『スクラッチ』読書感想文あらすじ・感想文書き方(Chat GPT・答え)
『スクラッチ』
歌代朔 作 あかね書房 1,650円 (税込み) 333ページ
Amazon 楽天ブックス
コロナ禍で「総体」が中止になったバレー部キャプテンの鈴音。
美術部部長の千暁は出展する予定の「市郡展」も審査が中止。「平常心」と自分に言い聞かせ「カラフルな運動部の群像」の出展作を描き続ける千暁のキャンバスに、鈴音が不注意から墨を飛ばしてしまい…。
コロナ禍で黒く塗りつぶされた中三の夏。そのなかでもがきながら自分たちらしい生き方を掴み取っていく中学生たちの、疾走する”爪痕”を描く物語。
こちらでは
2023年「第69回 青少年読書感想文全国コンクール」中学生の課題図書の『スクラッチ』の「あらすじ・ネタバレ」読書感想文の書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。
こちらでは
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『スクラッチ』あらすじ・ネタバレ・こんな子にオススメ
『スクラッチ』読書感想文の書き方・大ヒントと答え
読書感想文をChatGPTで書いたらバレる?感想文での使い方とは?
うんちく・読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
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などをご紹介させていただきます。
『スクラッチ』あらすじ・ネタバレ・こんな子にオススメ
『スクラッチ』おすすめ度
読みやすさ ★★☆☆☆
感想文の書きやすさ ★★★★★
・本当のテーマは「コロナ」「災害」で犠牲になった私たちでない
・作者の言いたいテーマの意図をくみ取る読解力が必要
・無駄パートが多く、紆余曲折が長すぎる
・中学受験出題予想作品とされていますので、逆にラッキー作品
※下記『スクラッチ』読書感想文の書き方・大ヒントと答え 参照
こんな子にオススメ
・学校行事、部活大好き
・進路になやんでいる
・やりたいこと、好きなことがない
・人間関係やコミュ二ケーションに悩みあり
『スクラッチ』ネタバレ
千暁(かずあき)
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吉村千暁は帰り道に、道端に「落ちている」ように座りこむ幼なじみの岡田鈴音と会った。
バレー部部長、パワー系女子らしく「コロナふざけんなー‼」と雄たけびを上げ泣いていたのか?
“総体”がなくなり自転車もパンクし爆発寸前なため「美術部は大会中しなくていいよな‼」と千暁は八つ当たりされたが、千暁はキュッと口をつぐんで、黙々と鈴音の自転車を修理に持って行った。
5年前の台風で被災し、千暁一家は小4で母方の実家に越してきた。
ド田舎過ぎて、店も家も人も泥水もコロナもない町。初対面も同じように道端で「野良」のように寝ていた鈴音からこちらでの子供の遊び方を伝授され、今もその原色ような力強さで平穏をかき乱す台風のようだ。
千暁は「市郡展」で特選が取れる腕前の美術部部長。だが受験査定の内申に影響するのにコロナで「市郡展」の審査自体がなくなった。
あの頃から心に毒がわきそうになると「平常心だ」と自分に唱えてあの頃よりはマシだよと、やり過ごしてきたけど影を踏みつけるように帰った。
鈴音
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千暁のモダン家と対照的な木造平屋の我が家に帰ると、となりの律子さんが回覧板を渡しながら「都会はコロナ出るんやろ?」と大学がリモート授業で帰省してる姉に家から出ないよう忠告された。
仲いいのに姉もすぐ部屋に引きこもり、介護職のお母さんも「そりゃ警戒する人もおるやろ」と意に介さない。
猫パンチされ回覧板は「夏祭り中止」。バレー部でおそろいの浴衣を着る予定も消えた…お母さんに泣き顔を見られないようにシャワーに飛び込んだ。
翌日、千暁に一応お礼してもいつもどおりの淡々としてる。ひょろ眼鏡のくせにイケメン行動が腹が立つ。
バレー部副部長で幼馴染の文菜に「姉の2週間隔離」をグチると、おばあちゃんが介護施設入居者だから介護の人が気をつかっているのがありがたいし気をつけてほしいと言われ、それぞれの立場でガマンばかりに「うぅっ」とうめいた。
そこへコロナなんか気にせず飛びついてきたみのりが「コロナ鬱で休学」な玲奈の家のウワサ話をしてると「いっそ宝くじ当たらないかねぇ」と声をかけてきたのは抑圧的なバレー部のタカッチーと真逆な美術の仙ちゃん先生は「よその家庭事情を話すな」と言いつつ「玲奈の好きなエッシャー展がくるとお知らせして」と出て行った。
仙ちゃん先生は美術展を「めったにないチャンス…不要不急であるか否か」が頭に残り、朝礼で野村先生の「みんななんともないな」にも『ならば、こんなこといつまで?どれだけ、ガマンとやらすりゃいいんですか?」聞きたかった。
千暁
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全生徒に部活は強制で、美術部には本気の子は少数。
雑談で時間つぶししてもユルい仙先生は放任してるが、絵のアドバイスは確かだ。
でも薦めらたオイルパステル作品に「この絵を描いてて楽しかったか?あるいは苦しかったか?」と聞いてきた。
「感情」など考えたことがなかった。それに「(絵を描くとき)苦しいこともある」と言った意味がわからない。
気分が乗らないのでクロッキーしに、「猛獣」鈴音のバレー部を見に行くと副部長「猛獣使い」の文菜から「今年の体育祭、中止か規模縮小で看板展示なくなるみたいよ」と知らされた。
展覧会用の絵は体育祭で中央得点パネルのところに飾られる。だが「市郡展」の審査されなくなった絵は翌年以降どこにも飾られることもない…動揺で鉛筆の芯を折った。
鈴音
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総体中止で楽しいはずの部活のトレーニングも作業に感じた。
おかしな雰囲気も文菜が鼓舞して引き締めてくれるのに、文菜のゴリ押しでなった「部長」の自分が荒れる気持ちを落ち着けることもできない。
千暁がスケッチに来てるのをみつけ、いちゃもんつけるつもりがうますぎる絵に「画力ありすぎ!運動以外チートすぎ!」と叫ぶと、千暁は一瞬のうちにそのページを引き裂いた。
「練習に身が入ってなさすぎ」と無表情の目と抑えた声で言い当てられた。でも千暁が感情的なのを初めてみた。
鈴音
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クラスでも「体育祭中止か縮小のお知らせ」と「夏休み縮小および、補習授業開催のお知らせ」が配られ春の休校の埋め合わせに1周目は全員出席だった。
東京で五輪やランドを見る予定という子に、どこにも行けない鈴音は「コロナになれ」と願った。
この町にコロナなんてない。親の介護職は厳戒態勢。姉は猫さえ部屋に入れない。そこに親戚が遊びに来たいというのを母さんが断ったら、軽くケンカになってた。うっとおしい。でもお腹が鳴った。
鈴音
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あれから千暁と話していない。でもふりかえると「千暁自身の話」聞いてない。
ガザツで人の気持ちの細かいキビがわからなくて、小学校で浮いてたけど千暁が安全地帯で助けられてた…「はー」とため息をついたら今度は文菜がはげましてくれ「千暁の展覧会事情」を教えられ地雷を踏んでいたと気が付いた。
それなのに、その日の美術は墨絵で片付けの時に鮮やかで躍動感ある千暁の展覧会作品にあやまって墨を飛ばしてしまった。
あわててふいて余計に広がり半泣きで遅れて次の授業に行き、怒られなかったが授業どころじゃなかった。授業後、千暁の腕をひっつかんで美術室に連れて行き、絵の前で腰を90度に謝った。
でも千暁は「いいよ」と部室を出て行ったが許してくれていないのはわかった。墨で汚したのはちょうど鈴音の顔だった。
千暁
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鈴音のガサツさからワザとじゃないのはわかったけど冷たい声になった気がする。
スケッチブックの件は鈴音への八つ当たりだった。そしてパネル展示を楽しみにしていたと自覚したけど、自分の気持ちはよくわからない。鈴音はこんな心境になることないのだろうな。
切り替えて『明るい色彩の見た人が元気が出る絵』を仕上げないと…いやまだ続けるのか。こんなありさまで、僕は。
汚れた黄色は、避難所で描いたタンポポを思い出した。
小4の夏。超大型台風の洪水にそなえて高台で母さんと2人車中泊した。
父さんは中核病院のSEだからそちらに泊まり込みで、母さんは僕を不安にさせないようにむやみ浮かれていた。
でも次の日、家は2階の床まで浸水して本や絵の具を上げなかったことを後悔し、すべてが下水交じりの泥水でぐちゃぐちゃで…現実を受け入れたころ表情筋を動かす気力もなくなった。そしてあの夜に母さんの知り合いが亡くなったとわかり、母さんからも表情が消えた。
・・・避難所でボランティアの人が気をつかってスケッチブックをくれた。
気分じゃないけど仕方なく公民館にあったクレヨンでタンポポを描いたら、母さんがそれにすがるようにジワっと涙をこぼしてゆっくり笑った…そんなつもりなかった絵。僕の胸に、苦いとげが刺さった。
そして家再建のめどがつかず、引っ越してきて5年が過ぎた。
あれからずっとあざやかな色ばかりで絵を描いているけど…あぁ、そうか。嘘をついてきれいな絵を描く必要だってないはずだ。
黒のアクリルガッシュで絵を真っ黒に塗りつぶし、僕の気持ちは落ち着いたのに、部室に入ってきた鈴音はそれを見て大声で泣きだした。そのギャン泣きしながら謝る感情爆発している姿にパワーを感じ、きれいだと思ってしまった。
千暁は「ここに立って」と鈴音をモデルに塗りつぶした黒を削るスクラッチ技法で、虹色の今の僕らを削りだした。ドキドキしながら僕が描きたいものはコレだと自覚した。
出来上がった絵は鼻水をながす鈴音だったが、ひどい顔なのにキレイで怒ってる顔も笑った顔も描きたいと言った。
千暁
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仙先生はスクラッチの絵を見ながら「蝶の羽化を見たことあるかね?」とうれしそうに聞かれた。
そして市郡展よりレベルの高い、県展の募集要項のチラシをくれて「県立美術館でこの絵を見たい」と言われた。
落ちても恥じゃない。出展を促されたこと自体光栄で『なにかをこの絵で、うち破れるんじゃないか?』と。
締め切りまであと2週間。でも手が迷うのは自分の熱量が足りないからだと気づいた。この絵を描くときはまるで狩猟のようだった。千暁は鈴音の熱量を生け捕るために体育館に向かった。
鈴音
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物わかりいいフリ(ウソ)はできない。進めないと気づき、翌日、早く体育館に行き2階の窓を開け、人目も気にせず「試合できなくて悔しいぃー‼」と叫んだ。気づけば文菜も1階の窓から「試合したーい‼」と叫び、バレー部全員でそれをこだました。
そこにタカッチーが「こらーっ!」と怒鳴ったがコートに向かい「試合をさせてやりたーい!」と叫んだ。そしてきょとんとした部員たちにペナルティのトレーニングは命じた。
でもみんなで久ぶりに笑い、ここまでのガンバリに文句ぐらい言っていいしヤルしかないって気分になった。そして部活がやっぱり楽しいと思えた。悩むキャラじゃない。こうやって進むしかない。
一応美術部のみのりから「千暁とつき合ってんの?」と聞かれた。また「みんなどうやって、好きなこととかなりたいもの見つけるの?」とも。鈴音は「高校でもバレー続ける」と即答したが、文菜は「楽しいことととなりたいものってイコールじゃない」に違和感を感じた。
鈴音
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みのりからは「鈴音も(バレーやるなら)本気出さないと」にドキっとした。
その時クラスの女子が夏休み中に「東京に行く行かない」で「コロナうつる」とモメてて、ザラっとした。
帰ると2週間ぶりに部屋から出てきた姉が猫じゃらしとネットでお土産の豚まんを買ったのに、猫に引っかかれたと本来の姉が抱き着いてきた。バイト先の子の家族が陽性だったから引きこもっていたという。
コロナ話で「夏休みに東京に行く子がコロナ持ち帰ったら迷惑」と話すと、姉はマジな顔で「誰かをコロナ呼ばわりしたいけん。ほんとにかかった人がどんな気持ちでおるか」と怒られ、姉がどんな気持ちだったかわかろうともしていなかった。言い訳もできなかった。
千暁
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部室に行くと寝てた仙先生が生徒から聞いた「フォートナイト」をやったからといい、イライラしてる校内放送の呼び出しに焦り、持っていた本を「健斗さんにわたして」とランニングの本を置いてかけて行った。
同じ部活の元クラブチームで空手強化選手で陽キャの尾上健斗とは住んでる世界が違う。「業務連絡だから」と平常心で緊張を打ち消そうとしたところにのっそり健斗が入って来た。
「陸上部に転向?」と聞くと「ただの趣味。そう聞かんのは仙ちゃんだけ」といらだちを繕い、ずっと絵を続け、トップを続けている千暁をほめて「俺はダメだった」と乾いた声でいった。
走り出したのは仙先生に「校庭一周走って来てコースの円、描いてごらん」がきっかけ。趣味だからタイムも気にしない。本には県のマラソン大会の走行距離チャレンジ企画のビラがあるけど親の許可がいるのが「たりぃ」「親ウザくね?」という。
健斗は起立性調節障害で空手をやめたが、父親の仮病扱いにぶつかっていて、実際昼間は具合悪くて部室で寝るのも仙先生が許可している・・・こんな反抗期を千暁の母は受け止めきれると思えなかった。
それに実際強かった健斗に「いやいやでも継続すれば、強化選手になれるものなの?」と聞くと逆に「絵は続けてさえいれば、ああいう賞取れる?それかセンスか?」と聞かれた。
千暁の答えは自分でも冷たくて「ある程度好きなら精度も上がる…過去受賞作を見たら、審査員の好みや傾向もわかってくるから寄せたらイケると思う」という正解から外れないようにしていた自分に気付いた。
仙先生の「この絵を描いて楽しかったか?」は真意をつかんでいた。
だがこのスクラッチは違う。偶発的で狙いもしないアクシデントで、狩猟のような気持ちで…あれ?この絵どうやって描いていたんだろう?そこからスランプが始まった。
仙先生は『何もしないをする』をアドバイスした。少しどーでもいいことをする「君は大丈夫な人だよ」と。
家に帰って本当に気晴らしに、お祭りのお札を町内会に配りに鈴音の家に行くと山ほど野菜をもらった。鈴音の親から「絵は親に見せていないのか?」に母さんに見せたくないと自覚した。
むこうからふいにランニングの健斗があらわれ、もらったコーラを渡すと健斗は律義にあの質問に「空手はやる奴が少ないから、たまたま強化選手になっただけ。そこから県外のガチ勢と闘う前に、調子崩して敵前逃亡で、カッコ悪い」と健斗自身を傷つける答えをした。
今は親父は嫌味を言われるが、離婚した看護師の母親はコロナ対応中だから行けない。「ディープな話をするね」と言うと「おまえはズバリとつっこんできてエグる」と言われた。
千暁はその指摘に「自分でわからないけど、人の気持ちの機微が読めないところがある。でも遠慮すると本音が読めないと言われる。無遠慮でごめん」に健斗は「逆に知ってるやつに話したくないし、言いふらしたりしないだろうから」と信頼して健斗はその迷いを話してくれかっこいいと思った。
なのに健斗からの問いの答えを見つけらず、自分の気持ちに向き合いきれず、答えに寄せずに描く絵がどこにたどりつくのか?怖いし親に見せたくないのに、健斗から千暁と鈴音はセットでハイスぺ陣の「頭脳派セッター生徒会長」と言われ驚愕した。
逆に千暁は「コミュ障なんだよ」と白状し健斗には「運動神経抜群リア充陽キャ」とお互いへんなほめ方して何も解決してないのに気持ちが軽くなった。
翌日、鈴音から母親の勤める施設のお祭りを手伝えるからやろう誘われた。そこに健斗が来て「もらったコーラで作った“コーラ煮”が美味かった」と嬉しそうに話し文菜がその話に食いつき混乱したが「おまつり計画」には巻き込まれることになった。
千暁
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土曜お祭り当日。部活は行かないことにした。
母さんはボランティアで図書館の花壇植えに出てる。もとは鈴母がうちのガーデニングをみて施設のエントランスを依頼してきたのが始まりで父さんは「いろいろ声をかけてくれてありがたいな」の見解になるほどと思った。
冷蔵庫にはデミグラスソースのかかった優等生みたいなオムライスがあり「避難した時さんざんインスタントやレトルトだったから、イヤになったのかもな」に父さんと初めて避難の話をすることに胸がギュっとなった。
「千暁もブラックを飲めるようになり、友達もできて、あれから5年もたつんだなと思って…どうだったこの5年は?」そんなに悪くないよ、と言わなきゃいけない…ただ「そういわれましても。ていうのが正直なとこかな?」と答えた。
音楽が流れていない千暁の家は静かなんだと気づく。時に鈴音の家くらいの喧騒や雑さや遠慮のなさも悪くないのだと思った。
鈴音
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浴衣をほめもしない千暁にイラつきながら施設に入った鈴音。
文菜は髪も可愛く編んできてて健斗のわかりやすい照れを「中学生男子の浴衣女子へのボキャボラリーなんてこんなもんだよ」と根本的にあますっぺぇ空気をわかっていない。
お祭りは介護の状態に合わせてヨーヨー釣りや輪投げ、射的みたいのをして、リクエストした利用さんに浴衣姿を見せると顔が華やいだ。文菜も施設にいるおばあちゃんに会えないの我慢して頑張ってたら、おまつり終了後、施設の増田さんがガラス越しに対面させてくれることになった。
だいぶ小さくなったおばあちゃんは何か言っているけど聞こえない。でも文菜はくるくる回って浴衣姿を見せるととても喜びおばあちゃんが引っ込んだ後、しゃくりあげて泣く文菜の背中をポンポンしてあげた。すると文菜は「やっぱり決めた、根絶やしにする」「感染症の研究者になる、もう誰も窓越しで会わなくて済むように」と決意表明のように言った。
文菜は鈴音より強い。基本優しいけど一度怒ると容赦がなく、本当は鈴音が文菜の背中を見ていたし、文菜みたいになれないから一緒にいたいと思っていた…。
男子2人の元へもどると、利用者さんが勝手に置いて行ったマルチーズに健斗が襲われていた。誰か飼わないかと言われ健斗が家族に相談してみると言うから「文菜に犬の飼い方レクチャーしてもらえ」と2人きりにして、空気の読めない千暁を引きずるように歩いて帰ることにした。
下駄でできた水ぶくれや浴衣の帯のキツさが苦しさを、また千暁にバカにされると思ったら「利用者さんが喜んでテンションあがったし、浴衣を着る人をうれしくさせる力があることに『新たな知見を得た気分』」と理屈っぽく良い感想を言った。
でも健斗の恋バナを説明しても他人事で逆に「好みは2次元か?」聞くと「一応三次元のサモトラケのニケ」と偶像(アイドル)を教えてくれたけど、電波がなくてググれない。
そこに鈴母の車が来て無事帰れたが千暁が降りた後、文菜のおばあちゃんはもう家族の事はわからなくなっていて、文菜のことは昔の同級生だと思ったことを話した。
鈴音は少しショックだったが、鈴母は「本人はキラキラしてた頃を思い出せたのだから、それも素敵なことだし、悲しいだけの事じゃない」という。鈴音たちは今キラキラじゃないし、もがいてあがいている。「私も今のこと覚えてるんかな」に鈴母は「そやねぇ…『老い』というものを、学ばせてもらっとるんよ、母さんの仕事は」と厳しいような優しいような顔をしていた。
千暁
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炎天下の作業でその夜、熱中症になった。母さんがおしゃれな消化にいいもの作ってくれるけど、少しほおっておいて欲しかった。千暁なりな波乱万丈の日々で『変化』はわりと起きてるものだなとフワフワ思った。
夕食後、急にドンドン!と告知なしの疫病退散花火を上がり、鈴音から「見てる?」と電話がきた。
花火を「千暁の絵みたいだ」といい、ニケを調べたら顔のないギリシャで発掘された彫刻でウケたけど「風に向かって飛ぼうとしる感じがカッコイイ」という。
本当は船の舳先に舞い降りた姿が現時点での解釈で『正解』とされているが、鈴音のほうが『正解』よりも「そうだ」と思えてくる。
締め切りまであと3日。美術室は校舎の建て直しで夏休み明けには取り壊される。
劇的な変化はなかったけど「キャンパス」にただいまという気持ちになれて、距離を置いて冷静になるとか、絵を描く根源を考えるとかを伝えたかったんだろう…そこにやってきた仙先生は相変わらず無責任な感じだが「君がこの絵にぶつけたものは何?伝えたいことは何?」と答えのないパズルを置いて行ってしまった。
絵の道具の準備をしてふと気が付いた。自分が少しだけど手が成長していたこと…何もない日々のようでも、何かが変わっていっている。この手で描きたいのはコンクール入選や人のためじゃなく、暗闇の中でさえ、消えない絵で、泣いたり笑ったりする鈴音だけじゃなく、僕の絵を、今の僕自身を描きたいと気づいた。
そこから呼吸を忘れるくらいの勢いで描き上げた絵は、構図もバランスもテーマさえ散漫になった。
仙先生から「楽しかったか?苦しかったか?」を聞かれた。それには「何より夢中でした」に「素晴らしい」と言ったし自分もそう思った。
実は下校時間はだいぶすぎていたが、仙先生は「必要だったから」と内緒で居残りさせてくれていたのだ。
出迎えた母さんは「なんか…ちょっと、おせらしく(大人っぽく)なった?」とつぶやいた。
翌日、絵のタイトルを自分の名前、千暁。千の暁。
『暁』は本来夜明け直前の時間帯。暗闇に最初の一筋、光が薄く差し込む、本当の直前。それが千『たくさん』そんな瞬間があるということ。
だから『千の暁2020』にした。仙先生は「…自画像だね、いいタイトルだ」と面白いものを見つけた目で言った。審査は怖いけど、この絵は僕だ。2020年の僕たちの姿だ。
鈴音
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帰りの会で野村先生から進路調査票を夏休み明けに回収と配られた。
学力関係は千暁に…とふりかえると健斗やみのりと美術部の話をしていて、これまでのボッチと違い、ほかの男子ともなれ合わないけど話している。文菜は「取られて悔しい?でも最近表情豊かになったよね」と言われ、冷静だけど、力が抜けてきたというか、余裕ぽさに腹立つ。
進路に文菜は「宇和浜西のS特クラスを目指したい」という。頭おかしいくらい良くないと入れないスーパー特選クラスだけど“根絶やし作戦”のために医学部に行きたいから、夏期講習や引退についても言いにくいことをハッキリ言った。
鈴音もギリギリだがバレーの強い宇和浜西普通科を目指すが、特進なら部活は一緒にできない。泣きそうだが「すごいじゃん!やりたいこと見つかって応援する!」と自分に言い聞かせるように言った。
帰り道、とぼとぼ歩いてたら後ろから千暁が事情を聴いてきて「建設的だね」他人事のように冷静にいう。
でも「鈴音は猛獣じゃないよ、相手の事考えられるようなってきてるんだから」に文菜がいなくても大丈夫だよ、と背中を押された気がして驚いた。
千暁から将来を聞かれて「わかんないけど、今したいことはバレー」というと「いいんじゃないかな、それで」と言い、逆に千暁に将来を聞くと「わかんない。コロナとか、今の世の中自体どうなっていくかわからないじゃん。先の事はおいといて、今やりたいことを全力でやるのは、無駄にならないんじゃないかな」
1つずつ、今を大事にして言ったら大丈夫…鈴音のお腹にもその納得が落ちてきた。先に帰るという千暁に置いて行かれるのが何か悔しくて、鈴音も自転車を立ちこぎした。
千暁
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終業式の日、県展の審査でなんと入選がもらえた。初出展にしては万々歳で仙先生もうれしそうで、初日に両親と見に行くことにしたが僕は緊張していた。
高速で2時間、集中豪雨で山肌が地滑りでむきだしのままの光景を見ても誰もコメントしない。
被災の「あれから何年で立ち直り…」って区切りは被害にあっていない人の概念。被災者は痛みに慣れても消えるわけじゃない。もしかしたら「コロナ禍」も平穏無事な『日常』ではないのかもしれない。
美術館につくと両親は「気になるから、最初に見てしまおう」と足早に千暁の作品を目指し、見つけた僕の絵を両親はだまって見つめていた。
やっぱりほかの絵に比べて見劣りするし、キャンパスもここでは小ぶりで構図もテーマもネックだ。でも「これが今のボクです。よろしく」とまわりのもっと素晴らしい絵たちに挨拶している気分だし、僕には伸びしろがあると思えた。
展示室を後にして父さんが喫茶店でテイクアウトしてきたドリンクで「乾杯しよう!うちの最高な画家の出展と受賞に!」と2人は怒涛の如くしゃべりだした。
母さんは泣きながら、あのとき千暁の絵を2階にあげなかったのが、小さかった頃の千暁を置き去りにした気がしてたまらなかったこと。それなのに「これからも僕は絵を描けるんだって。たんぽぽの絵をくれて、私を励ますだけの明るい絵を描き続ける呪いをかけたんじゃないかと怖かった」と話した。
核心を突かれてギョッとした。でも「あなたはあなたの道をちゃんと進んで、自分と向き合って、成長して、あの絵を描いた」それに父さんまで泣き出すので、千暁はおかしくなったけど自分も涙が出てきた。
「よくやったよ。俺たち。お母さんも。千暁も。よくがんばってきた」嗚咽まじりに父さんが小さく言った。
僕らはこの気持ち、この話題を避け、前住んでた場所の5時のチャイム音の「家路」も聞こうとしなかったけど、久しぶりに母がかけたこの曲はずっと抱えていた冷たい何かが溶けていく気がした。
それに押されて「夕食はカップうどんとか焼きそばとかが食べたい」に母さんも大好きだった「金ちゃんラーメン」がいいという。
それに地滑りの山を越えたあたりに、県内唯一の美術家のある高校の前を通った。県展にもここの生徒の作品がたくさんあって、絵を専門に学んでいる…通ったらどうなる?
あの日のこと、今日までの事も忘れないし忘れられない。でも僕らは前を向き始めている。
鈴音
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中学最後のバレー部の試合が、お盆明けに行われた。
コロナ特別ルールで時間短縮されたこの試合で3年は引退になる。
相手のサーブのうまい選手のアカリって子も、めちゃ気の強い顔をしててその1本に魂を込めている。
むろん鈴音たちもチーム一丸、ひとつの大きな生き物のようにつなげた渾身の一撃をたたきつけた瞬間、試合終了の笛が鳴った。
相手はレシーブしきれていないけど、ルール上鈴音たちの勝った…これが勝負?いつものルールならお互いまだまだ闘っていたのに、ワケのわからない悔しい涙を鈴音はボロボロ流した。
相手チームとネット越しに握手替わりの腕と腕を合わせる挨拶をしたとき、アカリが「また、バレーしたい!」と涙でぐちゃぐちゃの顔で言った。その前に「猛獣」って言ったのが気になったが鼻水をたらして「やぐそぐ…っ!」と返した。
時期部長の後輩の芽衣が鼻をすすりながら鈴音の手を握り締めてきた。ハグしよう!と両手を広げたら即、タカッチーに停められた。でもタカッチーはタオルで顔をおさえながら押し殺したように泣いていた。
文菜はハッとして、すぐに3年全員整列させて「3年間ありがとうございました」と打ち合わせしてたお礼にタカッチーは「お前たちを、県大会、地方ブロック大会に連れて行きたかった。すまない!」と震える声で90度に頭を下げた。タカッチーはずるい、全然悪くないし、めちゃくちゃ熱心にたたきこんでくれた。私たちは声を上げて泣いた。
部活は私の全部だった。一番強い宇和浜西高に入ってバレーを続けることが、希望じゃなく私の意志になった。
千暁
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夏休み最終日は美術室取り壊しの前日、部室に入れる最後の日だから塾を休んだ。
仙先生は絶対片付けに間に合っていないだろうと学校に行くと、健斗やみのりさん後輩の半分くらいが来ていて、みんな仙先生をわかっていた。ルーズで変な先生でも生徒に慕われているのはそれだけじゃなからだろう。
片づけ終わったところに高瀬先生が心配でのぞきにきて、実は2人は幼なじみでここの中学だったという。
そこで熱心じゃなかった部員のみのりは「うちは結局何もしないで、毎日なんとなくここで過ごしちゃった感じ…何かしたいとか、やりきったことも、なかった気がする」その声が心細く聞こえて「でも、それだけでもけっこうがんばってることあるよね。最近そう思うようになった」に「仙ちゃんぽかった」とみのりは言う。
彼女は東宇和山高、玲奈は通信。健斗は「料理ができる高校」というから高瀬先生が「なんで?」と声が裏返った。
「千暁から『料理の話するの楽しそう』言われて気付いたんだ」に、人生の岐路や判断に無自覚だったのに、他人とかかわるということは、こういうことかもしれないと考えた。
人とまじりあうことは少し怖いけど、僕はそんな世界を選んでいくのだろう。
家に帰り進路調査票に「宇和浜西高等学校S特進クラス」以外にもう一つ、学校名を書いた。
鈴音
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夏休み明け、HRに横の千暁の進路調査票が見えて、しれっと先に帰るから自転車を飛ばして追いかけた。
「おまえ、清践行くん⁉」
そうなると寮生活になるし、遠く離れることになる。
千暁はまだわからないし、絵描きなんか食えないし、宇和浜西の推薦蹴ってまで行くべきかもわからないと言うが、「でも県展に行って俺、そこで絵を描いてみたいと思った」
コロナがなかったら、千暁は県展に出さなかった。文菜も普通科にしてたし、ずっと一緒にバレーを続けてた。
「でも私はコロナで全然変われない。将来とかわかんないし、バレーやる。それだけ」泣き言めいているのに「いいんじゃないかな、それで・・・変わらないって、強さだと思う。初志貫徹ってやつ」
私は不安だった。心に決めたことなのに2人が急に大人になったみたいで。
でも2人を応援できる、そして私は私の道を貫く。
「だよな!強いよな、イエーイ」って言ったけどこんな風に一緒に帰るのも、あと少しかもしれない。ちょっと鼻先がスンとなる。
ふと「千暁が将来本物の巨匠になったら、また描いてよ、私を!」に千暁は少し考えて「じゃあ、その時まで、描きたいと思わせる鈴音でいてよ」どういう意味?よくわかんないけど、なんかわかった「任せろ‼」て大声手宣言した。
この世界の主人公は私じゃないから、そんな私の心理描写と関係なく急に大粒の雨が降り出し、2人して全身ずぶぬれになって自転車を走らせた。
空は気持ちになんかに寄りそわないし、ぐちゃぐちゃだけど、どんな向かい風だって私たちは行くんだ。鼻水を垂らしながらだって、どこまでも。
『スクラッチ』読書感想文の書き方・大ヒントとこたえ
・中学生の部 本文 2000字以内
(作文用紙400字×5枚)
字数が足りない場合は、以下のサイトの「文字数が足らない場合の対策」の部分が大変参考になります。
⇒ 読書感想文の書き方 構成とコツ【中学生・高校生】コピペOK
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○ 応募規定にあっているか
○ 発達段階に応じた適切な本を選んでいるか
○ 読書のよろこび、楽しみが感じとれるか
○ 広い視野から作品を評価しているか
○ 登場人物の心情や、作品の語っているものを的確にとらえているか
○ 著者の論旨を的確にとらえているか
○ 事実と著者の意見とを区別してとらえているか
○ 自分の意見・感想を率直に述べているか
○ 自分のことばで表現しているか
○ 発達段階に応じた考え方が表現されているか
○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
○ 読書によって得た自己の変革がみられるか
○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
あらすじは簡単でもいいですが
・自分がどう感じたか?
・本を読んで何を感じ、今後にどう生かすか?
・「似たような経験」の自己開示 → 高得点ポイントです
『スクラッチ』読書感想文のこたえ
『スクラッチ』はテーマが「コロナによるガマン」というリアリティな題材なだけに、中学受験での出題が予想されている作品です。
『スクラッチ』の中からの予想問題も出しているサイトもあり、それこそが読書感想文としてもズバリ書いてい欲しい内容とガッチリかぶるラッキー作品です。
中学受験鉄人会より
≪あらすじ≫
美術部の部長を務める千暁は、コロナ禍の影響で市郡展覧会の審査や体育祭の看板提示が立て続けに中止となり動揺します。そんな中、制作途中だった大きなパネルの絵に、鈴音が不注意で墨を付けてしまいます。その絵を見た千暁は、パネル一面を黒で塗りつぶし、絵具が乾いたところで、黒を削って下地の絵を浮き上がらせる「スクラッチ技法」を取り入れ、絵の制作を再開します。それまで絵との向き合い方に迷いを抱えていた千暁でしたが、スクラッチ技法で新たな自分の可能性を見出して行きます。
【中学受験的テーマ】
この作品の中学受験的テーマは、「心の成長」で、今回ご紹介する箇所については「家族関係」がもうひとつの重要なテーマとなっています。新たな作風で絵を完成させた千暁は、家族3人でその絵を見たことをきっかけとして、過去に台風の被害を受けてから封印していた気持ちを家族で共有し、これまで知らなかった母親の想い、自分にとっての家族と共に生きることの価値の大きさを見出して行きます。そんな千暁の気持ちの揺れ動きを的確につかむことがポイントになります。自然災害に遭ってしまった人物の気持ちの描写もあり、それらに触れることは、被災者の心情に考えを及ばせるという社会的テーマに向き合う機会にもなります。
中学受験のアトリエより
受験に限らず、コロナ禍が子どもたちに与えた影響は計り知れません。いつまで続くかわからない休校にはじまり、卒業式や入学式など、予定していた行事やイベントはことごとく中止になりました。マスクの着用義務の中での新学年スタートで、クラスメイトの素顔がわからないままの1年だったという話も聞きました。
・ぶつけ先のない思いを抱えて
・次々と奪われていく青春
・「スクラッチ」で削り出す本当の気持ち
・絵から感じられる作者の思い
・同じ時代を生きる子どもたちへの応援歌
思春期真っただ中の中学生は、何もなくても揺れ動く年頃です。
でも「コロナ」で世の中がすごい勢いで変わってしまい「どうなるかわからない時代」になりました。
その中で、「私は今を突っ走るんだ。 ただもうがむしゃらに。」と、鈴音、千暁、文菜、健斗それぞれが自分をつらぬく生き方を選択しようとしています。まさに「千の暁」です。
今の自分に当てはめて、羽化を待つ蝶の自分はどうやって羽ばたくか?
コロナでの経験を通じて、自分の変化や成長を描いてみましょう。
あかね書房 『スクラッチ』歌代朔 作 が、朝日中高生新聞(2022年8月28日付)で紹介されました。: https://t.co/oQdGQY7aKV pic.twitter.com/jDUfkklhdT
— あかね書房 (@akaneshobo_pub) September 10, 2022
『スクラッチ』歌代朔 作 が、朝日中高生新聞(2022年8月28日付)で紹介されました。
読書感想文ChatGPTで書いたらバレる?感想文での使い方
話題のChat GPTですが、読書感想文でのChat GPTの使用は原則禁止です。
ですがこれからの社会Chat GPTを上手に使いこなす能力も必要です。
(文部科学省が、学校向けのガイドライン作成を検討を始めました)
もし読書感想文でChat GPTを使用した場合・・・生徒をよく見ている教員ほど「本人が書いたものではない」ということを見抜くことができます。
アジア圏の日本人学校で教員が、小学5年生の女子生徒が書いた「ハリー・ポッター」の読書感想文を「本人が書いたものではない」と勘づき、やはりChat GPTに書かせたということがわかりました。
・内容に違和感を覚える
・文章の構成と言葉遣いがいつもとちがう
・Chat GPTの文章にはその生徒の個性がない
・書かれた文章の内容の質問に答えられない など
将来、Chat GPTを使うスキルが必要かもしれません。そこで問題のケースでは「Chat GPTを使って学びを深める方法」を生徒たちと話し合いました。
・AIが書いた文章は読みやすい(メリット)
・文章添削では早く的確でわかりやすい回答がくる(メリット)
・人間味や面白味がない(デメリット)
作文を自分で書く
↓
ChatGPTで添削
(文章の書き方や構成の作り方)
(変更した理由)
↓
自分の感想文と読み比べる
↓
AIが出せない味は消さない
「自分らしさ(個性)」
「自分のエピソードや表現の仕方」
「会話文から始める構成」
↓
AIを生かせる部分
「文章校正」
「誤字脱字」
を修正するなどで利用する
Chat GPTは“きれいごと”の返答が多いと言われます。ですが精度が上がりユーザーの個性を分析し、まるで子ども本人が書いたのような回答ができる日が来るかもしれません。
上手にAIを使いこなすことは、処世術として必要ですが、読書感想文などは思考力の訓練です。
思考力は書くことで鍛えられるので、その機会が少なくなると言われ、なにかの判断をChat GPTにゆだねるうちにChat GPTの指示に従うのが正攻法と思うようになる世界は「AIを使っているつもりが、使われている」ことになるのかもしれません。
・自分で考える事、自分の意見を書く必要性を教える
・Chat GPTは文章の添削、文章校正や誤字脱字など感想文の基本を学ぶために使う
という、教え方が適切なようです。
うんちく・読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
考える読書 第68回青少年読書感想文全国コンクール入賞作品集
全国学校図書館協議会
発売日:2023年05月01日頃
去年の課題図書でコンクールの賞を取った子もいます。賞ねらいじゃなくても、読書感想文の得意な子の作品を参考にするのも一考です。
内閣総理大臣賞<中学生の部>
◆山田慶吾 鹿児島県 鹿児島市立鹿児島玉龍中1年
「江戸のジャーナリスト葛飾北斎」(国土社)
文部科学大臣賞<中学生の部>
◆長谷美波 東京都 江東区立第二南砂中3年
「夜と霧 新版」(みすず書房)
読書感想文の入賞作は審査員の合格基準に達した書き方をしています。大切なのは「読書したうえでの学習効果が感じられるか?」です。参考になる入賞作は大いに参考になります。昨年の入賞作2点を参考に、書き方のコツを頂きましょう。
●読書感想文、課題図書には「隠れたテーマ」があるので、それに回答する
●読書感想文の書き方は「気づき」「反省」「挑戦への意欲」を書くと心象が良い
●入賞している人の書き方を参考に勉強する
同学年でもおどろくほど大人っぽい感想文を書いている人もいます。そこまでできなくても、冒頭の書きだしや感想文の話の流れのスムーズさ、物語の捉え方や意見のまとめ方など文章の組み立て方を参考にしましょう。