映画【死刑にいたる病】はサスペンス?原作あらすじネタバレとおすすめ度

『死刑にいたる病』は、櫛木理宇氏による長編サスペンス小説です。
2022年5月6日に監督は白石和彌氏で、映画公開予定です(PG12指定)。
白石和彌監督と言えば、2013年『凶悪』2017年『彼女がその名を知らない鳥たち』2018年『孤狼の血』など殺人事件やアウトローの世界を描いた作品を得意とする監督で、数々の映画賞を受賞している引く手あまたの人気監督です。

今回映画化される『死刑にいたる病』落ちこぼれ鬱屈した法学部大学生・筧井雅也は稀代の連続殺人鬼で死刑囚の榛村大和から、一通の手紙を受け取ることから始まります。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」と雅也に無実を立証してほしいとの話をするのです。
かつて地域の人気のパン屋の元店主と常連客だった時はよき理解者であった榛村、「自分も狙われていたのでは?」との疑心暗鬼から、目を背けたくなるような残酷な犯行とは裏腹に、榛村の不運な人生やその人間的魅力に無意識に魅せられていき……、櫛木理宇氏による長編サスペンス小説です。

残虐な犯行内容ですが、映画はPG12(12歳未満の方は、保護者の助言・指導が必要)ですので、映像では残忍すぎる描写はあまりないと思われますが、犯人の榛村大和と筧井雅也の心理描写からどれだけ不気味さを感じられるかが見どころとなる作品です。

こちらでは
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【死刑にいたる病】登場人物と映画のキャスト
【死刑にいたる病】原作あらすじネタバレ
【死刑にいたる病】まとめとおすすめ度
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【死刑にいたる病】登場人物と映画のキャスト

【死刑にいたる病】登場人物

榛村大和(はいむら やまと):阿部サダヲ
稀代の連続殺人鬼。24件の殺人容疑で逮捕され、そのうち9件で立件・起訴・死刑判決を受ける。かつてはパン屋を営んでいた。繊細な雰囲気の上品な美男子で若く見え、人を魅了する

筧井雅也(かけい まさや):岡田健史
大学生。落ちこぼれ理想とはかけ離れた大学に通い、鬱屈した日々を送る中で榛村からの手紙を受け取る。

加納灯里(かのう あかり):宮﨑優
小・中学のクラスメイト。当時は男子からいじめを受けたいたが、当時優等生だった雅也は見下しつつも優しくしていた。偶然同じ大学になり何かと声をかけられ、同列になったことで屈辱を感じる存在。

江崎
小学校時代の元教師。大和の母の事を知っており「虐待を受けていた犠牲者」と同情的。

奈良岡
元保護司。大和が少年刑務所送致後15歳から19歳までの保護司。榛村織子の養子になるまで担当し「不遇な奴だった」という。

新井実葉子(あらいみよこ)
大和の実母。知的障害があり次々変える男により大和が虐待される。大和が15の時オーバードーズによる事故死する。

榛村織子(はいむら おりこ)
大和の養母。人権活動家で福祉と少年犯罪の専門家で本も出している。少年院出所後の大和を養子に引き取った

根津かおる(ねず かおる):佐藤玲
榛村が冤罪を主張する事件の被害者(当時23歳) 

佐村弁護士:赤ペン瀧川
榛村大和の担当弁護士

金山一輝(かなやま いっき):岩田剛典
根津かおるの犯罪で榛村を見たという目撃証人。

筧井衿子(かけいえりこ):中山美穂
雅也の母。家庭の中では「取るに足らぬ存在」として影が薄く、不仲ではないが親密な母子ではない。若い時、榛村織子と共に写真に写っていた。

その他
筧井和夫:鈴木卓爾
クラタ:大下ヒロト
地元の農夫:吉澤健
滝内:音尾琢真
赤ヤッケの女:岩井志麻子
相馬:コージ・トクダ
小松美咲:神岡実希
久保井早苗:川島鈴遥
宮下陸:大原由暉

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【死刑にいたる病】原作あらすじネタバレ

~第一章~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ある日、大学生・筧井雅也の元に1通の手紙が届いた。
それは24件の10代の少年少女を拷問・殺害し9件立件され死刑判決判決の出ている榛村大和からだった。

雅也は地元で榛村が営むパン屋の常連客で、中学までは父と祖母の期待を背負う優等生だった。
だが地元から離れた進学校の高校からは落ちこぼれ退学。実家には戻らず大検でFラン大法学部に滑り込んだものの、小中の落ちこぼれ同級生・加納灯里が同じ大学になり「過去の栄光」を思い出させる彼女が鬱陶しく、周囲の学生もバカにしか見えず関わらないので、大学でも鬱屈した生活を送っていた。

そんな生活の中、拘置所を訪れることにしたのは、榛村が「優等生時代の自分しか知らない」からもあった。
榛村は42歳の年齢より若く穏やかな美男子と言った感じだった。
手紙をよこしたのは「罪は認めるが最後の23歳のOL絞殺は冤罪だ。犯人はほかにいることを証明してほしい」と雅也に再調査を依頼するためだった。
なぜ自分なのか?なぜ今なのか?自分も狙われていたのではないのか?しかし榛村の眼は雅也を信じ切り、その表情や態度かからなぜか“中学まで感じていた万能感”がよみがえった。
ここへ来た一番の理由は「この眼をおれは見たかった」からだ。その奇妙な慈しみすら感じ、引き受けることを承諾した。
 

~第二章~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
雅也は榛村の弁護士から「連絡は受け付けない」条件のもと、公判資料と「佐村弁護士事務所・調査担当助手」の名刺を送られ、元教師、親類、元保護司、同級生、元養父らの証言を聞いて回った。
彼らの榛村への見解は「犠牲者である」「嫌悪の対象」と分かれたが、榛村を実母から引き取りたがった最後の養父はそれが叶わなかったが、榛村の実母・新井実葉子がオーバードーズで事故死し、そのお骨を榛村が食べたエピソードから「実母は別格なのでは」と言った。
その後すぐに2件の重篤な少年犯罪で自首し、出所後は人権活動家の榛村織子の養子になったという。

榛村に「2人の母親」について尋ねると「手紙に書く」と言われ、雅也が参考に読んでいる連続殺人のノンフィクション本を榛村も読んでその感想として「友達がいればこじらせる前に矯正していた」雅也に「(友達に)なれればいいと思っている」と言った。

面会室を出た後その本を落とし、拾おうとしてくれた赤茶の髪の男に雅也は「面会ですか?」と声をかけると男は戸惑いつつ「本気で会おうと面会に来たわけでなく迷っている…自分で決断するとロクなことがない…決めてくれますか」と心なしかおびえ逃げるように去って行った

~第三章~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
地元の犯行現場の近隣の高齢の村人は現在も「(榛村を)そう嫌いじゃない」と言い、常連客で榛村織子に似た中年女は「ナイフを持ったつもりで対峙しろ」とのアドバイスで嫁いびりが解決できたという。榛村と付き合った女は大和が弟に近づいていたとわかりゾッとしたと言ったが、別の女は犯行現場を目撃していながら「かくまおうか?」と言った。

榛村は2人の母親のことを「実母は知的・精神的オーダーライン上の人。実の曾祖母からは化け物を見る目で見られたこと。第2の母、榛村織子は実父から性的虐待を受けたが養子先で教育を受け人権活動家になり、似た境遇の榛村を養子にした。だが彼女の死後自分が何をしても悲しむ人がいない、と本来の粗暴で口汚い犯罪者にもどりました」とあった。

「榛村といると自信が湧いた」と言った中年女同様に、雅也も大学で灯里から「昔の筧井君みたい」と言われ自身も「理想の自分」を取り戻しつつある気がしたり、雅也も実母は蚊帳の外で「父と祖母の望む優秀な子」でいる事が家庭円満と心がけるイビツな家庭だった。
榛村の祖父は地元の有力者で「サイコパス」の素養は祖父の遺伝だった。だが実母や養父による虐待などの二重三重の不運で現在に至り、自分が榛村の立場ならオレだったらオレのままでいられたか…?との共感と榛村なら自分の悲劇も理解してくれる気がして思いを手紙にしたためた。
後日、佐村弁護士事務所から「きみのすべてを信じる」とより詳細で具体的な資料が送られてきた。だがその中に榛村織子らの「ボランティアメンバー」の中に若き日の雅也の実母・筧井衿子が映っていた。


~第四章~~~~~~~~~~~~~~~~~~
避けていた学食で加納灯里が男子学生と笑いあっている様子に胸がざわついたが、榛村の冤罪“根津かおる”の事件資料を読み込んでいた。
被害者「根津かおる」は真面目で純粋でも20代の会社員。最近は「誰かに着けられている気がする」とのストーカーへの懸念もあるとは言ってたが、榛村のような「秩序型シリアルキラータイプ」の几帳面な殺人サイクルに一致しなかった。

だが事件の目撃証言により立件され、しかも証人は刑事訴訟法により被告と顔を合わせないよう保護されていて「榛村による被害者の可能性」を元保護司の奈良岡に問い合わせてみると「金山一輝と言う被害者の一人」だった。榛村は10歳の一輝と8歳の弟を支配し体を傷つけ合せ、気付いた親は一輝を祖父母の養子にして姓を変え、被害届も取り下げたという。
事件から20年以上の歳月を越え金山は道端で偶然会うなどありえるのか?虚偽の証言か?考えに行き詰っても相談できる「友」として思いつくのは大和本人しかいなかった。

織子の写真に写っていて事件当日、榛村がメールのやり取りをしていた滝内と会った。
滝内は織子主催のボランティア参加の大学生で、17歳の榛村は美少年で他の虐待児のような粗暴さもなく素直で、友達を作るようアドバイスすると見る間に魅力的になり子供にも好かれていた。
だが慰問先の子供が「榛村からヒドイことをされた」と噂がたっても「嫌なら拒否できたはず」と榛村の過去を知らないメンバーがかばいセカンドレイプしてしまった、と自嘲の笑いを洩らした。そして写真の中の母は織子の養子の一人、と教えられた。

榛村の面会に行くと拘置所の外で赤い髪の男、金山一輝がいた。隠し撮りをして奈良岡に確認するとやはり本人だった。今まで何度も榛村に面会するか迷う無為な週末を過ごしてきたようだった。

~第五章~~~~~~~~~~~~~~~~~~
根津かおるの墓所の寺の役僧は「(大和好みの)礼儀正しいいい子」「彼氏とおぼしき赤い髪の男(金山)が何時間も泣いて拝んでいた」地元の女性は「金山らしき男を見た」といい、高校時代の友人は「かおるは極度の潔癖症」でストーカーされやすいタチで、事件の2か月前には強迫観念が増していたという。

榛村織子の随筆集内の『わたしの養子たち』には彼らの生い立ちがつづられて雅也の母・衿子についても描かれていた。
衿子の母Fはアダルトチルドレンで自分の娘だが衿子が愛されているのが許せず、姑、夫に隠れ幼少の頃から衿子にモラルハラスメントを繰り返していた。衿子は中学で壁土を食べる異食症で救急搬送されFの虐待が発覚し、祖父母は激怒したが父は衿子よりFを選び養子に出された。

母の過去にショックを受けた気持ちと金山のことは伏せて、榛村へは根津かおるの調査報告をすると「ストーカー(金山?)は人殺しかもしれない、僕のように」と注意を促され2人は笑い合った。その帰り道で肩がぶつかったのに舌打ちしてきた中年男に雅也は言い知れぬ自信と殺意を抱いた。

雅也は電話で母の出自を知ったと話した。
母は父に望まれて結婚したが最初から姑に疎まれたこと。養子に行った後、妊娠したため異性問題に厳しい織子は衿子を追い出されたこと。「頼れるのは彼しかいなかった」と榛村のことを言った。
榛村は自分の父親なのだとわかりショックと同時に、榛村が自分へ向ける眼差しや、怪物らしくない人間的執着、なぜ雅也を頼ったのかわかり崩れ落ちた。

~第六章~~~~~~~~~~~~~~~~~~
金山一輝の人物特定はパソコンで調べがつき、35歳の電気系通信会社社員と分かった。
小学校時代のクラスメイトは「一輝の父は体育教師で虚弱な一輝に「俺に恥をかかせる」と高圧的で、養子で金山姓になってからは兄弟はお互い避けているように見えた」という。元同僚の相馬は金山はブラック企業のSEで、根津かおるの会社はそこの顧客で2人が出会っている可能性が明らかになった。
榛村に面会に行き、金山の名は出さず“ストーカー”の身辺調査をしていることを告げに行った時も胸に熱いものがこみあげ、帰り道や調査の食堂で見た女児に「おれにも大和のようにできるだろうか」との思いがよぎったりチャンスをうかがってしまう。一方大学ではゼミの女子からは「雰囲気がやわらかくなった」と言われたが、加納灯里は首をかしげ「変わったけど、よくわからない」と言った。
次の面会ではついに榛村に「自分の父親か?」と確かめてみた。
榛村は瞳は潤ませ「…いま、きみの手を握れたらいいんだけどな」と父親だと認めるような言葉に雅也は感情がこみ上げ早く金山の目撃証言を崩したいと意気込んだ。

その時、金山から「即刻調査を中止しろ」とショートメールで次にスマホで「弟に近づくな、君のためにもならない」「最近誰かに『変わった』と指摘されないか?」「みんな彼に影響され『彼になりたい』と心酔する」「きみもいま、危ういところにいると思う」指摘され、動揺が抑えらなかった。雅也は終電の酔っ払い相手に暴行の犯行を企てたができなかった。翌日大学で加納灯里はおびえながら「明るくなった・・でもあまり好きじゃない」と逃げて行った。

雅也は母にもう一度「榛村大和が父親か?」確認すると母ははっきりと否定した。
衿子は養子になったあとボランティアの既婚男から15歳で強姦され妊娠し、困りはて榛村に相談すると「どうすべきかは、きみが決めることだよ」と産んだ後どう解決するか選ぶよう言われた。
衿子はトイレで赤子を産んだあと首を絞めて殺し、死体の始末を榛村に頼んだのだ。
織子にバレばれて「レイプ同然だった」との訴えは聞き入れられず追い出されたが、居場所があるだけで充分…榛村の逮捕は意外ではなかった。この件は洩らさないだろうと信じていたから、「もう何が正しいのかわからないわね、でも雅也とちゃんと話せたから自殺しなくてよかった、正しい選択をした」と電話を切った。
榛村は自分に誤解させ、最近の幼女への興味や、暴力への興味にも「なぜ?」と座り込んだ。だが顔を上げるともう幼女には何も感じず2日後、金山に会うことにした。

榛村は金山を25年ぶりに呼び出したのは逮捕を予見したためだった。
金山兄弟は榛村の“逃した獲物”で現在までもずっとつけ狙われる獲物で、支配欲が強い榛村には所有物という執着があったからだ。
榛村のやり口は「『選んでいいよ』とやりたくもないことを選ばせ、それが自由意思であったかのように刷り込む」ことだと言う。
金山兄弟は榛村に父性を求め取り込まれ、兄弟にどちらが自分に強姦されるかを自ら選ばせたという。事件当日も「痛いこと」を強要し、嫌なら生贄を選べと迫られた。その時、指さした通りかかった見知らぬ女性が“根津かおる”でその惨殺に良心の呵責は消えないがせめて榛村の逮捕につながるために証人になった。

「君はあいつの好みのタイプだよ」と金山も弟も文面を変えた手紙を受け取っていて、過去に目を付けた子供ら何十人に出しているだろうと言う。榛村には誰でもよかった罠に雅也はまんまとひっかかったと知り力が抜けたがまだ「口癖の「選んでいいよ」と言われていない」と言うと「口癖すら嘘だったんだな」とひどく老け込んだように見えたが、金山がようやく大和のための子供でなくなったように思えた。

拘置所ですべて気付いた雅也の態度に、榛村は衿子から真実を聞いたとすぐに察した。
「自意識過剰で他人を傷つける鈍感さはあるのに、自分が傷つくのは恐れる似た者親子だから衿子は打ち明けず首を吊ると思った。人並みに図太くなってうちあけてつまらないね」と言った。
雅也は「最初から金山に几帳面な行動をする根津かおるを選ばせるつもりだった」と指摘した。かおるも雅也も榛村の元獲物で彼女の潔癖性が悪化する原因のトラウマを与えたのは榛村以外考えられなかった。
だが榛村は「あの時選んだのはぼくじゃない。だから罪はぼくにない」と皮肉と揶揄をたたえ、他人を見下し嘲笑う目つきで笑っていた。その顔は小学校高学年から雅也もするようになった顔つき…無意識化で選民意識を自分に植え付けたのはこの男だと自覚した。加納灯里は雅也がイヤな奴になる前に出会ったから慕ってくるのだ、とも。

「親に虐待や抑圧されて自尊心の低い子はキミみたいに言いなりになる」と榛村織子も衿子も、榛村の実母・新井実葉子の死には「あれはぼくのやったことで、唯一の正しい行い」と言った。
最期に「嘘をつくときは9割がた真実を話し、残り1割だけ嘘をつくと良い」と言い、雅也への手紙も言葉も「肝心要の部分だけ嘘なんですよね」にうなずいた。榛村にはその一瞬前まですべてが「お遊び」雅也に失敗しても変わりはいくらでもいるのだ。

拘置所を出た雅也は待たせていた加納灯里と肩を寄せ歩き出し、灯里は「自分に自信がなかったが、ある人のアドバイスで目が覚めた。飴と鞭の使い分けなきゃ、て」と笑っていた。

エピローグ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大和と主任弁護士の佐村は面会室で向き合い、根津かおる事件を高裁で争う意思を固めていた。
弁護士事務所3代目の佐村は気づいていなかった。祖父、父との比較に自分がいらだちを募らせていること。自分のセリフが大和の受け売りだということも。大和から一任されたリストから「筧井雅也」の名は消されたが「加納灯里」の名は今だ上位にある。
大和は佐村に頭を下げ端正な顔で微笑み「今、あなたの手を握れたらいいのにな」と言った。

【死刑にいたる病】まとめとおすすめ度


おすすめ度

読みやすさ  ★★★★★
サスペンス度 ★★★☆☆
エグい度   ★★★☆☆
キャラ共感度 ★★★☆☆

こんな人にオススメ

・サスペンスが好き
・サイコパスな話に興味がある
・特殊な趣味がある
・家族関係が特殊である 

連続殺人犯の死刑囚から「1件だけえん罪だと証明してほしい」という魅力的な犯人が突然大学生に声をかけてくる。

うーんずいぶん突拍子もない設定だな、と思うのですが小説はそのナゾ設定が相まって「ナンデ?ナンデ?」とスイスイ読みすすめられる作品です。

また高校生ばかり狙う殺人鬼で「あまり残虐なのはちょっと」と言う人にも「そんなに酷くエグぐはないので映画自体もPG12で確かに収まるな」という感じです。
人間描写やストーリー自体PGが付く作品ばかりを作る白石監督ですから、ザワっとするようなサスペンスに仕上がると思います。

いかんせん「42歳だけど若く見える美男子・榛村」を阿部サダヲさんが演じるのですが「美男子…?」という点で引っかかるものの、キャリアのある俳優さんですのでどこまで不気味なサイコパスっぷりを演じられるのか?実力の見せ所という感じがします。

また物語の設定に「親に虐待や抑圧されて自尊心の低い子親」が榛村いわく洗脳しやすいカモになるわけですが、そのような人を同時に「自意識過剰で他人を傷つける鈍感さはあるのに、自分が傷つくのは恐れる…」とその手の人の行動パターンも熟知したうえで周囲の人、常連客、目を付けた子供たちに良いイメージを与え、取り込み洗脳し支配しているのです。

一番恐ろしいのは、佐村のような弁護士です。
自尊心の低い子のままある種の社会的権力を持った人間がとりこまれることでしょう。

「良い人」の定義とは「自分に都合の良い人」と言われますが、その定義ですら何か目的があっての良い人かも?
自分の自尊心はどのようなものか?振り返ってみるキッカケになりそうで、これはサスペンスホラー映画と言えそうです。

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