漫画【命がけの証言】読書感想文とあらすじ(ネタバレ)

漫画【命がけの証言】は著者の清水ともみさんが、Twitterで漫画でウイグル問題で登校したものが、あまりに世間に衝撃を与え、何人かのウィグル人のジェノサイドされた内容をまとめて出版された作品です。
やわらかくフワッとした絵とは反比例した、むごく残酷な内容に、大人でさえ言葉を失うようなショックをうけます。
ですが、あえて漫画であるということで大人から子供まで少しでも読んでもらい、この事実を世界に広げたいという思いと、清水ともみさんがまるで神様からの天命のようにこの話を描くことにしたきっかけを知ると、この事実を無視してはいけないのだと心から思います。
痛みや怒りだけで終わらせず、この本を通じて日本人もこの世界をどう生き抜くか?考えるきっかけしたい大切な本です。

清水ともみ「命がけの証言」
内容紹介
ウイグル人たちの真実に目を背けないでください。習近平・中国による「強制収容所」の恐怖、文化的ジェノサイド、臓器狩り、中絶の強要。描き下ろし漫画・楊海英氏との告発対談収録。
目次
序章 「命がけの証言」に応えて描きました
第1章 私の国の名は東トルキスタンーその國の名を誰も言わない
第2章 「ウイグル族」と呼ばないでください…
第3章 「強制収容所」を生き延びて…
第4章 「習近平が大好き!」を唱和させられて
第5章 戻らない家族への思い…
第6章 スパイになれと強要されて
第7章 日本への「夢」を奪われて…

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【命がけの証言】あらすじ(ネタバレ)
【命がけの証言】読書感想文

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【命がけの証言】あらすじ(ネタバレ)

序章 P 6~17

「命がけの証言」を執筆者・清水ともみさんはウイグルの民族浄化の現状を描いた最初の作品「その国の名を誰も言わない」を書いてネット上に公開しました。
それは大変な反響を呼び、絵本のような形で出版され、さらに残りの話も収録したいと新たに新作として書き下ろされたのが本書となります。日本のマスコミは中国への忖度でこのジェノサイドを口を閉ざしたまま「報道しない自由」を貫いています。そのタブーを破った歴史に残る作品と言えます。

ですが、ネット公開後から深夜自宅のインターホンが連日鳴らされたり、日本のメディアを名乗る人からの直接取材では職歴や家族構成さらに子どもの年齢まで聞かれても音沙汰は一切なくなるなど、「最初の警告」のようなこともされました。ウィグル人留学生には中国共産党への批判を封じ込めるために、ウイグルにいる家族を人質にとる行為をされ、在日ウィグル人も常にその恐怖に脅かされていて、清水さんも同様の恐怖で本書を描くことを悩みました。


ですが清水さんが昔見た「関口知宏の中国鉄道大紀行」という番組内で、ウィグルの綿畑の女性のあまりに暗い表情が疑問で心に残っていて、それから10年後にウィグルの現状を知ることで暗さの理由を知りました。
「もう一度あのシーンを見たら描けるかも」と動画を探すと、なんと偶然テレビで再放送していて、天命、神様のメッセージのように感じ、責任をもって匿名でなく漫画家デビュー当時の「清水ともみ」として描くことにしました。

対談相手、揚氏はモンゴル出身の人で、ウィグル現地調査に行くと、現地の学者自体がウィグル人を動物以下に見る態度を取ることや2013年にはウィグル人は銃など持っていないか金属探知機検査をされ、彼らの多くが信仰するイスラム教信仰の「祈りの禁止」「ウィグル語禁止」を目の当たりにします。
中国人は「あいつら人間じゃないから何をしてもいい」と言い、元々歌と踊りが好きな農耕民族であったウィグル人に労働させず強制的に朝から踊らせ、収入を激減させ、政府の補助金なしでは生きていけないように文化的ジェノサイドをします。漢民族は他の民族への不信感が非常に強く、民族浄化して同化させるのが意図です。

中国が新疆ウイグル自治区にこだわる理由
・侵略意識
・ウイグルの高い農業技術の奪取
・タクラマカン砂漠地域からの石油お天然ガス資源

 
ウィグルの隣、内モンゴルも同様にジェノサイドを始め、「モンゴル語禁止」「中華の英雄ヂンギスハーン」と歴史と文化ジェノサイドを始めています。
中国の歴史は他人の土地を侵食していくのが中国の歴史とお家芸です。が「そのやり方が知られていない」「隠されている」じわじわと侵略していきながら、ユダヤ人虐殺に匹敵する野蛮行為に発展させます。

第2章から7章~マンガで知るジェノサイドの実態

再教育施設職業訓練センター(強制収容所)とは…

ウイグル人に罪をでっち上げ「再教育の名目」で強制収容する施設。現在180カ所以上、100万人以上のウイグル人が収容されていると言われ、ナチスのユダヤ人迫害のような行為が行われています。

・強制収用所周辺は大きな穴が掘られ、巨大な焼却炉が建設されている。
・牢屋(高さは6m、長さ7m、幅3mくらい)に20~40人以上が押し込められ狭さで2時間ずつ交代で寝る
・部屋の上部のテレビから習近平の演説が流される
・支給される囚人服は一枚。頭はシラミがわくので丸坊主にされ全員が皮膚病
・朝から座りっぱなし、全裸でおかしな格好をさせられる、屈辱的検査をされるなどの刑罰
・取り調べ時は目隠しで連行、多くの女の子は二度と戻ってこない
・トイレはバケツ、トイレットペーパーは1日縦7㎝横15㎝。1回2分で済ませ水も必要以上使うと罰する
・毎日自分の罪を告白、 反省文に「自分の思想が改善した」「共産党は素晴らしい党である」「出所後は共産党のために働く」などを書く
・認知機能の低下、生理が止まる、無精子症になる投薬・注射が行われる
・「中国語を習得できない」「中国語の歌を歌えない」と拷問が行われる
・警官たちに可愛い女の子は毎晩強姦され、妊娠して釈放されるケースもある
・外部カメラ取材時には食事にトマトが追加されたり、歌や踊りをやらされ「人権侵害はないアピール」をさせられる
・ウイグル人の警官もいて、同胞同士憎むように仕向ける

 
臓器売買とは…

ウィグル人ジェノサイド最大の闇がウィグル人の臓器売買。中国国内には巨大な移植専門病院があり、年間10万件以上の臓器を全世界に提供しています。
ウィグル人はイスラム教の戒律で「酒や豚肉を摂取しない」ので、その臓器は「ハラール臓器」と呼ばれ、ウィグル人専門病院もあるといわれます。「臓器は死刑囚から」と中国は言いますが、当局は「全民検診」と称する健康診断でウィグル人の血液・DNA・生体データを収集し、リスト化した適合者の臓器を生きたまま奪取します。子どもですら行方不明後、帰ってきた後は腎臓が片方なくなっていたり、眼球や臓器がない遺体も見つかっています。

 

ウイグル人の生活…

・「民族浄化政策(ウイグルの血を薄める」)ため若い女の子は強制的漢人と結婚、売春婦として売られ拒否できない
・若いウイグル人男性は強制的に拘束収容される
・母娘が残された女所帯に男性の漢人が親戚と称し、同居を始め同じ部屋で寝る
・2008年ごろ「オリンピックの治安維持のため」と町中、家にも監視カメラが設置
・移動の自由も制限
・PC、スマホのスパイウェアから中国政府へ批判的言動、ウイグル文化を示唆する言葉があれば強制収容所送り
・近隣住民、知人から密告、騙されて無実でも捕まる
・海外在住ウィグル人も家族が尋問、暴行、拉致行方不明などされ大使館出頭を命ぜられる
・中国製品が安く購入できる背景にウイグル人強制奴隷労働がある
・近年、海外に住んだウィグル人は家族との連絡がほとんど取れなくなる
・海外に住んだ場合、故郷の家族を人質に安全とパスポート申請する代わり、同胞を裏切るスパイ活動を要求される

「強制収容」「民族浄化政策」が進みウイグル人の人口割合は減少。漢人が流入し重要な仕事も奪い、ウイグル人の発言権はなくなっていき、少数派のウイグル人の発言は正しくても罪になったり、テロ行為を起こす危険思想の集団だというレッテルで世論を誘導することが行われています。

序章 P18~28

中国人は他民族との「共存」の発想はなく、必ず中国人コミュニティを作ります。そして「俺ら人数多いから怖くない」というスローガンのもと、必ず自分たちが数で移住した先を圧倒しようとします。

ウイグル問題は日本でも起こりえる…

・日本の地方、静岡や山梨など過疎地域では帰化中国人が増加「目に見えない侵略」
・大学では徒党を組む中国人留学生のリーダーは、間違いなく中国大使館と繋がりがある
・大学講師の「武漢肺炎」発言に中国人留学生が大使館と連絡を取り謝罪要求。結果的に講師を退職させる
・日本の大学内でウィグル人留学生が中国人留学生にイジメられる
・大学自体が中国批判がヘイトとタブーとなり自粛
・日本の教育団体日教組の特に社会科教師は親中派が多い
・小・中学校に中国人が文化交流と称して訪問し、中国批判できない空気を植え付ける
・中国人を「同文同種」と教育し「中国は漢字伝来の国」「シナ事変への罪の意識」「中国への反省」という洗脳

これら中国共産党のプロパガンダが教育によって行われています。「教育機関が学校で教えられていることに何らかの意図があり事実と違うところもある」その意識を持つことが大切

マスコミは中国への忖度「報道しない自由」を行使


・テレビ朝日小松靖アナウンサー「ウイグル問題はわれわれメディアも非常に扱いにくい問題で中国当局のチェックも入りますし…だから我々報道機関でもウイグル自治区のニュースを扱うのはタブーとされています」2020年7月6日ワイドスクランブルの生放送中発言。
・パンダはチベット東部が故郷、シルクロードは西アジア、中央アジア、地中海沿岸地方を貫く道で中国ではない
・フジテレビ「情報番組とくダネ」で技術実習生中国人女性(24)の急患の心臓疾患を「中国はすぐ移植ドナーも見つかる」と藤田医科大学(移植ツーリスト)と中国領事館の【日本から中国へつないだ命のバトン】の美談と「日本臓器移植体制が遅れている」との報道。
・日本での中国ジェノサイド反対デモニュースは徹底的に報道しない
マスコミは中国忖度し「ウィグル人ジェノサイド」「臓器売買」の真実を伝えず「作られた日中友好」を報道をする。日本の報道の自由は奪われているのかもしれない。

ジェノサイドには沈黙する自称「人権団体」

・BLMを主導する団体は中国、北朝鮮の人権弾圧には何も言わない
・アイヌ利権問題と虚実、慰安婦問題の政府対応批判に差別主義者レッテルを張る
・本来資格がない中国が国連人権理事会の理事国でダブルスタンダードを駆使している

 

ウィグル人は日本のみならず、モンゴル、チベット、香港などを心配し世界に警告を発しています。しかし、中国共産党おいう組織に経済、文化、人的交流で抜き差しならない状態になり、国民もその恐ろしさを認識していない、国も実態は知りつつ、その危険性を国民に発信していません。日本人は彼らの声に耳を傾けるべきではないでしょうか。

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【命がけの証言】読書感想文

ジェノサイドとは、国家あるいは民族・人種集団を計画的に破壊すること。集団殺害。
この言葉が日本でも社会的に認知されたのはここ数年と言えると思います。
「ウィグル人が中国人に虐待されている」そういう報道と在日ウィグル人の方々の証言を聞き、多くの日本人が衝撃を受けました。
「人間の尊厳をここまで残酷に奪うことができるものなのか」運よく生き残ることができたウィグルの人そして残された家族の証言を漫画としてまとめたのが本書「命がけの証言」です。

本書の冒頭では、作者・清水ともみ氏は日本に帰化した元モンゴル人で現在静岡大学教授・揚 海英氏(よう かいえい)との対談で「なぜこの本を書いたか」「なぜウィグル人の国・東トルキスタンがジェノサイドされたのか?」「日本も静かに侵略行為が始まっていること」「臓器移植ビジネスに医療ツーリストを組んでいる日本の企業と病院があること」「自称・人権団体によるダブルスタンダード」などウィグル人へのジェノサイドがおこなわれているのか?東トルキスタンの隣、揚氏の故郷、モンゴルへもジェノサイドを進めていること、そして日本も世界のマスコミも人権団体はダブルスタンダードでウィグルジェノサイドには一切触れない矛盾した世の中であると読者に説明しています。

これら解説の後に続くジェノサイドから生還しつつも、現在日本ほかの国にいながらも電話や監視され、おびえながら生活しているウィグル人の人々の経験談がマンガで語られています。
ウィグルの人々は全くの無実でも何らかの理由で収容所に送られます。中国共産党に忠誠を誓う教育、すし詰めの不潔な収容所で寝る場所もないので交代で眠り、粗末な食事にトイレは1つのバケツを共同で1日1度だけ廃棄します。
美女は毎晩のレイプ、他の囚人の前での恥辱、拷問、謎の注射と薬で人体実験、適合者は生きたままの臓器摘出、そして処刑。 家族はバラバラにされ、幼い子供も頻繁に誘拐され臓器を抜かれた死体が捨てられ、一般家庭には家族にまぎれ中国公安が同居し、母娘の部屋で寝起きし、男性には暴力をふるい海外にすむ家族に脅迫電話をかけさせます。

あまりの非道尽くされる内容に、話だけで気が遠くなりそうなものでした。
悲しみで涙が出るのはまだ感情があるからです。ここでの残虐さはウィグル人の人々の尊厳を奪い、まず心を殺し、人権も命も奪います。ウィグル人を人間として見ていない、ジェノサイドすることに何のためらいもない狂気しか持ち合わせていないからです。

「なぜウィグル人だけこれほどまでに痛めつけられるのか」理由は東トルキスタンの資源、農業生産技術そして人種的根底にある侵略意識です。中国ほど歴史的に内戦が繰り返されてきた国はないからです。現在の共産党政権という武力警察力で国民を支配する国です。「支配とは暴力」という図式が浸み込んだ民族なのだと思います。
近年「一対一路」政策で中国人が世界中に入り込み、東トルキスタンを奪ったかのようにジワジワと多国勢力を奪おうとしています。最初は親切にだんだんと発言力を奪い、暴力的に支配する…それは日本でも同じです。


ウィグル人は「自分たちの話を知ってほしい、一人でも多くの人に伝えて欲しい」と一緒に戦ってくれることを望んでいるわけではありません。彼らは「自分たちが弱すぎた、甘すぎた」と分かっているのです。
国を守ること、取り返すことを他国に依頼できるほど国際社会は甘くない、国連ですらこのジェノサイドを取り扱わないのですから。

ウィグル人ジェノサイドがあることを聞いただけでの人は、おそらくその事実を信じようとしないでしょう。信じるにはあまりにむごい話だからです。それは受け止めようとしない心は未成熟であり「お花畑」「平和ボケ」と言われても仕方がないのです。
本書を1度読むと、そのつらさに気持ちが滅入り落ち込みます。同情、哀れみ、憐憫に恐怖を感じ2度3度と読み返したくはないと思うでしょう。ですが、それらはこの問題を我が事として本当に考えようとしていないからです。
ウィグル人は彼らの悲劇を一緒に泣いてほしい時期は超えていて、中国によるジェノサイドを世界に広めてはいけないと命がけで証言しているのです。「甘さを捨て警戒をし、強さを持て」と。
「世界は愛で満ちている」と思うのは、自分の現在の置かれた状況に満足し、本物の悪意を知らないからでしょう。「世界には悪意も満ちている」愛と悪意、博愛とエゴ、そしてジェノサイド。世界にはその両方が必ずあるのだと心にとめる事が必要なのだと己に誓うことができれば、この本の伝えたい思いを多少はくみ取ることができると思います。

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