「ウィズ・ユー/ with you」読書感想文あらすじネタバレ・読書感想文の書き方のコツポイント
「ウィズ・ユー with you」
著者/編集:濱野京子,中田いくみ(イラスト)
販売会社/発売会社:くもん出版
発売日:2020/11/07
ページ数:245ページ
価格:1,430円 (税込)
【内容情報】(出版社より)
中学三年生の悠人は、高校受験を控えている。優秀な兄・直人や、家族を置いて家を出ていった父親、悠人でなく直人に大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せない悠人は、日課にしていたランニングの途中、公園のブランコに座る少女・朱音と出会う。どこか影のある表情の朱音に、次第に惹かれていく悠人。朱音が、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”であることを知った悠人は、彼女の力になりたいと考えるようになるが……
こちらでは
2021年「第67回 青少年読書感想文全国コンクール」
中学生の課題図書の「あらすじ・ネタバレ」
読書感想文の書き方のコツ・ポイント
をご紹介いたします。
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【ウィズ・ユー /with you 】あらすじ・ネタバレ
【ウィズ・ユー /with you 】読書感想文の書き方のコツポイント
うんちく・読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
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【ウィズ・ユー /with you】あらすじ・ネタバレ
読みやすさ ★★★★☆
感想文の書きやすさ ★★★☆☆
こんな子におすすめ
・家族間の問題で悩みがある
・介護の経験や興味がある
・兄弟間の悩みやコンプレックスがある
・好きな人がいる
【ウィズ・ユー /with you】あらすじ・ネタバレ
1~3
柏木悠人は中3の受験生。
週2の塾以外、夜にストレス解消にランニングするのが習慣。学区外の公園に行くと精気のない顔でブランコに乗る少女がいた。危ないと思い2度目に声をかけると隣の中学の子で「散歩」だという。家まで送ると5分先の金持ちマンションに住む子でイラっとした。
悠人の家は築40年の団地に母と兄3人で暮らし、父は別居中。
妥当な東高を受験すると言うと「ずるい、やれることをやろうとしない」とキレたのはトップの高校で上位成績の天才の兄・直人だった。
兄は家族の中心で、薄給の父も酔って直人に「東大に行け、おれのようになるな」と言うし、母は愛や熱意は兄にはそそぐが悠人の受験に落胆も応援もなく「健一さん(父)に似てきた」とやや眉を寄せて言う。
直人とは会話がなくなり、女がいる父のくれる生活費と週4の母の収入で家計は楽でない。
息苦しい家で「存在意義」や「生きている意味を見いだせない」のは少女も同じなのか?と想像していたが昼間見かけた少女は友達と明るく「テストがダメだッた」と話す。でも夜はたじろくほどの苦し気な顔でいる。少女は富沢朱音という隣の中学2年生で「息抜き」と言う。裕福だし関係ないが異様な様子がやはり気になる。
4~5
哲矢は余裕ある家の子で悪びれず彼女自慢し、渉は母親も感じいい家の子だからかひがむ様子も明るい。悠人は女子は直人目当てなので嫌煙していたが、朱音と話した後は足取りが軽くなる。
でも朱音の話は暗いし「しんどいことある?」と聞いても、ありきたりの事しか答えない。偶然スーパーで買い物する朱音と妹に「手伝いえらいんだな」とほめるとイラついて「母が病気」言われ、夜には「手伝いなんかしてない」と怒鳴られた。ワケがわからなくて隣の中学の塾友・大久保の妹に朱音の評判を聞くと、東京のお嬢様学校からの転校生でイジメはないが遅刻・居眠りで生活が乱れを感じ先生からもイヤミを言われ、朱音自身やや反抗的だと言う。
悠人は「朱音のお母さんは常に病気?」と思いつき、4日ぶりの朱音から「何もかも捨てて逃げ出したくなることある?」と乾いた笑顔で聞かれ、悠人も自分のモヤモヤした気持ちを吐き出した。
朱音は、母親が病気で「家事」におわれ、友達にも勉強も遅れ、父親は単身赴任中。だから「わたしはいなくなれない。いなくなったらうちがこわれるから」と告白された。
「自分の思いに重なる」と思った朱音が同類どころか想像以上に厳しいことに考え込み雨に濡れて帰ると、翌日風邪をひき直人は「受験なめんな」と薬をくれ「おふくろ心配させんな」「親父から送金が減ってる」「次男は気楽だ」と言われる。
6~7
1日学校を休んで登校すると話の流れで渉が小学生の時、祖母の介護をしていたと聞く。
渉も母親も明るいのに実は大変な思いをしていて更に「もっと優しくすればよかった」と反省までして何も言えなかった。
「福祉課」勤務の母に渉の話をすると、それは「ヤングケアラー」といい、18歳未満で家族の世話や家事をしてる子どもがいて、実態がつかみにくい状態にあると教わった。
朱音にできることはないか?と考え勉強に誘ったが、家族を優先したいという。介護生活はもう10か月たち母親はくも膜下出血の後遺症に鬱が加わり、あてにした祖母は祖父の介護をすることになり、朱音しかいないので私立校から地元中に転校してきたという。
前の友達は「お父さんが考えるべき」というが、渉と同じように家族がかわいそうだと思うキモチがあり、先生に話すと学校で広まりそうで言えずにいる。
「暗い顔でいられる“息抜き”の時間」をうばったのかも?と悠人は思ったが「学校ちがうから」と話せるという。「嫌われてない」…悠人は朱音の本当の笑顔が見たいと思った。
悠人自身、期末の結果が悪く教師からまた直人と比べるイヤミを言われる。母に「兄貴と比べられて大迷惑」というと「あんたはあんたでしょ」と言われ関心がないんだなと思った。
8~9
12月は出張で父親が長くいるから、友達と遊べると朱音は喜び、2人は「ばったり」そこで会おうと計画した。悠人の父親も「渡したいものがある」と後日同じフードコートで会うことになった。
計画の日、渉と哲矢も来て「クリスマスプレゼント」の話で貧富の差を感じたが、朱音たちとの合コンは哲矢は女子のフォローし、渉は妙に盛り上げて楽しかった。
週明け朱音は「楽しかったけど、友達と見てる景色が違うと知った」「母親が八つ当たりしてたけど、父親はまだ現状を甘く考えてる」と言う。
でもまだ本当のキモチを悠人にも言えない朱音に「話聞くから、つきあおう」と言うと朱音は固まり「同情で言ってる…やさしくしたいのは、柏木さんの都合」もう会わないと帰っていった。
父を待ちながら朱音の言葉を悠人は考え、朱音の母の病気も、うちが貧乏も俺たちのせいじゃない。社会が平等に思えず余計に憲法を知ると公民は苦手に感じていた。
するとヘラヘラと妙に若々しい父があらわれ貧乏なのにクリスマスプレゼントの希望を聞かれ、スマホと言ったが訂正し生活費入れろと言った。
「そもそもなんで結婚したんだ?」と聞くと「悪いのは俺だが憎みあってはいない」「世の中不平等なのは、俺をふくめて大人がだらしないからだろ」という。
あまりの話に「生きるのが面倒だ」と言う悠人に「直人はリアリストで冷徹になれるが、悠人は俺に似てやさしい…大丈夫。おまえらしい生き方すればいい」と3千円分の図書カードをくれた。
10~15
勉強が身に入らない悠人に渉は朱音の事だと察した。悠人は朱音の事情を打ち明けると「それで(あの子)違和感あったのか」「何をするか考えろ。おまえにだけ話したのにひきさがれるのかよ」と励まされ鼻の奥がツンとなった。
後日、秋田の祖母から直人は商品券、悠人はスマホがクリスマスプレゼントできた。父がたのんだのだ。スマホでもつい朱音の母親の病気を調べる自分に「朱音を考えずにいられない」「同情じゃないから会えないのが苦しいんだ」と気が付き直人に「受験終わるまでスマホ預かって」とたのんだ。
直人に希望の大学やスランプはないのか?聞くとバカにしながら「そんなのないヤツいない、次男は気楽だ」と言いつつ「隣の芝生…のたぐい」という。悠人は自分も兄の気持ちをわかってなかったと気が付き「勉強のコツは?」と聞いたら「好きになること」と答えた。たしかに朱音を通じ勉強と生きることがつながって公民も面白くなった気がした。
そしてクリスマスイブの夜、ピンクのチョークで公園の敷石にメッセージを書き、朱音のマンション宅に「…同情だったらいけないことだろうか。朱音の状況が少しでも良くなって欲しいと願うことが」そして、初日の出の一緒に見ようと手紙で誘った。
日の出ぎりぎりに来た朱音は泣きながら、介護のことを知ってもらってうれしかったこと。会えなくて寂しかったと一気に言われた。お互い助け合えて色んなことに考え、気がつけたと悠人は思った。次は受験が終わったら会おうと朱音が明るくいられるように変顔をして別れたが、やっと会いに行くと、祖父が亡くなり母の状態も生活もさらに悪化したと憔悴していた。
悠人は家に帰り母に朱音の状況を話すと家に連れて来いと言う。
母は「ヤングケアラー」として憲法、人権、教育、児童福祉法の話をして、朱音が味わった苦労を言い当て、ソーシャルワーカーの利用や一人で頑張るのが自立ではないと伝えた。見知らぬ母をみて自分の未熟さ無力さを感じたが「自分にできることをしているじゃない」と母は言った。朱音は母のアドバイス通り動き父親は本社勤務願で帰ってくることになった。
大晦日の夜、父が買ってきたケーキを最初に選ぶ直人に「直人は悠人が好きなモノわかってるな」にハッとし、両親には愛情はないけど通い合う感情があるのも感じとれた。
高校合格祝いに家で母とちらし寿司を作る兄はぽつりと「(父)戻ればいいのに」というので驚いた。しかも「自分はバイトを禁止された」と文句を言う直人に母は「悠人は何でも自分で決めちゃうけど、直人はきいてくるから私の考えを言ってるだけ」という。もう来年受験でそんな暇のない直人が「勉強しろ、おもしろいから」には素直にうなずけた。卒業式には父から「ガールフレンドを先に作られたと直人がくやしがってた」「京都の大学い行きたいらしい」と聞き、兄の意外な面を知った。『漠然とした思いは裏切られながら人生進むのかも…』と思った。朱音からのメールに「カノジョか?」と父はからかった父に「高校って初めて自分で選んで行くとこなんだな」と告げ、父の半歩前を歩き始めた。
あとがき
この物語は中学生の恋愛物語と「ヤングケアラー」を重要なテーマにしています。
現実ではまだ認知されていない「ヤングケアラー」は未成年者が介護の担い手として想定されていなかったことから、援助の手が差し伸べにくい状況で放置されるケースが少なくありません。
また作者自身も「ヤングケアラー」だったかも、と思い当たり、小4から数年間兄弟で分担し家庭内の役割をになっていた事や、学校や友人に話すこともなく違う景色を見て言う料な感覚が子ども心にあったことを思い出しました。
この問題がもっと社会認知されることを願っています。
【解 説】
【ウィズ・ユー /with you】は中3の悠人が抱える「家族の問題」「受験」「恋愛」そして「ヤングケアラーという未成年の介護問題」「若者の貧困問題」「憲法」など多岐にわたる実はみじかなテーマをあつかった物語です。
悠人も朱音も思春期でそれぞれ抱えている問題を、解決するには重いモノです。
ですが、「自分の思いに重なるモノ」を感じ取った2人の距離は縮まりぶつかりながらも、2人でいたから問題が徐々に解決していきます。
「存在価値」を感じていなかった悠人と許容を超える介護に忙殺されて、生きる意味がわからなくなっている朱音。
悠人だけじゃなく「自分の無力さ」を自覚した2人は、誰かに相談することで本当の意味で1つ大人になれたのでした。
抱えていたものは本当に難しい問題だったのか?それとも思春期で思い込みが強すぎたのか?どちらも自分のキモチしか見ていなかったのかもしれません。
また、リアリスト兄の直人は悠人より大人ですが長男としての自覚から「次男坊は気楽だな」と密かに悠人をうらやんでいたようです。直人も家庭の問題に心を痛め、母にうかがいを立て気遣いしていたことは杞憂だったと気づき旅立ちを決意します。
自由でやさしすぎる父、子供に良くも悪くも固執しない母、支配しているようで家庭円満を采配していた兄、自己中に求める「存在価値」の欠如から経験を経て「無力さ」を自覚し成長した次男。
4人家族でもそれぞれ考え方は違い、うまく家族を気づくことや家庭内で起きる問題を解決していくというのは現実でもおこりうることです。
少子化で兄弟数も少なく、親戚とも疎遠になりがちな現代に生まれた世代は大変な時代を覚悟しなければいけません。
未來を生きるためには困った時に家族での協力と社会制度の利用について、中学生のうちから将来に備える知識という武器を持つことかもしれません。
【ウィズ・ユー /with you】読書感想文の書き方のコツポイント
「ウィズ・ユー/ with you」読書感想文の例文
(外部サイト)
・中学生の部 本文 2000字以内
(作文用紙400字×5枚)
字数が足りない場合は、以下のサイトの「文字数が足らない場合の対策」の部分が大変参考になります。
⇒ 読書感想文の書き方 構成とコツ【中学生・高校生】コピペOK
(外部サイト)
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○ 応募規定にあっているか
○ 発達段階に応じた適切な本を選んでいるか
○ 読書のよろこび、楽しみが感じとれるか
○ 広い視野から作品を評価しているか
○ 登場人物の心情や、作品の語っているものを的確にとらえているか
○ 著者の論旨を的確にとらえているか
○ 事実と著者の意見とを区別してとらえているか
○ 自分の意見・感想を率直に述べているか
○ 自分のことばで表現しているか
○ 発達段階に応じた考え方が表現されているか
○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
○ 読書によって得た自己の変革がみられるか
○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
あらすじは簡単でもいいですが
・自分がどう感じたか?
・本を読んで何を感じ、今後にどう生かすか?
・「似たような経験」の自己開示 → 高得点ポイントです
~読書感想文書き方のコツ・ポイント~
○ 発達段階に応じた適切な本を選んでいるか
課題図書もしくは同等レベルの本を選びます。芥川賞、直木賞、本屋大賞受賞作や過去の学年に応じた課題図書。変わりどころでは広辞苑や、同じ著者の本を数札読んで「著者について」の感想文も可能です。
○ 読書のよろこび、楽しみが感じとれるか
読書を通じての感動や発見。「ヤングケアラーという現象を初めて知り衝撃を受けました」など
○ 広い視野から作品を評価しているか
登場人物1人だけに肩入れや攻撃せず、父親、母親、兄、友人、教師などの関係性や気持ちも汲み取り人間関係全体で問題を見る
○ 登場人物の心情や、作品の語っているものを的確にとらえているか
悠人の心情の変化「存在価値」「未熟さ」「恋か同情か」など
○ 著者の論旨を的確にとらえているか
「ヤングケアラー」の現象の社会認知を広めたい。
○ 事実と著者の意見とを区別してとらえているか
知る現実でもっと悲惨なヤングケアラーや貧困、虐待を事例に挙げたり「作者は甘い」など誹謗しない
○ 自分の意見・感想を率直に述べているか
悠人や朱音の悩みと成長をどう感じたか
○ 自分のことばで表現しているか
解説や感想サイトをパクらない
○ 発達段階に応じた考え方が表現されているか
ワリと大人な渉や直人の態度や気持ちを参考に表現
○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
起承転結もしくは気転結。時に登場人物への反感~自分の意見など文字数を計算しながら書く
○ 読書によって得た自己の変革がみられるか
「この読書から学んだ経験を生かして…」と感動と今後の抱負らしきものを書く
○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
主人公や登場人物への共感や同等の経験の自己開示など
読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
読書感想文の書き方には“正解”があります。
入賞作は審査員が気に入る読書感想文は「まじめで真剣に本のテーマを考えている」「とても正しい優等生な意見」が書かれています。
・「読書したうえでの学習効果が感じられるか?」と先生方は判断するからです。
自分なりの意見があっても反抗的だったり「いいと思います」「すごいと思います」などの単純な感想ではいい点数をつけてくれません。
何をいいと思うのか?前年の課題図書の読書感想文全国コンクールの入賞作品を参考にすると書き方のコツが身につきます。
ちょうど前年の内閣総理大臣賞は、児童虐待、子供の権利感じさせるテーマの「天使のにもつ」が受賞していますので参考になります。
内閣総理大臣賞<中学校の部>
◆高橋英佑 秋田県 横手市立十文字中2年「言葉で治療する」(朝日新聞出版)
文部科学大臣賞 <中学校の部>
◆嶋屋涼子 埼玉県 越谷市立北中3年「天使のにもつ」(童心社)