【永遠の0】読書感想文の例文・書き方ポイント紹介

こちらでは
永遠の0(ゼロ)」著:百田尚樹の読書感想文書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。

本作は当初持ち込んだ出版社に断られますが
2006年に太田出版から書き下ろしで発表
2009年に講談社文庫から文庫化
その後徐々に話題を呼び
2013年12月には販売部数300万部を突破した
300万人以上の人が指示した小説です。

岡田准一さんで映画化、その後ドラマ化もされた話題の小説です。

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【永遠の0(ゼロ)】こんな人にオススメと感想文書き方のコツ
【永遠の0(ゼロ)】あらすじ・登場人物
【永遠の0(ゼロ)】読書感想文の書き方のポイント

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【永遠の0(ゼロ)】こんな人にオススメと感想文書き方のコツ

【出版社内容情報】
「生きて妻のもとへ帰る」
日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた……。
人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。
元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗りーーそれが祖父だった。
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか? 健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。
はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!

読みやすさ ★★☆☆☆
感想文の書きやすさ ★★☆☆☆

こんな子におすすめ
・日本の歴史を知りたい
・真面目に戦争を考察したい。
・高校生以上向け
・戦争の歴史を感じ取りたい
・戦時期の人々の思いを知りたい    など

【永遠の0(ゼロ)】感想文書き方のコツ

この本は戦時記+家族愛の物語です。
祖父・宮部久蔵の痕跡をたどる為に
証言を聞いていく、かつての祖父の戦友の話
「永遠のゼロ」は戦争を知らない世代なら読まなければいけない物語ですが
覚悟がないと読めない辛い話です。

特に「当時15歳から海軍に入隊し19、20歳くらいで前線に出た」と思うと
高校生くらいの人は「自分と対比」して考えることができると思います。
そして疑問点についても自分なりに考察してみるのも良いでしょう。

・久蔵の評判が話を聞く人によって違うのはなぜか?
・久蔵がなぜ死を異常に恐れたのか?
・久蔵はなぜ特高に出たのか?

自分のおじいちゃん、おばあちゃんにも青春がありました。
当時、どのような生活をしていたか?を聞いてみて
その陰で宮部久蔵のような特攻の人がいたという事を考えるのも良いでしょう。

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【永遠の0(ゼロ)】あらすじ(ネタバレ)登場人物

【永遠の0(ゼロ)】登場人物

佐伯 健太郎~司法試験浪人4年目。
姉・慶子から、バイト料をエサに実の祖父・宮部久蔵の経歴調べに協力。旧海軍関係者を調べ歩く内に彼らの壮絶な過去を知ることになる。

佐伯 慶子~駆け出しフリーライター。
新聞社の終戦記念プロジェクトで戦死した実の祖父について調査する。母・清子も当時をよく知らなかったが、調査した内容を両親に打ち明けるべきか悩むことになる。

佐伯 清子~健太郎、慶子の母。
実の父の事を何も知らないと言い出し、久蔵の調査のきっかけを作る。

大石 賢一郎~特攻隊員→国鉄職員→弁護士
健太郎と慶子の義理の祖父。2人の実の祖父・久蔵の特攻兵部下

大石 松乃~健太郎と慶子の祖母(故人)。久蔵の戦死後、賢一郎と再婚する。

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宮部 久蔵~健太郎と慶子の実の祖父で、清子の父親。特攻により死亡26歳。
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長谷川(石岡)梅男~元海軍少尉→小さな農家
久蔵を「海軍一の臆病者」と語る。左腕を失っている。

伊藤 寛次~元海軍中尉→物産会社会長・地元の名士
第一航空戦隊“赤城”時代の戦友。
久蔵の考え方を肯定はしない…その空戦技術を高く評価している。

井崎 源次郎~元海軍飛行兵曹長→末期がんで入院中
ラバウル航空隊時代の久蔵の部下。
マリアナ沖海戦で機が被弾。体当たりを決意するも久蔵の言葉を思い出し不時着を決意。
グアム島に泳ぎ着いて生き延びた。

永井 清孝~元海軍整備兵→郵便局員→農家
ラバウル航空隊整備兵として久蔵らの機体を整備。
久蔵について臆病なところは嫌いだが、人間性を好いていたと語る。

谷川 正夫~元海軍中尉→ビルオーナー→高級老人ホーム
日中戦争からの歴戦搭乗員。昭和19年マリアナ沖海戦の時に宮部と再会する同期。

岡部 昌男~元海軍少尉→教育委員会→元千葉県議員
飛行科予備学校の生徒として宮部に習っていた。人間爆弾桜花の元搭乗員。 

武田 貴則~元特攻要員→元一部上場企業社長
新聞社員、高山が「特攻はテロリスト」との発言に激怒し追い出す。

景浦 介山~元海軍上等飛行兵曹→元ヤクザ
ラバウルからの搭乗員。
宮部を恨んでいたが戦後、宮部の妻・松乃がヤクザ組長に囚われた時に助け出したであろう人物。 

大西(村田)保彦~元海軍一等兵曹→旅館経営
電信兵。戦後故郷へ戻らず温泉旅館の娘と結婚し、婿として跡を継ぐ。 

藤木 秀一~祖父・賢一郎の弁護士事務所でアルバイトをしていた元司法受験生。
実家の父親が病に倒れ、受験をあきらめ家業を継ぐために帰郷する。

高山 隆二~バツイチ新聞記者。
戦後60年を振り返る特集を企画で武田貴則との会談にも同席。持論を展開し武田に激高され退席。慶子にプロポーズをする

【永遠の0(ゼロ)】あらすじ(ネタバレ)

 

司法試験浪人4年目の佐伯健太郎は、フリーライターの姉・慶子から「実の祖父の調査」のバイト話を持ち掛けられる。
今の祖父、賢一郎は祖母の再婚相手で自分たちのルーツである実の祖父(父)の素性を知らない母の為、姉のキャリアップの為に引き受けることになった。厚生労働省や戦友会の調べで祖父の名は宮部久蔵であり、終戦間際に特攻で戦死した海軍航空兵だと判明。存命の関係者9人を訪ね歩くことになった。

第二章
長谷川梅男は左腕を隻腕(せきわん)した痩せた老人。
確証はないが久蔵が戦場で逃げ回る「海軍一の臆病者」「何よりも命を惜しむ男だった」と姉弟に蔑みの言葉をぶつける。
久蔵の零戦はいつもまったくの無償でしれっとした顔で帰ってきて、古参搭乗員は「あいつは逃げるのが上手いからなぁ」と言った。しかも度を越した見張りをかかさない男で、まわりも呆れるほど。
「よほどの怖がり」と陰口を叩く奴も何人もいて、直接は聞いていないが奴の「名言」は「生きて帰りたい」が噂になっていた。しかも落下傘で降下中の丸腰の米兵を撃ち殺す卑怯者だ、と言った。
長谷川自身は戦闘で腕を失い惨めな人生になった。久蔵は2年後に特攻で死んだが、命令でイヤイヤ行ったのだろうと話した。

第三章
健太郎は長谷川の話で調査に腰が引け、祖父・賢一郎に「ぼくのガッツがないのは祖父の血」というと少し叱られた。母は祖父が健太郎と同じ26歳だったと言い、父・久蔵がどんな青年だったのか知りたいと改めて頼まれる。

伊藤寛次は“赤城”時代の戦友で“臆病者”との評価に疑問を感じつつ
「久蔵は勇敢ではなかったが…優秀なパイロット」と人柄・技術共に高く評価した。
下の階級にも丁寧な口調と態度なので、軽るんじられたが操縦も戦闘力も一流。
そのギャップから余計陰口を誘っていたようだった。
「真珠湾攻撃に参加するなら結婚しなかった」と言っており、恋愛か見合いか聞いていないがどちらにも取れる言葉だった。
また自爆した兵士の姿を見て
「…妻のために死にたくないのです。自分にとって、命は何よりも大事です」に伊藤も気色悪く思い非難すると
「私は帝国軍人の恥さらしですね」と苦笑したという。
「あの頃、私たち搭乗員たちは非日常の世界…死と隣り合わせの世界…死を恐れる感覚では生きていけない世界を生きていました。それなのに彼だけ日常の世界を生きていた…」と伊藤は久蔵を不思議がっていた。
健太郎が「祖父は祖母を愛していると言ったのか?」聞くと
「愛している、とは言いません…彼は、妻のために死にたくない、と言ったのです」
「それは私たちの世代では、愛しているという言葉と同じでしょう」

第四章・第五章
姉は伊藤寛次の証言を喜んだが、新聞記者の高山が「特攻隊員は自爆テロと同じ」と言われ納得できない健太郎。
そもそも祖父はなぜ海軍入隊したのか?疑問が生じた。姉は高山との結婚を打算的な意味でも視野に入れていると話した。

伊崎源次郎は癌で余命わずかだが、グレ気味の孫にも聞かせたいと2人は病床を訪れた。
「自分が生きているのは宮部さんのおかげ」と言った。
久蔵は背の高い上官で丁寧な言葉使いや態度から育ちが良いのか、馬鹿のどちらかだと思った。
出撃時、久蔵がきょろきょろし落ち着かない様子を臆病者か恐ろしく慎重なタチと思ったが、直後に奇襲を撃退し命を救われた。
だがその後の乱戦では積極的でなく感じを受けるも、またしても敵機から久蔵に命を救われ
「敵を落とすより、落とされない方がずっと大事だ」「生き延びる努力をしろ」と教わったという。

夜半に一人体の鍛錬をしている久蔵を見つけ、エース級パイロットはみな、自分のために鍛錬している事。
日頃見たことのないような恐ろしい顔で「娘に会うまで、何としても死ねない」と言われ
生き残る事がいかに大切なことであるかということを百万の言葉より教えられたという。
ラバウルにいた頃は孫の誠一と同じ19歳だった。
久蔵は日々の激戦に供え睡眠をとる事、仲間の盾にならない事
「(家族のために)どんなに苦しくても生き延びる努力をしろ」
との言葉を思い出し撃墜された後、泳いでグアムに逃げ切り助かった。
また久蔵から「自分の祖父が官軍と戦った話を聞いたように、俺も孫に戦争の事は語る日が来るのかな」と聞き
死を覚悟してるハズの自分が「平和な国になっていたらいいですね」と言って驚いたという。
そこで久蔵とは別れたが特攻で亡くなったと聞き、あの素晴らしい人を特攻で殺すような国なんか滅んでしまえと本気で思ったと語り、余命3ヶ月のはずが「今日まで生きてきたのはこの話を、宮部さんに代わって話をするためだった」「男の子はあなたに似て立派な若者です」と眠りについた。
伊崎の娘と孫は号泣し、健太郎は伊崎の言葉が胸に刺さりただただ恥ずかしかった。
 

第六章
永井清孝は久蔵を「ちょっと変わっていた」と言い、勇ましくもなく品の良いサラリーマンみたいで「臆病者」と噂されていた。
整備に対しても神経質だったが「永井さんが整備してくれると安心です」と言われ人間としては好きだったと言う。
久蔵は子供の頃、碁を習っていて専門棋士になりたかったが父が相場で失敗して自殺し
やむなく中学中退し、母も病で死に天涯孤独になったので海軍を志願したという。
永井は終戦後2度、妻や息子との何気ない幸せを感じた時に久蔵や亡くなった大勢の男たちを思い涙が止まらなくなったという。
ただ、何より命を大切にする久蔵がなぜ特攻に志願したのか?不思議だと言った。

第七章
谷川正夫は「非常に勇敢な恐れを知らない戦闘機乗り」で
久蔵の「想う人はいないのか」の一言で人生が変わったと言った。
思い出した幼なじみとわずか7日の帰省時に結婚したのだ。
軍に戻る頃、「神風(しんぷう)特別攻撃隊」が始まり自分も他の隊員も死の意味を考え心を静めて出撃していた。
だが久蔵だけは上官から半ば強制的な「特攻志願」の呼びかけに「命が惜しい」と断り
谷川に「特攻を命じられたら、どこでもいい、島に不時着しろ…おまえが死んだところで戦局は変わらない。しかしお前の妻の人生は大きく変わる」と言われた。
谷川は特攻に出ることなく終戦をむかえたが、国に帰ると戦犯扱いされ妻と苦労を重ね財を築くことが出来た。
だが腕のいい久蔵がなぜ不時着しなかったのか?疑問だと言った。
健太郎と慶子は当時戦況が悪化し、多くの一般兵士が犠牲になった事は軍上層部に非があると推測し、祖父の無念を思った。

第八章
岡部昌男は久蔵に飛行科予備学生で教わり「宮部さんは素晴らしい教官でした」
厳しい戦場の帰還者ほど戦場体験は語らない死線を超えた凄みがあった。
またなかなか合格点をつけない評判の悪い教官で、飛行訓練のみの教官にさせられた時
「今戦場に行けば、確実に追撃されます…皆さんは搭乗員などになるような人たちではない…もっと優れた立派な仕事をするべき人たち…皆さんに死んで欲しくありません」と言われたのに、同調圧力で特攻隊志願をしたという。
親友の高橋は久蔵を尊敬すると言い「俺たちは弱虫だな」と言い特攻で飛び立った。
出撃前に終戦を迎えたが久蔵の言葉が戦後の心の支えになったという。
慶子の「特攻に際して、どのように自分の死を納得させたのか?」の問いに
岡部は「たとえ自分が死んでも、祖国と家族を守れるなら、その死は無意味ではない、そう信じて戦ったのです。…そう思うことが出来なければ、どうして特攻で死ねますか」
 

第九章
武田貴則は一部上場企業の社長を務めた人物。
約束のホテルに姉が高山を連れてきてしまった。
武田は高山の「特攻はテロで遺書を読めばわかる」に激昂し
「あの戦争を引き起こしたのは新聞社だ」「口舌の徒」と言われ高山は憤怒し帰って行った。
武田は自分は“特攻要員”で選ばれ数時間で死ぬ特攻隊員とは全く違うと言った。

久蔵は「素晴らしい教官で多くの予備学生から慕われていた」と言う。
訓練生には「この戦争が終われば皆さんは必ず必要にある人たちです」
「零戦は機種としてもはや劣っている」と話していた。
また訓練中の事故死した学生の名誉を守るため上官に殴られながら歯向かう久蔵に
訓練生はみな心から尊敬し、敵機の奇襲から久蔵をひとりの訓練生が守ったことがあった。
武田は久蔵こそ「日本に必要な人だと」思う気持があり
九州に向かう久蔵は「わたくしは絶対に死にません」と凄まじい生への執着を見たという。
だから「久蔵を殺したのは海軍かもしれない」と言った。

第十章
景浦介山は「奴は死ぬ運命だった」「生きる望みを自らたち切ったのだ」と言った。
久蔵を心底嫌いな理由は、他は命がけで戦う中、久蔵だけは女房と子供の写真を後生大事に持ち「生きて帰りたい」と思っているのが誰の目にも明らかだったから。天涯孤独の景浦には、家族の事を考えつつしかも空戦の腕は凄腕なのが許せなかった。

景浦は宮本武蔵の「剣禅一如」を書いていたが久蔵から「武蔵は生涯に何度が逃げている。それに勝てない相手とは決して戦わなかった。それこそ剣の極意じゃないか」と言われ怒りで模擬空戦を久蔵に挑んだ。
だが完全に負け、景浦は卑怯にも背後から久蔵を撃つも当たらず、反撃もされず自爆も止められた。
しかも切腹しようとすると久蔵は恐ろしい形相で「無駄死にするな」と言い、俺の命は奴に握られたと思って腹を切るのをやめた。

だが久蔵を打ち落とせなかった事、これまで米軍に撃ち落されなかった事も久蔵が実は誰もできない阿修羅のような技を持っていたからと気づき、景浦も「試された」事を知った。
そこから久蔵をいつか打ち落とすまで死なない、無理なら久蔵より長く生き戦死の知らせを聞いた時こそ俺の勝ちと決めた。
だが鹿屋で1年半ぶりに会った久蔵は人相が変わり、しかも古い機で特攻に出る久蔵の直掩として参加することになった。久蔵を絶対に援護したかったが景浦の機体は故障でおいて行かれ最後の瞬間は見ていない。
だた「奴の目は死を覚悟した目じゃなかった」1週間後戦争が終わり、久蔵の事で誰よりも泣いた。

戦後、ヤクザになったのは狂った世の中、力のある者がのさばる世の中に復讐したいと思ったからだ。と言い久蔵の事は忘れたと言いつつ祖母が幸せな人生だったかを聞いた、
健太郎が「そう思う」と言うと景浦の表情が一瞬緩んだように見えた。帰ってくれと怒鳴るように言ったすぐあと景浦は健太郎を抱きしめ、言い訳をしつつ若い用心棒に見送るように言った。

第十一章
8月半ば伊崎源次郎の葬儀で会った孫・誠一は真面目な姿に変貌し、健太郎も司法試験再受験の気力を取り戻し、姉は高山のプロポーズをまだ迷っていた。2人は景浦は久蔵に憧れていたであろうと話し、最後に久蔵が飛び立った鹿屋基地の通信員だった大西保彦に会いに行った。

大西保彦は特攻隊員の名前を全て控えていた。
久蔵は真珠湾以来の歴戦の搭乗員で一目置かれる存在だが、状況をよく聞きに来て気軽に声もかけてくれる人だった。
最も悲惨な特攻・神雷部隊の直掩で1人帰還した久蔵が一升瓶をかかえ飲みながら「ほぼ無駄死にしかない」と泣き「一機も守れず教え子が敬礼しながら墜ちて行った」「俺の命は彼らの犠牲の上にある」とそこから心が苛まれた様子だった。
広島と長崎に原爆が落とされ日本は滅びるとの絶望感の中、機種もロクにメンテナンスもできず引き返す機が多くなっていた中、久蔵に出撃命令が出た。
大西は久蔵に別れの挨拶に行った時、奇妙だが久蔵は一人の予備士官の乗る二一型に変えろ「自分の腕は一流だ」と久蔵が言うので耳を疑ったという。その交換した学生の五二型はエンジントラブルで不時着して助かり、それは本来久蔵のはずだった。
慶子は悲鳴のような声を上げ、健太郎は呆然と祖父が自ら死を選んだのかとショックを受けた。その学生の名は義理の祖父・大石賢一郎だった。
 
第十二章
祖父・大石賢一郎は祖母・松乃から止められていたが、子供たちにいつか話すつもりで手紙にも書き残してあると言った。

久蔵の学生への姿勢に心から尊敬し、敵機に狙われた久蔵を危機を救ったのが賢一郎だった。
その為入院した賢一郎にお礼に松乃が手直しした外套をくれた久蔵。

退院後いよいよ特高命令が自分に下り、なんと久蔵も参戦するという。
しかも久蔵から賢一郎が乗る飛行機を変えてくれと言われ交換したが、出撃後1時間立たず機体トラブルで離脱する事になり、奇跡的に喜界島に着陸でき1週間後にそのまま玉音放送で終戦を迎えた。
操縦席には久蔵から「もし運よく生き残ったら、私の家族が路頭に迷い、苦しんでいたなら、助けて欲しい」とメモがあり、久蔵は生き残りのクジを大石に渡したのだとわかった。

戦後3年大阪のスラム街で松乃をみつけ、援助をしつつ久蔵が賢一郎の身代わりになり「自分が死ねばよかった」と話したがその後も5年通い続けた。久蔵の命日に墓参りに松乃が久蔵が最後に
「たとえ死んでもぼくは戻ってくる、生まれ変わってでも、必ず君の元に戻ってくる」と言い、久蔵の外套を着た賢一郎を見て約束を守ったのだと思ったという。
戦後9年たち2人は結婚した。松乃はヤクザに囲われていた時期にその組長を殺した若い男が松乃に財布をよこし「生きろ」と言われたという。

健太郎はそれは景浦だと思い涙があふれた。
賢一郎は松乃の死の間際に久蔵の姿を見たと言い、幸せな一生だったと言った。
慶子は「本当に好きな藤木と結婚しないとおじいちゃんに怒られる」と号泣した。

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【永遠の0(ゼロ)】読書感想文の例文と書き方のポイント

読書感想文・書き方のポイント

下記の読書感想文・例文は「読書感想文の書き方のポイント」に合わせて書いています。

「永遠の0ゼロ」印象に残るフレーズと読書感想文ヒント

●プロローグ
・こいつらには家族がいないのか、友人や恋人はいないのか、死んで悲しむ人はいないのか
●第一章・亡霊
・実の祖父の存在を知っても、その人に対して特別な感情は抱かなかった。僕の生まれる30年も前に死んだ人だし、家には一枚の写真も残されていなかったから、シンパシーを感じろという方が無理だ。たとえは悪いが、突然、亡霊が現れたようなものだ。
・特攻隊ってテロリストらしいわよ…死ぬことを全然怖れていないの。…ああ、日本にもこんな狂信的な愛国社が大勢いた時代がったのかと思った
・…しかも不運なことは、あと数日は約戦争が終われた助かっていた事だ。「生まれた時代が悪かったんだなぁ。久蔵さんよ」と僕は思わずつぶやいた。
・「…身内以外の80過ぎの老人は、僕にとって別人種に近いよ」「向こうもそう思ってるかもね」
●第二章・臆病者
・「命が大切というのは、自然な感情だと思いますが?」「それはね、お嬢さん。平和な時代の考え方だよ。」
・「臆病者」という言葉はぼく自身に向かって言われた言葉として受け止めていたことに気が付いた。なぜならばぼく自身がいつも逃げていたからだ…祖父が逃げていたのは「死」…ぼくはいったい何から逃げているのだろうか
●第三章・真珠湾
・零戦は魔法のような戦闘機だったのです。堀越二郎と曽根嘉年という情熱に燃える2人の若い設計者の血のにじむような努力がこれを可能にしたと言われています。
・晩年に自らの人生を振り返って初めて、若い頃の輝きが見えてきたという事からもしれません。あなたもいずれ年老いて、人生を振り返った時、今の自分が全く違って見える時が来るでしょう。
●第五章ガダルカナル
・私はあの戦いで生き残ることが出来ました。そして、そうすることで逆に死ぬことの怖さを知ったのです。…19歳の若者に命の本当の尊さなどわかるはずがありません。
●第六章
・「戦争というのは工場の時点から戦いなんですね」
・「子供の頃は小さなことで悲しんだり喜んだりしました。中学の時は、一校に進むか専門棋士になるかで本気で悩んでいました。またその夢が両方壊れたことで大いにに悲しんだものです。でも、父と母が死んだことに比べたら、何のほどのこともありません」
・子供が出来て初めて、自分の人生が自分だけのものでないという事を知りました。男にとって「家族」とは、全身で背負うものだという事が、その時、宮部さんが言った「家族の元に帰る」という言葉の本当の重みを知ったんです。
・「日本は戦後素晴らしい復興を遂げました。…それは生きること。働くこと、そして家族を養うことの喜びに溢れた男たちがいたからこそ屋と思います。ほんで、この幸せは、宮部さんのような男たちが尊い血を流したからやと思います」
●第七章
・「墜とされてもまた戦場に復帰できるということは、失敗を教訓に出来るという事だ」
●第八章
・今日の自由な空気で育った人には理解出来ないでしょう。いや現代でも、果たして会社や組織の中で、自分の首をかけて上司や上役に堂々と「NO」が言える人たちがどれほどいるのでしょうか。…彼らを志願させたのはもしかしたら上官ではなく私たちだったのかもしれません。
●第十章
・命懸けなどという言葉は今も普通に使われているが、たいていは言葉だけだ。一生懸命ということを派手に言っているにすぎん。
・友情とは何だ。そんなものはただの馴れ合いだろう。世間の友情というのは、いつも一緒に遊んだり酒を飲んだりという事だろう。そんな相手を欲しいと思った事は一度もない。
・愛する者のために死ぬという気持が、普通の男をあそこまで強くするというのか―  

  

【永遠の0(ゼロ)】読書感想文例文・3281文字

本と出会ったきっかけ
本の簡潔な説明
なぜ面白かったのか
心に残ったところ
本を読んでわかった事学んだこと変わったとこ

 
「本と出会ったきっかけ」
この物語はどこまでがフィクションなのでしょうか?
本書の参考文献を見ると『零戦最後の証言』『カミカゼの真実』などが並んでいます。
自分は今まで日本の戦争の歴史を理解し、受け止めるのは正直抵抗がありました。それは知りたくない日本のダークな部分だからです。
でもこの本を読もうと思ったのは、自分が日本人だからいつかは知らなければいけない。その史実の入口の本だと思ったからです。

「本の簡潔な説明」
司法浪人4年目の佐伯健太郎は、フリーライターの姉・慶子から「実の祖父の調査」のバイト話を持ち掛けられます。
今の祖父・賢一郎から「自分は2人の実の祖父ではなく第二次世界大戦後、祖母と再婚した」という事実を知り、実の父の素性を知らない母と姉のキャリアップの為に調べ初めはじめます。
戦友会に連絡を取り、実の祖父・宮部久蔵を知る人々を訪ね歩くがその評判は「臆病者」「助けられた」「凄腕の戦闘乗り」とまちまち。だが祖父の痕跡をたどる調査は日本がたどってきた戦争の悲惨さを知る旅となり、誰よりも生き残る事にこだわっていた祖父の死の謎が深まっていくという物語です。

「なぜ面白かったのか」
この本を読み始めましたが最初の意気込みは何度もくじけそうになりました。
戦友たちの体験談があまりに非人道的で希望がなく、めまいを感じるような史実だからです。
そして過去の大戦を経験した人々に比べ、現在の自分はなんとひ弱なのだろうという後ろめたさや申し訳なさも感じてしまいました。
特攻隊で死んでいった多くは20代前後の若者です。
未来ある若者を犬死させたこの戦争。ですが宮部久蔵の人物像を語るかつての空軍隊員たちは、戦友という共通点はあるのに、その内容が彼らの立場・状態によって違いがあるという新たな視点を享受してくれた本なのです。

障害を負い豊かとも言えない人生になった者、仕事で成功した者、病気で余命まもない者、現在の幸せに涙する者、戦争を起こした社会へ生涯反発すると決めた者、生かされていると感じる者。
彼らの共通点は宮部久蔵だけは死ぬことを恐れ、家族のもとに帰りたい事を周囲も感じ取れるような空気をかもし出していたというものです。
男が命懸けの覚悟を決めて戦う戦場なのに「妻子のために死ねない」という姿勢を許しがたく思う気持。
特に、長谷川梅男や景浦介山は久蔵の意思を認める事は彼ら自身が家族愛や運に恵まれない現実を己を突き付けられる気持があったのかもしれないと感じました。
男で嫉妬するタイプは相手をつぶすまで恨み嫌います。そうしないと生きていけない悲しい人なのでしょう。
逆に作中で岡部昌男の親友・高橋は久蔵を尊敬すると言い「(特攻を断れない)俺たちは弱虫だな」と散っていきました。
なぜ拒否できないのか?それは上官から暴力や更なる過酷な戦地に左遷され犬死する…ならば特攻で華々しく命を散らす方が良いと思えたのかもしれません。
ですがそれよりも多くの仲間たちが国のために戦争で死んでいる、自分だけが助かっていいのか?という同調圧力のほうが強かったのだと思います。
日本人の「和を重んじる」「空気を読む」民族性が、権力者の強い意見やマスコミのミスリードに飲み込まれた結果だったという考察。
剣よりもペンが強い悪例です。
当時民意は力で抑えられていたのか?情報が伝えられなかったとしても「おかしい」と声を上げなかった当時の民衆は、さながら現代の文化交流にかこつけて、国際情勢を正しく見ようとしない人々と同じような気がしました。
それなのに久蔵がなぜ特攻隊になったのか?がこの物語の大きな謎なのです。

「心に残ったところ」
証人たちの言葉で印象に残ったエピソードが2つあります。
永井清孝は当時はまわりの評判から久蔵を「ちょっと変わった臆病な人」と思っていましたが、それは「その時はわからなかったから」というモノでした。終戦後、家族との何気ない幸せにやっと久蔵が言いたかった「男が守るべきモノ」や「家族の重み」を味わい、死んでいった戦友たちへの想いに号泣するのです。
また、日本劣勢が明かになるにつれ、海軍には高学歴で優秀な学生が増えてきます。
思うに到底無理な訓練期間でも最低限の事を習得できる者として、優秀な学生を集めたのだと思います。
久蔵は「皆さんは搭乗員などになるような人たちではない…もっと優れた立派な仕事をするべき人たち」「この戦争が終われば皆さんは必ず必要になる人たちです」と学生たちの能力を高く評価し、彼らの存在がいかに戦後の日本に必要であるかと説得するように強く語りました。
もちろん命の重さは学歴や能力の高さで決めてよいものではありません。
ですが日々死んでいく学生たちを見て大西保彦に語った「俺の命は彼らの犠牲の上にある」との言葉には、追い詰められた心境の変化がありました。。
「妻子の為に生き残りたい」久蔵の幸福を求めたい自尊心は崩壊せざるを得なかったのは、自分よりも優秀な者たちに一人でも多く日本の再建のために生き残って欲しいという、愛国心だったように思います。
そもそもが利他愛の強い久蔵の人柄のためか?飛行技術を教える事で若者を死に追いやっている自分が許せなかったのか?いかようにも受け取る事はできます。敗戦は間逃れないと肌で感じながら、久蔵は戦で負けても日本を建て直すために囲碁の手を考えるように世界を俯瞰で見ていたのかもしれません。

「本を読んでわかった事学んだこと変わったとこ」
自分は同調圧力に屈しないタイプです。
ですが、それは正義を貫くためではなくワガママの要素が強い「納得できないものに従いたくない」強固な反骨精神のあらわれです。
ですが当時の軍国主義にシンパシーを感じたらコロっと特攻隊志願をしていたか?
もしくは最後まで拒否し続け逆に戦況に追いやられるタイプかもしれません。

人の生まれ育ちによるアイデンティティーは生涯の考え方の基盤になると思います。
長谷川梅男の貧困と暴力にまみれた人生。景浦介山の生まれた存在すら憎まれる人生。
または負け戦とわかっていながら特攻作戦を繰り広げ、自らは安全と出世を優先した利己的な官僚系上官。
自分自身も彼らの個性も家庭生活から培われるように思います。
自分は、世界平和とは家庭でどれだけ愛を学べるかで決まると思うのです。
久蔵が家族の元に戻りたかったのは、平和な家庭を作る努力をする事が平和な社会を作る事だと知っていたような気さえします。
幸せとは物質的な豊かさよりも、幸せを感じられる状態になることなのでしょう。

戦後70年以上たち、戦争で命を落とした兵士たちが最も悲しんでいる事は
戦争を顧みないことよりも、現代人が命への執着が薄くなったことではないでしょうか?
ある著名人は「必死に生きている人間は死を選ばない」と言いました。
戦場に出ている兵士たちは必死でした。
現代のいじめやうつ病など孤独感は心を先に殺された状態なのかもしれませんが
生きる目的を持っていれば、死の選択はないのかもしれません。

自分はこの本を読んで、確実に変わったのはもっと社会と真剣に向き合わなければならないと思うようになった事です。
我々は政治や国際情勢に無関心であっても、無関係ではいられないからです。
戦争という間違った選択を現代人はしてはならない。
何者にも流されない強い自立した姿勢を持たなければならない。
そして幸せにならなければならないという事です。
とかく自己責任など個人主義を問われる現代でも、忘れてはいけないのは目に見えなくても社会は互いを助け合い支え合っている。
誰も一人では生きていないということです。
自分はこの本に幸福も平和も、自立した精神と強い気持そして努力と人々の連帯した思いがないと手に入れられないとガツンと言われた気がします。
日本人の平均寿命は80年ほどです。あと数年したら戦後生まれしか存在しない社会になるのでしょう。
武力による戦争を経験したことのない日本人は、今のこの日常が当たり前という感覚に慣れ過ぎていました。
我々は自覚しなければいけないのです。この平和は多くの犠牲と努力の上に成り立っている奇跡なのだと。

「永遠の0(ゼロ)」読書レビュー

感想文のレビューからも読書感想文に役立ついろんな感想があります。
様々な意見から読書感想文の話の展開を広げられますので、参考になります。

●途中読むのをやめたいくらい辛い話が続いたので正直なところ。でもこれにも向き合わないと日本人は前には進められないと思います。

●「たしかに宮部は勇敢なパイロットではなかったと思います。しかし優秀なパイロットでした」 作中では宮部について賛否両論あり、それが当たり前だと思うが、私は生きようとした、仲間も生かそうとした、宮部を心から尊敬する。

●教科書で習う歴史って、年号と戦争名を覚えるくらいで、あまりピンとこなかったが、本書はとても身近でわかりやすかった。

●幾多の戦場より帰還を果たした凄腕パイロット宮部久蔵。妻子のため生に執着していた彼が最後に選んだ路は、未来へのチケットを若者に渡すことだった。

●終戦を見据えて、散るのではなく、家族の為に生きて帰るという決意はすごく健全だ。でも当時の状況がそれを弱さと糾弾し許さなかったのだ。自分の命が教え子たちの犠牲の上にあると苦悩する彼の最期の選択に胸をうたれた。



風立ちぬ

【永遠のゼロ】の中で特攻隊員が乗る飛行機・零戦を設計したのは堀越二郎です。
この堀越二郎をモデルに堀辰雄の小説を盛り込んでジブリが製作したアニメ映画が「風立ちぬ」です。
子どもが観るには難しく、大人が観ても特攻隊員の現実を知るか知らないか?で「風立ちぬ」への感想が全く違ったものになります。
戦争が始まった頃は「千里を走る名馬」と言われていたものが「この戦闘機を作った人を恨みたい」「8時間も飛べる飛行機を作った人は人間が乗る事を想定していたんだろうか」「もはや通用しない」とわずか数年の間にアメリカの対抗機種に太刀打ちできなくなります。

優秀な設計者として国からの依頼で作られた零戦。
特攻隊のシンボルになってしまった事を思うと、なんともモヤモヤした気持になりどう受け止めて良いのか悩む作品です。

「風立ちぬ」の宮崎駿監督は「永遠のゼロ」は零戦神話を捏造している敵に受け止めている様であまり好きじゃないようです。
うーん、この問題は本当に受け止め方が難しいです。いろんな視点から見てみましょう!

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