『ふたりのえびす』読書感想文あらすじ・書き方とこたえ(Chat GPT・答え)
『ふたりのえびす』
髙森美由紀 作 フレーベル館 1,540円 (税込み) 237ページ
Amazon 楽天ブックス
「ふたりのえびす」は、青森県八戸地方の伝統芸能「えんぶり」のえびす舞の踊り手に抜擢された太一。
クラスでは明るいおちゃらけキャラを演じているが、本来はおとなしい性格であることを隠しているので自分自身を見失いかけている。
所属する地域のえんぶり組「七つ組」で「王子」と呼ばれ女子から人気の高い、大路優希とふたりで恵比寿舞を担当することになり、思いがけない出来事や葛藤を経ながら、本番を迎えることになる。
キャラをあっさり捨てる優希、キャラにしがみつく太一……最後にふたりがつかんだものとは? をテーマに、2月17日に始まる八戸えんぶりに向けて奮闘する。
こちらでは
2023年の「第69回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校高学年の部(5,6年生)の課題図書『魔女だったかもしれないわたし』の「あらすじ・ネタバレ」と読書感想文の書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。
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『ふたりのえびす』あらすじ・ネタバレ・こんな子にオススメ
『ふたりのえびす』読書感想文の書き方とこたえ・大ヒント
読書感想文をChatGPTで書いたらバレる?感想文での使い方とは?
うんちく・読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
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『ふたりのえびす』あらすじ・ネタバレ・こんな子にオススメ
『ふたりのえびす』おすすめ度
読みやすさ ★★★☆☆
感想文の書きやすさ ★★★☆☆
・主役の太一はヤミがあるけど、明るくもありホントのキャラがあいまい気味
・方言がやや読みにくい
・「えんぶり」の踊りのシーンはYouTubeなどで見ておいた方が物語が読みやすくなる
こんな子にオススメ
・地元の伝統芸能などの子供会に所属している
・ひごろ「キャラ」を作っている
・本音が言いにくいと思うことがある
・苦手なモノ、事を隠している
・東日本大震災で身内に亡くなった人がいる
『ふたりのえびす』あらすじ・ネタバレ
1 虫と素手と太一
調理実習の日。転校生「王子」こと大路祐樹が、太一の作った納豆巻きを食べないので、イケメンにやさしい女子たちは「無理しなくていい」と“なっとうぬきのり巻き”を差し出し、王子の納豆まきは素手で太一の皿に“食べろ”と置かれた。
本当は衛生的にそんなの食べたくない!でも「大好物!」と太一はかぶりついたが、お腹いっぱいだし、ノドを通らず噴き出して、女子はドン引きし男子はウケて、先生に怒られた。
王子は心配して紳士的にハンカチを渡してきたが、ハンカチのワンポイントが虫に見えて、また悲鳴を上げ、再度先生が怒鳴り、おちゃらけて笑いを取ってごまかした。
一瞬王子をにらんじゃったけど、すぐ笑顔にしたし、うまくやれたと思った。
2 えびす様たんじょう
太一は去年から『えんぶり』の町内会の組“七つ組”に所属している。
国の重要無形民俗文化財という八戸の郷土芸能で、春を呼ぶお祭り。この日は踊り子の主役『太夫』たちを決める日。
『太夫』の3部作の踊りの間に“祝福芸”という、『松の舞』『大黒舞』『えびす舞』をさしこんだ1時間の踊り『摺り』になる。
長時間の人との関わりは「キャラバレする」ので裏方を望んでいたのに、親方の岩田ジイさん(80)から『大黒舞』を指名されてしまった。…イヤなのに“キャラ的に”断れず「張り切っているフリ」で引き受けた。でも、もう一人の『大黒舞』になんと王子が熱意を込めて立候補してきた。
『えびす舞』はカッコイイ踊りではないし『6年の子ども太夫』になった“ヒョロリ、もじゃ毛、ネズミ”は陰口を言ってるし、土屋さん雪田さん反対しているのにがぜんやる気だ。
親方は「練習時間は大丈夫か?」確認すると、王子は「父さんが失業して転校してきて、もう塾も行ってない」という。それに「転校も仕方なかったし、親がケンカしたらごはんもお風呂も押すからグズらない」と言う王子に「大したものわかりがいい」と親方は褒める。
でも、親のケンカから“自分の要求とか意見の仕方”を学んで「えびす舞の立候補理由」を上手に伝えたし、微妙に不仲の両親は「外食の店」を決めるのもモメるから王子が調停するのも“やりがい”だと言う。
太一は『外食する』ってことへの内心ザワつきを隠して、コイツ変わってると思った。
同じクラスで『大黒舞』の土屋さん雪田さんは王子に「太一に巻き込まれた」とやめるよう言うが、王子は「自分の意志」と断言し女子はモヤついて帰った。それに車で迎えに王子の母親に「助かる。でもかまわないでほしい…父さんにおかず1品増やせば空気良くなるのに」と、その感覚に太一と王子は「何かかみ合わない…でも、おもしろい」と共感はした。
彼の都会的な母親は太一に敬語で「優希からゆかいな子がいると聞いていました」とていねいだけど目の笑わない笑顔に腹の中がイガイガした。
一人の帰り道、今日の自分はうまくやれてたか?の反省会ではウソがうまくいった気分で、後ろめたさもありつつホッとはしている。それに王子の母親への反抗的な態度は人間ぽさを感じて、すこしホッとした。
3 腹立つッ
内村太一の笑顔は学校専用。家では「ただいま」も言わずムスっとしてる。
転校前の学校で空気だった太一は、休み時間は本を読んでた。
4年新学期に転校の自己紹介をかんで「おはようございます」が「おたよん」になり、思いがけずおもしろキャラが確定した。それから家で言いまちがいを基に、おもしろい言葉を考えるのは習慣になった。
両親は『やる人いないからえびす舞になった』と聞き、おとなしい太一がイジめられてないか?友達はいるのか?を心配した。
夕食の“じゃっぱ汁”の魚の骨が邪魔で「ムカつく」と言った太一に父は「気持ちを『ムカつく』だけで表そうとすると、ますます『ムカつく』ぞ…『ムカつく』にもいろいろある。『腹が立つ』『くやしい』『バカにされた』『うらやましい』『悲しい』『さみしい』…そういう風によく見つめて具体的に言葉にしてみれば、思ったよりもムカつかなくなる」
「自分が気づいてないだけで、実はそうだったと言うこともある」と静かに告げた。
部屋で一人考えたけど、自分の中の「気持ち」はさっぱりだ。
ムカつくの意味が「むなしい(空っぽな感じ、ムダ)」と知り、転校のあいさつは別れをおしむ「友達」がいないのでツラくなかった…だからつまらなくて、むなしかった。
週明け、王子は『えびす舞』の件で女子に囲まれてるのを、友達の豆が「うらやましいだろ?」と決めつけるのが「きゅうくつ」の言葉に当てはまった。
女子の輪に近づいて「あんたたち~おやめなさいよ~」と女子を散らしたら、豆が「いやあ、安定のお調子者」とホメてるんだろうけど、やっぱモヤっときゅうくつ。王子はだまって見ていた。
町内会館でのえんぶりの練習初日。
6年の3人組からトイレで頑張れよと、汚れた指先でくれようとしたガムをわざと床に落とした。それを「今食えよ、3秒以内なら大丈夫」と追い詰められた。
その時、王子が明けたドアにつんのめり床に手を突いてショックで叫んでいたら、王子が「ごめんなさい」と無表情で6年をじっと見つめ、3人は出て行った。
太一は泣き笑いのような真っ赤な顔で手を洗い、王子に自分の顔を「サルのしりみたいだべ!」「あの(6年)もじゃもじゃの毛むしってやろうか」にも無反応。
自分自身のなさけなさでため息をついて「つきとばしてくれたありがとるねーど!」と敬礼すると王子は「どういたしまして」とガムを捨てた。
4 始動
遅れたので親方に一発叱られてからの練習。
だが王子のリズム感はがくぜんとするほど死んでいて、親方も頭を抱えるレベル…クラスの女子が王子の見学に来て目ざわりだったが、王子が「自分たちからいなくなります」と言ったとおり女子たちはいなくなった。
息は合わないけど一生懸命だったので、裏方の大山さんがほめてくれた。
太一はそれはらしくないので悪ふざけしだしら、親方からとなりの部屋にも響くカミナリを落とされた。しかられた「ムカつく」は「はずかしい」だとわかった。
王子いわく転校前も“残念王様”と呼ばれてたし浮いていた。でも読書仲間の(たぶん)友だちはいたし、体育でバレる。『王子』のイメージは「きゅうくつ」でたまらないという。
親方は「したら下の名前で呼べ」と王子は優希と呼ぶことにした。
親方にも「親方になったきっかけ」を聞くと
3.11で死んだ親友に「親方になってえんぶりを教える約束をしてたから」という。そして夢があるなら挑戦したほうがいいとも言った。失敗しても何もやらないで死ぬよりいいと。
今日も迎えに来てた優希の母親は太一が会釈すると、サッとお面を付けたみたいな笑顔をくれたけど、車から降りてこないし気持ち悪いし、優希もバツが悪そうだから変顔で笑わせてから別れた。
ひとり反省会でも「今日も明るく乗り切った」おちゃらけキャラならどうするか?考えて行動できた。でもモヤモヤするのは「しんどい」だ、とわかった。
それに優希がキャラから外れようとしたことを少し驚いた。
5 海づりさアんべ
クラスの女子は優希を見る目の温度が下がった。
給食の納豆もグルグルして「大好き」にクラスはザワついたが「マジカルンバ!」と太一が驚いて見せたので空気もゆるみ、優希は少しほほをそめた。
ヘトヘトに練習しても上達せず、新技もナシになり、どうせやるなら観客をわかせたった太一はムカついた(がっかり)。
優希が相手じゃなかったら…とくすぶりや、しかられてばかりでモチベも下がり壁にもたれかかると親方が「演じるのはおまえの得意だべ!」に怒鳴られドキっとした。
あんまり下手だから親方から、週末「(釣りに)アンベ(行こう)」ということになった。
優希を送ってきた母親は「海釣りは危ない」と不服な顔をしていた。ホントはえんぶりも反対されていて、親方は「都会からなじむのに時間もかかるしいろんな人がいる」と言葉を濁したが太一は“なじむ”のは自分が消えることなのか?と頭に浮かんだ。
海に向かうまで、3.11の話になり2人が生まれた年だし授業で習ったけど、親方のえんぶり好きの親友有田さんは亡くなり、当時太一たちと同じ年の息子さんは、縁がないけど関東に引き取られたという。
太一は釣りのエサはどうしてもウケつけないが、優希は平気で釣り針にエサをつけている。
一方で、まったく釣れず寒さに震える優希は「寒い」とか太一がくれたカイロに「臭い」とか親方からも「文句ばっか」と言われるが「ものわかりいいフリしてただけ」という。
でも太一の竿に大物がかかり2人で力を合わせ大きなソイを吊り上げた充実感と素手で魚をさわったニオイに顔をしかめた。
6 バレた
大かつやくしたのもつかの間、太一は弁当を忘れていた。
優希は母親が作った納豆まきを差し出された。どうしても食べたくないのに引かない優希に空腹と寒さと嫌悪感で、おもわず手で払ってしまい海に飛ばさしてしまった。
優希も静かに「何するんだよ」にキレ、太一も逆ギレして「俺のこと何にも知らないくせに、触ったやつを食え食えすすめてきやがって!」と、これまで抱えてきた怒りと『えんぶり』がうまくいかない怒りも優希にぶつけた。
優希も血走った目で「みんなにできる(えんぶり)ことが、ぼくにはできないんだ」と太一と同じ感情をもっていたが「食べられないことをきゅうくつっていうのは、君が演じるキャラもふくめて?すごく無理してるでしょ?見ててキツい、そんなの僕もムカつく」と図星をさされた。
太一はこのキャラでできた、自分の存在意義や居場所を失いたくないのに、キャラを壊そうとする優希に「キャラから外れたこと後悔してるんでないの?!」とつかみかかったのを、親方が止めに入り海に落ちた。
親方はガタガタ震えながら運転し、太一に「いっつもニコニコしてるから怒り方がわからないし、爆発した時のおさえ方もわからないんだ」と言った。
キレた理由を整理すると、キャラバレしてた事への「ゾッとした」だった。
納豆まきのことをあやまると、食への恐怖心を「太一くんは、他人を信用してないんだね」に寂しくなった。でも太一の本音に感づいていたから試すようなことをして悪かったという「ぼくは、ちょっと根性まがってるよ」と。
それに「えんぶりをやれば王子キャラから脱出できる目論見があった…いつの間にか、僕自身がキャラに寄って行っていると気づいてゾッとしたから」という。
太一はそれにハッとした。だからしんどかったんだ、と。
親方は「二人とも仲直りだな」とえんぶりに支障がなくなったことを喜び、お互いの不満は取り消さないけどキャラがなくても気が合いそうだと、釣ったソイを太一母に料理して食べることにした。
明るい太一の母は無遠慮に「友達を連れてきた」とバラして恥ずかしいけど安心させられたとおもった。
太一の部屋で「『マジカルンバ』って本のタイトルだよね」と優希も本好きの共通点や、太一のノートを見て「方言に戸惑ってたけど面白い言葉に気が楽になった…楽しい物語とか書けそうだね」に夢とか将来とかを話すと、夢半ばに3.11で亡くなった有田さんを思った。
亡くなった一人一人ちがう1万5千人の人たちも、太一も『みんなが誰ともちがう』
そう思うと「えんぶりを成功させよう!」と優希と気持ちを新たにした。
7 いんずい
親方が入院した。2人は罪悪感でうつむいたがまだ8割の出来だから、新技より基本を6年の3人に教われと言われる。
それに“親方の親友の大事な話”を聞いたからには、新技をあきらめたくなくて、2人特訓も大黒舞や松の舞の指導者にも聞いてもラチが明かない。
そんな新技をあきらめない様子に土屋さんと雪田さんが「まじめに踊ってたね、キャラじゃない」とからかってきた。
モヤっとした太一が「たまにはまじめにやらせてくれよ」と親方の親友の話にくわえて「理由はそれだけじゃない」とも言った。土屋さんは太一の言葉にならない感情に「はっきりしたら教えてよ」と挑戦的に言われ、太一も了承した。
帰りに優希の母親からソイ料理のお返しにクッキーをくれた。
太一の母がお土産に「お茶でも一緒にどうですか?」とメッセージの手紙をくれたことに「元気が出た」とやわらかな笑みしたのが「本当の顔」で太一も決めつけていたと思った。
それに優希がくれた納豆まきは、信用している母親が作ったものだし、田舎に距離を置いていた人が、太一たちのためにわざわざ作ってくれたのだ。
深呼吸してかぶりついたクッキーはうまかった。
父親からえんぶりの進行具合を聞かれ「脇役なりにがんばってる」というと「みんな主役だよ」と考えろと言われた。
太一はまたノートに書いて
『脇役』はワッキー役、ラッキーに似てると思い、見てる人がラッキーになればうれしいと思った。
『主役』は集約?人が集まってその中から主役が誕生するって考えると、脇役がいないと主役もいないことになる。
学習発表会、運動会、授業のひとつひとつでさえ主役がいて、ずっと脇役の太一は「みんなが主役」なんてきれいごとだと思ってた。
でもオレの中の主役はオレがきめていいんじゃないか?
登校すると、太一の囲む教室の空気が変わっていた。
だけど豆が「えんぶりの時、人が変わるんだってな?車の運転はやめとけ」と言ってきた。チーム大黒舞の女子から聞いたんだろうが「バカヤロウ、オレは運転手をやとう予定だ、プライベートジェットも景気の波も乗ってやっからな」に豆と優希とオレは肩の力を抜けて笑った。
キャラがちがうって、はなれる奴も気にしない奴もいる。
8 さようならンダバ
親方はまだ退院できない。6年に教わるしかないとの優希の意見にギクリとしたが、もうそれしか方法はなかった。
だが3人は優希の話にイラつき太一も「お願いします」と頭を下げたので、「踊ってみろ」と言われてやっても「ナメてんのか」と太一はもじゃ毛につきとばされた。
優希が抗議すると今度は殴ろうとするので、かばった太一がまた肩を殴られたけど、それでも太一を守ろうと立ち向かう優希に初めて「本当の友達」を得た気がした。
イジワルの原因は“のり巻き”だった。
去年のえんぶりのとき、もじゃ毛が練習場に出たゴキブリをつぶしたその手で、よこしたのり巻きを太一はかじったと知り、たえきれずもじゃ毛の顔面にのり巻きを噴き出したのだ。
あの時、頭が真っ白になって謝れなかったのもあるし、それから自分だけ「手作り料理」がムリなのに、みんなは翌週からも平気で…。
優希の父は『誰かと比べて落ち込む必要ない』って言ってたという。
自分が転校するとき、ほかにも転校する子は平気そうなのに自分だけ落ち込んで勝手に友達だと思っている読書仲間にさよならしか言えなかった。でも母さんが「こうなったのは誰のせいでもない。しょうがない。あきらめなきゃ。」と納得させたという。
太一の転校とはちがう状況に、胸が痛んだのは「自分は友だちが欲しかったのだ」とようやくわかった。
だから「オレはおめば友だちだおもった。読書仲間も思ってるはずだ」と断言した。あの時「さよならンダバ」て言えてれば、心に照らすものが残ったかもしれない。それに肩をなぐられたこぶしの理由を考えた。
次の練習日、もじゃ毛の前に立ち、1年越しに謝ることにした。
なんであんなことになったのかも説明したけど、太夫の指導者にもじゃ毛たちは呼ばれて行ってしまった。
でも気持ちは軽くなったし、踊りもよくなり、おはやし部隊の女子も演奏してくれたり、クラスの女子2人と豆が塾の前に「おうえん」と言ってのぞきに来てくれた。
どんどん気持ちが明るくなり休憩中の土屋さん、雪田さんに「おたがい、がんばるべ」と自分自身の言葉で自然な笑顔で言えたから2人も「成功させようね」と返してきた。
練習が終わった時もじゃ毛が一人「教えてやる」と戻ってきた。
太一の説明に、自分もちょこっと悪かったことと、優希も悪夢のリズム感でも投げ出さず2人は一生懸命だったから、と。
そして「えびす様はゆるく見せかけてるだけで、本気でおちゃらけねと伝わんね」とスパルタだがわかりやすく繊細に教えてくれた。
うまくいかなくて何度も同じことを繰り返したけど、俺は生きているから挑戦できる。ウソのキャラじゃなく、自分自身で挑戦してやるんだ、と地面をけった。新技が完成した。
もじゃ毛に礼をすると「ありがとるねーど、だろ」と言われた。
太一が「体が軽い」というと優希も「うそのキャラを脱ぎ捨てられて、本当の僕に生まれ変わったと思った」という。太一も「古いオレにさようならンダバ!」と笑った。
9 ふたりのえびす様 春をよぶ
2月17日。頂点化の朝、30組あまりのえんぶり組が長者山新羅神社にあつまり、「奉納摺り」をした。その後「えんぶり行列」を作り中心街を目指す。
太一と優希はえびす舞の福の神の化粧はガビガビしたけど、えびすキャラをかぶっても2人は違うし、オレがえびすの主役で、このキャラを動かすんだと胸を張りたくなった。
復活した親方は痩せていたけど、新技をやると聞き「よく練習したなぁ」と応援してくれた。沿道に太一の母と優希の母が並んで立っていて、笑うような泣くような心配そうな顔でささやかに手を振ってきた。
土屋さんには、えんぶりが始まる前に「答え」を伝えた。
親方と亡くなった友達のためってばかりじゃない。
自分たちは挑戦できる。
せっかく生きてできるなら、キャラをかぶってそいつに主役を明け渡すんじゃなく、自分そのままで本気でやるんだ、と。
土屋さんは、ふん、と笑った。けなされた感じはしなかった。
本番直前、2人は緊張したけど優希に「おめが言ってた『あきらめなかったら何かつかめそう』って、きっと主役だ。太一の主役はオレだ。優希の主役はおめ以外に、ね。…オレたちは脇役なんかじゃない。福ば呼び込むラッキー役なんだ」優希は泣き笑いの顔で「えびす舞の練習とか釣りとか、この祭りとか太一くんらしい言葉で書いてよ。書いたものは残るから」
「わかりマリンバ。任せとけ」と太一は親指を立てた。
舞台となる車道の真ん中に出ると、クラスのみんなも来て声援をくれている。親方は痩せても力強い目力で見守っている。
深々と頭を下げ、おはやしにあわせて満面の笑みで、真剣にこっけいさを演じる。そしてタイミングぴったりに新技を決めた。
地鳴りのような歓声が天へ上った。太一と優希は本物の笑みで、タイを高く空へ突き上げた。
『ふたりのえびす』読書感想文書き方とこたえ・大ヒント
・小学校高学年の部(5,6年生)本文 1200字以内
(作文用紙400字×3枚)
青少年読書感想文全国コンクール
読書感想文コンクールの入賞した子は
原稿用紙3枚1200字きっちりに書きます。
起承転結でつづられるなら300文字ずつ。Twitterで140文字と考えると、なんとか小学生でも書けそうです。
・この本を選んだきっかけ
・簡単なあらすじ
・感想、疑問点など
(特に面白かったところ、感情が動いたところ)
・本を読んでの意見や体験談との比較
(本を読んで学んだこと、自分の意見、今後の生活に生かしていく。など)
『ふたりのえびす』読書感想文の書き方とこたえ・大ヒント
🌟本日発売🌟
『ふたりのえびす』
(高森美由紀/作 太田麻衣子/絵)豊作を祈願する青森県八戸市の郷土芸能「えんぶり」は春をよぶ祭り🌸
えびす舞をおどることになった太一と優希が、たがいの気持ちをぶつけながら最後につかんだものは……❔❔✨https://t.co/TeqasuapDI pic.twitter.com/IOymzN0VtX
— フレーベル館 児童書 (@froebelkanbooks) January 27, 2022
著者、選評者、翻訳者それぞれの「言いたいポイント」は物語自体のテーマです。
どれかを選んで、そこに焦点を当てて感想を書くとアタリです。
●『ふたりのえびす』はコレについて書くのが答え!
022.02.14
三戸在住作家・高森さん新作「ふたりのえびす」 伝統芸能・えんぶりテーマに
高森さんは図書館で派遣職員として働く傍ら、2013(平成25)年ごろから執筆活動を続けている。名川チェリーセンターでえんぶりを見た際に恵比寿舞が心に残ったといい、えんぶりの映像や写真からイメージを膨らませた。長引くコロナ禍で八戸えんぶりは2年連続の中止になり、執筆中にえんぶりを見ることはなかったが、八戸市教育委員会から新井田仲町えんぶり組の代表親方の上野弥さんを紹介され、朝晩を問わず電話取材を重ねた。高森さんは上野さんとのやりとりを「えんぶりは普通のお祭りではないと感じた。神事だということを何度か聞いて、ぼんやりと書いちゃ駄目だと思った」と振り返る。太一のキャラクターは、クラスでうまく立ち回るために作った表面上の性格に苦しめられている少年を取り上げた新聞記事から着想を得た。「今の子どもはこんなに大変なのか」と思ったという。
作品には、本当の自分を見抜かれることを恐れる太一の心が、優希とともに恵比寿舞の練習を重ねる中で変化していく様子を描いた。作中には八戸えんぶり当日の様子を描く場面もあり、祭り当日の表情が感じられる作品となっている。
高森さんは「これからも書き続けていきたい。郷土をテーマに書き続けてきたが、他の地域の人にも伝統や文化に興味を持ってもらえれば」と話す。参照 八戸経済新聞
参照動画
小学生も、いろんなモヤモヤはあります。
学校でうまくやるために「キャラ」をがんばるけど、すごくしんどい。
この物語は「本当の自分」と「現実」の折り合いのつけ方と、自分の人生の主役は誰か?を、太一と優希から知ることができます。
きっかけは「3 腹立つッ」で太一のお父さんが話した。
「自分の気持ちを『ムカつく』だけじゃなく、気持ちをよく見つめて具体的に言葉にしてみれば、思ったよりもムカつかなくなる」「自分が気づいてないだけで、実はそうだったと言うこともある」ということです。
※上記動画参照
自分の奥底にある気持ちを見つけたとき、人は「腑に落ちる(納得がいく)」経験となって、一歩踏み出す勇気が出てきます。
太一と優希もよりえんぶりをがんばれたのは、3.11で夢半ばに亡くなった人たちへの敬意もあるのでしょう。
・地元の伝統芸能について→伝統芸能が重要なのはなぜ?
・キャラを演じること→ホンネとタテマエについて
・東北大震災について→夢に挑戦できることとは
・似たような自分の経験
などについて感想文を書くと良いでしょう。
読書感想文ChatGPTで書いたらバレる?感想文での使い方
話題のChat GPTですが、読書感想文でのChat GPTの使用は原則禁止です。
ですがこれからの社会Chat GPTを上手に使いこなす能力も必要です。
(文部科学省が、学校向けのガイドライン作成を検討を始めました)
もし読書感想文でChat GPTを使用した場合・・・生徒をよく見ている教員ほど「本人が書いたものではない」ということを見抜くことができます。
アジア圏の日本人学校で教員が、小学5年生の女子生徒が書いた「ハリー・ポッター」の読書感想文を「本人が書いたものではない」と勘づき、やはりChat GPTに書かせたということがわかりました。
・内容に違和感を覚える
・文章の構成と言葉遣いがいつもとちがう
・Chat GPTの文章にはその生徒の個性がない
・書かれた文章の内容の質問に答えられない など
将来、Chat GPTを使うスキルが必要かもしれません。そこで問題のケースでは「Chat GPTを使って学びを深める方法」を生徒たちと話し合いました。
・AIが書いた文章は読みやすい(メリット)
・文章添削では早く的確でわかりやすい回答がくる(メリット)
・人間味や面白味がない(デメリット)
作文を自分で書く
↓
ChatGPTで添削
(文章の書き方や構成の作り方)
(変更した理由)
↓
自分の感想文と読み比べる
↓
AIが出せない味は消さない
「自分らしさ(個性)」
「自分のエピソードや表現の仕方」
「会話文から始める構成」
↓
AIを生かせる部分
「文章校正」
「誤字脱字」
を修正するなどで利用する
Chat GPTは“きれいごと”の返答が多いと言われます。ですが精度が上がりユーザーの個性を分析し、まるで子ども本人が書いたのような回答ができる日が来るかもしれません。
上手にAIを使いこなすことは、処世術として必要ですが、読書感想文などは思考力の訓練です。
思考力は書くことで鍛えられるので、その機会が少なくなると言われ、なにかの判断をChat GPTにゆだねるうちにChat GPTの指示に従うのが正攻法と思うようになる世界は「AIを使っているつもりが、使われている」ことになるのかもしれません。
・自分で考える事、自分の意見を書く必要性を教える
・Chat GPTは文章の添削、文章校正や誤字脱字など感想文の基本を学ぶために使う
という、教え方が適切なようです。
うんちく・読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
「考える読書」
第68回青少年読書感想文全国コンクール入賞作品集
全国学校図書館協議会
発売日:2023年05月01日頃
読書感想文の入賞作は審査員の合格基準に達した書き方をしています。合格基準とは「読書したうえでの学習効果が感じられるか?」です。小学校3,4年生だとまだ読書感想文になれていない子も多いので「考える読書」内にある感想文の入賞作は大いに参考になります。
2022年青少年読書感想文全国コンクール 入賞作
内閣総理大臣賞<小学校高学年の部>
◆水谷日菜美 東京都 板橋区立志村第三小6年
「捨てないパン屋の挑戦:しあわせのレシピ」(あかね書房)
文部科学大臣賞<小学校高学年の部>
◆峯川芽依 群馬県 沼田市立升形小6年「ぼくの弱虫をなおすには」(徳間書店)
読書感想文の入賞作は審査員の合格基準に達した書き方をしています。大切なのは「読書したうえでの学習効果が感じられるか?」です。参考になる入賞作は大いに参考になります。昨年の入賞作2点を参考に、書き方のコツを頂きましょう。
●読書感想文は著者、書評などのコメントを参考にする
●本の内容の評価に「勉強になった」「前向きになった」「マネしたい」など入れる
●入賞している人の書き方を参考に勉強する
同学年でもおどろくほど大人っぽい感想文を書いている人もいます。そこまでできなくても、冒頭の書きだしや感想文の話の流れのスムーズさ、物語の捉え方や意見のまとめ方など文章の組み立て方を参考にしましょう。