『車いす犬ラッキー』あらすじと読書感想文の書き方例文

こちらでは、2018年の「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」高校生の課題図書である
『車いす犬ラッキー:捨てられた命と生きる』の「あらすじ」と「読書感想文の例」をご紹介いたします。


 

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『車いす犬ラッキー』あらすじとおすすめ度と解説
『車いす犬ラッキー』の読書感想文のポイントと書き方事例

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『車いす犬ラッキー』あらすじとおすすめ度と解説


車いす犬ラッキー:捨てられた命と生きる(毎日新聞出版)
256ページ
著者:小林照幸・著
本体価格:1,500円
ISBN978-4-620-32445-6

作品概要
大宅賞作家の書き下ろしノンフィクション。
車いす犬ラッキー:捨てられた命と生きるの介護をしながら暮らす一人の初老の男性を主人公に、伝統や自然、人間模様を織り交ぜながら、犬と人の心あたたまる交流を描く。
殺処分寸前の犬をひきとり、不慮の事故のため下肢不随になっても飼い続ける姿は島の名物となっている。これまでペットに縁のなかった男が、不遇な犬を飼うことによって、筋金入りの愛犬家になっていく。日本では年間20万匹以上の犬猫が殺処分されており、この問題への関心はいまだに高い。無名の人々のドラマを通じて、伴侶としてともに生きる大切さを訴える、「ドリームボックス」に続く“命の讃歌”。

内容(「BOOK」データベースより)
君はかけがえのない家族―。美しい自然と、人々が支えあう「ユイ(結い)」の伝統が息づく島で、一人の男がめぐりあった“人生を変えた犬”。犬と人のドラマを通じて、命の意味を問う、感動のノンフィクション。

 
読みやすさ★★☆☆☆
感想文の書きやすさ★★★☆☆

こんな人におすすめ 
・動物好き     
・動物関係の仕事につきたい
・障害や介護について関心がある
・離島の生活に興味関心あり
・死生観について知りたい    

【読書感想文2018課題図書】高校生の簡単!読める!書ける本の選び方 
       
『車いす犬ラッキー』犬を通して自分の死生観の尺度を知れる
鹿児島県徳之島で有名な車いす犬の「ラッキー」縁あって飼い主の島田須尚さん(60代)に飼われることになるが不慮の事故でラッキーが1歳で下肢不随になってしまう。
動物病院もない徳之島では犬や猫は平気で捨てられる軽い命。牛専門の獣医師と妻からも安楽死の言葉が出る。「まだ若いラッキーの平均寿命の15年を四六時中介護できるのか?」「歩けない走れないなら、安楽死させるのも親心ではないの?」との意見を言われるが、須尚さんは(できることはすべてしてあげたい。お金の問題じゃない)と息子が住む沖縄にラッキーのみをフェリーで送り出し、手術し、車いす犬になったのだった。なぜならば先住犬の寅を保健所に引き取りに行った時に、保健所に収容される犬猫が人間のあまりに無慈悲で身勝手な理由で殺処分される現実を知ったから、安楽死は絶対にできない、許されることではないとしていたからでした。

高校生の読書感想文にしては、犬の介護がテーマという小中学生むけのような気がする。ラッキーが交通事故で下肢不随になるとわかりながら読むのですが、リアルに交通事故のシーンは語られていないのでその辺はご安心を。テーマの割に飼い主、須尚さんのビジネスの成功や人柄パートは、おじいさんの武勇伝を聞かされている言うようで忍耐ないと読むのは辛いです。
とは言え動物愛護の精神がまだまだ培われていなかった離島で、ラッキーを助ける選択をした須尚さんは、これまでビジネスで培われた行動力や決断力そして責任感そして人や動物、地域への愛情があったからできたことなのだと感じ取ることはできます。

「犬を飼うような男じゃなかった」とクールぶる須尚さんですが、真面目に丁寧に犬と向き合ってきた人です。そんな須尚さんがラッキーが車いす犬として数年たってからは自身の健康問題も出てくる。だが逆に「ラッキーを看取るまでは死ねない」と生きる意味を見出していく。この年の11月徳之島の保健所もやっと犬の殺処分の改善に取り組み始めることになり、やっと徳之島にも少しだけ人間とペットしあわせな共存を感じさせる終わり方をします。

とは言え、読後ものすごい感動や余韻は不思議と残らないのが本作です。
高校生の読書感想文ですから「身勝手に犬を捨てるのは良くないと思います」では幼すぎます。動物モノですが「障害のある犬と介護する人(飼い主)」の物語でもありますので、犬の立場および介護者の立場からでも書けそうです。いずれにしても本書物語と照らし合わせて死生観や命の重さなどの自分なりの意見価値観を持ち出すとなんとか感想文は書けそうです。

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『車いす犬ラッキー』の読書感想文のポイントと書き方事例


 
読書感想文・用紙と字数のルール その他の詳細

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

 
応募のルールについての詳細はこちら⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項

読書感想文で「高得点」を得るためのポイントはこちらのページに書かれています!ダウンロードできる「そのまま使えるテンプレート」やダウンロードできる「構成のサンプル」もありますので是非活用してください。

読書感想文の書き方のコツ【中学生・高校生】図解

 
読書感想文に盛り込む意見の事例

・人はなぜ動物を可愛がりたくなるのか
・殺処分から譲渡に時代が変わったワケ
・動物を飼う資格とは
・命の重さについて
・障害のある状態について など

 
『車いす犬ラッキー:捨てられた命と生きる』の読書感想文の書き方の事例1・2462文字

ペットの事を愛玩動物と言う。「愛玩」とは「大切にしてかわいがること。また、おもちゃにして慰みとすること」の意味でその条件に「終生」は含まれてはいない。そもそも犬や猫などは狩りやネズミ番として共存共栄の関係だった動物だが、現代ではいつの間にか「愛玩」が目的となってしまった。私はその「玩」の文字の「もてあそぶ」の意味に持ち主の身勝手さが許されるようなイメージがあり好きな言葉ではない。

徳之島で暮らす車いす犬のラッキーは、この島では珍しく飼い主須尚さんに愛されて大切にされている有名な犬だ。というのはラッキーが事故にあった当時、島にはペット用の動物病院もなく、捨て犬・野良犬も存在し、保健所にはそれまでのペットの犬が殺処分のために飼い主に持ち込まれるような島だったからだ。そんな倫理観の島の中で歩けなくなった障害犬のラッキーが殺処分されず穏やかに楽しく車いすで生活できるなんて、滅多にないことなのだ。

そもそも人はなぜ犬や猫など特定の動物をペットとして飼いたくなるのだろう?単純に「かわいいから」「動物が好きだから」などの人の心の奥にあるのは「愛情を注げる対象が欲しいから」ではないかと思う。人は愛されるより愛する事の方が幸せを感じやすいのだ。犬は常に飼い主に対して絶対の信頼を持ち、フレンドリーで愛情に満ちた感情と癒しを与えてくれる動物だ。
だがその飼育に人間が不都合を感じ出すとバッサリと関係を切り捨て、無慈悲に保健所に犬を持ち込み翌日には殺処分される現実がある。まるで不要になったオモチャのようなのだ。もちろんこれは徳之島に限ったことではない。
だが、須尚さんが寅と出会った2000年頃からだろうか?全国的には少しずつ人々の心に変化が起き始めたような気はしていたが2016年11月にやっと徳之島でも「保健所での殺処分から譲渡する」取り組みが進められるようになった。

子供よりもペットの数の方が多い少子化の日本ではペットを飼う人が爆発的に増えた。反抗期もなく愛情表現をしてくれ、養育費は人間の子供よりもずっと少ない。私は殺処分を良しとしなくなった事は人間性の成長というよりも、ペットに人間の感情を投影し、希望を見出しているからのような気もする。なぜならば犬は人間に、ウソもつかない、計算もしない、騙したり裏切ったりしない安心できる存在だからだ。

須尚さん自身は「俺は犬を飼うような男じゃなかった」と強調する。たしかに彼は仕事一筋でアイデアと勤勉さで成功した人だが客観的に見ると彼は得ていないモノがあった。すでに子供を巣立たせた夫婦2人の生活には愛情を捧げる対象が欠落していた。
須尚さんが出会った寅そしてラッキーは、須尚さんに愛情を捧げる喜びと、慕われ信頼される幸福を与えた。豊かになるだけならペット存在はむしろ足手まといになる。だが気持ちの通い合えるペットとは、ストレスの多い人間社会を生きるなかで数少ない心を許せる存在なのだ。

人が今まさに保健所で震える犬たちのおびえた目を見た時、我が事のように悲しみや苦しさを感じ取り、殺処分を良しとしない世の中になったのは、世知辛い世の中で人々が「人生における幸福とは何か?」に気づきはじめたからだと思う。すると当然一匹の犬の「命の重さ」がどれだけ尊く守るべきものかという死生観にたどり着いたのだ。
一方、ペットを保健所み持ち込む人はどんな事情であれ、人生で大切なものが欠落しているから捨てるのであり、本物の幸福に気付けない彼らに心の安定が得られるとは思えないのだ。日本が儚い命でも殺処分などで無駄死にさせないならば、人々は今よりも生きやすくなるではないだろうか?

もちろん世界には様々な価値観があり、犬アレルギーなどでその存在自体疎ましく感じる人、今も当たり前に「犬を食べる」国、徳之島で特別天然記念物のアマミノクロウサギを生きるために食べてしまう野良犬が危惧する人もいる。
動物を食用と見るか愛玩用と見るか?特別天然記念物を襲う害獣と見るか?はそれぞれの立場から違って見えてしまうものだ。
ならば徳之島では不要なペットを保健所に持ち込むのは害獣にもならず、日本人には鬼畜同様の犬食をしないだけマシなのだろうか?いや、そうではない。様々なモノの捉え方があるから問題に一つずつ向き合わなければならないのだ。
変わりないのは人間も生態系の中の一つの動物でありつつ、そのバランスをもっとも崩しているとの自覚が必要なのだ。生きるために命を頂く動物たちにもちろん感謝をもたなければならない。食用にも害獣にもしたくないのなら犬と言う動物にもっと責任を持つべきなのだ。見捨てない、野生化させない、生態系も守り、人と犬がwinwinになるために何をすべきか?目を背けてはいけないのだ。

須尚さんは幸福な人だ。なぜなら彼は感謝できる人だからだ。彼は寅とラッキーに感謝しているのはペットの犬たちに自分も支えられ、教わることがたくさんあったと知ったからだ。自身の健康問題もあるが「ラッキーを寿命で亡くなるまで看取りたい」と生きる意味と目的で気持を新たにした。
もちろんペットを飼うことで、失うモノはたくさんある。養育費や時間、手間暇、自由も奪われる。それでも一生懸命小さな命と向き合える事で「心の成長」というギフトを得られるのだ。
徳之島の島言葉「おぼらだれん」は「ありがとう」「感謝」を意味する言葉だ。ペットを飼いたい人、現在飼っている人はたくさんいるだろう。ペットオーナーに必要な条件とは、あらためて犬や猫など動物に対して、彼らの存在はかけがえのない愛おしいものとして、命の尽きる最後の日まで自然と感謝の気持を持てるかどうかに尽きると思う。
現在はペットを家族のように扱い、人間と対等な存在とみなし、同じお墓に入ることを願う人まで現れる時代。そこでペットに代わり、伴侶動物(コンパニオンアニマル)という言葉も使われ始めている。命の重さは対等、生き物は互いを生かし合っているのだ。私はもう愛玩動物という言葉は必要ないと思うのだった。

参照:読書メーター
■タイトルと内容があっていないような、色々なことが書かれていて読みづらく感じた。車いす犬ラッキーについて、もっと読みたかった。人間が勝手なことばかりしているから、犬は大変だと思った。無責任に捨てる人はどこにでもいるんですね。保健所だと殺処分になるから…って結局通報されたら捕獲されて同じ運命なんですけどね。詳しい描写の反面、論点が分かりづらく感じ、読むペースは遅かったです。須尚さんの事業の話は少なめにしてもっとラッキーや寅の話が読みたかったかな。

■不注意で飼い犬を交通事故にあわせてしまった島田さん。脊椎を痛め後ろ足で立てなくなったラッキーには、安楽死させるか生涯介護をするかの選択を迫られた。ラッキーは家族です。安楽死なんてするわけがない。島田さんはラッキーの手術を望み、車イスを注文してラッキーと共に生きていく。動物を飼うと言うことは、家族が増えるということ。どんな状況になっても、命の尽きる時まで世話をしなければいけない。

■犬を家族に迎える責任を改めて考えさせられた。 ペット保険に入っていない分、毎月積み立てはしているが、万が一若くして介護が必要になった場合、面倒を見てやれるのだろうか… 読み終わって気になったのはラッキーの彼女のシロの事。 保護して一緒に家族に迎えてもらうことが出来たら最高だろう。

■犬猫の獣医がいない徳之島で子犬を拾いラッキーと名付けて家族として暮らすことに。リードを付けていないために事故に遭い背骨を骨折し車いす犬となったラッキーと飼い主の日々。畜産獣医から安楽死を勧められたけれどすべてを背負う覚悟で沖縄の動物病に運び車いすを作った飼い主。 私事だが、私の先代の犬ムックも車いす犬だった。私の不注悪意で背骨を強く打ち、痛がり、排せつも垂れ流しになり思い切って大学病院で手術したが完全麻痺になり垂れ流しどころか自力で排泄できなくなってしまった。 最初は導尿していたが、おなかを押しての排泄介助になり亡くなるまで続けた。 ムックは賢くて表情も豊かでよく笑っていた。ムックを支えていたと思っていたけど 実はムックに支えられていた。 子供たちも多感な時期、体が不自由な犬と暮らすことは 向き合う姿を見せることができたのは 心の成長に役立ったのではないかなと思う 最期まで大切にするということは当たり前だと思っていたけれど そうではないことに気づき、保護犬や動物福祉に心が向くように。 犬との出会いが生き方を変える。ラッキーは手術がうまくいき自力で排泄もできるように。まだまだ犬生はたっぷり、いっぱい遊んで歩いて楽しんで。

その他の『車いす犬ラッキー』の読書感想文2000文字用の例文はこちら
『車いす犬ラッキー』読書感想文の書き方【例文2作】

 

「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」高校生の課題図書その他の2冊

「わたしがいどんだ戦い1939年」あらすじと感想文の書き方
 

「いのちは贈りもの:ホロコーストを生きのびて」あらすじと読書感想文の書き方

今年の高校生の課題図書は物語の扱うテーマうんぬんというより、読みずらいと言うのが正直なところ。ですが課題図書で感想文にチャレンジする姿勢は評価されます。

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