でした。インドの女性差別については良く聞きますが、未だ「生まれる前」から差別されているとは。こういうことがあるんだよ、というのを小学生が理解してどう考えるのかなあ?
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入賞作品集(過去の入賞作品まとめ一覧)
読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
読書感想文は正解があります
読書感想文は、まじめで真剣に本のテーマを考えている「とても正しい優等生な意見」が良い評価をもらえます。
「読書したうえでの学習効果が感じられるか?」と先生方は判断するからです。
内閣総理大臣賞 <小学校中学年の部>
◆西崎千青 岡山県 倉敷市立倉敷東小4年
「オーバーテーブルでつながる気持ち」・・・「二平方メートルの世界で」(小学館)から
文部科学大臣賞 <小学校中学年の部>
◆河崎美空 鳥取県 鳥取市立賀露小4年
「カメムシがおしえてくれたこと」・・・「わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話」(福音館書店)より
読書感想文を何をどうやって書けばいいのか?前年の課題図書の読書感想文全国コンクールの入賞作品を参考にすると書き方のコツが身につきます。