『クニマスは生きていた』あらすじと読書感想文の例文と書き方
こちらでは、2018年の「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」小学校高学年の部の課題図書
『クニマスは生きていた』の「あらすじ」と書き方のポイントをご紹介いたします。
クニマスは生きていた!(汐文社)
著者:池田まき子・著
164ページ
本体価格:1,500円
ISBN978-4-8113-2423-4
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『クニマスは生きていた』あらすじとオススメ度
『クニマスは生きていた』の読書感想文例文と書き方5つのヒント
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『クニマスは生きていた』あらすじとオススメ度
クニマスは生きていた!作品概要
田沢湖は秋田県仙北市にある日本一深い湖で、その透明度の高さから「神秘の湖」と呼ばれていた。
けれども、1940年、国策として水力発電と農業用水のためのダム湖にするにあたって玉川の酸性水(毒水)が導入され。、魚がすめない「死の湖」となり、田沢湖にしかいなかったクニマスも姿を消してしまった。
70年後の2010年12月。絶滅したと思われていたクニマスが、山梨県の西湖で生き延びていたことが報道され、大きな反響を呼んだ。
クニマスはなぜ、田沢湖から500kmも離れた西湖で姿を現したのだろうか。
田沢湖の水質や自然環境を改善し、クニマスがすめるようにするために、私たちはどうしたらいいのだろうか。
奇跡の魚・クニマスが私たちに問いかける「いのち」のメッセージとは……。
~登場人物の三浦久兵衛さんについて~
三浦家は十代以上前からクニマス漁を営んでいた家で、1921年生まれの久兵衛さんは、田沢湖の盛衰を目の当たりにしてきた最後のクニマス漁師。1985年久兵衛さんは、土蔵に眠っていた古文書の中に、クニマスの受精卵が西湖と本栖湖に10万粒ずつ送られたことを示す葉書を見つけた。久兵衛さんは現地に何度も足を運びクニマスを探しに奔走し、ついには1995~1998年に懸賞金つきの「クニマス探し」もはじまる。だが、夢を果たせないまま2006年に亡くなった。
2010年12月、息子の久さんの元に山梨県の西湖でクニマスが見つかったという連絡が入ります。山梨の地元で「クロマス」と呼ばれ普通に食べられていた魚が「クニマス」だったのです。
「クニマス」の発見を喜ぶ田沢湖の地元では「クニマスを田沢湖に里帰りさせたい」との活動は始まりましたが、元のキレイな湖に戻るまで何十年かかるかわかりません。
また西湖でも「クニマス」の養殖の研究をしていますが「クニマス」の生態は謎の部分が多く、成功には至っていませんし、西湖での「クニマス」生息数も年により増減があるので西湖の「クニマス」が絶滅する最悪の事態にそなえて保存や研究が進められています。
絶滅したとされる魚が発見されたことは国内では例がなく、また、その完全養殖に挑むのも世界で初めてのことなのです。
内容(「BOOK」データベースより)
奇跡の魚・クニマスが私たちに問いかける「命のつながり」とは…。最後のクニマス漁師だった三浦久兵衛さんと、久さん親子の姿を通して描いた、感動の物語。
読みやすさ★★★☆☆
感想文の書きやすさ★★★☆☆
こんな人におすすめ
・魚好き
・釣り好き
・自然が好き
『クニマスは生きていた!』…これからどうするのが一番いいのか?
1940年、水力発電と農業用水のためのダム湖にするにあたり、玉川の酸性水がクニマスのいる唯一の湖「田沢湖」に導入されたことによりクニマスが絶滅してしまった…ところが500kmも離れた富士山のふもと「西湖」で生きていた!・・・さぁ、これからどうする?というお話です。
物語は親子で何代も漁師として生きてきた三浦久兵衛さんの家族が「最後のクニマス漁師」として美しい田沢湖での思い出が水質汚染でクニマスを初め生き物がいなくなった無念と「どこかにクニマスは生き残っていないか?」と久兵衛さんと息子、久さん親子で探し求め、久兵衛さんの死後、クニマスが遠く離れた西湖で生きていた!という物語です。
もし「死んだと思っていたら、生きていた!」という生き物がいたらどんな気分になるでしょう?
単純に考えると「絶滅した魚が生きていた!良かった!」「むやみな環境破壊への怒り」を訴えたくなるところです。
喜んだり、怒ったりという感情がさくれつすることはもちろんありますが、せっかく取り戻した命ですからこれからも大切にしたい、もう失いたくないと思うものです。
クニマスの生存が分かった現代で「田沢湖に戻したいけど、汚れた湖には戻せない問題」や山梨の「西湖でもクニマスの生息数が安定しない絶滅の可能性への心配」「クニマスの養殖が難しくて出来ない問題」など関係者の人は「これからどうすることがベストなのか?」という沢山の問題を抱えることになったのです。
クニマスが「西湖」で発見された事は現代の私たちに喜びと、その当時山梨地方にクニマスの稚魚を放流した先人の功績に深く感謝したくなります。当時の人々の「クニマス」への思いを現代も引き継いでしっかり守り伝えていく事が大きな課題なのです。
ギョギョギョ!「クニマス」を見つけたのは、なんとさかな君!
参照:ギョギョー!「クニマス絶滅してなかった!」の何が凄いの?
京都大学・中坊教授「さかなクン、クニマスのイラスト描いてよ」
さかなクンさん「ギョギョー!いいですよ!」
↓
「…でもホルマリン標本じゃうまく描けませんねー」
「ヒメマスと比較して参考にすればいいじゃない」
↓
「そのアイディア、いただきです!」
「さっそく北海道や富士五湖からヒメマスのサンプルを送ってもらいましょう」
↓
「あれ…? このヒメマス、なんか黒い。痛んでるわけでもないし」
「送り元は富士五湖ですか……あっ、ここは確か、田沢湖のクニマスが移殖された場所!」
「ひぇーっ! もしかしたらクニマスが生き残ってたのかも! 先生、確認してください!」
↓
中坊教授「ギョギョギョギョー!!」
つまり、送られたヒメマスサンプルが通常の個体と異なることにさかな君が気づき、さらに既に絶滅しているはずのクニマスかもしれないと疑問を抱き検証に走ったら、70年ぶりにクニマスが見つかったというさかなクンの大手柄なのです!
「田沢湖からクニマスの卵が10万粒、西湖に運ばれた」記録から、1995~1998年に「クニマス探し」で久兵衛さん含め5人の「クニマス鑑定委員会」の人たちが懸賞金までかけたときは見つからなかったので、立つ瀬がない感じがします。
ですが「魚大好き」で有名なさかな君は日頃から様々な種類の魚を見ていて、魚全般に愛情や知識があった「丁寧な科学者、研究者」だから発見できたと言えます。世紀の大発見なのに「クニマスは生きていた!」ではさかな君や京都大学・中坊教授の発見の経緯が書かれていないのが残念ですね。
『クニマスは生きていた』の読書感想文例文と書き方5つのヒント
第64回 青少年読書感想文全国コンクール
用紙・字数:小学校高学年の部(5、6年生)本文 本文1,200字以内
趣 旨:より深く読書し、読書の感動を文章に表現することをとおして、豊かな人間性や考える力を育む。更に、自分の考えを正しい日本語で表現する力を養う。
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募のルールについての詳細はこちら⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項」
『クニマスは生きていた!』読書感想文書き方5つのヒント
『クニマスは生きていた!』では、は絶滅したと思っていた魚が見つかってめでたし、めでたしと喜んで終わりの感想文ではダメなのです。なぜならば、クニマスが見つかってからの方が問題が山積みになったからです。
それに対して、読者は「どうしたらいいと思うか?」と自分の感想に以下の問題への自分なりの意見をプラスして読書感想文を書いてみましょう!
国策の水力発電と農業用水の計画は本当に悪いことだったのか?
田沢湖がこの計画で魚が住めない「死の湖」になってしまい、クニマスが住めなくなりました。田沢湖やクニマス、漁業に携わる人を犠牲にしたのは大きな過ちでした。ですが秋田県は「米処」として有名な県です。農業や電力開発が人々にどのような影響を与えたのか?この計画で秋田県全体がどうなったのか?
クニマスを田沢湖に戻したいけど、戻せない
元々、田沢湖にいたクニマスですが田沢湖が魚が住めるように水の浄化をしなければいけない。それが何年かかるかわからないし、元に戻せるかわからない
西湖でもクニマスが絶滅する可能性もある
西湖には外来魚の「ブラックバス」や田沢湖よりも浅い湖なのでクニマスにはベストな環境とは言えない中、かろうじて生息しています。数を減らさない為にはどうしたらいいのか?
クニマスの養殖が難しくて出来ない
そもそも生態がよく分からなかったクニマスなので、養殖自体が難しくて人間が数を増やすことができない。
本来ならいないはずの湖に分譲してよかったのか…という疑問
クニマスが西湖で生き残っていてくれたのはうれしいけど、西湖で最初から生息していたほかの魚にとってはクニマスが「西湖における外来種(国内外来種)」ということになります。このことで西湖の生態系が崩れてしまったかもしれない?西湖に移してよかったのだろうか?
『クニマスは生きていた!』みんなの感想
■この本で初めて、クニマスがもともとの生息地で絶滅した経緯を知りました。
漁業権に対する当時の補償額の低さにはびっくりです。否応なしに漁場を奪われた漁師さんですが、クニマスがいなくなる前に、他の場所でクニマスを生き延びさせる努力をしていました。その試みは失敗したものと思われていたのですが、ひ孫の代になって、クニマスが生きていることが確認されたのでした。クニマスが再発見されたときはテレビでも取り上げられていましたが、何がすごいのか私はよくわかっていませんでした。勉強になりました。ただ、この本には、再発見に至る過程で功績のあったあの人については、不思議なくらい一切触れられていません。
■一般人では防ぐことの叶わなかった国の政策による田沢湖のクニマスの絶滅。ところが、卵の分譲によって遠く離れた西湖で無事に生き延びていたという、実話。
絶滅していなかったのはよかった。それに西湖にクニマスを逃がしていた先人のすごい先見の明と言うべきなのか、結果オーライだったとは言える。だけど本来ならいないはずの湖にクニマスを分譲してよかったのか…という疑問も残る。クニマスはお金になる魚だから懸賞までかけられたんだよね。なんか美談にすり替えられてるけど。皮肉に読みすぎかな。とにかく、絶滅にしろ養殖にしろ、人間はかかわるべではないのかも。
■明治以降の日本の開発や発展と裏表に、環境破壊や伝承などの断絶があったことが、記されていて、こういうことを後世に伝えていくことで、二度とこういう愚かな行為が繰り返されないことを祈るばかりだ。破壊は一瞬だけど、元に戻せるかはわからないし、戻せるとしても、とても長い時間がかかるものだと、田沢湖とクニマスが教えてくれる。献身的な久兵衛さんの活動が、今の結果に繋がったんだなぁ。
■自然環境はちょっとしたことで大きく変わり、元に戻すには相当のコストと時間がかかる。諫早干拓事業のように日本全国でこういうのあるんだろうなあ。現代の開発は短期間で環境を変える工事ができてしまうので、アセスメントは十分に行って、メリットだけでなくデメリットも十分に納得してから着手せねばならない。
■秋田県にある日本で最も深い湖、田沢湖にいた固有種クニマスの話。人間の軽率な判断で環境、生態系を壊し、取り返しのつかないことになってしまう。繰り返さないために語り継いでいく人が資料が大事だという事と改めて人間と自然の共存の難しさを考えさせられる。
■幻の魚、クニマス。中学校の国語の教科書にも載っている。説明的文章だが、クニマスが西湖にいたことが分かった文を読んだとき、生徒たちが感動した。現在の田沢湖は、環境破壊前にクニマスがいた元の環境に戻っているのだろうか。人間の生活と自然との共存共生は、難しい。人間はもっと謙虚にならなければ。
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