【そして、バトンは渡された】あらすじ(ネタバレ)と感想文・映画のキャスト



映画「そして、バトンは渡された」

「私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。」
高校二年生の森宮優子。
生まれた時は水戸優子だった。その後、田中優子となり、泉ヶ原優子を経て、現在は森宮を名乗っている。
名付けた人物は近くにいないから、どういう思いでつけられた名前かはわからない。
継父継母がころころ変わるが、血の繋がっていない人ばかり。「バトン」のようにして様々な両親の元を渡り歩いた優子だが、親との関係に悩むこともグレることもなく、どこでも幸せだった。

映画「そして、バトンは渡された」
公開日:2021年10月29日(金)
出演:永野芽郁、田中圭、岡田健史、石原さとみ、大森南朋、市村正親、稲垣来泉
監督:前田哲[9]
脚本:橋本裕志
原作:瀬尾まいこ

こちらでは
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映画「そして、バトンは渡された」のキャスト
「そして、バトンは渡された」原作小説のあらすじ・ネタバレ
「そして、バトンは渡された」読書感想文・感想

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映画「そして、バトンは渡された」のキャスト


森宮優子:永野芽郁
幼い頃に実母を亡くし、実父と祖父母に育てられます。実父の再婚とその後の離婚によって、複雑な家庭環境を遍歴。

森宮壮介(森宮さん):田中圭
梨花の3番目の再婚相手。優子の3番目の父親となり、優子を実の娘のように愛しています。

早瀬賢人:岡田健史
ピアノで音大を目指す同級生

水戸秀平:大森南朋
優子の実父。優子の実母を亡くし温かく娘を育てていたのですが、梨花と再婚。やがて転勤で海外へ転勤になります

森宮優子(子供時代):稲垣来泉

田中梨花:石原さとみ
優子の実父の再婚相手。優子の義理の母となってたぐいまれな愛を注ぎます。

泉ヶ原茂雄:市村正親
梨花の2番目の再婚相手。優子の2番目の父親となるお金持ちの高齢者。

監督:前田哲
月はどっちに出ている(助監督)
That’s カンニング! 史上最大の作戦?(助監督)
Shall we ダンス?(助監督)
ポッキー坂恋物語「かわいい人」(1998)
ゼニ学 禁断の錬金術篇(2000)
ゼニ学 悪女の決算篇(2000)
GLOW 僕らはここに…。(2000)
sWinGmaN(2000)
パコダテ人(2002)
棒たおし!(2003)
ガキンチョ★ROCK(2004)
パローレ(2005)
陽気なギャングが地球を回す(2006)
ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ(2007)
ブタがいた教室(2008)
猿ロック THE MOVIE(2010)
極道めし(2011)
王様とボク(2012)
旅の贈りもの 〜明日へ〜(2013)
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018)
ぼくの好きな先生(2019)

脚本:橋本裕志
(映画)
とっておき Virgin Love! 童貞物語3(1989年)
外科室(1992年)
仮面学園(2000年)
ONE PIECE ねじまき島の冒険(2001年)
ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国(2002年)
劇場版 金色のガッシュベル!!101番目の魔物(2004年)
フレフレ少女(2008年)
守護天使(2009年)
星守る犬(2011年)
テルマエ・ロマエII(2014年)
映画 ビリギャル(2015年)
いぬやしき(2018年)
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(2018年)

原作:瀬尾まいこ

配給:ワーナー・ブラザース映画

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「そして、バトンは渡された」原作のあらすじ・ネタバレ

「そして、バトンは渡された」は安心して読めるファミリー感動系ストーリーです。
若い読者に人気があり、2019年に本屋大賞受賞した他、TBS『王様のブランチ』ブランチBOOK大賞2018、紀伊國屋書店・キノベス!2019などで大賞受賞。2019年「二十歳が一番読んだ小説ランキング」では3位にランクインしています。

第一章
困った。全然不幸ではないのだ。いつものことながら、この状況に申し訳なくなってしまう。
高校2年最後の進路面談で先生からは「つらいことは話すよう」うながされるが、何もないのである。

森宮優子には三人の父親と二人の母親がいる。名前もその都度変わり、実の親の水戸優子、次に田中優子、泉ヶ原優子、現在は三人目の父親の森宮優子となり父と二人暮らししている。教師たちは優子を「気にとめる生徒」と思われるが、実際何の不満もなく日々を過ごしている。進路相談は栄養士の資格が取れる園田短大希望という話で終わった。
だから今の父親・森宮に「次に結婚するとしたら、意地悪な人としてくれないかな…ちょっとくらい意地悪な人の方が便利、ドラマチックな不幸が必要」というと森宮は「意地悪な人が母親になったところでそう簡単に不幸になれないんじゃない?」と優子が作った料理をほめる。
なんでも一緒に入れて料理するのは前の母親・梨花さんに教わり「親になれてラッキー」と言ってた。森宮は「父親の立場気に入ってる…再婚する気ない」と。不幸と言えば森宮がマイペースでプリンを食べられちゃうことくらいだった。
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何をもって本当の親だと言うのかはわからない。けれど生みの親が本物だと言うのなら、その記憶はあいまいだ。、
実の母親は三歳になる前に事故で亡くなったと聞かされてたけどピンとこず、実の父・水戸秀平と祖父母もいたため何不自由なく育ち、小学校入学式の日に初めて母親がいない違和感に気付いた時聞くと、「もう少し大きくなったら教える」とケーキでごまかされ優子もケーキに夢中になった。だが小学校二年になり、実の母はトラックに轢かれて亡くなったと聞き、悲しくて知って後悔した。

小学2年の夏休みに、父は27歳の田中梨花と再婚する。
梨花は明るくてオシャレな梨花をすぐ好きになり、それまで祖父母から実用重視、質素倹約との躾を、欲しい物を躊躇なく買おうと言うのが新鮮で楽しく小学3年生で父と梨花さんは結婚して3人暮らしが始まり、食事もオムライスやカレーなどになり、お手伝いもほめてくれるし、いつも家にいて髪の毛もかわいくしてくれる自慢の人だったが、お母さんという感じはしなかったし「お母さんって呼ばなくもいいよ」「出産もせずに優子の母親になれてラッキー」と、子供がいるからできる生活を全部おもしろいと語り「優子ちゃんもにこにこしてたら、ラッキーなことたくさんやってくるよ」と、人に好かれることの大切さを教えられたおかげで、学校高学年から告白されることが多かった。それに笑っていないとだめなことが、いつかやってくるそんな予感もあった。
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小学校四年の3学期、父はブラジルへの異動が決まり、2人は離婚することになったので、どっちについていくのか?選択を迫られたが、梨花の巧みな話術によって友達と離れたくないと、梨花を選んで優子は田中優子となった。
だが父親が帰ってこない現実にようやく気づき涙があふれ、後になって「子供の私に選択させるべきじゃなかった」と後悔した。かつて選んだ友達はもう年賀状のやりとりしかないし、将来を約束してくれない。祖父母とは疎遠になった。友達は新たにできても血縁者を手に入れることは二度とできないのだ。
高3の現在、優子に言い寄るため一緒に球技大会の実行委員をした男子・浜坂を友人・萌絵が好きになり仲介を優子に頼みます。ですが言い出せずにもう一人の友達・史奈から始まりクラスの女子から「友達って一番大事だよね」とハブられることに…『友達は絶対ではない』という価値観の優子には、優先すべきものは他にあるとテスト勉強に集中した。
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「(萌絵のこと)ケロっとしてて驚いた」と夏休みに遊びに来た史奈が言い、萌絵は他校の男子と付き合いだし、上機嫌になったので楽だと優子は思う。父らしい気づかいをしたい森宮さんに「かっこいいね、イイ感じいなったりしないの?」と笑われたが、男性として見ることはまずない。
だが問題はこじれてクラスの目立つ女子、矢橋と墨田がからむので気は重かった。森宮さんも感づき優子が事情を話すと、自分の愚痴になり自虐話になるが気分が晴れる。
学校ではボッチでも気にせず一人学食に行くと、担任向井が声をかけてきても「よくあることです」と答えるので「他人事のよう」と言う。だが矢橋と墨田が更に親たちのことを悪く言いだしたので、教室内もさすがに引き、優子は端的に親たちとの履歴を話すと教室からは「つえー」と感嘆の声が上がった。
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強い部分があるなら梨花さんとの生活には、たくましさが必要だったからだと優子は思う。

離婚後、水戸からの養育費も浪費癖のせいで、食費や電気代に困るほど貧乏になった。だが梨花には悲壮感はなく、むしろ保険の営業の仕事を楽しんでいた。
引っ越したアパートの大家さんが助けてくれ、畑の野菜やおかずもくれるので貧乏なことを正直に話したり、お礼に犬の散歩をするのが習慣になった。時々お父さんのことを思い川を見ながら泣いた。お父さんに週に一度手紙を書いていても梨花は出すのを忘れ、返事が来たことがなくて梨花の言う通りよっぽど忙しいのか?と思った。
孫のように優子をかわいがる大家さんは自分を「血は繋がってないのに親バカかな」と言い、足の悪くなったので老人ホームに入ると、梨花に内緒で二十万円の札束を渡してきた。「困った時に役立つかもしれないから」と。
見送りの日、もう会えないと言葉につまる優子に「生きていれば優子ちゃんの幸せも願えるし応援もできる」と手を握ってくれた。6年生になるし泣いている場合じゃないが涙がこぼれた。
想い出の中でしか会えない人が増えていく。離れたら終わり。今一緒にそばにいる人を大事にしようと心に決めた。
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森宮さんは平日なのにニンニク餃子で夏バテと墨田、矢橋を撃退できると言ってそこから連日餃子になった。クラスでも「(森宮が)カッコイイんでしょ?」など話しかけられ、少し状況改善したと話すと“餃子効果!”と喜んだ。
でも、優子は常に他人と過ごしているので、完全な一人の時間は苦どころか落ち着けたる時間だった。
そのうち豊田に彼氏ができ、優子への関心が薄れ萌絵と史奈とも元に戻り、同年代の中は大した理由もなくいざこざが起こり、ぼんやり収束するものだと思った。その翌日、これまでの出来事が自分が原因だと知った浜坂から言われた「森宮って立ち回るの下手だからな」「どの親も大事にしてくれたからやってこれたんだろ?」と気づかされた。
森宮に「2人の問題だったのに自分が決めることじゃなかった」というと「親だから言うけど、優子ちゃん傲慢なとこある」と「無洗米は無駄遣い」とする優子に「手間を買うことだ」と文句を言った。
優先順位1位は友達じゃないけど、何が正しく優先すべきかを決められるほど、私は立派ではない。だが塞いでいる時も元気な時も、ご飯を作ってくれる人がいる。それは、どんな献立よりも力を与えてくれるともわかった。
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合唱祭は盛り上がる。
中学からピアノを始めた優子は、大体伴走者になる。学年で伴走者指導では音大を目指す5組の早瀬君のはつらつとした感じと裏腹にオーケストラのような伴奏にほれ込んでしまう。

小学校六年になると、周囲の友達がピアノを習う子が多く優子も習いたいと梨花にお願いしてみた。
梨花は半年後の小学校卒業祝いに急に大きなお屋敷に引っ越しさせられ「この家とピアノと中学入学に向けて新しい父親も手に入ったんだ」と梨花の17個上で50歳過ぎの泉ヶ原茂雄と「ピアノをプレゼントしたいから結婚した」と言われ、子供は親に従うしかないと思い知った気がした。
家にはワイン色のグランドピアノやお手伝いの吉見さんがいて家事は手出しもできず、恵まれた生活なのに堅苦しくてピアノに没頭した。
泉ヶ原は優しくて父親ぶることもなく仕事でほとんどいないが、ピアノの調律ができ、亡くなって10年の先妻のピアノだと言う。「十年たったら忘れられるの?」と聞くと「時が経てば新生活がやってきてくれる。そう思うと生きていける」と言った。
だが不自由がない生活に音を上げたのが梨花だった。夕食のアジフライにソースをかけたのを吉見さんに征されて「やっぱりだめだわ」と梨花はいなくなった。そういう人だと覚悟していたが毎日夕方になると梨花は顔を出し、一緒に行こうと誘い言葉や態度で愛情を示すけどどこかはかなげに感じ、泉ヶ原は早く帰るようになったがコミュニケーションを取らずとも、隣の部屋でピアノを聴いてもらうことが優子を平穏な気持ちにさせた。
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優子は早瀬と練習を組む機会を得た時「自分のピアノじゃないのになじんでた」とほめられ告白された時以上に心臓が高鳴り赤面した。
だが家で「ピアノ欲しい」とつぶやきを焦って「十分してもらってる」と否定したことで森宮はカッとして「当然だろ?親の義務なのに不本意」とお互いの気づかいが明るみになり気まずくなる。
萌絵と史奈に言うと「父親なんて不潔で厄介な存在」と聞かされ、早瀬は「ピアノが乱れていた、心ここにあらず」と指摘や「母親が苦手」と言う。優子はみんなの親の扱いに本気で驚き、同時に血のつながりの深さを思い知らされた。
担任向井の呼び出され事情を話すと「(優子は)よくあるような親子関係を目指さなくていいのでは?」とアドバイスされた。「友達より父親ともめて勉強手につかないのは居心地がいいからね」と。

森宮は「親選手権」があるならほかの親に比べ劣っているからピアノとマンションを買うと言い出す。優子は笑いながら順位などないというと「父親の座を奪われるかひやひやしてた」と安心していた。代わりにコート買ってと言うと「それは違う」と断られ、父親ってうっとうしいと思えた。
前夜に練習してると森宮さんが課題曲をネットで調べたからと2人で歌いまくり合唱祭当日、泉ヶ原が手入れしたピアノ、森宮が「優子ちゃんに気に入られたい」と買ってくれた電子ピアノ。いつも最高の状態のピアノを弾いてきたから、どんなピアノでも怖気つかないと思えた。
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年末前に優子には彼氏ができた。
早瀬に彼女がいると知り密かな失恋の2日後、隣のクラスの脇田君から告白され寂しさも薄れるだろうと付き合いだしたが、人に好かれる安心感は悪くなかった。史奈は「森宮さん見た目悪くないけどモテなさそう」と派手な梨花とどうして結婚したのか?優子も不思議に思った。

優子が中学卒業した春休み、梨花が「頭もいいし、仕事もきちんとしてて、常識もあるから最後の父親として一番」と中学の同級生・森宮と籍を入れたので優子を引き取りたいと言い出し「優子ちゃんは実の子どものようにかけがえのない存在。だからこそ梨花よりいい親だと言い切る自信がない」と泉ヶ原はあっさり了承した。泉ヶ原は不器用でも見守っていてくれたのを知っていて、出ていけばもう会えない。だが子供の優子に選択権などなく、半ば投げやりに新たな生活が始まった。
別れた人が増えるたび恋しさが募る一方で、考えたら心が澱むだけ。期待せず今いる場所で生きる…と思うと心が冷めていった。森宮は「よろしくお願いいたします」と頭を下げウソつきではないなと思った。
しかし二か月後には書き置きを残して出て行った梨花が「再婚する」と離婚届が届いた。優子も自分より優先したい好きな人に出会えたのだろうと喜び、森宮もあっさり離婚を了承した。
二人はお互いに本音を話し、父親、娘であろうと気を張っていた部分を明かし、森宮は「結婚する時点で35だし、しっかりと考えて判断して、優子の父親になると決めていた」「子供がいると自分の明日と優子の明日、親になると未来が二倍以上になる、この生活を手放すなんて考えられない」と言い2人は家族として絆が深まった。

受験前の最後の日曜に脇田君と一日デートして帰ったら、森宮は説教をし逆にストレスでお腹を痛くしたり、食べたくないけど受験勉強の夜食を作ってくれたり、何かある日は朝1時間休みを取る。受験に関して一番応援してくれたのは脇田君じゃなく森宮だった。無事に合格通知がきて一番に知らせるのは「一応父親」の森宮で終業時間の会社に行きお礼にラーメンをおごった。
卒業式の日、担任向井は生徒一人一人に手紙をしたため「あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」と書かれていた。森宮と暮らし始めて三年、森宮をお父さんと呼べそうにない。だが今は家族を失う事は平気じゃない。優子は森宮が父親でなくなることを何としてでも阻止しこの暮らしを守ろうと覚悟した。『森宮優子』の名前で呼ばれると、次に名字を変えるのは自分自身だと心に決めた。

第二章


短大入学後1か月で脇田君にフラれ、次の男の子とは半年で終わるも仕事が減った気がした。卒業後は小さな家庭料理の店に就職しそこで早瀬と再会した。
彼は、イタリアにピザ留学から帰ったばかりで癖で優子と握手し、真っ赤になった優子に早瀬は『俺のこと好きなの?』と率直に聞き、優子も『まあ、そう……。そうなんです』と正直に頷いてしばらくしてから付き合うことになった。早瀬は「陽気な音楽」が好きだと気づき、音楽とレストラン経営をするロッシーニにあこがれ、音大は残り5か月で中退し今度はハンバーグ作りを学ぶために渡米した。森宮はいい顔をせず、帰国した早瀬は「チェーンじゃないファミリーレストランを作るから結婚して」と言い出し、あまりの気軽さに戸惑うと「嫌なことや、つらいことが出てきたらその時修正すればいい」に店長の山本さんまで「なんでもきれいに平らげる人ってそうそういないよ」と賛成した。
結婚の挨拶に来た早瀬を森宮は「こんな不安定な男との結婚認める親一人もいないから」とロクに話しを聞かないが、お土産のチーズケーキは食べた。
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森宮が認めないので先に他の両親に報告することにし「親めぐりの旅」はまず泉ヶ原に会いに行った。
3年しか暮らしてないのに慣れ親しんだ親戚の家に思え、泉ヶ原はずいぶん年を取って見えた。
中学時代に投げやりにならなかったのは、泉ヶ原の静かな愛情で見守ってくれていたからだと、泉ヶ原が手入れしたピアノを早瀬が弾く音でもわかり、酒を飲みながら結婚を陽気で豪快に喜ぶ泉ヶ原に、当時は気を張っていたのだろうとわかった。優子が梨花の居場所について聞くと、泉ヶ原は戸惑いながら彼女の居場所を教えたが、そこは病院だった。

七年ぶりの梨花は痩せて年も取ったが昔と同じ笑顔を見せて優子を迎えた。
梨花は「私のつまらない話」を始めた。
当時、梨花は「泉ヶ原の家にいたら優子がダメになる」と思い込み、自立し優子を連れ出そうと思っていた。だが病気がわかり、優子が「親が変わるのは平気、死以上に辛いことはない」と言っていたから「優子の親に向いてる」森宮に託すことにした。
そもそも梨花が泉ヶ原に優子を引き取りたいと行った時、すぐに梨花の体調が悪いことを見抜き森宮と離婚後、泉ヶ原と再婚し現在に至ると言う。「しげちゃんの懐のでかさにはかなわないよね」と笑った。

森宮に反対されてると話すと「優子ちゃんに置いて行かれでもしたらって心配なんだよ」と言われ、時森宮も平当気じゃなかったのに優子を優先するからわからなかったと気づいた。
優子は昔、大家さんからもらった二十万円を「今が何とかしたい時だから」と梨花に渡して、最後にホントの親・水戸秀平の連絡先を教えてもらう約束をして別れた。

早瀬は病院の玄関ロビーにあるピアノを弾いていて、その音は病院の閉ざされた中でもつらい心にも寄り添ってくれる。優子は「ごたごた言ってないでピアノを弾かないといけない」とハンバーグもピザも、早瀬より料理のうまい自分が焼くというと、早瀬もうすうす気が付いていたと笑った。
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梨花から小さなダンボールで荷物が届けられ、そこには実の父親・水戸からの手紙が大量に入っていた。
当時、ブラジルから10日に1度手紙が送られてきたが、梨花が優子を失いたくなくて全て隠し、2年後水戸が帰国後会いたがっても会わせなかった、と梨花の告白の手紙もあった。当時優子がどれほど父を想ったか、胸が苦しく涙が流れた。だが梨花の愛情を思うとうらむ気になれず、森宮も梨花らしいなと言った。再婚し新たな家族のいる父の幸せをゆるがせたくなくて父の手紙も読まず連絡することをやめた。
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結婚式場を探し、早瀬は派遣でピアノ演奏する仕事に変え将来はレストランを開こうと話した。
早瀬の母はピアノの件で優子をあまり受け入れていないようだが、お父さんは歓迎してくれた。あとは森宮の説得で早瀬と料理を作って待ちわびると泉ヶ原が結婚祝いに三百万くれたと渡してきた。「泉ヶ原さんはこんなに応戦してくれてる。水戸さんも連絡とらなくても優子の幸せを願ってる、梨花は大喜びだろう。俺が反対とかおかしいもんな」と森宮が認めてくれた。
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結婚式の前夜、優子は森宮の本音が聞けるかもしれないと15歳の自分を育てるのは大変じゃなかったか?聞いた。
森宮は「金や勉強や仕事や恋、何をしたら満たされるかわからないし、自分の為に生きるのは難しい。でも優子の笑顔を見るだけで十分だと思える。自分より大事なものがある幸せが俺の手にしたかったものだった」と答えた。

優子は家族が変わる不安から、家族と言うものに一線引いて冷めた気持ちで自分を守ってきたけど、森宮と過ごしているうちそんなこと忘れていた。森宮が父親になってくれたことに感謝するのだった。

早瀬は2度目の訪問で断られて以降、森宮に手紙と自分のピアノ録音したCDを送りつけていたので「被害届」と称して「結婚がうまく行くまでCDが送り付けられるのは困るから、認めてやってくれ」と手紙とCDを早瀬の母に送った。お母さんは「必死な昔より、いい曲が弾けている」と優子を受け入れてくれた。森宮さんは故郷からの旅立ちの歌である「麦の歌」を聞きながら「優子ちゃんの故郷はここだよ、いつでも帰っておいて」と言った。
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結婚式当日、森宮は水戸を結婚式に招待した。
森宮は水戸さんの手紙を読まずにいられずいられなかった。そこには水戸さんの優子ちゃんへの痛いほどの切実な愛情が込められていて、梨花が恐れたのもわかる気もした。だが優子ちゃんの幸せは水戸さんの大きな喜びなのは、間違いないから手紙で水戸に結婚式を知らせた。
水戸さんは優子ちゃんに似ていて、優子ちゃんを育てた事と招待したことをに深く頭を下げてくれた。会場で再会した父娘は自然に「お父さん」と呼び、静かに涙を流す水戸さんに言葉や時間を超えた血の繋がりを感じさせた。

ヴァージンロードも水戸さんにと式場に伝えていたが、本番になりその役は森宮であると伝えられ「森宮さんだけが、ずっと変わらず父親でいてくれた、旅立つ場所も、この先戻れる場所も森宮のところにしかない」と言われる。バージンロードの入場直前、うまいことを言おうとしても何も出てこない。優子は「ありがとう森宮さん」とはいうが「お父さんやお母さん、パパやママどんな呼び名も森宮さんを超えられないよ」森宮の腕に手を置いた。森宮は大事な娘を手放すというのに、透き通った幸福感に包まれ、本当に幸せなのは、誰かと共に喜びを紡いでいる時じゃない。自分の知らない大きな未来へと大きなバトンを渡す時だ、と優子と森宮は一歩を踏み出した。

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小説「そして、バトンは渡された」読書感想文・感想


愛すると言う事は、とても贅沢で幸せなことなのだろうと思える。
もちろん愛される安心感は自己肯定と自信につながるが、不思議なことに世の人気者はたくさんのファンに囲まれていても渇望するものが多い気がする。
だが無理なく自然に愛を受け入れることができるのが、血のつながりである家族なのでしょう。

大人たちの都合で、家族がどんどん変わる優子。
生まれた時から子供が母を求めて泣くのは、自分の命をもっとも庇護をしてくれる存在が誰かわかるからでしょう。そして幼くそんな心理がわからなくても「親がいない」不安や恐怖は計り知れないものがあるのかもしれません。
物語の冒頭では優子という少女は素直で、どんな大人にもなつく柔軟性のある頭のいい子という印象を受け、本人もそう自負していたのかもしれません。ですが高校になり担任や自分を好いた男子から「不器用である」「親に恵まれている」と彼女の人生をリードしていたのはいつも彼女の親たちだったと気づかされます。
人生の通過儀礼とは人が以前より大人になる成長の機会です。
それは出生、成人、結婚、死などを経験する事で変化をもたらしますが、3歳にして親を失い、その後も何度も親や親しい人を喪失するのは優子が家族に対して冷めた目になったのはそれが、本来恐ろしい事だからなのだと思われます。
物語の「全然不幸ではないのだ。」に不幸ではない、でも当たり前の家族の幸せを知らない段階で、担任が注意深く優子に声をかけ様子を見ていたのも大げさな行為ではなかったのだな、と物語を読み終えて感じられました。

色んな立場の人がこの物語を読んで様々な感想を持つでしょう。個人的に梨花にずいぶんと業と罪深いと思い不快な存在になりました。
日本では夫婦が離婚すると親権を得られなかった親は、子供との縁が切れることが近年問題になっています。物理的に子供にも被害を及ぼすから面会させないケース以外は、別れた相手への恨み、独占欲、嫉妬などが原因に思われ、そこに子供の意思は尊重されることがなく「子供は親に従うしかない」という無意識の絶望を与えてたこと、優子の肉親の祖父母と永遠に会えなくなったことは、すべて梨花の自己愛によるものです。養育者と子供と言う関係で、それが愛情のように思えても子供の心を認めないことに社会は無関心であり過ぎたと思います。梨花の気持をわかってはいけない、許してはいけないと思うのです。

そして、それをすべて理解し誰も傷つけない方法で森宮が水戸に連絡できる親であったことで、この物語救いが見いだされホッとしました。
きっと想像力が高い人ほど上手に人と愛を交わし合えることができるのかもしれません。森宮が優子に餃子を焼き続け、毎食のようにスイーツを買ってくること。ピアノや合唱祭、受験に結婚。なんてことない子供の日常や変化に寄り添い続けられることがどれだけ貴重な経験で幸せなことかと知っているから、血のつながりのない自分が独占することを良しとしなかったのでしょう。
親が子供にしてあげられることとは、究極には一人で生きていける力を育ててあげることなのだと思います。
水戸や泉ヶ原、梨花そして早瀬の母という優子を取り囲む親たちが幸福感を感じられること、優子がなんの不安もない状態で誰か特定の親に後ろ髪惹かれる思いを払しょくさせて初めて優子の幸せの完成した形で早瀬と結婚させられる。
そこまで考えられるのがやはり親ならではであって、森宮さんは親選手権では梨花よりも遥かに優れた親だっとと強く思います。

気持が移り気で軽い早瀬を、元のピアノを弾く人生に強く軌道修正できた優子はたしかに生きていく力をそなえた大人に育っていました。それはたくさんの親それぞれを見て得たものなのでしょう。全ての親に臨むのは、バトンは引き継ぐまでしっかり強く握りしめ、確実に次につないでほしいという思いです。


キャスト的には、森宮さん演じる田中圭さんは原作のイメージにぴったりです。田中圭さんをモデルにして書かれたのか?思えるほど。また原作では梨花は優子愛しさに、優子の実の父・水戸より自分を選ぶよう「友達と会えなくなるよ」と言いくるめたり、手紙を渡さず親子断絶のようなことをもくろむ自己愛の強い母親ですが、このままでは梨花役の石原さとみさんの印象が悪くなるからか?水戸はサラリーマンで渋々ブラジル転勤ではなく「事業経営をしに海外に行き失敗s手帰ってくる」という設定にしているようです。ズルくない?と思いました。


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