【海の見える理髪店】読書感想文の書き方と例文(あらすじ・ネタバレ)


こちらでは
海の見える理髪店」著:荻原 浩の「あらすじネタバレ」と読書感想文書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。

本作は第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞ダブル受賞作した人生の可笑しさと切なさが沁みる、大人のための“泣ける”短編集です。
読みやすいのに感想文も書きやすい小説です。

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【海の見える理髪店】こんな人にオススメと感想文書き方のコツ
【海の見える理髪店】あらすじ(ネタバレ)
【海の見える理髪店】読書感想文の書き方のポイントとキーワード
【海の見える理髪店】読書感想文・例文2作と感想文レビュー
うんちく~こんな作品もオススメ

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【海の見える理髪店】こんな人にオススメと感想文書き方のコツ

【出版社内容情報】
直木賞受賞作 待望の文庫化!
人生に訪れる喪失と、ささやかな希望の光── 心に染みる儚く愛おしい家族の小説集。

店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが……「海の見える理髪店」。
人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。直木賞受賞作。

読みやすさ ★★★★★
感想文の書きやすさ ★★★★★

こんな子におすすめ
・小学校高学年からでもOK
・短編なので読書が苦手でもOK
・親子関係に悩みのある人    など

【海の見える理髪店】感想文書き方のコツ

管理人がこの本を読んだ感想を一言で言うとせつないにつきます。

本書は短編集なので「海の見える理髪店」自体も短くて読みやすいのですが、胸にウッと詰まるような悲しみと切なさのある作品です。

「あなたは罪を犯して、母と自分を捨てた父親を許せますか?」

人は誰でも人生に歴史があり、良い事も悪い事も両方やってきます。
どうしても「人生がうまくいかない人」もいるのです。
短編の小説で、早く結末を知りたくなる物語ですが、読みながら疑問が出てきたら
それについて書くのもおすすめです。

【物語の疑問点の例】
・父はどうして待ってくれると言った妻と子を捨てたのか?
・息子はどんな気持ちで自分を捨てた父に会いに行ったのか?
・息子は「つけ足そうと思った、あとの言葉」を言わなかったのか?
・父と息子はどうしてお互いちゃんと名乗らなかったのか?

読者が思う2人の気持と自分が“父親の立場” “息子の立場”だったらどうするか?
現在の自分の親子関係にこの物語はどう反映できるか?
を書くのがコツと言えそうです。

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【海の見える理髪店】あらすじ(ネタバレ)

グラフィックデザイナーの「僕」(原田)は、海辺の小さな町にある理髪店に予約してやって来た。
亡くなった大物俳優が常連だったと話題になった店だ。
民家を改装したその理髪店は、庭にさびついたブランコがあり、70代の店主が1人だけいた。

「ここに店を移してから15年になります」と店主は自らの生い立ちをとうとうと語りだします。
幼い頃から祖父の代から続く床屋を手伝い
本当は絵描きになりたかったが、断念しまた床屋で働きだしたこと。
父親が20歳のときに亡くなり、若造だと信用されず店が傾きかけた事。
偶然、自ら石原慎太郎と同じ髪型にし、ようやく店は軌道にのった事。

ビートルズの長髪が流行り出すと美容院が多くなり、理髪店が傾きだした。
仕事がうまくいかず酒におぼれ最初の妻逃げられ離婚することになった。
だが一念発起し、高級路線の店にして勝負したのが当たり
有名俳優がイメージチェンジをしたいと常連になってくれ
政界・財界人、小説家などもやってくるような本当の繁盛店になった事。

そこ頃から、次第に思いあがるようになった店主は、経営に専念し 
本店を任せていた片腕となっていた従業員が「顧客名簿を分けろ」「従業員も連れて行く」との
独立宣言にカッとなり殴り殺してしまった事。


傷害致死で逮捕され、店主は服役することになった。
その服役中、店主は二度目の妻と別れることにした。
50歳のときに生まれた長男がいて、妻には離婚を拒絶したが
人殺しの妻・子と言われた不憫なので離婚することにした。

刑務所では、衛生夫・理髪係を行っていた。
出所後、結局「自分には床屋しかない」と思うようになり
東京の家も店も処分し、倍書金を払い今の理髪店を開業することになった。

店の客前にある大鏡にはこだわりがあり、海が見えるようになっている。
「本当は私自身の為なんです。私の顔など、誰も覚えていないと思いつつ、いつか誰かに『お前は人殺しだろう』と指をさされるのが恐ろしくて」と、事件について触れられないために海を映すようにしているのだった。

店を移して3年目、かつて懇意にしてくれたあの俳優がわざわざやってきてくれるようになったという。
彼はかつての髪型を所望した。
亡くなる半月前、病院に呼ばれ整髪に行くと
「ありがとうございます。いまの自分があるのは、あなたのおかげです」と言ってくれた。
俳優はまもなくして亡くなったが、こんな私でも生きて来た甲斐があったと話した。 


話を終えると、店主は僕に珍しい場所につむじがあると話し、一人一人個性があるので違いがわかるという。
「頭の後ろの縫い傷は、お小さい頃のものでしょう。その傷はね、ブランコから落ちたときのものですよ」と言う。
ここにある古いブランコは家で遊ばせるために買ったもので女房に親バカだと笑われた事
その母が建材かどうかを聞いてきた。

僕は、店主に「来週、結婚式があるんです」「きちんと床屋に行っておきたかった」とだけ伝えた。
だが本当は苦労してこの店を探し当てた事は黙っていた。
「おめでとうございます」「ありがとうございます」というやりとりの後
僕はつけ足そうと思った後の言葉は飲み込んだ。

帰り際、店のメンバーズカードはお互いふれなかった。
代金を固辞する店主に、どうにか支払った後、ドアに手をかけた僕に店主は
「あの、お顔を見せていただけませんか。もう一度だけ。いえ、前髪の整え具合が気になりますもので」と声をかけた。

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【海の見える理髪店】読書感想文の書き方のポイントとキーワード

読書感想文・書き方のポイント

下記の読書感想文・例文は「読書感想文の書き方のポイント」に合わせて書いています。

本と出会ったきっかけ
本の簡潔な説明
なぜ面白かったのか
心に残ったところ
本を読んでわかった事学んだこと変わったとこ  などなど

  

海の見える理髪店】印象に残るキーワード
【海の見える理髪店】の中には途中、この2人は親子であると思わせたり、父が息子に伝えたい想いなどが感じられるセリフが伏線としてたくさんちりばめられています。

●店主は頭全体を撫でまわし、時折首をかしげていた。…妙な位置にある僕のつむじのところで、手が止まる。店主はひとしきり髪をまさぐってから、小さなため息をついた。

●私なんぞが言うのもなんですが、こうありたい自分と、現実の自分と言うのは、往々にして別なものなのでしょうねぇ。ちゃんと鏡に映っているんですけれど。

●ほぉ、独立されているのですか。毎日忙しくされているなら成功ですよ…いや、なんだか嬉しいですね。私も長く自営をやっておりますから、他人のような気がしません。

●仕事って言うのは、つまるところ、人の気持ちを考える事ではないかと私は思うのです。…どんな道でも、成功される方と言うのは、人の気持ちを読む術に長けていらっしゃるんです。

●父親ってものは…息子にだけは負けてもいい、心の中じゃそんなことを思っているものなんですよ。

●僕がイラストレーターとしてもぽつぽつ仕事が来るようになったというと、珍しく店主が動きを止め…いやぁ、素晴らしい。と同じセリフを繰り返した。

●ですが、お客さま。語学のためと思って聞いてください。無口でおとなしい女ほど恐ろしいものはありませんよ。

●老舗っていうだけのボロ店に、いつまでもしがみついていちゃだめだ。そう考えて、借金をして改装したんです。…今でいうハイリスクハイリターンというやつですね。

●いつも何かに耐えているようなあのお顔で、目を固く閉じられたままで。きっと、あの方も悩んでおいでだったのですね。

●年下の方が多くなってきますとね、知らず知らずに腰が高くなってしまうんです。そして人間、一つの仕事を長くやっているうちに、空いた頭をこねくり回して、経営やら人生やらの哲学めいたものが芽生えてくるもので。

●欲と言うと聞こえはいいですが、たぶん欲しかったのは「箔」薄っぺらな金箔です。…こうありたい自分と現実の自分が見えていなかったのだと思います。お客様も、事業を広げられるなら、どんなに会社を大きくされても、社訓じゃなく初心を飾ってください。

●じつは私、ちっとも磨かれちゃいなかったんですね。理容椅子じゃなく、自分が座る椅子が欲しくて、芸術家の卵を気取ってたガキの頃から変わっちゃいませんでした。きっと私はなんでも鏡越しに見ていたんだと思います。真正面から向き合うとつらいから。

●こんなことまでお話したのは、お客様が初めてです。あなたにだけは話しておこうと思って。もう私、そう長くはないでしょうから。
   

【海の見える理髪店】読書感想文・例文2作と感想文レビュー

読書感想文・例文1
この本を選んだ理由は、直木賞受賞作だし
短編で評判も良いので読書感想文も書きやすいだろうと思い選びました。
軽い気持ちで選んだ本ですが、短編なのにすごく心に響き、考えさせられて胸が痛くなりました。
そしてこの床屋のお父さんは幸せになる資格はないのだろうか?と考えさせられました。

とある海辺の小さな町にある理髪店に、青年がわざわざ予約を取って遠方からやってきた。
70代の店主は今なぜこの海辺の町で、床屋を営んでいるか?青年の変わったつむじを指摘しながら語り出すのです。
絵描きなりたかったが、大成せずに親の後を継ぎ東京で床屋で働きだしたこと
父親の死後、自分で何とか軌道に乗せたが景気が傾き酒が原因で最初の妻と離婚したこと
俳優や財界人も来る高級店にできたこと
2号店も出店し、本店を負かしていた男の横暴な独立宣言にカッとして殺害してしまった事
新たな妻は子供と待っていると言ったが、迷惑をかけまいと離婚した事
出所後、床屋になったが客が万が一『お前は人殺しだろう』とバレるのが怖くて鏡に海が写る場所に店を出したこと。
そして床屋はつむじの特徴は忘れないし、青年の頭の傷は5歳の時のモノだと言います。
青年は来週結婚する事を告げるが、お互い親子であると言葉では確認しません。
帰りがけに床屋は言い訳をしながら「顔を見せて下さい」といった。

親子であるとわかっていながら、お互いを名乗れない、次の約束も交流もできない父と息子の描写に胸が痛くなりました。
お父さんの犯した罪は人として許されない事です。
ですがすでに服役を終えて罪は償っています。
離婚もする必要はなかったかもしれませんし、出所後は妻子の元に戻っても良かったのかもしれません。

たしかに波乱万丈で浮き沈みの多いお父さんは、自分のこらえ性の無さを自覚し、自重する生き方をすべきでした。
ですがそれをきつく言えるのは法律家や被害者遺族、そして人生の難しさを知らない若人なのかもしれません。
お父さんがどれだけ自分の人生を悔い改めているか?何を失ってきたか?
今も罪を指摘される事に怯えながら生きている事を知ると、罪を責めるより罪を犯したことを悲しく思えてくるのです。

正体を名乗らず店にやって来た息子も同じ気持ちだと思います。
母子家庭に育ち、父がいない生活に怒りや理不尽さを感じたことがあると思います。
でも彼のお母さんは罪を犯したお父さんを悪く言わなかったのではないか?と想像できるのです。
幼少のころまでしか共に過ごせなかった父のわずから愛情の記憶を頼りに結婚の報告のためにたずねたのです。

お父さんは床屋として一流人に認められるような立派な仕事をする人です。
でも仕事でのストレスがいつも身を持ち崩す危うい人でした。
今もある後悔と懺悔には別れた妻子への罪悪感もあると思います。
そして今も覚えている息子の特徴あるつむじと後頭部の傷の思い出が
お父さんの中にある温かい記憶です。

自分はこの本を読んで、このつむじと傷の記憶のエピソードにハッとしました。
なぜならば自分の親も、自分自身が覚えていない赤ちゃんの頃の出来事を
昨日のことのように覚えていて、楽しそうに語ることがあるのです。
こういうのが親が子供を愛しているという証なのだと気が付きました。

この親子が今後の人生で再び会えるのかどうかを予感させる描写はありませんでした。
そして許すという事は人にとっても最も難しい判断なのだと気が付きました。
親子の愛情はあれど、許して家族として幸せになるのは許されない
共に生きたくても、許されないという思い
だけどどんなに会えなくても、消えない親子の愛情
悲しいけれど、それが罪への償いというものだと痛感しました。

フィクションですが、この短い物語なのに親子の切ない思い、愛情、悲しさが詰め込まれていて、人生の難しさや、家族があたりまえに一緒にいられる事がどれだけ恵まれている事なのか、現実ではないがしろにすることもある自分の家族への態度も含めて反省と共に学ぶことが出来たと思います。

家族と共にいられる時間も限りがあります。
家族の在り方について、この物語の青年のように、丁寧に家族の気持も考えて接する事が大人になるという事だと思いました。
(1711文字)

読書感想文・例文2
親が離婚して片親家庭で育ってきた人は世の中にごまんといるのでしょう。
両親の離婚の理由を子供は「本当のところ」をしっかり聞くことにためらいがあると思います。
自分の親でありながら、大人の男と女の顔を垣間見てしまうような
子供として親の触れたくない部分のように感じてしまうのではないでしょうか?
ですが、子供の立場として、親同士の判断でどちらか片方の親がいなくなる理不尽さを
なんとなく持て余しながら成長していく。
親同士の現実はさておき、中には別れた方の親のことを
身勝手で悪い人間との認識て育ってしまうのも現実にあると思います。

この物語は、結婚を控えた青年・原田が両親の離婚で生き別れた父を正体を明かさずにたずねるが
父には息子だと気づかれながら、お互い親子としての再会を表立って喜ぶ事もできずに
息子も結婚の報告、父のこれまでの人生や懺悔、人生論などを話すが
父息子であると言葉に出し、次の約束もできずまた別れていくだろう事を感じさせる物語です。

床屋としての知識や経験に加え、親として母性ならぬ父性の強い床屋は
息子の証と言える「妙な位置にあるつむじ」で我が子であるとすぐにわかります。
そしてわずか1時間余りの整髪の時間に、床屋は息子に伝えられることを精一杯語ります。
それは結果、妻子を捨てることになった自分の生き様の懺悔でもあり
息子に伝えたい人生の失敗談や教訓であったり
精一杯に駆け抜けた職人として幸せを得た喜びの話は
父親として辛うじてできる事のような気がしました。

物語の父親の人柄から読者として
「もう罪は償ったし、親子と名乗りあい幸せになってもいいじゃないか」と感じます。
ですが父も息子も多くを語らない母も、そして父の人生を変えた大物俳優も
父の過去を粛々と受け止め続ける事を選んでいます。
「明るい普通の幸せを得てはいけない」と心に決めているのが感じられ
人一人の人生を奪う事で本人含め、家族や被害者遺族も含め
多くの人が十字架を背負うような生き方になるのだと思い知りました。

そんな中、父親の床屋人生を変えた大物俳優が晩年店を訪れるようになったのは
「自分が客になった事で人生を狂わせたのでは?」という気持もあったように思います。
ですがそれ以上に俳優が床屋としての父親に感謝しているのは
世間に求め続けられる俳優像を”いつも何かに耐えているようなあのお顔”で受け止めてきた事を
髪型一つで役者人生を変えてくれた、少し楽になれるきっかけを作ってくれたからでしょう。

「こうありたい自分と、現実の自分と言うのは、往々にして別なもの」でも
なりたい自分に一致させる技術のある父に
“人の気持ちを読む術に長けている”大物俳優の床屋の父への感謝の気持ちは本物です。

連絡も取らず、父親の人となりを知らなかったはずの息子はデザインとイラストの仕事もしています。
きっとこの親子はつむじ以外にも、血の繋がりの不思議と間違いなく親子であると思った事でしょう。
それでもこの親子はこれから先の人生で二度と触れ合うことはないのかもしれません。

「それじゃあまりにも悲しいじゃないか」とするのが人の情です。
ですがこの父親は言うのです。
「父親と言うのは息子にだけは負けていい」と。
自分がなれなかった絵描きの道で成功しつつある息子
偶然にも自分のかつての夢を叶えた息子に誇らしさを感じさせたこと
元気で立派に忙しい仕事をして結婚もする息子に
親としてこれこそ最高の親孝行だと感じたのではないでしょうか?
本当の親孝行とはモノやカネじゃなく
子供が立派に生きている事に尽きるのです。

自分はこの物語を通して願うことは
親子である、家族であると声を上げてはいけない関係でも
息子は仕事をさらに極めて、その名を父の耳に届けて欲しい
風のウワサで息子が元気であることを感じさせて欲しいという事です。

親子関係の本来あるべき形は「追い抜け追い越せ」なのかもしれません。
時には意見が衝突する事が当たり前にあり
どうしても許せない想いを抱くこともあるものです。
ですが愛情の反対は憎しみではなく、無関心です。
この息子は父の敬意を知りつつ、かつて憎んだことがあったとしても
やっと探し当て父の愛を求めてやってきました。
本来なら息子は一生この父を亡きものとして無関心でいても良かったのです。
ですが。父の全てを許し、受け入れたいからやってきたのは
一つには「結婚し家族を持つ」事への責任感と覚悟の現れなのだと思います。
彼が成熟した大人になろうとするから出来た行為なのだと思います。

この本を通じて、親子との役割とはDNAをつなぐだけではなく
親や先祖の思いをつなぐ事なのだとあらためて知ることが出来ました。
人生で一番難しいのは許すという行為です。
もしこの物語の続編があるならば、願わくば
この父親が「自分を許す」未来があればいいのにと思いました。
(1963文字)
  

「海の見える理髪店」読書レビュー

毒素感想文のレビューからも読書感想文に役立ついろんな感想があります。
様々な意見から読書感想文の話の展開を広げられますので、参考になります。

●特に最後の展開はあっと言わされ、そしてじわじわと感動が広がる。 6つの短編全てがテンポ良く読ませる力を持っていて飽きなかった。 しかも内容は家族を扱っていて深い。 家族だからこそ言えない言葉があり、許せないことがあり、受け入れなければならないことがある。 そんな切ない気持ちを、様々な立場から描いている。

●読み始めてちょっと驚きました。内容は、日常のちょっとした、でも当人たちにとっては特別な出来事の短編集。他の方が書いておられるように〝海の見える理髪店〟と、〝成人式〟は文句なしにウルっときます。

●「どんなことがあっても、家族は家族なんだな」ってこと。うまくいかないことがあっても、なんとか乗り越えていけるのが、家族の絆なんだなって思う。すごく読みやすくて、あっという間に読み終えてしまった。

●人生は上手くいかない。挫折や失敗が必ずある。親子や夫婦というものは、切っても切れない唯一のもの。それは例え離婚したとしても、親と縁を切ったとしても、心の中に記憶が、傷が残るもの。

●全ての話に「家族」と「死」が関係する。誰にでも訪れる、家族の死。唐突に別れが来ることもある。あたりまえのことなのに、普段の生活では忘れていること。後悔してからでは遅いのだ。家族とうまくいっていない人にこそ読んでほしい。いま、を大切に生きようと思える作品。

●「海の見える理髪店」は続けて2度読みしました。 僕がありがとうの後につけ足そうとして喉の奥にしまい込んだ言葉はなんだったんだろう?

●人にはそれぞれ色んな事情や状況下があって…それでも人は前へ進んで行かなければ何も始まらないんだ。と言うメッセージが込められていると思います。

●「過去と向き合うっていうことは、未来に向けて踏み出すこと」解説で斎藤美奈子さんが書かれている言葉どおりだと思った。

もう少し思考を深めたいならこんな作品もオススメ


【手紙】著:東野 圭吾

(あらすじ)  
武島剛志と直貴は二人きりの兄弟だった。
弟の大学進学のための金がほしくて、剛志は空き巣に入り、強盗殺人の罪を犯してしまう。
服役中の剛志から直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く。
しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。
ある職場で疑いをかけられ、倉庫に異動させられた直貴のもとに現れた男性は、「差別はね、当然なんだよ」と静かに言うのだった――。
年月が流れ、家族を持った直貴は、ついにある決意をする。
人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。
犯罪加害者の家族を真正面から描き、映画化(主演・山田孝之)、舞台化もされ、感動を呼んだ不朽の名作。文春文庫史上最速でミリオンセラーとなり、200万部を売り上げるベストセラー。

【手紙】は東野圭吾さんの大ベストセラーで映画にもなった作品です。
こちらは兄が殺人を犯した為、弟が社会から厳しい風当たりを受け、差別や偏見にさらされ生きづらさの中追い詰められていきます。
前向きに努力するだけではダメ
ひた隠しに生きても見つかってしまう
主人公が選んだ決意とは?

もう号泣です!
【海の見える理髪店】よりも重くて長い内容でかわいそうすぎるのですが、一度読みだしたら止まらなくなる作品です。
この手の話に興味があっても「キツいのはちょっと」という人には導入編として【海の見える…】
ガッツリしっかり世界観を味わいたい人には【手紙】もかなりおすすめです。

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