【食料備蓄】「米・麺・小麦」主食の選び方と必要量・賞味期限を延ばす備蓄方法


「食糧危機」の懸念や逆に「食品ロス」が話題になる世の中。
災害大国と言える日本でも農林水産省から家庭備蓄を行う際に必要な情報「家庭備蓄ポータル」を公開しています。

大きな震災があったり、おかしなウワサ話があるとスーパーから食品やトイレットペーパーが消えたり、マスクもなかなか手に入らないなんてこともありますから、普段からの備蓄への心がけがあると慌てずに済みます。

ですが・・・
「何をどれくらい集めたらいいの?」
「子育て世帯」
「高齢者世帯」
「アレルギーや慢性疾患がある」

など日ごろの食事や特別に必要なものがある家庭もあり、備蓄をするとなるとやることがいっぱいになります。
まずは、食事の基本となる主食(炭水化物)は備蓄の基本です。

【食料備蓄】肉・魚・卵・大豆類のタンパク質の変わった保存食品・賞味期限と備蓄方法

こちらでは
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【食料備蓄】「米・麺・小麦」主食の必要量計算&賞味期限と正しい備蓄方法
 【米類】精米・玄米、無洗米、アルファ化米、大麦類
 【米の加工品】餅・干し餅・ライスケーキ
 【麺類】うどん・ソバ・ソーメン・パスタ・フォー・マロニーほか
 【粉もの】小麦・米粉・キャッサバ粉・トウモロコシ粉など
 【非常食】カンパン・缶詰パン・クラッカー類
【食料備蓄】主食は何をどれくらい備蓄したらいい?
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【食料備蓄】主食の必要量計算&賞味期限と正しい備蓄方法

主食は体のエネルギー源になる欠かせない食料です。日本では米・小麦(麺・パン類)が一般的で、米の消費量が減っているとは言うものの「米は塩さえあればおかずがいらない」「米は飽きない」というメリットがあります。
とは言え、多少バラエティーにとんだ品そろえのほうが食料不足の緊急時には心が安らぎます。また世界で食べられる主食も知っておくとバリエーションが広がり、ストレス対策にはなります。

「どんな主食をどれだけ備蓄するか?」日ごろの食生活やほかに集めるたんぱく質・ビタミン(野菜)・調味料も考えての備蓄計画が必要です。
 

【米類】精米・玄米、無洗米、アルファ化米、大麦類

米に含まれるでんぷんは糖分に代わり体を動かすエネルギーとなる、備蓄食の基本です。

●必要量(成人1食)

ごはん1合を炊く場合~米(150g)+水(200~210㏄・米の約1.3~1.4倍)
お米は炊くと水を含んで約2.3倍になります。

ごはん一膳(中盛り150g)を作るには、米(65g)+水(米の約1.3~1.4倍)
 1日3食ごはんを食べる場合
  精米 65g ×3食 =1日精米 195g 使用
  1日 195g × 1か月(30日)= 5850g、5,85㎏ が1か月の必要量

 1日1合(150g)で済ませる場合…
  1日 150g × 1か月(30日)=4500g、4,5㎏ が1か月の必要量

●賞味期限


 
精米:春夏は精米後2週間から1か月、秋冬は1~2か月程度
玄米、発芽玄米:6か月~1年程度
無洗米、もち米:1〜2ヶ月程度
アルファ化米(干し飯「ほしいい」):20℃±15℃で5年6カ月
五穀米:180日(開封前)120日(開封後)
大麦、もち麦、押麦、米粒麦、ビタファーレ:製造より1年

真空パック精米:常温(30℃以下)で約1年間、冷蔵庫で約2年間
真空パック玄米:温度湿度管理が適正であれば2~3年 冷蔵で半年  

●保存方法

保存場所:直射日光のあたらない、涼しい場所(10~15℃)で米用防虫剤を入れる。
     冷蔵庫が最適だが、冷凍庫は細胞が破壊され風味が落ちるのでNG
保存容器:必ず米袋から密閉容器や真空パックなどに入れ替え、脱酸素剤を入れる

※精米はお近くの精米所か家庭用精米機、昔ながらの一升瓶での精米などあります。精米したてのお米は大変おいしいです。

食べちゃいけない米の見分け方
     
    ・酸化により「古米臭」を感じる
    ・カビが生えている
     見た目が緑色や黒色、茶色などに変色
     研ぎ汁が黒く濁る
     見た目が粉っぽい
     カビ臭い
     しっとりとした手触り
     炊きあがりはパサパサした食感と、酸っぱい味がする
    ・虫が湧いている
     黒い点が見えたら、コクゾウムシかカビ
     米の固まりがあればコクガが発生の可能性

 



お米は「洗う」「研ぐ」ないとダメ?
 食料不足の時には水も節約したいものです。精米されたお米は洗って(研いで)炊きますのでお水の確保も重要になります。お水の節約に「洗わないでお米を炊くことができないか?」と思いますが、お米を洗うのは「臭みの原因となる糠や汚れを落とす」「研ぐ」ことで米表面に小さな傷がつき、吸水しやすくなる」からです。逆に「お米を洗わずそのまま炊くことで、糠の味がほのかに残ったお米」と感じる人もいて、好みの差もありますが、長期備蓄した米は節水しながら洗ったほうが安心のようです。

「お米を洗わないデメリット」
・古米に虫やカビなど発生した場合、危険。
・気持ち悪い
「お米を洗わないメリット」
・水溶性ビタミンといった栄養が水に溶け出さず、栄養価が逃げにくくなる
・水と時間の節約になる
・吸水時間が短いと固めに炊き上がる

 
 

【米の加工品】餅・干し餅・ライスケーキ

 

日本を代表する米の加工品といえば餅です。
もち米は腹持ちが良く、サイズ的に収まりがいいメリットがあります。また「干し餅」という東北の保存食や、海外の「ライスケーキ」は日本のポン菓子のようにお菓子や食事としても食べられる保存食があります。

●餅・必要量(成人1食)

角餅、干し餅:(50g 白米1/2杯分)×2
丸餅:なら3つでご飯1杯分(150g)

●餅・賞味期限

未開封の切り餅:製造後12カ月から24カ月が一般的
干し餅:半年。保存状態により変わります

カビがはえた餅を食べちゃいけない理由
     
    餅のカビには「発がん物質となるカビ毒」がある可能性があります。(カビの「色」で判断はできません)
    また「アレルギーや食中毒の恐れ」もあります。昔の人は「カビの部分だけ削れば大丈夫」と言いましたが、カビの部分を削り取っても、カビの菌糸は餅全体に浸食していて、カビ毒を分解したり除去することは難しいのです。カビが生えたお餅はあきらめるのが賢明です。

 
●保存方法


個包装の餅:近日中に食べるなら涼しいところでの保存(賞味期限内)
開けた餅:ラップで密閉包装しジップロックに。数日中に食べないなら冷蔵保存。
真空パック、冷凍させた餅:ラップで密閉放送してジップロックに入れます。賞味期限+6ヵ月

 
【ライスケーキ】お菓子にも食事にもなる海外版ポン菓子

米パフをバンズ状にかためた保存食で、自転車ロードレース界で補給食として注目され、アレンジ次第で甘くしたり、五穀米を入れてよりヘルシーにしたり。そのまま食べたり、スープに入れたりと便利な補給食です。
 

【麺類】うどん・ソバ・ソーメン・パスタ・フォー・マロニーほか

●必要量(成人1食)

乾麺の1人前の必要量は60~100gが一般的です。
なぜならばゆでると水分を含んで約3倍量250~300gほどになりますので、スープやつけ汁、具材量も考慮しての量になります。
主原料が米やジャガイモのビーフン、フォー、マロニーなどはかなり腹持ちのいい麵です。

うどん(1束100g):60~100g
きしめん(1束100g):60~100g
ひやむぎ(1束100g):60~100g
そば(1束100g):60~100g
パスタ(1束100g):60~100g
沖縄そば(乾麺):70g~
乾燥中華麺:80~100g
ビーフン、フォー:50g〜70g
乾燥くずきり:50g〜70g
春雨:50g〜70g
マロニー:50g〜70g
そうめん(1束50g):50~100g

●賞味期限

乾麺は賞味期限が比較的長い、長期備蓄食品です。
ですが「開封前」であることを前提とした期限で、一度封を切ってしまうと劣化が始まりますので、保存状態に気を付ける必要があります。

沖縄そば(乾麺):9か月
うどん、そば、きしめん:1年~1年半 
ひやむぎ:1年半~2年
乾燥中華麺、ビーフン、フォー、乾燥くずきり:2年
春雨:8ヵ月~2年
パスタ、マロニー:約3年(37ヶ月)
そうめん:3年半
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冷麺:3か月
インスタント袋麺:8カ月
カップ麺:半年

食べちゃいけない麺の見分け方
     
    ①見た目~麺は開封後、隙間から虫の侵入や湿度や温度変化で劣化もします
     虫がついている、カビが生えている、茶色に変色している、茹でた際に麺がボロボロ崩れる
    ②匂い~匂いがおかしい場合は劣化や変質の可能性が高いので、食べないほうが無難です。
     すっぱい臭い、生臭い、ドブ臭い、発酵臭、腐敗臭
    ③味~カレーうどんなど濃い味付けにしてしまうと味の変化が分かりづらくなります。味付けの前に確認が必要です。
     酸っぱい、 苦い、 舌がしびれる

 
●保存方法

・ジップバッグなどに入れて密封する
・タッパーや瓶などの密閉できる容器で保存する
・袋を閉じた部分を輪ゴムやテープで止める
・風通しの良いところで保存する
・匂いの強いものを近くに置かない
・長期備蓄の場合は乾燥剤&真空パック袋での保存にする

保存状態が良く、10年以上過ぎた乾麺でも食べることができた、という事例もあります。

全乾麺に、ある消費者から10年以上家庭で保存した乾麺が届けられたので、日本穀物検査協会中央研究所に依頼して品位テストを行った結果は次の通りだった。
「外観は色が若干くすんではいるものの、かび及び虫の発生も見られず、めん線の状態も良好であったことは、保存条件が非常に良好であったことに起因するものであるが、食に充分に供し得る状態であった。乾麺が保存食品、備蓄食品としての使命を充分に果たし得るものといえよう」

『昭和55年(1980) 10月25日全乾麺新聞』

木下製粉株式会社 2010年6月7日
#238 10年を経過した乾麺は食べられるか?

あくまでの昭和の時代の通気性の良い住宅事情と保存状態の話です。完璧な保存状態を保てる場合のお話です。
 

【粉もの】小麦・米粉・キャッサバ粉・トウモロコシ粉など


粉ものと水があるだけでクレープや麺類が作れます。
また世界にはキャッサバ粉(小麦粉の代替品として使える芋の粉、タピオカの原料)・トウモロコシ粉、ポテトフレークなど芋や豆類の粉も主食にしています。

●必要量(成人1食)

小麦粉:クレープ、パン類50~200g 麺類:100g

●賞味期限

強力粉:半年(開封後は1~2ヶ月)
薄力粉、中力粉:1年(開封後は1~2ヶ月)
米粉:半年~1年
キャッサバ粉:製造より10ヶ月
トウモロコシ粉:製造日より300日
オートミール:数ヶ月~1年

●保存方法

粉ものはビニール袋に入っていますが、湿度で劣化し、スキマから臭いうつりやダニが入り繁殖する可能性があります。
・密閉容器に入れて冷凍保存する が長期備蓄には最適です。

こんな時は食べるのはNG
    【粉もの】 
    見た目:カビは生えている(色が変)、色がくすんでいる、虫が発生する
    匂い:異臭がする、カビくさい
    味:酸味を感じる

    オートミール:カビ(綿状、点状)腐敗臭、糸を引くようなぬめり感のある触感

 

【非常食】カンパン・缶詰パン・クラッカー類

非常食の代表ですが、パン類だけで主食を補うのは難しく価格的にもコスパは良くはありません。「料理をできない状況の時」「気分転換したい時」「緊急の時」などにはあると便利で安心な食材です。

●必要量(成人1食)

適量~間食、非常食として

●賞味期限

カンパン:1~5年
缶詰パン:最長37ケ月
クラッカー:5年7ヶ月(67ヶ月) ~最長25年間

●保存方法

缶づめの状態なら室内の涼しい場所。袋に入っているものは真空パックの袋に脱酸素剤を入れての保存。
チョコチップやクリーム、ドライフルーツなど入っているものは特に高温に注意。

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【食料備蓄】主食は何をどれくらい備蓄したらいい?


食糧備蓄量はどんな災害を想定しているか?で分量が変わります。
また、予算、収納場所、賞味期限も考慮して必要量を決めます。

●食糧備蓄の分量

東京備蓄ナビ→自分に合った備蓄量を調べてられるサイト
https://www.bichiku.metro.tokyo.lg.jp

災害時:最低3日~1週間分
食料危機:1年~(自家栽培も考慮する)

 
2011年3月11日の「東日本大震災」でのライフライン復旧日数は…
 電気: 466万戸が停電 3日後に約80% 約1週間で95% 約3か月後6月18日復旧完了
 水道: 257万戸が断水 1週間で約57% 約6か月半で復旧完了
 ガス: 200万戸が供給停止 LPガスは1カ月後の4月21日 都市ガスは約2か月後復旧完了

「首都直下」地震での予想は 電力は6日間(完全復旧1~2カ月)上水道30日、ガス55日
「南海トラフ」地震での予想は 電気(90%復旧)8日 水道ガス(90%復旧)1ヶ月以上

食料備蓄はライフラインが止まっているかどうか?の考慮をすると
「火を使わなくても食べられる主食」は1週間分、電気が復旧すれば電子レンジやオール電化キッチンの有無次第で、レトルトか自炊食材か?集めるものが変わってきます。

●食料備蓄の予算

理想的な食費は手取り収入の15%といわれています。世帯の月々の手取り収入が40万円なら6万円が理想の食費です。
主食である、米、麺、小麦ならば賞味期限を視野に入れながら「ローリングストック」しながらの備蓄を意識すれば、そう無駄になることはありません。
 
●収納場所をどうするか?


主食となる米、麺、小麦でも「米は冷蔵庫がベスト」「麺類は冷暗所」「小麦(粉もの)は常温」など適切な保管場所作りも大変です。

・収納スペースは“なければ作る” 
 台所の「いま使っている食器だけ」「使っていない調理器具」は処分します。
・備蓄食料は家のあちこちにわからないように収納
 ベットの下、玄関、収納機能のあるスツール、車のトランク
・断捨離やミニマリストを心掛けている方には
 オシャレに収納できるなら茶箱や桐のタンスの中

地震で扉が開かなくなる可能性のある場所は避ける、浸水があった地域は「高いところに置く」など、災害時を想定しながら収納に適した場所を探しましょう。


食料備蓄には「普段食べなれているものを」
非常食として売られている長期備蓄出来る食料は助かりますが、人によっては「口に合わなくて食べられない」と言いう人もいます。
食糧備蓄をする場合、はじめは少量買ってみて試食会をしてみる。また少々高めでも甘いものや好きなもの嗜好品もそろえておくのがオススメです。

非常時には必ず暴徒が現れる
残念なことですが、神戸震災でも東日本大震災でもニュースにならないだけで、被災した人による窃盗や事件がありました。
「追い詰められて生きるために」と言っても、許されるわけではありません。が、そういう現象も覚悟しなければいけません。「食糧備蓄していることは他人に口外しない」のは加害者を作らないためでもあります。身内以外には伏せておくほうが賢明です。

食糧備蓄は計画的に!
「食料備蓄はローリングストックで」と言いますが、「本当に食べきれない」モノもあります。
ところが!ムダになる前に“パーティーする” “おすそ分けする” “転売する” “フードバンクに寄付する” など捨てずに生かす方法はいくらでもあります。
集めるまで手間ヒマはかかりますが、「中リスクハイリターン」で、食料危機になれば「シャケ缶詰1個1万円」とか「物々交換」の世の中になるとも…。
投資と考えると食糧備蓄も前向きになれます。楽しんでやりましょう。

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