【ヘルドッグス~地獄の犬たち】あらすじネタバレと映画&原作おすすめ度

『ヘルドッグス~地獄の犬たち』は、深町秋生氏による長編サスペンス小説です。
2022年秋に監督・原田眞人、主演・岡田准一で【ヘルドックス】のタイトルで映画公開予定です。
原作でも犯罪系ハードボイルド作ですので「PG指定」はつく作品です。

主演の岡田准一氏のファンでも原作は、なかなか残虐な描写もある作品です。どこまで映像化できるかわかりませんが、主人公がギリギリの恐怖に立たされるサスペンスに、緊張感なしでは見られない作品です。

こちらでは
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【ヘルドッグス】登場人物と映画のキャスト
【ヘルドッグス】原作あらすじネタバレ
【ヘルドッグス】まとめとおすすめ度

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【ヘルドッグス】登場人物と小説・映画のキャスト

「ヘルドッグス」には登場人物と各暴力組織がいくつか出てくるので人物相関図があると分かりやすくなります。漫画版ではキャラクターのビジュアルや個性も表現されていますが、実写映画される役者さんにもいいキャラ表現してもらえると嬉しいですね

【ヘルドッグス】登場人物

兼高昭吾(本名:出月梧郎):岡田准一 
暴力団・東鞘(とうしょう)会系神津組・若頭補佐
警視庁が送り込んだ潜入捜査官。東鞘会と会長・十朱義孝を壊滅させるのが目的

【警視庁】
阿内将
警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊隊長・指揮官。潜入の兼高が唯一刑事として連絡が取れる上司。警察官と思えないだらしなく粗野な風貌だが切れ者。

木羽保明(故人)
警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊 元隊長。阿内の旧知の先輩。辞職後、崖から落下した姿で見つかる。

 北里真由子~阿内将の離婚した妻
 北里梨帆~阿内将の娘。小4

【協力者】
衣笠典子
「池之端リラクゼーションサロン」セラピスト。阿内との唯一の連絡役。一人息子が「曳舟連合」に惨殺されヤクザを憎んでいる

 衣笠順一(故人)~「曳舟連合」に惨殺される。

【曳舟連合】
順一が所属していたヤクザ組織。暴対法で弱体化、東鞘会の傘下。

【東鞘会】
氏家必勝(故人)
東鞘会五代目組長。病により獄中死する。
 ↓
神津太一(故人)
東鞘会六代目組長 =「神津組」初代組長。
氏家必勝の右腕で組織改革の立役者。必勝の死後6代目就任したが、氏家勝一「和鞘連合」に暗殺される。
 ↓
十朱義孝
東鞘会7代目会長。警察との対立路線をつらぬき、その信用を失墜させる重大な秘密を握っている。

【神津組(東鞘会中核組織)】
土岐勉
東鞘会中核組織「神津組」組長。東鞘会「3羽カラス」の一人。
初代・神津太一の元ボディーガードで武闘派の軍師。左脚に銃弾を受けステッキを使用している。

室岡秀樹
兼高の弟分。甘い見た目と裏腹にカルト教団で軍事訓練を受けて育ったサイコパスじみたキラー

浅見奈々子~土岐の愛人。小料理屋をする控えめな中年女

【三神組(東鞘会の三次団体)】
三國俊也
神津組No2若頭。大卒の元詐欺師で経済ヤクザになった。武闘派で急出世した兼高に対抗心がある。

 
【熊沢組(東鞘会中核組織)】
熊沢伸雄
神津組の分家組長。東鞘会「3羽カラス」のひとりで十朱の秘書。元力士で豪快な人情味もあり慕われてる。

海老原勇喜~十朱の護衛につく

大村剛史~元格闘家。十朱の護衛に選ばれた兼高に因縁をつける

【鞘盛産業(東鞘会中核組織)】
大前田忠治
東鞘会配下「鞘盛産業」社長。東鞘会No.2の理事長で東鞘会「3羽カラス」の一人。持病がある

本並一泰~元格闘家。十朱の護衛につく。26歳だが見た目より老けている。

【華岡組】
琢磨栄
華岡組組長。氏家勝一を焚き付け援助してるとの疑いがある

【西勘組(華岡組中核組織)】
俵谷一房
華岡組 筆頭若頭で西勘組トップ。氏家勝一を焚きつけた噂があるが、本部との内部分裂中でもある

金村恒美
俵谷の秘書

【和鞘連合】
氏家勝一
東鞘会五代目組長の実子。跡目を継げず「和鞘連合」を立ち上げ東鞘会撲滅と十朱暗殺を掲げるが失敗し国外逃亡中。現在も機会を狙っている。

喜納修三
沖縄に逃げている和鞘連合の残党

識名武
沖縄の元極道。識名建設社長。若い時、喜納にイジメられていたので東鞘会に殺害依頼。

【高級クラブ「天童」】
留華
新人ホステスを装った十朱を狙うヒットマン


主人公・兼高にはアクションが完璧の岡田准一さんが演じられます。
その他の登場人物として気になるのが、十朱、阿内、室岡そして衣笠紀子です。
十朱はホステスが「愛人にしてもらいたい」と思われるイケメンで、たてがみの様なシルバーの襟足をなびかせるミステリアスな怪人物です。
阿内は警視庁のエリートという正義の立場にありながら、粗野な風貌と不気味な存在です。

室岡は殺人鬼教育を受けサイコパスにさせられたような男ですが、30歳の歳のわりに若く軽薄とされても兼高と兄弟関係にある相棒です。

衣笠典子は60代の初老でゴツゴツした指先になる使命をもらえるセラピストです。ヤクザへの苦悩と憎しみを抱えているので美熟女ではありません。

室岡あたりはジャニーズからバーターで誰か出そうですが、十朱には悪そうでかっこいい俳優さんを、阿内は不潔感や不快感を感じるよな俳優さんだと物語をよりリアルに感じて楽しそうです。

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【ヘルドッグス】原作あらすじネタバレ


  ★ ★ ★ ★ ★
神津組の兼高昭吾と室岡秀樹は和鞘連合の残党、喜納修三を始末するため沖縄に来ていた。
学生時代に喜納にやられていた元極道で沖縄裏社会に通じる実業家・識名は喜んで死体処理の協力をした。

殺害後、弟分・室岡はカルト宗教団体で殺人教育を受け育ち、腹が減ったと一人肉を食いに行った。
平然を装う兼高は一人ホテル自室に駆け込み嘔吐し「いいかげん慣れてくれてもいいだろうが」自分に話しかける。精神安定剤と睡眠薬以外に精神を保っていられるのは「奴らは悪党である」と「警視庁の潜入捜査官・出月梧郎」としての職務からだった。
兼高は秘匿性の高い会員制サイトで喜納殺害の経緯を唯一の連絡相手、警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊隊長の阿内将に報告した。

  ★ ★ ★ ★ ★
関東最大の東鞘会は五代目組長・氏家必勝と右腕の神津太一(神津組・組長)が暴対法対策に経営的組織改革に成功したが、警察と古参のメンツを激怒させた。

警察は氏家必勝は恐喝容疑で捕らえ、持病の肝臓を知りながら5年の実刑で獄中死させられ、六代目の神津は、氏家の実子・氏家勝一が反旗をひるがえし「和鞘連合」を結成。神津と幹部らを暗殺した。

だが東鞘会が形勢逆転させたのが神津の片腕・十朱義孝と三羽カラスだった。
海外で特殊部隊並みの工作員に育てた組員に「和鞘連合」組員らを証拠も残さない暗殺計画で壊滅させ、分のない勝一はメキシコに逃亡した。喜納は「和鞘連合」最後の抵抗者で勝一の援助もしており、カタギ宣言したが非合法商売でなわばりを荒らし始めたので兼高らが組織された。

神津組事務所に戻ると暴力は得意としない経済ヤクザでNO.2三國俊也が激しい対抗心を燃やしてきたが、神津組長・土岐は一喝しつつ祝杯の場を設けられた。兼高は常に気を抜けないが唯一本来の自分を取り戻すことができる「池之端リラクゼーションサロン」に向かった。
セラピスト衣笠典子は極道にも支持される指圧師だが、兼高と阿内の接触を手助けする連絡員でもあった。
典子の一人息子・順一は道を踏み外し、曳舟連合のヤクザに身元は判断できないほどの姿に惨殺され、ヤクザ全体への憎しみがあった。また兼高に息子を重ね合わせ「梧郎」と唯一本名を口にする。兼高はここでだけ仮面を外し殺人を悔やみ泣くことができる場所だった。

  ★ ★ ★ ★ ★
海外逃亡中の氏家勝一が関西系暴力団「華岡組」と組み、ヒットマンを十朱会長に仕向けているとの情報から、土岐から室岡とともに会長・十朱義孝の護衛につくように言われた。

出月が刑事を志したのは子供時代、スーパーで発砲事件により初恋の女子高生の惨殺死体の第一発見者となり、憎き外道を撲滅したいと願ったためだった。
地道な自己鍛錬、交番業務、理不尽な機動隊勤務をへて31歳でやっと刑事になる試験突破。すぐに警察幹部らと隊長・阿内将に「潜入捜査官として人も殺せるか?」と「組織犯罪対策部特別捜査隊(ソトク)」へ異動事例が下った。それは7代目東鞘会会長・十朱義孝の暗殺と東鞘会を壊滅させることで、日の当たる場所で刑事になれるという任務だった。

そこまで隠密に警察が計画したのは十朱義孝が元・潜入捜査官の是安総だからだ。
東鞘会壊滅の計画で潜入した特捜隊隊長・木羽保明警視と潜入の是安(十朱)。東鞘会と和鞘連合が共倒れ一歩の矢先に十朱は東鞘会7代目会長に就任し、極道の世界の住人となり果てた。責任を取り辞職した木羽は3日後に崖下で死体で見つかった。警視庁の大不祥事そのものの十朱に手を出せなくなったことで、出月は兼高として自ら外道となりチャンスをうかがってきていたのだ。

 ★ ★ ★ ★ ★
兼高と室岡は十朱のボディーガードになるテストを合格したが、熊沢組の大村が兼高を挑発。暴力的な行動をとったため鞘盛産業の本並一泰と室岡が攻撃し、組長・熊沢伸雄からも大村は張り飛ばされ任を下ろされ、代わりに熊沢組・海老原勇喜出され4人の護衛が決まった。
はやる兼高に阿内は「十朱は焦りや怒りも押し殺し、冷静に差し続けられる…敵の陣地に潜るために生まれてきたような天才」とテストを受けた後の「大村の件も油断をさせるため試されていた」と教えられ、信用を勝ち取るまでは手を出すなと言われた。

 ★ ★ ★ ★ ★
銀座の高級クラブ「天童」で、十朱が内部分裂中の華岡組系・西勘組の俵谷一房と秘書・金村恒美を招き抱きこむ交渉に成功した。
西勘組は勝一と組んでいるとの嫌疑も晴れホステスらを入れ宴を始めたが、兼高はホステスの留華に奇妙なタコがあるのに気づき、十朱に作った水割りを留華に飲むように言うとグラスを叩き割り攻撃してきた。女ヒットマンだったのだ。
留華は東鞘会の”処理場”で全裸で壮絶な拷問にも一向に口を割らず、察した十朱が女の陰部からGPS発信機を探り出し、拷問までもが敵の罠だと気づいたが遅かった…。あっという間にサブマシンガンの敵に囲まれ熊沢組組長で3羽カラスの熊沢伸雄は女ごと銃弾を浴び十朱を守り絶命した。

  ★ ★ ★ ★ ★
熊沢の死は表向き“失踪”とされ密葬による不名誉な旅立ちとなった。
土岐は十朱に「トップ自ら拷問部屋に出しゃばったせいで子分が命を落とした」と激昂し直突きをくらわし、落とし前として指を詰めようとした。だが十朱は土岐の行動も「忠臣を死なせた俺に必要なこと」とし、東鞘会NO.2の大前田忠治が土岐を失神させ手打ちとなった。兼高は最高幹部で3羽カラスの大前田、土岐、熊田の結束の強さと十朱との信頼関係を思い知らされた。
熊田の子分たちは十朱へのわだかまりが消えたが、三國は兼高に「護衛のお前らが十朱会長を連れて行ったのが悪い」と憤怒した。だがこの件で共に護衛した本並、海老原と外兄弟盃を交わす結束力を得て、それは十朱が持つ関係性と似ていて、兼高は兄貴と呼ばれると胸が痛んだ。
  
 ★ ★ ★ ★ ★
兼高の働きは高く評価され、十朱の直参となり土岐とは兄弟分になった。三國はさらに兼高へ憎しみを募らせた。
だが「池之端リラクゼーションサロン」でタブレットで阿内と連絡を取るとヒットマンらは警察からの刺客であり、狙いは最初から「三羽ガラス」であったこと。さらに阿内から「土岐はお前が殺れ」と命じられ、残酷な警察任務と任侠の仁義の狭間で押しつぶさそうだった。

一方で、兼高は十朱、土岐、大前田ら最高幹部に呼び出され、勝一はすでに日本にいて、陰から支援しているのは警察、阿内で東鞘会の外堀から攻撃されているのだとわかっていると告げられ、阿内の弱点である別れた妻と娘を拉致し口を割らせるよう命令が下された。

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兼高は阿内との連絡サイトで「家族に注意しろ」とメッセージを送ったが阿内の動きはなかった。離婚した元妻・北里真由子と娘の梨帆を拉致し写真を阿内に送りつけると、動揺した阿内はまんまと拘束され同じラブホテルへと運ばれてきた。
兼高自ら激しい拷問にも勝一の居場所の口を割らない阿内。だが娘の拷問にはついに阿内は口を割り、勝一の居場所は神津組No.2三國が経営するタイパブ「ディージャイ」の女たちの寮だという。
「娘には手を出さないでくれ」と泣きすがり惨めな刑事を演じつつ、わざと妻子ともに拉致させ、偽の情報を掴ませた。阿内は兼高に追いすがるように耳元で「胸に白いハンカチを突っ込んでおけ」とささやいた。

土岐らと組員には三國の名が出た事で陰鬱な空気となり、土岐は「4代目を譲る件で話がある」と電話して、武装した組員を引き連れ三國の事務所へと向かった。三國は喜び勇んで迎えに出てきたが、殺気立った若衆たちを見て嵌められたことを悟り「潔白を証明する」と「ディージャイ」の寮へと向かった。

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寮に到着すると管理人室からは多村というみっともない男が出て来て、土岐は侮蔑したが、兼高の胸元のハンカチを見た警察の息の者とわかった。突入寸前、向かいのマンションの屋上からサブマシンガンで攻撃を受け、三國が土岐をかばって凶弾に倒れた。土岐は悔しそうに三國を抱きかかえたが最後弱々しく微笑んだ三國の瞳を閉じてやった。

兼高は銃撃を避けるように土岐らとともに部屋へと入っていき、土岐もドスで敵と応戦後に筋肉の鎧をまとった氏家勝一が現れた。だが勝一が兼高から一瞬でターゲットを変え、兼高もその発砲を許したのを見て、土岐は兼高が潜入であり、すべて阿内に踊らされていたことを一瞬で悟った。
「イヌめ」「そうまでして、メンツ守りてぇか、貴様ら警察は」と突っ込んできた土岐を兼高は叩きのめした。勝一は「これで東鞘会は俺のものだ」と吠えたが警察の操り人形に過ぎない勝一を兼高は土岐のドスで腹を切り裂いた。
兼高は息の絶えそうな土岐に「十朱(是安)の正体を知っているのだろう?」と訪ねたが、真意は語らず中指を突き立てて見せ息絶えた。外にはもう勝一の兵隊はおらず兼高が死体の土岐を背負った姿に三國の事務所を調べていた室岡らは棒立ちとなった。

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土岐の葬儀はしめやかに行われ娘が施主となり、内縁の妻は参列しなかった。
警察は和鞘連合と神津組・三國が結託したクーデターと発表。海外でもニュースとなり、阿内は欧米の民間軍事会社の戦争屋を使い、十朱つぶしに狂奔してきたのだとわかった。

十朱は三神組は解散させ、多くの組員が命を落としたが阿内の作戦であったが阿内と妻子は開放された。
また東鞘会と警視庁は阿内の動画データと引き換えに銃撃戦参加の組員を見逃す交渉をした。十朱は「警視庁こそが土岐の殺しの黒幕」を見抜き報復を思い描いているが、兼高には組を持ち直参兼秘書室長となるよう言った。
十朱はやつれ酒の量が増え、大前田は持病悪化で再び入院し三羽カラス全員が消えた。それでも「あの世の土岐が、おれや東鞘会を守ってくれている」と言う。

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阿内と蒲田拘置所の取調室で会った時、自身の体や妻子のメンタルより東鞘会にダメージを与えられて満足そうだった。
家族を巻き込むのを承知で十朱を追い詰める阿内に、兼高は阿内が「木羽とデキていていたのか?」阿内は悪びれることもなく「誰も彼もが私情絡みだ」「あと5年演じて、兼高に続く関東ヤクザのボスになれ」とまで言った。 
すべて阿内の私怨による捜査だったと気づいた兼高はキレて阿内に暴行したが、ヤニで黄色くなった歯で笑うのをやめなかった。兼高はまっとうな人間に戻ると心に誓った。
 
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室岡はトレーニングに励み食事量も減り、体重を絞ると同時に影を背負うようになった。
久々に話があると神津組経営の焼肉屋で落ち合うも、室岡から緊張が伝わり「ここから逃げろ」と言われた。三國は死の間際の微笑んでいたのは、兼高の弱みとなる、典子と阿内が会っている現場写真を手に入れていたからだった。追及されたら言い逃れできない証拠を前に非常な殺人鬼の室岡が「私情絡み」で自分を逃がそうとしている。

先に攻撃したのは兼高だった。
右手をグリルに押し付け動きを殺したつもりだったが、苦痛を物ともせず攻撃を仕掛けてくる。兼高が特殊警棒を抜き出すと汚物を見るような目つきになったが、互いに「苦しませずに死なせてやりたい」と同じ思いだった。
兼高は料理長から奪った包丁で室岡の腹を刺し動かなくなった相棒の目を閉じてやった。涙を流す資格などない。阿内に「おれは終わりだ。これから秘密を奪い取る」とメールした。

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証拠は焼肉屋で炭にしてきたが、料理長を始末してない。すぐに兼高の犯行だと判明する。
兼高は土岐の内縁の小料理屋に向かいピッキングで侵入し、家探しをしていると「そんなところにはねぇよ」と幽霊のような十朱が声を上げた。
兼高の正体がバレたのは、むしろ室岡の態度がおかしかったからだったという。そして「おれの元に来い、おまわりさん」と十朱のように極道に寝返る誘いをした。
土岐にあずけていた“警察官・是安”情報のSDカードを兼高に任せてもいいと言う。
「警察官に戻っても使い捨てにされ、一生口を閉ざすことが任務になるだけだ・・・おまえを突き動かしているのは、自覚してない悪党への殺戮欲だ」すべて阿内と同じことを言われた。

十朱が私刑覚悟で東鞘会に寝返ったのは、すべては冷酷な警察より、血の通った兄弟・三羽カラスを助けたい“私情”からだ、と言う。
そのために木羽を殺害し警察組織と和鞘連合に打撃を与え、警察が手の出しにくい組織に作り替えた。「みんなただの人間なんだよ」と言われ兼高には阿内も十朱も、室岡、三國、三羽カラスたちの顔が浮かんだ。

十朱は「犬でいるのをやめろ」と言うが兼高は「…おれは殺しすぎた。噛みつくことしか知らない狂犬で、最初から解き放たれていたんだ」と殺し合いになったが、皮肉にも私服警官用ワルサーPPKで右肩を打たれ“処理場”に連れて行かれそうになった。
搬送されるアルファードに阿内が警察官を従えワゴンで衝突してきた。激しい銃撃戦の末、重傷を負った阿内が是安(十朱)の額を打ち抜き殺害した。
奪ったSDカードを持ち阿内のもとに駆け寄ると、最後までヤクザにしようと画策する阿内は「おれの頭を打て」という。兼高は「刑事にはなれない。もうわかっている」とSDカード情報を阿内の携帯えクラウドに保存した。阿内は「この先…苦労するぞ」と瞳孔の開いた目で言い「兄貴…命は取ったぜ」と呼吸を止めた。

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出月梧郎は重傷で意識を失い、手術後病院でもヤクザとして事情聴取と言う名の暴行をうけた。組対部長の岩倉以外喋らないとすると、翌日岩倉が現れ陳謝した。
警察はこの抗争を東鞘会側からの襲撃と報道し、阿内は二階級特進し葬儀は盛大に行われたが妻子は来なかった。

十朱は少年時代に家族を失い孤独の身で、組で汚れ仕事をするたびに顔を変えているから正体がマスコミに漏れることはないと言う。出月の任務に勲章などできないし、身の安全を考え内勤に徹してもらうが生涯生活を保障するという。長い潜入生活で出月の鋭敏な勘で嘘だとすぐに分かった。

衣笠紀子は仇敵である東鞘会系曳舟連合の総長自宅での出張マッサージで、頚椎を折り殺害し行方をくらませた。警視庁も消息をつかめずにいた。

出月は病室見張りの私服警官を失神させ衣服を奪い、正面玄関からタクシーに乗り自分の携帯にSDカードの秘密をダウンロードした。出月はマスコミ、ネットに公開する気でいる。警察と極道、両方を裏切る。茨の道が待っているのは確実だ。

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【ヘルドッグス】おすすめ度と感想

おすすめ度
読みやすさ  4  ★★★★
サスペンス度 3.5★★★
エグい度   3.5★★★
キャラ共感度 3  ★★★

こんな人にオススメ
・潜入捜査ものが好き
・エグい表現に耐性がある
・ハードボイルド小説が好き
・裏社会の実情話が好き

 【ヘルドッグス】感想

地獄の犬もイヌはイヌ。所属欲求に執着する寂しがり屋の犬たち
物語暴動の沖縄での殺人のグロさにハードボイルド過ぎると、血なまぐさい作品に免疫がない人は腰が引ける始まりでした。ですがこの小説は警察小説でもヤクザ小説でもなく、舞台がハードボイルドな男同士の愛憎劇と言っても過言ではないと思います。

刑事の出川でありながらヤクザの兼高としての行動はまさに常軌を逸しており「潜入だからってこんなことできるものなのか?」とサイコパスな価値観を見ているようでした。また日本のヤクザ社会が国際化していたり、国内での犯罪の種類に外国人が関わっているだろう案件もこの小説の通り、経営方針を変えたからなのか、社会勉強ができた気もします。
登場人物たちは敵も味方もみな魅力的で「映画化したら誰がこれを演じるのだろう?」と映像化への期待が高まりました。

そしてタイトルの「ヘルドッグス~地獄の犬たち」の“犬”という表現こそ登場人物たちを一言であらわすキーワードはないな、と思いました。
犬は社会性動物で集団行動のを得意とします。そこに生存戦略的メリットがあるからです。登場人物たちも暴力団であれ警察官であれ「目的、志しが共通した仲間」からそれ以上の「安心できる居場所」「誰か繋がれる欲求」という“愛情・友情・信頼関係”の感情が生きる糧であり、その所属欲求や生存し守り続けるために警察VS暴力団の戦いを繰り広げていきます。

主人公・兼高は初恋の女子高生のお姉さんの惨殺死体を見たことで「刑事になって外道を撲滅したい」とその未解決事件の解決ではなく、社会全体の外道への憎しみを糧に刑事になります。憎しみの気持にはブラックパワー)があり、実力以上の行動力や成果を上げられると言われます。
そもそも出川が潜入に選ばれたのか?は阿内からは地道な努力でステップアップしてきた実力者だから選ばれたような扱いでしたが、本当のところは阿内自身が木羽を殺された私怨から、出川に同じ憎しみを感じたからなのかもしれません。
自分の正体を「噛みつくことしか知らない狂犬」と気づく兼高は、十朱と警視庁のスキャンダルを世間に公表し敵をさらに増やしたのはそれらすべてを外道認定したと言う事です。警察に飼い殺しの犬にもならない。暴力団のリーダー犬にもならない、狂犬のままの野良犬人生を選んだのです。
集団に属し、誰かと心のつながり、“私情”を永遠に持つことができなくなった出川は阿内や死んでいったやくざたちの誰よりも孤独な男となるのでした。人間はあらゆる意味で一人では生きていけないものです。彼は開放されたのか?より孤独になったのか?兼高の人生を「生き地獄」とみるかどうかは千差万別かもしれません。

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