【品種改良/星新一】あらすじ・ネタバレ読書感想文の書き方・例文
こちらでは【星新一】の「死体ばんざい」の中の一編「品種改良」の
・「あらすじ・ネタバレ」
・読書感想文の書き方のコツ・ポイント
をご紹介いたします。
星新一というと、短編集をたくさん書く作家さんです。
読むのが簡単なので、読書する時間はないけど
自分の考えや意見がある人なら
読書感想文をピッタリの作品です。
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「品種改良」あらすじ・ネタバレ
「品種改良」読書感想文・書き方と例文
うんちく・読書感想文の書き方の“こたえ”
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「品種改良」あらすじ・ネタバレ
「品種改良」あらすじ・ネタバレ
アール氏はエヌ博士の研究に10年間資金提供してきた。
不老長寿の分野の研究開発に相当な金額をつぎ込んだが
応援機関の10年をむかえたので成果を聞きに来たのだ。
出来ていないなら研究所は廃止だと告げた。
エヌ博士は「しばらく前に完成したが、確実な作用を
確認していたという」
そして出してきた“うすぎたない丸薬”はエヌ博士自身が
1年前に過労による体調不良になったので勇気を出して
服用し、内臓が故障だらけで長くないとの診断だったのが
みるみる回復し証拠の診断書を出してきた。
アール氏は血色もよく、体重も増え若々しくなった
エヌ博士にさっそく丸薬を飲みこんだ。
だが2粒目はエヌ博士が飲むのを止めて
1粒でもう永久に飲む必要はないし、その作用は
明日ゆっくり話しますとアール氏を帰した。
次の日、ぐあいが良いようなご機嫌であらわれたアール氏に
エヌ博士は説明をはじめた。
「人間の腸内には役に立つ微生物がたくさんいます。
私はそれをヒントに回虫を品種改良するのに成功したのです。」
「なんだと」アール氏は顔をしかめたが、叫んではいけないと
考え気持ちを押さえた。
エヌ博士は説明を続け「わたしはかしこい回虫にすべく
品種改良をし、人体に悪さをして共倒れなどしない
逆に人体の故障部分を修理するために、適当な液を
分泌したりするはずで、だから私は若々しくなったのです」
アール氏「その分泌液を丸薬にしたというわけか?」
エヌ博士「それだと飲み続けなければならないので不便です。
もっと良い方法で、あの丸い粒はその卵です」
アール氏は大声をあげようとしたが、思いとどまる力の方が
強かった。
そして「どんな回虫なのか見たい」と聞いた。
見せられたそれは、細長くみにくく、しわが寄り
無数の細かい触手のある薄汚いグロテスクなモノで
うごめく姿などとても正視できるものではなかった。
アール氏は頭に血が上ったが、これを嫌悪してはいけないとの
考えを運びあげて「そう悪くないな」と言った。
エヌ博士はさらに度が進み
「いまに、もっと好きになりますよ、美と完成の極致です」
「私もそう思うようになりそうな予感がする。
できるだけ多くの人に広めなければならない」
アール氏は目を輝かせて叫んだ。
腹の底からこみ上げる衝動が、言葉となってあらわれたものに違いなかった。
【品種改良】
読みやすさ ★★★★☆ 読書時間10分
感想文の書きやすさ ★★★☆☆
「品種改良」は星新一短編集の中の一話です。
簡単に読むことができます。
利用するつもりの回虫に逆に回虫が生きていくために
洗脳され安全で善良な思考にまでなっていくという
不思議な話です。
回虫は人や動物の表面や体内に寄生して
食物をせしめる生物のことをいいます。
でも宿主が病気やけがなどしたら
自分の身もあぶなくなりますからなるべく
危険回避できるように穏やかな性格になっていく。
これを共存共栄と言うのでしょうか?
キモチ悪いけどユニークな作品です。
『品種改良』読書感想文・書き方と例文
読書感想文・文字数
・小学校低学年の部(1、2年生)本文 800字以内
・小学校中学年の部(3、4年生)本文1,200字以内
・小学校高学年の部(5、6年生)本文1,200字以内
・中学校の部 本文2,000字以内
・高等学校の部 本文2,000字以内
原稿用紙は1枚400文字です。
小学校3年生~6年生は3枚
中学生・高校生なら5枚になります。
感想文を起・承・転・結の4段落で書くとして
各段落を何文字ずつ書くか?割り振りしてみると
書きやすくなります。
・この本を選んだきっかけ
↓
・簡単なあらすじ
↓
・感想、疑問点など
(特に面白かったところ、感情が動いたところ)
↓
・自分の意見、似たような経験談
↓
・本を読んでの意見
(本を読んで学んだこと、自分の意見、今後の生活に生かしていく。など)
あらすじは簡単でもいいですが
・自分がどう感じたか?
・本を読んで何を感じ、今後にどう生かすか?
・自分の意見
は重要です。
また「似たような経験」の自己開示がある感想文は
なぜか評価が高いです。
—–感想文書き方ヒント—————————————
【感想、疑問点など】
・星新一のこのアイデアは進んでいる
・人格も強制される回虫なら犯罪傾向のある人に飲ませたい
【似たような経験談】
・現代、実際に虫を使った医療がある
【自分の意見】
・非常識、不気味と考えていたものが実用化される時代
・どんなアイデアも理屈を応用すれば科学になる
「品種改良」読書感想文・例文 文字
~冒頭(この物語を選んだ理由)~
品種改良というと、植物や農作物などを想像する。
「もっと便利でもっと優れた品種を」
と、人間は科学の力で生物を改良してきた事で
現在よりおいしく食べられる農作物が増えてきた。
でもそれって本当に良い事ばかりなの?と
疑問を呈しているのがこのユニークだけど
おそろしいこの作品です。
~あらすじ紹介~
アール氏はエヌ博士に
「不老長寿」を叶える研究開発に投資してきた。
10年たちエヌ博士に成果を迫りに行くと
実は完成していてエヌ博士自身が
健康で若々しくなっていた。
アール氏はよろこんで早速ひと粒、うすぎたない丸薬を
飲んでみたがエヌ博士はその薬がどんな作用で
不老長寿になれるかは明日説明するという。
翌日アール氏が体調がいいとよろこんで説明を求めると
エヌ博士も『もう説明に映ってもいいだろうとの判断』が
頭に浮かんだ。
「じつは回虫を品種改良して、かしこい回虫にしました。
あの丸い粒はその卵です」
アール氏は大声をあげそうになったが『思いとどまる力』が強く
見せられたモノはひどくグロテスクな回虫で正視できないモノだった。
アール氏の頭に反射的に血が上ったが
『これを嫌悪してはいけないとの考え』が巡ってきて
「そう悪くないな」と言い「好きになりそうな予感がする」と
目を輝かせ、腹の底から多くの人に広めたいと思った。
~感想~
なんとも不気味な回虫だけど、健康で若々しくなれるし
考え方もなんだか前向きになる不老長寿の薬?を
飲むか?と聞かれたら健康な状態ならNOですが
もし重病になり明日をも知れない命ならば喜んで
飲んでしまうかもしれません。
だいたいにおいて、思考的に怒りっぽさや
否定的な思想がなくなりそうで、これが回虫の気質が
影響しているなら、グロテスクな虫でも性格良いのかな?と
可笑しさを感じます。
~疑問~
この物語のアイデアは星新一の実家が星製薬と星薬科大学
という家業で、家の人と薬の研究題材について聞いてできた
作品じゃないかな?と想像しました。
現に虫を医療に使う「虫医療」というものがあります。
数千年前から世界各地の伝統医学で行われてきた
ウジを使った「マゴットセラピー」では
人体の壊死組織だけをウシが溶かして食べるが
健常な組織は食べず、健康な皮膚の成長も促進される医療や
線虫を使ってがんの存在を検出する検査や医療用のヒルで
うっ血したカ所の血流を改善する医療もあります。
どれもこれも不気味極まりないが、人間ができない技術を
虫の持つ機能で対処するというのは、その成果を考えると
画期的としか言えないなと思いました。
ただ回虫により人格も善良に変えられて
世界中に「良い薬だから」と広まったら
人間はどんな生き物になるのだろう?
回虫に思考は乗っ取られているという現実があり
複雑な気持は多少残りました。
~本を読んでの意見~
きっと人間はその正体を知って気持ち悪いと思っても
いざとなったら飲む人が多いだろうと思いました。
星新一は薬を作る会社の息子でしたが小説家になり
現実にできるかもしれない不気味な技術を
人間が受け入れる皮肉を作品にしました。
同じような境遇で、医大まで出て医師免許もあるのに
「漫画の神様」となった手塚治虫は医療マンガ
「ブラックジャック」ですごい名言を書きました。
「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて
おこがましいとは思わんかね………」という有名なセリフです。
命とはかけがえのないモノです。
だからこそ1つしかない命に取りすがるのかもしれません。
その為に「不老長寿」という言葉がこの世にあるのでしょう。
ですが私は死に方は生き方だと思っています。
人生とは長さだけではなく、与えられた命の中で
どうやって希望を作り出すことができるかを
試されているような気がします。
キレイごとだと思いますが、生まれて良かったと
思える死に際を目指すのが人間に生まれた醍醐味だと
思うのです。
それでも、立場によって生きる意味が違うのですから
この回虫に寄生された方が戦争も独裁国家も
なくなるいい方法なのかもしれません。
星新一は何話かまとめた感想文でもOK!
「品種改良」だけでも感想文は書けますが
どうしても1話だけじゃ感想文が書けない場合は
星新一の本1冊の中から
「○○と○○が印象的でした、なぜなら」とか
「○○と○○の話に共通点または真逆だと感じたました」
などで感想文を書くのも面白いでしょう。
読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
読書感想文の書き方にも“正解”があります。
入賞作は審査員が気に入る読書感想文は
まじめで真剣に本のテーマを考えている
「とても正しい優等生な意見」が書かれています。
それを「読書したうえでの学習効果が感じられるか?」
と先生方は判断するからです。
自分なりの意見があっても反抗的だったり
「いいと思います」「すごいと思います」などの
単純な感想ではいい点数をつけてくれません。
何をいいと思うのか?
前年の課題図書の読書感想文全国コンクールの
入賞作品を参考にすると書き方のコツが身につきます。