【11番目の取引】あらすじ・ネタバレ・読書感想文の書き方と例文
こちらでは
2020年「第66回 青少年読書感想文全国コンクール」
中学生の部の課題図書です。
『11番目の取引』の
・「あらすじ・ネタバレ」
・読書感想文の書き方のコツ・ポイント
をご紹介いたします。
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『11番目の取引』あらすじ・ネタバレ・読書感想文おすすめ度
『11番目の取引』読書感想文・書き方例文とポイント
【2020年読書感想文】中学生の課題図書
うんちく・読書感想文の書き方の“こたえ”
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『11番目の取引』あらすじ・ネタバレ・読書感想文おすすめ度
読みやすさ ★☆☆☆☆
感想文の書きやすさ ★★☆☆☆
こんな人にオススメ
・本が好き
・おこずかい稼ぎに興味がある
・トラウマのある人の心情を知りたい
・国際問題に興味がある
内容紹介
アフガニスタン難民のサミと祖父の生きる術であり、心の拠り所だった伝統楽器ルバーブが奪われた! 買い戻すには1か月以内に700ドルが必要だ。サミは友だちの助けを借りて自分の持ち物で物々交換を始める。たった1か月の間に700ドルを稼ぐという試みは果たしてうまくいくのか。サミと祖父の関係、過去の出来事、家族のことなどは、サミが苦心惨憺する過程で、回想の形で効果的に挿入される。サミという人物と、アフガニスタンでの幸せな日々や衝撃の出来事が段々に明らかになっていく巧みな構成に、ページを繰る手が止まらなくなるだろう。本作品は作者のデビュー作であり、代表作になるに違いない秀作である。
ルバーブとは・・・
1~4
ボストンで暮らし始めたサミと祖父(じじ)は
初登校日に地下道で祖父のルバーブをサミが
弾いている時に盗まれてしまった。
プロ演奏者のじじは怒らず
「大丈夫、神は慈悲深くておられる」とは言うが
アフガニスタン難民の2人にはルバーブは
「生活の糧」であると同時に彼らの
アイデンティティと人生の希望だった。
じじは「警察には届けない」
「ことを荒立ててはいかん…さらにほしがるのは良くない」という。
支援金と近所で皿洗いの仕事でなんとかなると言うが
有名ルバーブ奏者の祖父を皿洗いさせる事に
サミはショックを受け、モスクの神に
「どうか、やり遂げられるよう助けてください。」と
絶対にルバーブをとりもどすと誓った。
翌日学校のトイレで悪そうな生徒の会話から
「質屋」を知り図書館のパソコンで場所を調べた。
ふと、夕べ大好きなサッカーチーム“マンチェスター”の
試合を見逃し負けたと独り言でぐちると
隣にいたダンという生徒が急に話しかけてきた。
彼に別の子と話している間にその場を後にした。
サミの放課後ルバーブ探しは手ごたえがない。
せめてラマダンをじじと一緒にやれば少し元気になるか?
と考えているとサッカーボールが転がってきて
蹴り返えすとあのダンの足元に落ちた。
彼が来てサミをサッカーチームに勧誘しだし
出身地をアフガニスタンだと答えると
彼の父は陸軍らしく「逃げ出せて運が良かったね」という。
ルバーブ探しで忙しいというとダンはスマホで
あっとう間にオークションに出品されたルバーブを見つけた。
出品している店は「盗品でも慈善団体じゃないから700ドル(7万~)」
といい4週間以内なら取っておいてやるという。
サミはどうやって金を用意すればいいか、めまいがした。
5~7
ラマダン中のサミは中学のカフェテリアの一番奥で
700ドルの捻出方法を考えた。
ダンが来てサッカーチームの生徒に
「サミをチームに入れたい」話をするとピーターは
機嫌が悪くなりサミに攻撃的な態度を取りだした。
サミの宝物のマンチェスターのキーホルダーを
「iPodと交換でどうだ」と言う。
ギリシャでなけなしの所持金の中からじじが
プレゼントしてくれた思い出のキーホルダーだが
ルバーブのこと思い交換することにした。
ところはiPodは壊れていてピーターはだましたのだった。
【「取引日誌」マンチェスターユナイテッドキーホルダー→iPod】
ショックで呆然と帰ろうとするとダンが壊れたiPodを
充電してみるからその間サッカーしようと誘ってきた。
実はピーターもチームメンバーだが
盗んだものを質屋に売ったりトイレに落書きした罰で
放課後居残りの罰でサッカーできないと聞いた。
体育館でダンが「おれの友達」と紹介するが
サミはアフガンの“あの結婚式”依頼、人を
信じられなくなっていたので面食らった。
ダンとレイラと組んだチームで試合は勝ったが
充電してたiPodは壊れたまま。
だがダンは「マジックをやる」と修理して
チームのベンジがiPodをなにかと交換して欲しいと言い出した。
8~10
次の日じじとモスクに行き、地下道で20ドルくれた
ファリドさんと知り合い、姪はサッカーチームの
ハミダだと知った。
彼はモスクの人が来るからと日曜日公園に誘ってきたが
ルバーブの話が出ると気まずくなってごまかした。
そのじじの沈黙は父さんがタリバンの電話で
自分が死ぬのを知った時のそれと似ていて
ハッとしてじじを見た。
その後のサッカー練習でベンジが交換できる物を
見せたがロクな物がなく保留にし、サミが難民として
欧州にいる時に手にした外国の硬貨をコインの好きそうな
ジューニパーさんに持ち掛けようとすると
レイラから「彼女を好きなコーチに言う方がいい」と
アドバイスをくれた。
おかげで硬貨はコーチのゲーム本8冊に変わり
本はダンの何かと交換することになった。
レイラは「たくさんの人と取引できる」お母さんの
勤める骨董品店に連れて行ってくれる事になった。
【外国の硬貨→ゲーム本】
レイラからは「なぜ、色んな所に住んでたの?」と聞かれた。
戦争があったから。タリバンが僕たちを殺そうとしたから。
両親が死んだから。イランも安全でなく
ヨーロッパそれからアメリカのほうがチャンスがあると
パイシーア軍曹に説得されたから…結局「わからない」と答えた。
レイラのママ・ミシェルさんは商品は遺品で
「ものが記憶をとどめている」という。
「記憶を封じ込めても、いつかは飛び出してくる。
その時もっと苦しい目にあうことになるわ」と言われ
サミは怒りで息もできないほどに
「痛いほど苦しい記憶なんてこの人にわかるのか?…
そんな記憶を開放したら、僕は完全にまいってしまう」と
思ったが、彼女も同じ痛みがある人だと気づき気を取り直した。
そして、ベンジの家の陶器の人形と同じものがあり
オーナーが「1体4,50ドル」と言うのでベンジと取引成立した。
11~14
日曜日、サミとじじは公園に行った。
公園でのベンジと取引はハミダがレイラの家が近いから
取引した人形を代わりに持って行ってくれる事になった。
じじの側に戻るとマンチェスターのキーホルダーが
ない事を気づかれ、正直に言えないし公園近くの
川を見ると地中海をプラスチックボートで荒波に
もまれ揺られ突き落とされ、到着した時は2人死んでた
あのシーンを思い出す。じじの腕に頭をあずけ、かたく目を閉じた。
【iPod→陶器人形】
3日後ダンが取引用にパパの戦闘ブーツを持ってきた。
するとピーターがサミへの嫌がらせで
「iPodはどうした?」とそばにきた。
サミは黙っていたのにダンが
「修理して100ドル以上もうけた」と言い
逆ギレしたピーターが「iPodを返せ」「爆弾野郎」
「ここはお前のいるところじゃねぇよ、テロリスト!」
マリガン先生が仲裁に入るがサミはショックで寒気がした。
ピーターの「盗まれた」は先生が嘘だと指摘した。
3人は校長室でそれぞれの保護者と話し合いになった。
ピーターの言葉はアフガンで爆弾におびえた過去や
難民として「刑務所行き」「強制送還」など想像させた。
ダンはサッカー以外頭にないのでサミを追い詰める事に
なった事に気付いていない。
ダンのママは弁護士に会うので忙しいと言ったが
先生から「ピーターがヘイトスピーチした」と問題指摘した。
ピーターの謝罪はウソくさいが早く終わらせるために
謝罪を受け入れ、ピーターに帰り際足を蹴られ
ダンは「練習に遅れるなよ」とまたサッカー。
じじにもキーホルダーやiPodの所在を聞かれても
本当のことを言えない自分を不潔に感じた。
ピーターとダンを恨んだがダンと取引があるので
体育館に向かうとすぐ試合に入るよう言われた。
モヤモヤしているのでチームワークは最悪で
途中コーチに怒られるほどもめた。
ダンもピーターの件の非を認めたが
すぐ取引にかかる切り替えの早さについていけない。
味方同士だけど友達と言えるかはわからなかった。
【ゲーム本→戦闘ブーツ】
15~17
レイラが人形の代金を持って来てくれて
「なぜこんな取引をしてるのか?」聞いてきた。
コーチも気になったらしく近づいてきた。
迷ったがサミは取引する事情を説明した。
レイラは激怒してくれ土曜日に遺品セールに
誘ってくれたのでじじを連れていく事にした。
ダンがブーツは軍隊に入りたがっているジュリーを推薦し
彼女の「サインペンセット」を絵の好きなハミダに
持ちかけることにした。
コーチは「友人の論文テーマが難民危機だから
君が話をしたら報酬をもらえると思う」と
その人の名刺をくれた。
コーチはためらいながら
「お金のためだけじゃく人に話す方がいい場合もある」と
ソマリア出身の両親のことを言った。
土曜の朝、レイラとママがワゴン車で迎えに来た。
ダンは両親と来ないしパパのことは話さないので
ママしかいないと察し口にしない事にした。
その家ではパソコンが売りに出ていて買った後
じじが倒れていた。
ただのめまいだとは言うが、サミにはそれまで
なかった「老い」とじじの心労は自分のせいだと
なおさら悔いた。
脱水だから水を飲むよう勧めてもラマダンだから
断り、病人だと認めない事にさすがにサミも怒りを
おぼえたが説得して水を飲ませた。
サミは話したくなかったが、一刻も早くルバーブを
取り戻さなければとコーチがくれた名刺の人と
6番目の取り引きをする電話をした。
18~19
月曜日の放課後、憂うつな気持でインタビューに向かった。
相手のリンカーンさんは助手のシュリルさんと
現れ「あなたのように生き抜いてきた人」と
言うがサミには悲しく聞こえた。
部屋に通された後、リンカーンさんはサミのお土産用に
アフガンのオヤツ桑の実のドライフルーツを
用意してくれていた。それは故郷の幸せな日々を思い出させた。
インタビューは録音しながら始まった。
「父は戦争中、米軍基地で通訳として働いていました」
これを話すのは父さんが通訳じゃなかったら今も
アフガニスタンにいるはずだから話した。
母もサミが生まれる前はキャビンアテンダントで
家では英語も使うのでサミも話せるようになった。
状況が悪化しタリバンが勢力をとりもどすと
通訳の父さんは狙われ始めた。
父さんはアメリカ移住ビザを取る努力をしたが
米軍通訳者が国を出ると家族を誘拐し身代金請求
できなければ人質は殺されるので身動きがとれず
そのうちに脅迫電話がかかるようになって
情勢は悪化する一方だった。
その後の「いとこの結婚」について話をする時
サミの手は震え様子がおかしくなったので
リンカーンさんは話しを飛ばしていいと言ってくれ
国を出るところから話をした。
自力で行くとほぼ死ぬ確率が高いのでサミとじじは
密輸業者に持ち金をほとんど渡し国を出て、イランの
親戚をたより、ヨーロッパに希望があると聞いて
トルコに行き、ボートでギリシャに行き安ホテルで
20人の他人と親戚が送金してくれるのを待った。
その時パイシーア元軍曹に会い
「アメリカなら亡命できるかも?それは父さんの夢でもあったから」
とビザを取る手助けをしてくれた。
ついにアメリカに来て、難民支援団体のおかげで
なんとか生活をはじめることができたが
その後、ルバーブが盗まれた。
サミはここまで一気に話して体中が
傷み泣きじゃくったように息が苦しく疲れ切った。
リンカーンさんも泣いたようで
「胸がつぶれそうだよ、サミ」と感謝し50ドルくれた。
そして分厚い教科書を4冊も売れるからとプレゼントしてくれた。
別れ際にサミがバシュトゥー語で
「あなたが神の平穏の中にとどまりますように」と言い
リンカーンさんは
「ぼくは心から、君の向かうところにたくさんの
善いことがあるよう願っているよ、サミ」と
しきたり通り頭を下げた。サミは少し心が軽くなった。
【話→50ドル+教科書】
20~23
2日後、学年最後の授業が終わりダンとサッカーに向かってると
ピーターが付きまといはじめた。
居残りが終わり彼もサッカーに参加できるのだ。
ダンの気を引こうと話しても素っ気ない態度で
ついにキレたピーターはトイレの落書きを一緒にやるはずが
ダンが度胸がなくて来なかった事。
ダンの父親が恋人の家に行ってしまった事をののしった。
サミが止めに入るとピーターは
「テロリストが守ってくれるとよ!
爆弾でぶっとばされるのがおちじゃねーの?」と言った。
ダンがキレて殴りかかろうとするのでサミは
「友達に面倒を起こして欲しくない」と叫んだ自分自身に驚いた。
コーチが来てピーターに「倫理規定に反する」と体育館から
追いだし、ダンも戦争によって傷つけられていたのを知った。
練習後、ジュリーとブーツを画材と交換し
それをハミダのギターと礼拝の日に交換することにした。
サミはあのギター店に売りに行こうとダンも誘った。
【戦闘ブーツ→画材】
今日のモスクでの礼拝を入れて残り11日で625ドル
稼がなければならない。
礼拝中に見たじじの手はひび割れや血がにじんでいて
早くルバーブを取り戻さなければと、じじの心の平安を願った。
じじがトイレに行っている間ついにファリドさんから
ルバーブの事を聞かれ「ハミダに聞いてください」とその場をしのぎ
体育館でハミダと取引のため、じじをふりかえることなく
あわただしくモスクを後にした。
体育館でハミダと画材とギターを交換し、ダンからは
パソコンのバッテリーが来たので即ネットで
売りに出してくれていた。
【画材→ギター】
月曜に行くはずのギター店はダンの都合で
サッカーをさぼって木曜に行った。
2人ともレイラから7月4日の独立記念日の
イベント招待のメールを受けたがラマダンが明けの
5日夕方までイベントは好ましくない。
じじを連れて行けば?どうだろうと思うが説得できるか…
だがメールの続きに
≪パパがノートPCを欲しがってる≫とあった。
独立記念日は前向きに考える事にして
古本屋でリチャードさんの教科書が205ドルで売れて
次にギター屋に行きハミダのギターはねばって80ドルで売った。
店主は感じ悪いがルバーブを見せてもらい胸が締め付けられた。
手にすると母さんのほほえみや父さんの手を思い出した。
サミでもこうなのだから、じじがこれを胸に抱けたら心の傷も
治るに違いない。
ダンに言われルバーブを弾くと幸せだった記憶がよみがえる。
その演奏にダンは熱烈に拍手して「すごかった」
「完璧にわかった。なんできみがあれをとりもどしたいか」と
サミの肩に腕を回し「ルバーブはおれたちふたりでとりもどすんだ」と言った。
【教科書→250ドル、ギター→80ドル】
駅でダンと分かれると2件着信履歴を無視した。
レイラに「独立記念日はじじに聞かないと」と返信すると
向こうからなぜか仕事中のはずのじじが顔をしかめて
歩いてくる。
サミがサッカーをさぼった事や連絡もしなかった事
じじの心配より家族以外のことを考えていると怒り
サミが隠し事をしている事を悲しんでいるのに
会話中にも携帯メールにすぐ反応する事にため息をついた。
しかもじじは体調のせいで仕事をクビになっていた。
アパートにつづけてメールが来たので意を決して
独立記念日にじじを誘うと強く「ことわる」と言われた。
「ラマダンの信仰や家族より大事な事か?」
「前の故郷を忘れてはいけない」と荒々しく怒鳴った。
「おまえが家族より他人になぐさめを求め
過去の事を話なくなったら、おまえをどう理解すればいい?」
サミの罪悪感は怒りになり「ぼくにはじじ以外にもいる」と
言ってしまった自分にギョッとしてバスルームに閉じこもった。
記念日には一人で行くと返信した。
24~26
あれ依頼じじとほとんど口をきかないが
パソコンの取引に集中する事にした。
レイラ一家と記念日イベントの公園に行き取引の話をしようとしたら
ミシェルさんはもう自分でPCを買ってしまったという。
みんなが励ましてくれるがショックのサミ。
しかもこれから上がる花火は大きな音だというので
サミは動揺を抑えられなかった。
花火の音や光、衝撃はあの日の結婚式を思い出させ
サミは崩れ落ち、震えや冷や汗が流れ
耐えきれず逃げ出した。
あの日、結婚式で8歳のサミは退屈していたので
外のブドウ棚を見たいと演奏の終わったじじと2人
母さんに手を振って会場を出た。
たくさんブドウが取れてみんなも呼びたいと
話してると中から大きな破裂音がして窓ガラスが散らばり
中からタタタタタ‥‥という銃声と悲鳴が聞こえた。
じじはサミを引っ張り下ろしさけび声にまだ生きてると
サミが行こうとするのを止めるが、じじも「わしの家族が…」と
一人行こうとするので
「ぼくもじじの家族だよ。ここにいて。お願い」としがみついた。
しばらくして2人は警察に助けられたが生存者は数名。
母さん父さんは亡くなっていた。
タリバンは遠い親戚を自爆者として爆発させ
2名が自動小銃で生き残った人を撃ち殺した。
警察の「生き残れて、幸運でしたな」は
消耗しきった心にうつろにひびいた。
突然消えたサミにみんなは連絡してきたが
短いメール返信をして電源を切った。
やっとの思いで家に帰り、震えあえぎながら
じじに「ごめんなさい」と座り込んだ。
「なにが幸運だよ!…生き残ったって言う気もしない。
これじゃ拷問だよ」
サミがあの光景を思い出してるのを察したじじは
「これは延々と続く拷問だ…今生きてるのは
お互いのためでもあるし、苦しんでいるほかの者の
ためでもある。
そうやって生きていればいつか苦しみも癒えるかもしれん」
「じじがいなくなってもオマエの心の中にいるし
神はほかの者をつかわしてたくさんの出会いがある。
それを受け入れれば、ほかの者を呼び寄せて
ひとりぼっちにはならん。
この苦しみに終わりが来るかわからないが
ずっとこのままではないはずだ」
27~31
夕べのショックで正午に目覚めたサミ。
ダンからは体育館に来いとメールが来てて
今日がギター屋の期限で残り340ドル稼ぐ方法などない事に
モンモンとしていた。
そんなサミにじじはラマダン明けのイード(祭)のプレゼント
として新しいTシャツと「友達は希望をあたえてくれる」と
家から出る自由をくれた。
体育館につくとダンとレイラが
「ノートパソコンオークション」を開催すると
準備したくさんの人を招待してくれていた。
チームメイトの家族やモスクの人々
リンカーンさん、シュリルさんもいて
彼女が250ドルで落札し、610ドルになった。
90ドル足りない分どうしようと言っていると
ファミダさんが「イードおめでとう」と封筒をくれた。
なかにはカードと200ドル、おじいさんにルバーブが
もどったら定期演奏できる場所を紹介したい、と
メッセージがあり、涙があふれだした。サミは泣きながら
「みんなに、こんなことしてもらう資格なんてないです」に
シュリルさんやファミドさんは
「私たちはきみに幸せになってもらいたいだけだ」という。
ずたずたの過去を引き渡し、新しい人の結びつき・歌・故郷を
手に入れた。
みんなから見送られダンとギター屋につくと
店主は約束を破り「もっと条件のいい客にルバーブは売った」
という。サミは怒りが爆発したがダンが帰ろうと
うながし、ルバーブを買った客の情報を手に入れたと
その人に家に向かった。
その家の人は色鮮やかなスカーフをかぶった母さんと同じ
灰褐色の目の若いマリハさんというアフガニスタン人だった。
彼女がスカーフをはすした顔は皮膚が溶けて鼻と唇は
つるつるの斜面になり、微笑んだのがわからなかった。
ダンもひるんだしサミも顔をまともに見れなかったが
同朋だし招き入れられ家に入った。
彼女はカプールで父の借金のために14歳で結婚した。
こっそり学校に行くと夫に暴力をうけ、家に閉じ込められ
気晴らしに夫のダンブラを弾くのが唯一の心の支えだった。
だが女性が楽器を弾くことは許されない社会。
姑は『男を誘惑するために弾いている』と言い出し
それでもダンブラをやめなかったマリハさんに怒り
夫は彼女に硫酸をかけて出て行った。
彼女はやっと女性保護施設に逃げ込んだが、その顔が
インターネットに公開され、夫は自分たちを辱めた仕返しする
と脅してきたので、避難させられNYに来た。
アフガニスタンでは珍しくない虐待の話だが
サミの母は教育を受け、家族に愛されたことは
例外だったのか?とわからなくなった。
マリハさんはNYで英語を習い、ボストンで手術して
そのまま支援の多いこの街に残ったという。
マリハさんはギターは音になじめず売りに行ったら
ルバーブと出会い、これは神が自分からサミに
イートのプレゼントを贈ることをに望まれているから
とお金を受け取らずにルバーブをくれた。
サミは「イートのお祝いをしに家に来てください」と
マリハさんや思いつく限りの人を招待しじじに連絡した。
ルバーブを買い戻すためのお金はマリハさんに相談して
この町の難民支援プログラムへの寄付と
じじにハンドクリームとイードの料理の追加も買う事にした。
サミはみんなを連れて帰りイードの準備中のじじにルバーブを差し出した。
本物の深い喜びがじじの魂にもどってきた。
『11番目の取引』読書感想文・書き方例文とポイント
・高学年の部 本文 2000字以内
(作文用紙400字×5枚)
読書感想文コンクールの入賞した子は
原稿用紙2000字きっちりに書きます。
・この本を選んだきっかけ
・簡単なあらすじ
・感想、疑問点など
(特に面白かったところ、感情が動いたところ)
・自分の意見、似たような経験談
・本を読んでの意見
(本を読んで学んだこと、自分の意見、今後の生活に生かしていく。など)
あらすじは簡単でもいいですが
・自分がどう感じたか?
・本を読んで何を感じ、今後にどう生かすか?
は重要です。
また「似たような経験」の自己開示がある感想文は
なぜか評価が高いです。
【11番目の取引】感想文例文1400文字】
人は心の傷を抱えた場合、自分の心の中でそれと
どう折り合いをつけて生きていけばいいのでしょう?
生きていれば傷つく事や悲しい出来事は
誰にでもあります。あまりにヒドイ出来事の記憶を
「トラウマ」と言い拷問のように苦しめられ続ける
事もあります。
この物語は主人公の少年が8歳の時に国内のテロリストに
よって両親や親せきが殺されてしまい、自分の国から
数年がかりで逃げてアメリカに難民できて心機一転
やっていけると思った矢先に少年と祖父の
アイデンティティである大切な楽器ルバーブを盗まれて
それを取り戻すための取引を繰り返しながら
心の傷をすこしずつ癒していく物語です。
月日がたち12歳のサミは時折、恐ろしい記憶が
蘇ります。
「もし父さんが通訳じゃなければ…」と
原因を後悔する事しか今はできません。
父親がアフガニスタンの在米軍の通訳だった事から
アメリカと敵対するタリバンから裏切り者として
命を狙われて起きた惨劇だからです。
ルバーブ奏者のじじは全てを奪われても
「警察には届けない」「ことを荒立ててはいかん」と
苦しみを甘んじて受けようとし
「神は慈悲深くておられる」と言います。
たしかに犯人を見つけ罪を問いても癒しには
ならず苦しみの連鎖になることすらあります。
だからこの物語のすばらしいところはサミが
この悲劇の犯人探しではなく解決策として
「絶対ルバーブを取り戻す」と立ち上がった事です。
不思議な事にサミは行動する事で
ダンをかわきりに色んな出会いをすることになります。
ミシェルさんのように「記憶を封じ込めても
いつかは飛び出してくる。その時もっと苦しい目にあう」と
キツいけど愛のある助言をくれる人や
しぶしぶ行ったサミの経験談を買ってくれる
リチャードさんとの出会い
「取引するの理由」を思い切ってみんなに話す事で
サミに多くの協力者が集まってきます。
ピーターやギター屋のように自分の価値観で生きる人も
もちろんいますがファリドさんのように
「私たちはきみに幸せになってもらいたいだけだ」と
誰かの悲しみを見過ごせない人も世の中にいるのです。
サミにとってアメリカが故郷になった瞬間でした。
最後の取引をするアフガニスタン出身の悲劇の女性
マリハさんが無償でルバーブをプレゼントしてくれる事を
恐縮するサミでしたがマリハさんはサミから
感激と感謝する喜びを受け取ったのだと思います。
自分がこの本で感じた事は
人間が最も欲しいモノとは「自分は役立っている」という
存在価値を感じられる事にあると思いました。
そして人間の幸福感とは物質だけではなく
誰かと笑い合える事が前提なのだと強く感じました。
サミが抱える一番の惨劇の記憶は誰にも話していません。
誰かに話すにはまだ彼の魂は弱く若すぎるのかもしれません。
じじは「この苦しみに終わりが来るかわからないが
ずっとこのままではないはずだ」と言いました。
サミとじじの心の傷はけして消える事はないと思いますが
彼らの持てる力で誰かと愛情や思いやりを交換し続ける事で
悲劇の記憶に負けない安心感を得られると思いました。
この物語から学んだことは、自分が傷ついた時
誰かが傷ついた時、おたがいその傷口にはふれないとしても
誰かとの新たなつながりでその痛みを薄くすることはできる。
その第一歩を踏み出す勇気が必要だという事です。
少しでも前進しようと頑張れば、協力者やアイデアが
不思議と集まってくるのだと勇気が出た気がしました。
【2020年読書感想文】中学生の課題図書
読みやすさ ★★☆☆☆
感想文の書きやすさ ★★★☆☆
こんな子におすすめ
・戦争や原爆などの問題に興味がある
・広島に住んでいる
・被爆者の人が知り合いにいる
・絵を描いている
読みやすさ ★★★★☆
感想文の書きやすさ ★★★☆☆
こんな子におすすめ
・職業体験について知りたい
・幼児など小さい子供が好き
・教育関係の仕事、先生や保育士などになりたい
・親子関係などわだかまりがある
読書感想文の書き方の“こたえ”
過去の読書感想文課題図書なら、感想文を書いた人も沢山います。
入賞作は審査員が気に入る読書感想文は
先生方が「良い」「書いて欲しい」と思うこたえとは
生徒が真剣に本のテーマを考えている…
「とても正しい優等生な意見」です。
時に本の内容と似たような
「自分の恥ずかしい失敗談」などの
自己開示もあるとより一層
「素直でよろしい」とされます。
そして本を読んだ感想と
自分の経験を照らし合わせて
よりよい品行方正な考え方を身に着けたか?
それが「読書したうえでの学習効果」にあたります。
自分なりの意見があっても反抗的だったり
「いいと思います」「すごいと思います」などの
単純な感想ではいい点数をつけてくれません。
何をいいと思うのか?
前年の課題図書の読書感想文全国コンクールの
入賞作品を参考にすると書き方のコツが身につきます。