「水を縫う」読書感想文あらすじ・ネタバレ・感想文書き方のコツ


「水を縫う」
発売日:2020年05月26日頃
著者/編集:寺地 はるな
出版社:集英社
ページ数:248p
1,760円(税込)

松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。
学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するが――いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に生きてきたけれど、息子の清澄は扱いづらくなるばかり。そんな時、母が教えてくれた、子育てに大切な「失敗する権利」とは――「男なのに」刺繍が好きな弟の清澄。「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青。「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。「まっとうな父親」になれなかった全と、その友人・黒田。「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母・文枝。普通の人なんていない。普通の家族なんてない。世の中の“普通”を踏み越えていく、6人の家族の物語。世の中の〈普通〉を踏み越えていく、清々しい家族小説。

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「水を縫う」あらすじ・ネタバレ 
「水を縫う」読書感想文書き方のコツ
うんちく・読書感想文の書き方の“こたえ”

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「水を縫う」あらすじ・ネタバレ


読みやすさ ★★★☆☆
感想文の書きやすさ ★★☆☆☆
こんな人にオススメ

・普通と言われることができない、キライ
・特殊な趣味がある
・家族関係が特殊である 


第一章 みなも

松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母の文枝、市役所勤めの母さつ子と、結婚を控えた姉の水青(みお)との四人暮らし。
料理は祖母と僕、掃除は母、洗濯は姉の分担で母は経済的に“世間並み”を与えるのが第一なので仕事優先で学校行事にはほぼ来ることもなく、祖母に育てられボクは祖母の裁縫に興味を持ち刺繍を覚えた。
中学でも「女子力高すぎ男子」と性的思考を疑われ、友達もいなかったので家族は心配し、母からは「手芸はやめとき」と言われる。でも高校の入学初日の挨拶で「縫物が好きなので手芸部にはいるかも」と言ったのはやはり刺繡に手ごたえを感じるし祖母だけは評価してくれる。だが祖母の言う「やっぱりお父さん似」は禁句だ。

姉は高校卒業後就職し派手さや活発さを毛嫌いする地味な人。だが義母から結婚式をするよう言われウエディングドレスを嫌がっていた。「ボクが(祖母と)ええ感じのドレス作ったる」というと母は頭から反対する。“お父さんみたいなことするなんて”と。
両親はボクが1歳の頃離婚したが理由は知らない。
母はボクらに“父のやらかし”を聞かしてきたが、数か月に1度会う父は元々若い=頼りなく見え、会っても金がないのでフラフラするだけ。母は不機嫌になるが、姉の婚約者紺野さんは父と正反対でまじめなので、母はいたく気に入っている。
ボクが5歳のクリスマスの前、父は姉に手作りの水色ワンピースを作ってきたが「ぜったい着たくない」と姉は床にたたきつけた。それ以来姉は父には「めんどくさい」と言って会わないし、父の代わりに豊田さんが毎月養育費と持って来て写真を撮っていく。「君のお父さんはすごかったんやで」と言ってくれた事を覚えている。
父が服飾を挫折した人で、母が妊娠し22歳で結婚し、次いで僕も生まれたのもあるだろう…僕たちおらんほうがよかった?との言葉を何度も飲み込んできた。 それでも僕が姉のウエディングドレス作りには、家ではよく思われてないが父は「服飾系に進みたいと思ってる?夢は大きいほうがええよ」と目を輝かせて「ふふ」と笑う。

姉から「シンプルなドレスを」と許可を得たので、学校でとれかけのボタンを切ってあげたことで友人になった宮多ら5人グループで弁当を食べたがゲームの話とかついていけない。小中と一緒の女子で老人もしくは剣豪のような「石が好き」という高杉くるみが目に入り、僕は「見たい本がある」と席に戻りキョトンとされた。民族衣装の刺繍の本を見ているとジロジロ見られたので、大きめの声で「なに?」と言ってしまったのでおかしな空気になった。その帰り高杉からは気にするなと言われ、彼女が見かけた石に気を取られている姿を見ると、わからないことに触れるのは楽しいと思った。
宮多からLINEで「何か悪いことした?」とくれて正直に刺繍の本やゲームはわからないと、猫の刺繍したハンカチを写メに取り返事すると「すごいな」と返事をくれたことがうれしくて、自分で勝手にわかってもらえるわけないと思い込んでたと涙が滲んだ。
僕はすべてのものを「無理」と遠ざける姉に太陽がかげる前の美しい瞬間のようなドレスを作りたいといてもたってもいられなくなる。そして明日宮多にゲームの話を聞いてみよう。好きな振りをする必要はない。でも彼らの事知ろうとしてもいなかったから。

第二章 傘のしたで

水青の婚約者の紺野は彼女が『かわいい』が苦手だと覚えていたので、水色の傘をくれたがそれは父が暮れたワンピースを思い出すので1度も使っていない。
家でも職場でも存在感の薄いが、母の言う事にしっかり返事するのが「姉ちゃん」の立場では必要であり、母のいう下着が透けたり体の線が見えない服を着ることは就職時に決めた。毎月給料がもらえるならどんな仕事でもよく、色んな人はいるが関心を持てない、感情を動かさないように言い聞かせて出勤する。
塾のコピー機のメンテに来る紺野さんとの結婚の報告をした時、派手な顔と化粧、露出の多い服のみゆき先生から「まじめそうな顔してやるなぁ」と言われた。結婚式やドレスを嫌がる私に「阿と吽」の関係になりたいのに紺野さんは何とも言えない表情をした。みゆき先生には「武装」してきた私の気持ちも、紺野さんと清澄は男だから私のキモチは言ってもわからないと諦めてている。

塾の小学生たちは疲れた顔で親の期待でくる子もいる。私も母から「しょせん凡人は凡人、私はあんたらに期待したことはない」と父に言いたかった事を含みつつ、塾に通わせられ安定企業に入れと言われた。が、大学に行かないと言うと母に泣かれた。子供は私には“体のサイズの小さい人間”として接しているが中学受験コースのいつも話しかけてくるフジエさんが「お腹が痛いケド母親が夜勤なので一人で帰る」と言うので「ひとりは危ない」と私が言うとみゆき先生の「無責任に親切振りまく方が、不親切な結果になることもあるのよ?」に言い返せず、叱られた子供の気持ちになった。

結婚式は紺野さんのお母さんから「結婚はお披露目。式をしないならあいさつ回りしてもらうけど、めんどうやろ」と諭されたからやることにした。
清澄は夢中でドレスのデザイン画を描くが、父へのあこがれと言うより純粋に裁縫が好きなようだ。だがどのデザインも露出が多いかプリンセスみたいでダメ出しするので「描いてみて」と言われた私のデザインには「割烹着や」と言われた。清澄も「ドレス着ることの、なにがそんなに嫌なん。ぜんぜんわからへんわ」との純粋な疑問に「男だから」ではなく他人だから理解できないのだと思うし、人から“今が一番幸せな時期でしょ?”と言われても、すごく疲れている。これからはそうでなくなるのか?と勘ぐってしまう。

現在の父は専門学生時代の友人・黒田の会社のデザイナーみたいな仕事をしている、らしい。
小6の塾の帰り、男に笑いながら追いかけられ着ていたフワフワのスカートを切られた。ケガはしないが祖母と警察に行き、翌日学校にも報告すると教師たちは「服装のせい、身体に触られずよかった」と言われ、祖母は怒りで声を震わせた。その年のクリスマス前に父は自分で縫った水色のワンピースをプレゼントしてきた。今まで着ていた「かわいい」が嫌悪に変わってしまったことを知らない父に「ぜったい、着たくない」とワンピースを叩きつけ部屋に閉じこもった。今もカワイイと聞くとざわざわする。

午後出勤の日、招待客リストを紺野さんに渡した時「清澄君はけなげな弟」といい、招待客に父が含まれていない事を指摘されたが、私より母が確実に不機嫌になる。
紺野さんはお父さんが亡くなっているが父方の親戚も招待するし、正月も本家を訪ねるし、親は親だから今も父方の姓を名乗っている。彼は私が会社で落としたペンを、丁寧に拾ってくれる手と優しい笑顔、「かわいい」という言葉をやめてと言えば理由も聞かずに二度と口にしないでいてくれる。この人なら触れられても嫌じゃない直観は正しかった。
ドレスについては清澄と話し合えと「伝える努力をしないくせに『わかってくれない』なんて文句言うのは違うと思うで」と別れた。
コピー中にみゆき先生から、フジエさんが無事帰ったか?電話確認したと言う。礼を言うのもおかしい気がして「自分が怖いと思うものを他人に否定されることの方が怖かった、今も」というとみゆき先生は「みんな一緒や…いつもコピーありがとう」と背を向けた。紺野さんの言う「伝える努力をしていない」は私の常態に対する苦言だったのかもしれない。

仕事が休みの祖母と2人だけの日に「ドレスの採寸してしまおう」「終わったら内緒でケーキを食べに行こう」と子供のころからの“長女だから”とひいきをしてくれる。久しぶりに祖母の部屋に入ると、生前整理だと部屋をかたづけていて自分が死んでも母は自分で何とかするだろうし、清澄も大丈夫という。ワタシは「好きなことだけで生きていこうなんて甘い。堅実な人生がいいし、フワフワ夢を見られる時代やないと思う」に祖母は「こんな時代だからこそ『堅実』なんてあてにならんと思う」と薄い笑みに呆れが秘められている気がした。
部屋にあったドレスの本のどれも「かわいいから嫌だ」という私に祖母は自分の着ているブラウスをめくり、下着に清澄が刺繍したバラを見せた。清澄の刺繍をまじまじと見るのは初めてだが私にはソレは「力強く」見え、祖母には「かわいい」に見える。「見えない部分にバラを隠し持つのは、最高に贅沢な『かわいい』の楽しみ方」「かわいいは自分を元気にするもの…同じ『かわいい』を目指す必要はない」という。

すると紺野さんから電話がきて「スイカを持って来る」という。もう家の近くにいると電話が切れ、雨が降っているので彼がくれた水色の傘を出した。本当は「かわいい」が悪いのではない。「原因はおまえ」と言われることを避けるためにかわいいのせいした。私は怒るべきだった。だから「かわいい」のせいにするのはやめ、わたしを「元気にするもの」を選びなおそうと思った。
向こうから歩いてくる紺野さんは清澄と一緒で、スイカを落とさないように真剣で一生懸命な表情に「かわいい」と思わず声に出た。わたしの「かわいい」は好きってことなんや、と気が付いた。


第3章 愛の泉

結婚は妊娠したからというシンプルな理由。なにもわかっちゃいない22歳だった。
子供が生まれても全も私も変わらなかった。子供はかわいくないわけじゃないが「無償の」「無条件」とまではいかなかった。お互い名前で呼び合ったのは全には父親の自覚がなかった事と私はイヤミで全と呼んだ。
子どもは余計な事をして失敗をするから、先回りしてそれを取り除く作業が必要になる。失敗のフォローや説教する時間が無いからため息をつきながら、おびえる水青のミスに「余計な仕事が増える」と言うと母が水青をフォローしながら咎めるように私を見る。料理も本当は好きじゃなかったし、手作り離乳食は水青だけで清澄の時は鍋料理にして手抜きした。
周囲は実家だし旦那もやさしそうというが、全は清澄を見ていることもできず「庭の梅の葉の葉脈がデザインにならないか?」と見とれている間に、息子はティシュを食べてのどを詰まらせかけた。キレて怒り散らす私にキョトンと「疲れてるんちゃう?」と。もはや全てに腹が立ったワタシは「あんたはデザイナーになれなかった男」と夫を一番効果的に傷つける言葉をぶつける。

市役所では「子育て支援課」所属で30代バツイチの竹下さんも小3女児と小1男児の母親。清澄が小学生の時人形を欲しがった話をすると、息子がぬいぐるみをほしがる竹下さんは身を乗り出して話を聞きたがり、竹下さんの話には「わかるよ」で通している。最初清澄が性的な意味で人形のスカートをめくっていると頭をはたいたが、今となればその方が良かった。悪目立ちしてほしくない。竹下さんもそれでいじめを心配してる。
母からは「あんたには失敗する権利がある」と言われ、私が習い事をやめたいと言えばあっさり辞めさせた。幼馴染のアキちゃんはお母さんにビンタされ、続けさせられたが秋の合唱の伴奏者になれた。「引き留めてくれていたら私だったかもしれない」と胸がチクチクし母は私に無関心なのでは?私はそうならず、教えてやる大人になると決めた。でもその気持ちは子供たちに伝わらない。聞く耳をもたない。
ドレスのデザインで姉弟はにらみ合うようにもめて祖母である母が場をとりなす。夕食後水青は部屋に閉じこもり、母と清澄は頭を突き合わせ相談し「あんたの腕とセンスが問題ちゃう?」と口をはさんでも無視される。ドレスを着た水青はハッとするほどきれいだったがそれは言わない。そして清澄は「お父さんに相談しに会いに行く」と私に言うが無視して皿を洗い続けた。ワタシは「全のようになるのを止めたい」同じ轍を踏ませたくないのに。

今では料理は母と清澄がするが、たまにおかずを買って帰る。唐揚げを買おうと並ぶと黒田が並んでいた。最初全が金額にばらついても子供会いたさに持参してきたが、そのうち黒田の会社に入り黒田が私の留守に養育費を持参するようになった。
同じ19の時、出会った全は夢みがちだったが落ち着くだろうと思ったし「家族も兄弟も顔も見たくないくらい嫌い」というところを好きだと思った。全の家族はボロボロの家とピカピカの高級車の落差を何とも思わない何か欠落した家だった。「専門学校に行きたいからあいつらに頭を下げた」と吐き出すようにいったそれは家族への復讐心のようでだったが、私は特別にならなくても幸せに暮らせる「だいじょうぶ」と全を抱きしめた。だがあのイビツな家で育ったからか?1か月の小遣いを1日で私のプレゼントに使うようなのは治らず全に本当の家族と幸せ、お金の使い方も教えたかったけど一つも果たせず終わった。
黒田に手抜きの母親であると糾弾されても怯まないゾとにらみつけたら、こちらを見てもおらずに帰って行き、そのあと見た竹下さんが自転車に子供を乗せて滑走する姿に昔の自分を思い出し、生活の家事に追われ、子供の話にはいつもいい加減な返事をし余裕がなかった自分を反省しつつ、あれがあんたの精いっぱいだったと脳内の「もう一人の私」がフォローした。
気が付くと清澄が女の子と2人で目の前に立っててピシッと「失礼します」と愛想なく挨拶され帰って行ったので「彼女か?」と聞くと清澄が「友達の女の子をすぐ恋愛に結び付けるのが気色悪い」とキレだし大ゲンカになり、ケンカを聞きつけた母が「一緒に行って欲しいとこがある」とイタリアン居酒屋に連れ出された。

親子ケンカの仲裁はする気ないと母が言うのに、気づけばペラペラ思いの丈をしゃべると母にとって清澄は「めずらしいぐらい素直な良い子」という。ソレは“ものわかりのええ母には”であり、心配しないで『好きにしなさい』と言うことがさびしくもあるし「『失敗する権利がある』っていうけど、私は子供に失敗してほしくない」と言った。子供を思い通りにしたいとか、情熱大陸に出るような人間になれとかでなく、ほどよい進学、就職、結婚そして家族を作ってほしい。清澄に好きなもので生きていけるほどセンスや才能があると思えない。何の取柄もない私たちの子供だから。
母は「心配して傘を持って行けと言っても、そこから先、あの子には雨に濡れる自由がある。…あんたの人生は、失敗やったのかしら?」
家に帰り母はさっさと風呂に入って行った。からあげは食べ終わっていて、うちで一番大きな清澄の茶碗が洗ってあった。全と結婚し子供たちに会えて、うれしい事や楽しい事もいっぱいあった。他人から見たら失敗でも私の人生、失敗でもなかったんかな。と思えた。
へその緒でつながって、身体を共有してた時も私たちはひとつではなく、べつの人だった…明日竹下さんに「わかるよ」以外の母が言ったことをそのまま話してみようと思った。

第4章プールサイドの犬

横になった時に、子供の頃の自分と父の夢を見た。仕事をひんぱんに変え住まいを転々とし、時々酔った男たちが怒鳴り込むので母から「男の世界にはいろいろある」とささやかれた。だが父は私には優しく「女は力で男にかなわん。同じ土俵で勝負しようとおもわず、女は男よりきれいでかしこいのだから、そうでない男を思いやらなあかん。それがええお嫁さんていうことやで」とやさしく頭をなでるのに、のどに大きな塊が使えたような感覚がした…。

清澄に起こされてドレスを仮縫いする清澄を見たら、男女で世界が分断されていた両親は目を丸くするだろう。
清澄に裁縫教えがいのある子で楽しかったが、三度の流産のすえ生まれた一人娘さつ子は針仕事はキライだったが夫はさつ子には何でもやらせ、私がそうするのは嫌がった。色んなパート先でも親切な男の人たちに助けられミスも許してもらえた。夫はさつ子に「お婿さんをもらえ」と言っていたのが本当にそうなり、妊娠が先だったが同居には満足していた。

孫娘の水青は最近少し変化があり明るい色のブラウスを着るようになった。それでも服の素材すらわからないが、ドレスに難くせを付けるのもあり製作は難航した。清澄は父の全に手伝ってもらえないか?相談したが「父親らしいことをしなかったのに、しゃしゃり出れない。さつ子も気分良くないだろう…頼られるのはうれしいけど」と言う。全さんは悪い人じゃないけど浮世離れし家庭に向いていない。そしてそれに気づいてしまう繊細でかわいそうな人。

清澄が友達と3人で勉強すると言うので喜んだら女の子の高杉くるみさんで「女の子なのに数学が得意なんてすごいね」と言うと「性別は関係ないと思います」と脊髄反射で反論され謝ったが自分がそういう発想をしたことに驚いた。宮多君は小1の弟を留守番させられないとジュースとゲーム持参で来て、ワタシにお世辞まで言う如才のなさに清澄に友達ができた理由が分かった。だが「ふさわしい祖母のふるまい」がわからないがお菓子を買いに外に出ると、「文枝ちゃん」と声をかけきたのは、ひ孫を見に来た中学の同級生マキちゃんだった。中学時代ふわふわとした将来の夢を語り合った友。夢を実現するために学ぶ環境を両親から勝ち取らなければならないと気が付いたのはもう少し後だった。20年ぶりの昔より丸くなったマキちゃんは一緒にやらない?と「フラダンスお友だち紹介キャンペーン」のちらしをくれて別れた。

久しぶり家族4人の食卓で、マキちゃんの話をするとさつ子は水青にもすぐ子供ができると簡単に思っている。さつ子は妊娠しやすいのか?すこやかが故に無神経だ。フラダンスに誘われた話をすると、清澄が「やってみたら?」と、体の為にはそっちの趣味の方がいいような気がする、と食いついた。たしかに衰えを感じていて、ひとり娘のさつ子はきっと介護になったら自分がやるのが正解だと信じる。すこやかな娘だから。
宮多君の弟が塾に行って将来国境なき医師団に入りたい、という話題になりさつ子も清澄に進路のことを聞きたいようだったが夏の休み前の大ゲンカ依頼2人の間に触れちゃいけない感情があるようだ。
今は皿洗いは「フリー業務」で担当はないが、以前家事はさつ子と私のどちらか気づいた方がするやりかたで、先に気付いてしまう根っからの働き者のさつ子は見て見ぬふりもできず、家事も楽しめないタイプで爆発し、離婚になった。あの頃家事分担していたら離婚しなかったのではないか?と今更思う。

さつ子とアイスを食べながら、アキちゃんがくれたスポーツクラブのチラシを見ていたら「スイミング」の話になった。最後にプールに行ったのは水青が幼稚園の時。私はお父さんに「和光もない女が水着を着るのはみっともないから辞めなさい」と穏やかにわたしを怯ませたので、プールに入らなかったし、20代のさつ子は若くまぶしかった。
泳ぐのが好きだったし、怒りで傷つきながら皆を見ていると、上がってきたお父さんが、じっと待っている忠実な犬のようだと私に言った。さつ子はその話を「ほかの人に見せたくないという、愛情の裏返しや」と亡き父を擁護する。夫は「かわいい」とほめる態で抑圧してきたし、それを糾弾する言葉をもたなかったし獲得しようとすらしてこなかった。翌日マキちゃんから電話が来てフラの勧誘されたが断った。でも「泳いでみたい」その一言がどうしても言えないのは「みっともない」という夫の声が耳の奥でこだまするからだ。
マキちゃんは「あたし、太ったやろ…子宮全摘したんよ15年ぐらい前」「太ったことで、女じゃなくなるような葛藤はあったけど旦那が『身体のどの部分が無くなっても女でなくなるわけじゃないし、女でなくなってもお前はお前』と言われて、色んな事がスーっとしてやりたいこと全部やろうと思うたのよ。それで食べ過ぎで太ったの」とあははと軽い口調で話してくれた。文ちゃんもやりたいことやったほうがええで!と楽しげに続くマキちゃんのお喋りを聞きながら涙が滲んだ。3度目の流産の時、付き添った母が「母ちゃんはそこらへんの男より勉強できたけど、大学になんか行ってへんのやで」と憎々しげに語る母に憐憫と失望を感じた。私が望んだ自由にできる「新しい時代」に自分を含んではいけないと思い込んでいた。

塾にチラシを取りに行き帰ってきた清澄は表情が歪んでいた。そして職場での見た事のない水青に会い、気持を尊重していなかったとドレスを一から作り直すと仮縫いを解体していった。
私はプールに通い始めた。受付で売ってる無難な黒のセパレートの水着を買ったが他の人はてんでバラバラで自由。拍子抜けし笑ってしまった。孫が生まれた時私は50代だった。今の私はもう若くない。でも74年の歳月を共に過ごした自分の身体でもそれがなんやの?と言える気がする。もうプールサイドに犬はいなかった。


しずかな湖畔の

黒田の実家の稼業は縫製工場だ。父からは「危険だ」と注意された10台のミシンを操る工場の女たちは例えるなら獣を従えた魔女のようで、幼くして母が病死した黒田を「みんなの子ども」と勝手に主張し熱心に世話を焼いたのは愛情深い魔女たちだった。父は公私混同になると言っても、かしましい魔女たちを拒びきれず父の病気が発覚する前に撮った集合写真では困ったような、照れているような中途半端な微笑みとなり、そのまま遺影となった。

今では6,70代の魔女たちは30代で一番の若手でバツイチ浜田さんを未だ独身の黒田とくっつけようとする。
浜田さんには「私は着心地は良いけどナチュラル系の(つまらない)服は着ない」全がデザインした服のモデルもしてもらっている。お互いその気はなく浜田さんからも「何で今まで結婚しなかったのか?」聞かれ「(全の子どもの)養育費のことで頭いっぱい」とあいまいでも断ったので浜田さんは安心した。「黒田縫製の社員みんなの子ども」と呼んだ幸田さん、和子さんは黒田が結婚しないのを特に不満に思い「私ら社長が心配なんよ」というのが正義なのだ。ただどんなに家族の良さを語られてもピンとこず、焦点がぼやけるのは「結婚に向いてないから」だと思う。

多い時は5人いた社員寮の2部屋を今は全が使い、のらくらと収益の上げられない専属デザイナーとして働いている。もう80になる先代からの税理士も「全に払う給料がもったいない」「社長が結婚できないのは全のせい」と幸田さんたち同様未婚なのを半人前扱いし、全を雇うのは社長がやさしいからだと美しい誤解をしている。
そうではない。本当は専門学校時代で異彩を放った全が戻るのを待っているのだ。
会社を継ぐため入学した服飾専門学校で全に嫉妬がないわけでもなかった。だがデザイナーになること以外考えていない全はそれ以外邪気がなく募金箱に数万も入れてしまう生活力のなさに世話を焼かずにいられなくなり、周囲からは「相方」と呼ばれるようになった。全が結婚したのがアパレルメーカー勤務3年目。営業職で落胆したが服に関われると気持ちを切り替えたのに2人目の清澄が生まれまもなく離婚。会社を辞めぼんやり生きているところを黒田縫製で拾い上げた。
かつて新しいデザインが次々浮かんで手が追い付かないと三日三晩寝ずに脱水で病院に運ばれた全。黒川は薄気味悪さや呆れそして心底尊敬していた。良い人生とは、何かを所有する事でなく情熱の有無であり、追い求めるモノがある人間は葛藤や憔悴はあっても虚しさを抱える事がない。黒川は生み出されたデザインを実現化し作り出す人々を支える人間になろうと決めた。子供の頃、祖父母の家の側の湖から湖の底で眠るネッシーが目を覚ますのを待っていたように何年も全が目覚めるのを待っている。社員たちには自分にとって全がどんな存在か説明するのは難しい。

離婚後の養育費を持参してたが「もうあの家に行かれへん」と泣きごとをもらしたので、黒田が届けることになり行った証拠に写真を撮って全に送ってきた。水青は高学年から撮られるのを嫌がり、清澄の写真だけが増えていくが、自分の子どもでもないのに写真を消せず寝れない夜や酔い過ぎた夜、うっかり涙ぐみそうになりながらスライドショーで見てしまう。その清澄から水青とドレスで意見が合致せず「給食着」の常態で進行できないから「お父さんに手伝ってもらいたいが嫌がるのを説得してもらいたい」という。

土曜日に清澄と水青を呼ぶと言ったら全が夕食をむせ返した。動揺している全に「おまえの息子が頼ってくるのも、お前がこたえられるのもこれが最後やと思う…助けてやってくれ」と自然と頭が下がった。清澄の小学校運動会に「一人で行く勇気ない」と付いて行った時、清澄はめざとくこちらに気付き、徒競走で転んでひざから血を流してもゴールし、手を振られたことを思い出した。
2人がやってきた日は雨で、清澄は工場を興味津々で見て回り、残された全と水青は数年ぶりの体面に重苦しい空気がながれた。
水青の意見を聞き「リボン、レースフリル、ビーズ、身体の線が出るのも、着ていると落ち着かないんです」そこまで聞いた全が力強い声で清澄を押しのけボディから「給食着」を脱がせ、様々な生地を持って来て水青に次々と肩に当てた。どの生地も水青に似合うが、チュール、シフォン、オーガンジー好きじゃないのさぐり「落ち着かない、はあかん、水青のその感覚は大事にした方がええ…他人にかわいく見えるのは簡単だし、基本女の子は存在自体かわいい。けど本人が落ち着かない服は着ていると疲れる。疲れると自分が嫌いになる。それは良うない」と水青が選んだ生地はガーゼだった。それをボディに巻きつけハサミも入れずピンだけであっという間にドレスの形を再現する全に清澄は目を見開いた。
更に「幸田さんか和子さん、誰でもいいから呼んで」と縫製の魔女を呼び出し採寸を頼み、床にしゃがみこんだまま一切装飾のないトラペーズラインのドレスのデザイン画を描きあげた。シンプルでも地味でなく、カジュアルな素材でもくだけすぎない、あの子の良さを引き立てるドレス。おかえり、と口に出すのは照れくさい、そして今の全の耳には届かないだろう。
それから全と従業員3人で1日でドレスを作るようすに清澄は放心し、試着した水青はお姫様のように美しかった。清澄がかけより全とふれあい表情をゆるませる輪の中には、運動会の時「父性のようなもの」を感じただけでは絶対入ることができないと思い知らされた。
だが部屋から出てきた清澄は「僕には早かったんかな」と若者特有の浮き沈みを見せたが、ドレスに刺繍をすることを提案しみんなで中華料理屋に行った。清澄は「お父さんの事、今までずっとありがとう」と礼を言いだし、困っていると父親だけが一人きりなのが子どものころから気になっていたという。「俺は家族がおらんから…」というと「毎日一緒に食事して、心配して一緒にやっていくのって、家族って呼ぶんちゃうの?お父さんの家族は黒田さんやで…あの人たちもやろ」とギャーギャーさわぐ幸田さんたちを指した。「それに外にお父さんが二人いるような気がしてお得感があった…黒田さん運動会も来てくれたし」ちょうど炒飯がきて、喉に競りあがるあつい固まりで何も言えなくなってしまった。

全と2人の帰り道、全が「ネットショップで商品追加、間に合うか?」と聞いてきた。水青のドレスを作っていて新しい単体でも重ね着もできるスカートを思いついたと言う。全は何にも考えず無難なナチュラル系を作っていたと勝手に思い込んでいた。湖の怪物は眠ってなんかいなかったし、情熱も消えていなかった。


第6章 流れる水は淀まない

結婚式も近くなり、紺野さんは祖母と母から孫で息子の扱いが定着している。「清澄くーん」とそんな呼び方するのは紺野さんしかいないがすっかりなじんでいる。祖母は近頃アクティブになり「マキちゃん」と夜遊びしたり、一人旅にいったりするので、一人完成したドレスの刺繍図案が思いつかず思い悩んでいた。
父と職場の人たちは、姉の希望を一度も否定せず、その意図を組んで1日ほどで縫い上げた。プロの仕事と自分じゃ作れなかったことに落ち込むボクに仕上げの刺繍を知ろと黒田さんにアドバイスをもらったが、何が姉にふさわしい刺繍なのかわからなかった。
紺野さんは刺繍が不思議と世界共通で「願いや祈りが込められている」と語るボクの話を、すごく面白そうに聞いてくれて「壮大な弟ができてうれしいわ」と屈託なく喜ぶ。多分話が聞こえたらしい母が僕らにココアを持ってきたが、ドレスには一瞥もくれず、何か言おうとしたが風邪か?激しくせき込み出ていった。母は相変わらずボクの刺繍を「悪目立ちする」と認めない。でも続けても友達は残った。

秋になり紺野さんは新居のマンションに引っ越し、姉も遅れてあっさりと移り住み、祖母は旅行中で母と2人の食卓は広く感じた。
咳が止まらない母に病院に行けと言っても「仕事は休めない」と言う事を聞く気もないし、めんどくさいから早く席を立ちたいとガツガツ食べると「おばあちゃんの作ったありがたいおかずを」と小石のような言葉を連打される。ところがたまたま見つけた保育園の時の巾着袋をひろって胸ポケットに入れているのを見てすこぶる機嫌が悪くなりせき込んで「調子悪い、寝る」と行ってしまった。

保育園では指定サイズのものを全て手作りするよう言われ、母さんが「手作りが愛情の証だなんておかしい」と激怒し、姉の手作りバレンタインチョコも呆れていたし、巾着を見て苦い記憶がよみがえったのかもしれない。台所に行くと母の部屋からうめき声が聞こえ部屋に入ると母が呼吸もやっと状態で高熱を出し涙を流して苦しんでいた。ただごとではない。救急車を嫌がるので頼ったのは黒田だった。スマホで電話すると状況を把握し「タクシーで救急に行け」と言われ、自分の服装まで気が回らず薄着で病院についた。
母は肺炎だった。命にはかかわらないが、とりあえず入院となり「仕事休めばよかったのに」と言えば「毎月給料もらってくるだけが唯一の取り柄やもん」とそっぽを向き、薄着で来てしまったので母の「カーディガンを着ろ」としつこい。「もう黙っといて」というと「子供の心配するのは親の仕事やからしかたない。あんたは私のこと口うるさいと思ってるかもしれんけど」とぼやく。
明け方に黒田が来てくれて「ようがんばったな」と言われ泣きそうになった。病院は川沿いにあり「流れる水」と黒田さんが川を見ながら呟いた。清澄は頭の中でなにか光った。前にも聞いたことがある・・・。

母を看病に結婚準備で休暇を取っていた姉が戻ってきた姉に「明日学校を休んでドレスに刺繍を入れる…どうしても入れたい図案が見つかった」と伝えた。母が布団にくるまる身体が妙に小さく見えた。
姉が心配し様子を見に来たので、刺繍がきれいに見えるよう着てもらい刺繍を始めた。銀の糸を入れることも「キヨを信じる」と任せてくれた。刺繍の図案は「流れる水」あの時、ぜんぶ思い出したのだ。

小4の時「自分の名前の由来を調べる」という宿題を出され、母は不機嫌に「知らん」と教えてくれないので、自転車で黒田縫製に行った。父は留守で、不愛想に対応した黒田にしどろもどろで事情を説明すると、なぜか怒られて帰らされて、次の日家の前に黒田が待ち構えていた。「全に聞いてきた…1回しか読まないから覚えろ」とスーツのポケットから紙を出し読み上げて、逃げるように立ち去ってしまった。

「水青はみんなに愛されるよう『愛』という名前にしようと思ったけど、産まれた時の泣き声が川のせせらぎみたいに美しくやさしかった。だから『川』とか『流』の文字を入れたかったけど、さっちゃんが嫌というので、水青にしました」
「清澄は、するっと生まれてやはり産声はちょっとだけ激しい水の音みたいでした。その時も『流』を使いたかったけどさっちゃんが嫌がり、もっと強そうな名前を望まれたました。
流れる水は決して淀まない。常に動き続けている。だから清らかで澄んでいる。進み続け、停滞しないものを清らかと呼ぶんやと思う。これから生きていく間に傷ついたり、悔しい思いや恥もかくだろうけど、それでも動き続け流れる水であってください。お父さんから以上です」
「名前の話全然知らなかった」と姉が呟いた。僕たち、おらんほうがよかった?と父と一緒に川を眺めている時、ふいに浮かんだその問いを飲み込んだのは、返事が怖かったからだ。でも父はたしかに僕らが産まれた時「流れる水であってほしい」と願ってくれた。

昼食を食べ刺繍をし目が痛くて少し休んで、目が覚めると大杉くるみが休んだノートを持って来ていた。「将来、洋服を扱う人になるんかな?」に「わからん…でもずっと続けられたらええな、と思ってる」「好きなことと仕事(収入)が結びついてないことは人生の失敗でもなんでもないよな」に石好きのくるみも大きくうなずき天然に楕円形のすべすべした石をくれて帰った。

作業を0時まで続けたが、無理して失敗したくないのでそのまま仮眠することにした。だが値つけずにいると顔色が良くなった母がこっそり入って来てドレスを見ていた。声をかけると驚いて一生分寝て寝つけないからと嘯いた。「この刺繍は水青に対する祈りなの?それとも愛情のあかし?」そして「そういう事ができるのがうらやましい。私はそういう気になられへん」という母が頼りなく見えた。
ボクは「単に刺繍が楽しいからや…別にわかってくれなくていい。苦手なことを家族のために頑張るのが愛情なん?」にあの巾着袋を持っているとと指摘されたので、単にサイズがちょうどよかったからと「巾着を縫ってくれないから、母さんが僕を愛していないとか考えたことない」というと母はうつむいてまつげが細かく震えていた。

母はそのまま部屋の隅で寝て、完成した刺繍のドレスを父に見せたいと言うと「ここに呼べば?私は会わないけど」と部屋を出ていった。黒田さんと父にメッセージを送り、祖母からももうすぐ帰ると電話が来た。完成したドレスを見て姉は目を見開き左肩から夢なものとにかけて雨を現した刺繍と裾にかけては銀色の割合を多くした。姉は紺野さんに電話して「すぐ来て」と頬を紅潮させてと言う姿に、ボクは涙が流れたが姉は微笑んでくれた。
チャイムが鳴った。誰が来たにしてもドアを開けるのはボクだ。

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「水を縫う」読書感想文書き方のコツ


【読書感想文の応募要項】
・高校生の部 本文 2000字以内
(作文用紙400字×5枚)

 
 

 読書感想文の書き方

    ・この本を選んだきっかけ
    ・簡単なあらすじ
    ・感想、疑問点など
    (特に面白かったところ、感情が動いたところ)
    ・自分の意見、似たような経験談
    ・本を読んでの意見
    (本を読んで学んだこと、自分の意見、今後の生活に生かしていく。など)

あらすじは簡単でもいいですが
・自分がどう感じたか?
・本を読んで何を感じ、今後にどう生かすか?
・「似たような経験」の自己開示 → 高得点ポイントです

 登場人物それぞれの心情に自分を投影させてみよう!
この物語のおおまかなテーマは「型にハマれない人の生きづらさ」になります。

「男なのに」刺繍が好きな弟の清澄。
「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青。
「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。
「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母・文枝。
「まっとうな父親」になれなかった全と、結婚せず家族を持てなかったことを後悔する友人・黒田。
「子どもなのに」親が離婚しているから出生に罪悪感を感じている清澄。

世の中の“普通”を踏み越えていく家族の物語です。
一つ言えることは世の中の「普通」を躊躇なく選べる人は悩みのない人なのかもしれません。
収入に結び付かない好きを仕事にしたとしても、悪い事ではないし、それが人生の失敗ではない…との作者のメッセージをどう感じるか?読書感想文として高校生が考えるにはまだ人生経験が少ないので、家族や社会人経験のある大人に参考意見を聞いてみるのも良いかもしれません。年代によっては賛否が分かれそうなテーマです。

青少年読書感想文全国コンクール審査基準
    ○ 応募規定にあっているか
    ○ 発達段階に応じた適切な本を選んでいるか
    ○ 読書のよろこび、楽しみが感じとれるか
    ○ 広い視野から作品を評価しているか 
    ○ 登場人物の心情や、作品の語っているものを的確にとらえているか
    ○ 著者の論旨を的確にとらえているか
    ○ 事実と著者の意見とを区別してとらえているか
    ○ 自分の意見・感想を率直に述べているか
    ○ 自分のことばで表現しているか
    ○ 発達段階に応じた考え方が表現されているか
    ○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
    ○ 読書によって得た自己の変革がみられるか
    ○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか

 
審査基準も基本的な読書感想文と同じ評価の基準です。
上記の点を押さえて、感想文を書くのが評価の基準になります。SDGs教育の課題図書もありますので、「持続可能な職業に就くのが夢です」的なことを書くのも良い評価がもらえそうです。

【2021年読書感想文】高校生の課題図書 


読書感想文の書き方の“こたえ”

過去の読書感想文課題図書なら、感想文を書いた人も沢山います。

●2020年度内閣総理大臣賞
<高等学校の部>
◆芳賀奈月 栃木県立宇都宮女子高2年「廉太郎ノオト」(中央公論新社)

●2020年度文部科学大臣賞
<高等学校の部>
◆富樫永理奈 山形県立鶴岡南高1年「『広辞苑』をよむ」(岩波書店)

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