「ロスト・ケア」原作あらすじネタバレとおすすめ度

映画「ロストケア」は2023年に全国公開されるヒューマンサスペンスです。
原作は葉真中顕のデビュー小説「ロスト・ケア」。第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、審査員であった綾辻行人に「掛け値なしの傑作である」と言わしめた作品。

舞台は介護現場。誰にも気付かれずに進行していた連続殺人とそれに気づいた検事との対峙。なぜ彼が殺人を犯したのか?
戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫びー悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味…。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに心優しい介護士・斯波宗典に演技派俳優の松山ケンイチ。その斯波と対峙する検事・大友秀美を演じたのは長澤まさみ。
監督・脚本は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」(2018)を手掛けた前田哲。
「ロストケア」は2023年公開予定です。

こちらでは
————————————————————
【ロスト・ケア】登場人物と映画のキャスト
【ロスト・ケア】原作あらすじネタバレ
【ロスト・ケア】まとめとおすすめ度

————————————————————

Sponsored Link

【ロスト・ケア】登場人物と映画のキャスト

大友秀美:長澤まさみ
事件を担当する検事。
父の影響で熱心ではないがクリスチャン。人の中にある善性を信じ、罪は悔い改めるべきものと信じている。
 ※原作では大友秀樹で男性だが、映画は女性

佐久間功一郎
大友の中高大一環の同級生。フォレストグループの介護部門の部長。勝つことこそに人生の意義をみている。
バスケ部時代のある出来事から大友を嫌っている。

羽田洋子
シングルマザーで認知症の母の介護をしている。フォレストに訪問入浴介護を依頼している。

団啓司
フォレスト八賀のセンター長。優しく尊敬できるが、薄給のわりに車を買い替えなどしている。

斯波宗典:松山ケンイチ
フォレストの3年目の介護職員。自身も亡くした父を介護した経験で苦労している。

<彼>
白髪の殺人鬼。仕事は慎重で計画的にすすめる。だがバレた時にやめる覚悟がある。

【ロスト・ケア】原作あらすじネタバレ

序 章 2011年12月

<彼> 2011年12月2日
X地方裁判所第2刑事部第302号法廷。
証言台の<彼>は43人を殺害し戦後の連続殺人事件として最多を数えた。死刑になる―。しかし世界は変わらない。後悔はない。全ては予定通りだ。

羽田洋子 2011年12月2日
彼女は被害者遺族なので優先的に席が用意され<彼>を見上げていた。調書に本音の部分は採用されなかった。他の被害者遺族はどうなのだろう?ねえ、あなたたちは<彼>に救われたと思ったことない?

斯波宗典 2011年12月2日
同日、午後4時47分。斯波宗典は長い判決理由を聞きながら救われたと思った。
医者に自然死と判断された父は、実は殺されていたが、父も宗典も救われた。人殺しは悪だと言い切るのは簡単な世界どこにある?この殺人は絶対的な悪だと思えない。

佐久間功一郎 2011年12月2日
主文が読み上げられるとき、佐久間は何も考えることができなかった。だがこの殺人が白日の下にさらされるきっかけを作ったのは、佐久間だ。

大友秀樹 2011年12月2日
<彼>に対する死刑判決が出たが本当の目的を隠している。こみあげるのは怒りに似たやり場のない感情だった。―悔い改めろ!

第一章 天国と地獄 2006年11月 

大友秀樹 2006年11月4日
大友秀樹は富裕層向け介護付き老人ホーム『フォレスト・ガーデン』に79歳の老父と共に体験入居に来ていた。
エスカレーター式の中学から大学までの同級生・佐久間の務める会社だった。
聖書の一説「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。」がホームのモットーとしてあり、クリスチャンの父は「黄金律か」とうなずいた。
貿易商で成功した父は足が悪く、介助が必要だが母も亡くなり、息子の大友も転勤族なので完全介護でオーナーが総理大臣とも密であるここに見学に来た。
上客となる大友の父の紹介に、佐久間は夕食をおごるというが検察官の大友は「利益の供与になるから」と断った。

羽田洋子 2006年11月4日
「あんたが私の生きがいさね」と言ってくれた母は認知症でケダモノになった。生活の苦しさから母が節約に貧血の造血剤を控え、両足を複雑骨折し介助が必要となり地獄が始まった。
離婚し実家に戻った洋子と息子を迎え入れてくれた感謝と母への献身で乗り切れると思った。だが母の認知症は洋子を恐れ罵詈雑言を吐き、糞尿をまき散らした。
夫のDVで別れたのに介護の足手まといになる颯太に手を挙げ、母はぼんやりと正気を戻すと目で泣いている洋子を心配する。そして母の手をベルトで固定し、楓太をつれスナックのバイトに行く。
医者は「身体は健康ですから、まだまだ長生きできます」と言われた。「この地獄から抜け出したい」「人が死なないなんて、こんな絶望的なことはない!」そんなふうに考える自分が心底嫌だった。

大友秀樹 2006年11月4日
佐久間と中華レストランに入り、高校のバスケ部で一緒だった佐久間と懐かしい話に花が咲いた。
敗北が決定的だった残り30秒の時、佐久間がなげたラストプレイのロングパスを、大友はゴールも確認せず駆け出し奇跡のように受け止めシュートを決めた。
大友は「試合は負けたけどいい試合だった」と思うが、佐久間は「負けたら終わり」という。
そして夏合宿の時、伝統化していた無人駅でのキセルをやめようと罪悪感から部員に意見した大友を「あの頃から真面目だったよな」と佐久間は言う。
そして大友の父のことを「幸せ者だ」と言い、この世で一番えげつない格差は老人介護で、金があるなら安全地帯の高級老人ホームならまちがいがない。無限に使えるわけでない介護保険制度や、重すぎる介護に潰される家族が生まれている笑えない実情を語った。
大友はストレスを感じた時に出る、痛みを耳鳴りを伴うかすかなうずきを感じた。

<彼> 2006年11月4日
白髪をかきあげこれから『処置』する羽田静江76歳の家をたずねた。
この家は勝手口を鍵をかけない。静江は何度か顔を合わせているのに静江は「誰?」とおびえた声でたずねた <彼>を分からない。
ポーチから茶色い液体の入った注射器を静江の左肘裏側に当て差し込んだ。数秒激しく身体を痙攣させたがすぐに事切れた。圧迫止血をし『処置』は滞りなく完了。部屋のタンスの影の三又タップ型盗聴器を引き抜き、寝室を後にした。

羽田洋子 2006年11月5日
午前1時7分。スナックから息子をおぶり帰宅。母は眠っているので翌朝午前7時すぎ母の拘束しているベルトを外そうと手に触れた時、母が死んでいると気付いた。
全身から汗を拭きだしながら救急を呼んだが、自宅での急死は変死扱いで“警察の検視”により「心不全による死亡」とされた。
警察から葬儀社も紹介されスムーズに母の死は処理され、洋子は久しぶりに湯船につかり地獄が終わったと脱力した。それなのに涙が一粒こぼれた。

斯波宗典 2006年11月9日
X県八賀市の『フォレスト八賀ケアセンター』でその日、訪問入浴で組んだパート看護師の猪口真理子は羽田さんのお婆ちゃんが亡くなり「あの娘さん助かったんじゃない?」という。
20年近く看護職をした真理子の辛らつな物言いに、新人パートの窪田由紀は憤慨するが、この業界は真面目な人間の方がつまずきやすい。
帰社し、2人が帰った後も斯波には夜間訪問介護のヘルパー業務がある。
2006年の介護保険法改定で訪問系サービスの報酬が下げられ、受注ノルマをふやすことで事業が回されている。しわ寄せはヘルパーの薄給、長時間の重労働などで担うことになった。
センター長の団啓司は羽田さんのお通夜に行くという。団は58歳で、離婚歴があり身寄りがない。そのわりには真新しい白いセダンに買い替えたばかりだ。「不謹慎かもしれないが、救われたのかもしれないよ。…死んだ方が良いって事もるからねぇ」黒衣の男は白い髪をなびかせて言い、斯波も頷いた…この世に死が救いになるということはまちがいなくある。

第二章 軋む音 2007年4月

大友秀樹 2007年4月11日
X市に移動になった大友は殺人事件被害者・関根昌夫(83)の解剖に立ち会っていた。
被疑者は古谷良徳(26)は被害者の大甥で金目的で介護と称して近づき、盗むところを見咎められ殺害にいたったが共犯者がいる可能性があった。
検察官の仕事量は尋常でなく、1,2年ごとの転勤に家庭は妻の玲子に丸投げで、妻の髪に白いものが見えるようになり、信仰を支えにしている玲子から父が入居した老人ホームの母体〈都、フォレストに改善勧告〉の新聞記事を見せられ、大友の耳の奥でうずきが少し大きくなった。

佐久間功一郎 2007年4月12日
フォレスト営業部長の佐久間は、電話をかけてきた大友にできるだけ自信に満ちた声色で「“お前”は必要はない。親父さんの高級有料老人ホームは確実に守られる」と諭した。
昔から安全地帯から心配して見せる大友が鼻についていた。
バスケ部で中学から一緒だったが、高等部で決定的に不快感を抱くようになった。
大友が夏合宿で「キセルをやめよう」と部員たちの自覚とプライドを刺激し辞めさせたが、佐久間は鉄道会社が間抜けなだけで、キセルしないで偉そうなこと言うやつは偽善者の馬鹿と思った。
大学では法哲学の授業で討論番組内での〈なぜ人を殺してはいけないのですか?〉がとりあげられ、大友は『人間の善性』であって「駄目なものは駄目」のトートロジーをのみの大友に「なんじゃそりゃ?」と思った。何も言ってないに等しい大友の主張に教授筆頭に納得している周囲にも反感を覚えた。
表面上、大友を肯定しているかのよう振る舞うのは、大友に敗れた場合の最悪の事態を回避するためだが、老人ホームの件は、金があるなら高級有料ホームに入るのがベストであるのも偽らざる本心でもあった。

久しぶりの大友は、偶然でしかないバスケのロングパスを「いい負け方」といい、イラついて介護業界の内実を聞かせたら目に憂鬱さが浮き出させ、相変わらず真実を知らずに「正しさ」を振りかざす滑稽な偽善者だと再確認した。
今回、唯一話さなかったフォレストが介護保険法改正後、経営が赤字転落し、株価も下落し、全国の事業所で慢性的に不正が世に明るみになった事。佐久間はそれも役人たちに仕組まれて、不正を行わなければ成立しない業界を作り上げられたのだと思っている。結果、介護職の慢性的な人不足で定員割れの営業を「事業所指定の不正所得」と指摘される。
そんな不正を指摘するタイプが大友だった。
佐久間はピルケースの鈍色の錠剤がなければいらだちが消えない。

斯波宗典 2007年4月12日
3時35分、訪問入浴車は最後の訪問先に走っていた。
ラジオからは振り込め詐欺のニュースが流れ、猪口真理子は「こっちは安給料でお年寄り喜ばせているのに、不正って言われてたまんないわよ」と漏らす。
現場の立場からしたら介護保険制度そのものが問題で軋んでいるとわかっていた。斯波には悲観的な未来予想図しか感じない。
新人の由紀は、訪問先の72歳お利用者にセクハラを受けて、暴言で怒鳴りつけて落ち込んで「燃え尽き」ていた。彼女は明日フェードアウトすると確信した。

大友秀樹 2007年4月12日
古谷はあっさりと共犯者・坂章之(28)だと自白し、共謀して大叔父の殺害を自供した。
裕福な家庭で善意に囲まれ育った大友も、この世は善悪で割り切れず、善悪が相対的に変わることも理解した。
だが聖書の「原罪」の概念「人間の不完全性」を罪とする“罪悪感”こそが、本来「善」を求めたい人間の性(善性)と信じていた。
だからこそ浄化のためにリスクを取っても刺すときは刺す。それが取り締まる側の人間の習慣と信じ、古谷を言葉巧みに罪悪感を湧き起こさせるよう責め立て追い込んだ。“悔い改めろ!”と胸の内で繰り返しながら。
佐久間の余裕がある風な口調は逆に大丈夫じゃないと思わされ「この程度の不正はどこでもやっている」にも自分が厚生省担当者ならこの機会に、徹底的に不正を刺すと思った。

佐久間功一郎 2007年4月13日
佐久間の信条は勝つこと、成功すること、そして得られる万能感だ。自分は特別だと信じ、ポジティブさとコミュニケーション能力で成功を勝ち取ってきた。
人材派遣会社に転職し、フォレストの会長の利益を追求する善悪のないビジョンに尊敬の念すら抱いた。だが今や介護保険法の改正により伸び悩み、大友のような東京都の担当者や、偽善者どもの正義づらしたマスターベーションに糾弾された。
会長主催のパーティーで知り合ったケンなる怪しい人間から「少しトンがったサプリメント」ヤーマを買うようになり仕事もセックスも成果を出させたが、もはや厚い壁を越えられない。
ケンは金のない佐久間に「フォレストのデータを交換ならいくらでもくれてやる」という。老人相手の商売?詐欺だと察した佐久間は「老人の死に金を生きかえさせる、宝の山」とのケンとどう対等になるか?腕の見せ所だと思った。

<彼> 2007年4月16日
『調査』の日には対象者を盗聴しながら、殺すに相応しいか見極める。
八賀あさひ団地で一人暮らしの緒方カズ(85)が、限界を超えた息子の嫁に虐待されながら介護されているのを聞く。
泣きながら死にたいというカズ。叩きながら泣く嫁。
対象者に恨みも憎しみもない。あせらず無理せず、タイミングを把握する。

第三章 ロスト 2007年6月 

大友秀樹 2007年6月6日
「できるだけ長く、刑務所に入れてください」住所不定無色の川内タエ(70)は万引きの再犯で懲役3年となった。「検事さん、あなたにとってムショはロクでもなくても、私には極楽なんです」
数学研究者だった椎名は「人口推計はかなり先まで安定した予測ができる」「(少子高齢化で)こんな人これから増えていくんじゃないですかね」と言う。そしてちょうど電光掲示板のニュースに<フォレスト退場処分>介護事業からの退場を余儀なくされると報道された。
佐久間とは連絡が取れなくなった。

斯波宗典 2007年6月11日
夜勤の翌日の休日、テレビの中ではフォレストの会長が公開処刑されていた。
「介護ってのは、無欲無私の精神で尽くせる人しかやっちゃいけなんですよ!」斯波はうんざりしてテレビを消した。
黒くなった画面に映る自分は、ハッとするほど父に似ていた。
団塊世代で上りの人生を生きた父と、ロスジェネ世代の斯波とは大学進学ごろから相まみえなくなった。
だが父が脳梗塞でたおれ手術を前に、母が早世し父子家庭で大学進学費用のために会社を処分してくれたことがわかり、父の愛に報いたいと介護にいどんだ。それは想像以上の辛さだったが時折、調子が良くなる日もあり「俺は、もうわけが分からなくなってあってるから…伝えられるときに伝えておくよ。お前がいてくれて幸せだった。俺の子に生まれてくれて、ありがとう」その1週間後、クリスマスイブに父は逝った。
あの言葉で宗典は報われた。そして身体機能が衰え自立できなくとも、認知症で自我が引き裂かれても、人間は人間なのだと気が付いた。
どんな時代に生まれても苦しみはあったはず。生まれた時代を呪うのはやめよう。どんな時代、立場でもやるべきことがあるはずだから。

佐久間功一郎 2007年6月20日
佐久間はフォレストのデータを手土産にケンと組んでマネージャーとして振込詐欺“ビジネス”に乗っかった。
佐久間の相手の不安と恥じを刺激する大胆なシナリオで儲けは倍増し「日本の眠っている高齢者の金融資産を生き返らせている」と本気で思っていた。だがケンは羽振りのいい佐久間に面白くないものを感じていた。

大友秀樹 2007年6月27日
小坂良徳の共犯者、坂章之の家宅捜索の待機中、担当刑事とフォレスト・ガーデンの話になったが、佐久間と連絡不通になのが気がかりだった。途中、白いセダンが覆面車のうしろに停車し、白髪の男がショートピースを買って行った。
セダンが発射直後、無線機から<確保!>の声が聞こえ、大友と椎名は家宅捜索に入った。見つかったのは脱法ドラッグや謎のUSBだった。

<彼> 2007年6月27日
ショートピースは吸うためでなく『処置』するためにニコチン溶液を抽出するためのものだ。次の候補者は緒方カズか梅田久治。どちらの家の鍵も用意できている。

斯波宗典 2007年6月27日
8時52分。フォレストはどこの会社に買収されるのか?社内は落ち着かず、市の保健部、会社本体、個別事業者それぞれの「やめろ・続けろ」とねじれが起き、センター長の団も社員に質問されても困惑しかできない。
その日、斯波は「預かりの利用者宅の鍵」に違和感を感じると思った瞬間、「弱い人間を食い者にしやがって!この国賊どもが!」と事務所に「天誅」と書かれた紙でつつまれた石が投げ込まれた。
そこにいる全員が“社会の薄っぺらな正義”に怒りをたぎらせ爆発寸前だった。
すかさず「すみません」と団は全員に深く頭を下げ、「私たちの仕事は絶対にこの社会に必要なものです。私たちにはやるべきことがあります」とこらえてもらうよう、混乱寸前のその場を締めた。ここは団のような責任者がいて幸運だった。
斯波は金物屋の息子だ。この鍵のメーカーの刻印が違うすり替えられたものだった。

佐久間功一郎 2007年6月27日
渋谷のラブホでデリヘル嬢の話に佐久間は苦笑していた。
前職はヘルパーだったがセクハラされて辞めたこと。風俗には元ヘルパーが結構いること。以前は八賀市のフォレストのパートだったこと。日曜日に事務所の子と小児病棟にボランティアにいく事「やっぱり人の役に立ちたい」と
佐久間はこの嬢が愛おしくなり次も指名しようと思った。
帰りに二百万おろし、子供支援の団体に100万づつ寄付をした。“これこそが本当の善というものだ”自分の父親を安全地帯に入れて正義面している奴より、ずっと上だ、と。だが、こんなもんじゃないもっと上に行く。独立用に従業員も手なづけヤーマの売人ともパイプができつつあった。
夕方ケンが独立に気付き怒気をふくんだ声で電話をよこした。機嫌を直させるため寿司に誘ったがケンに恥をかかせたのが佐久間の失敗だった。

第四章 ロングパス 2007年7月 

大友秀樹 2007年7月16日
逮捕された坂章之は簡単に落ちなかったが、徐々に犯行を認め勾留期間内で起訴に持ち込まれるだろう。
横浜地検で世話になった警察官・宮崎から電話が来て、佐久間が殺されたと知らされた。共謀して振込詐欺をしていた被疑者、犬飼利男(33)にマンションから突き落とされたと。そして佐久間との関係を問う電話だったが、フォレストのデータを盗み、覚醒剤も使用していたと知り、まるでユダだと思った。
大友は佐久間がキセルに同調してくれた善性を持つ人間で、何らかの事情で善性がゆるがせて罪人になったにちがいない。なぜ?としか思えなかった。その時、新潟中越沖地震がおきた。

斯波宗典 2007年7月17日
翌日の仕事後、通勤用の車で鍵をコピーした犯人をみつけるため梅田久治の家を見張った。犯人は何のために忍び込むのか?「良い人」ばかりの社内の人間が犯人の可能性は高く、数日張り込みをしている。
先日、センター長の団のかわりに緒方カズの通夜に出た。梅田久治と同じように死にたがっていた。

<彼> 2007年7月19日
「地震で漏れ出した放射能は微量で、健康被害の恐れはありません」テレビで専門家が「リスクはない」解説した。
6月27日に緒方カズを『処置』し、42件目。月一のペースだ。
次は梅田久治の予定だがあせらず慎重に丁寧にやってきたからこそ、この数殺めることに成功してきた。
昼間の『処置』は休みの日に。夜の『処置』は休みの前日を原則とし、犯行を重ねると手順と方法は洗練され、達成感が上がり、作業化することでPTSDなどなることなく、簡単に割り切れる〈無色透明な殺意〉ものだった。
<彼>はこの世に絶対などないと思っている。いつか世間に知られる日が来る。その日のために、覚悟しなければ。

大友秀樹 2007年7月20日
坂は強盗計画用に、東京で振込詐欺をやっているグループからX県在住の老人の個人情報をUSBで買っていた。
大友は佐久間のことを思い出し、県警の刑事にデータの確認させてもらうようをたのみ、一人確認した。その内容から佐久間が流出させたものだと確信したが、そこには〈死亡のため〉と契約を終了した利用者の情報もあり、それが多い地域もあることだけ気付いた。

斯波宗典 2007年7月31日
今日の最後の業務は梅田久治だった。今夜最後の張り込みもするつもりでいた。
同行した看護師が「梅田さん認知症でなく鬱かもしれませんよ」と言い出した。
どこの介護施設にも行けないぎりぎりの状態…八賀センターも離職者が出て1日も休めていない団と、現場に駆り出された。明日は久々に団も休みを取れる…斯波は『犯人は団かもしれない』と思った。

大友秀樹 2007年7月31日
残業後、椎名とソバを食べながら「割れ窓理論」について話していたが、大友は元数学の研究者である椎名に「同じ県の町ごとに人の死亡率が違うってことあり得るか?」聞いた。「普通はあり得ない」と答える椎名に賄賂にえび天をやり、もう少し残業を手伝わせることにした。

斯波宗典 2007年7月31日
午後11時16分、梅田久治宅の最後の張り込みをしていた。
「―死んだ方が良いってことも、あるからね」団が言っていたのを思い出す。
暗闇に光が差し、見覚えのある白いセダンゆっくり家の前に近づいてきた。やはり、団だった。「団さん、梅田さんの家で、何をしていたんですか?」鉄の塊が斯波の頭めがけて振り下ろされてきた

大友秀樹 2007年7月31日
午後11時45分
佐久間が流出させたUSBデータには、1つの事業所だけ〈死亡のため〉が理由で契約終了が目立って多く、要介護度の人数が多いわけでないが死亡率は多い。しかも独居老人が夜中に一人になる時間帯が多い。もし人為的に起きているのなら〈八賀センター〉の関係者では?
従業員の勤務表と照らし合わせると、ある人物の休みの日とその前日が多いと判明した。それが事実なら3年にわたり犠牲者は最低36人にもなる大量殺人だった。佐久間が流出したデータで意図せずとも、この事件につながったロングパスだと思った。

<彼> 2007年8月1日
運転する白いセダンのトランクには、頭を割られた死体が揺れていた。
殺す気はなかったが、結果こうなったのははじめてだった。もう潮時かもしれない。だが自分から降りる必要はなく、まだ終わらない。限界までやる。

第五章 黄金律 2007年8月

大友秀樹 2007年8月1日
X地検本庁で大友は、検事正の郷田と次席検事の柊に時間をもらい、八賀フォレストの大量殺人の捜査許可を願い出て、慎重な郷田を柊が後押しして捜査に踏み切れることになった。
もう死体はないが、任意で引っ張り手ごたえがあれば家宅捜索で出てきたもので勝負すると言った。
「動機は?」と問われ大友は「殺害そのものが動議」つまり「自己満足」と「万能感」からと読み、そんなものを目的にする殺人は欲得による殺人より邪悪。生まれつき、良心・善意を持たないサイコパス…ついに出会うのかもしれない。

<彼> 2007年8月1日
午前10時22分、後片付けを終え、6時ごろ自宅アパートに戻るも深く眠れず、八賀ケアセンターの重要な社員が一人減ったことが心配で、昨日の殺人は余計だった。
玄関をノックする音が聞こえた「X地方検察のものです」大友という意図的に紳士的にふるう検事がいた。
いつかこんな日が来るのはわかっていた。“本当に肝心なのはこれからだ”

大友秀樹 2007年8月1日
午前10時54分、<彼>に対する任意事情聴取がX地検検事室で始まった。
長めの総白髪はぼさぼさで血色も悪く、くぼんだ目元にクマが浮き出て名簿写真よりやつれた印象…見覚えがある気もした。見た目と裏腹にハッキリした声と落ち着き払った物腰い…想定していたのだろうと確信した。
「僕はどうやって殺したというんですか?」と涼やかに何かを待ち望むかのように訪ねた。
「あんたは、殺人そのものを隠ぺいしたんだ」「あんたは老人を選んで殺した」と怒りの熱が湧いた。
断定的な推論で問い詰めたのに、正解と言わんばかりの喜びの表情であっさり「そうですよ」と認め、日本の検視システムはゆるく「毒殺で」とペラペラ犯行の手口を語り、43人殺したとこともなげに犯行を告白した。

物的証拠がなければ起訴できないとタカをくくっているのか?
「自宅に盗聴器など道具と、殺人記録のノートがあります…ばれるまでやる、バレたらすべて正直に話すと決めていたんです」

サイコパスか?と「身体が不自由で、生活に助けを必要とし、大した抵抗もできないお年寄りを殺したんだ!」と攻め立てた。
「そうです。殺すことで彼らと彼らの家族を救いました。僕がやったことは介護です。喪失の介護『ロスト・ケア』です」
唯一イレギュラーにフォレスト八賀センターのセンター長の団啓司(59)を殺したと斯波宗典(31)は自供した。また弁護士はいらない、弁解もないと笑みを浮かべたこの男は、大友と同じ年齢だった。

斯波宗典 2007年8月1日
午後10時38分。地検で逮捕後、この留置室で生活することになりそうだ。
階段の踊り場の鏡に映る自分は父にそっくりで、大学卒業後、父の介護をしているうちに老け込んでしまった。
フォレストに入社した27歳の時、団は「苦労したんだね」と言ってくれた。優しく尊敬していた団に襲いかかられ、突き飛ばした時に沿道のコンクリートブロックで後頭部をぶつけ動かなくなった。
ほかにも『ロスト・ケア』と同じようなことをしている者が?と期待したが団は単なる物盗りだった。車のローンか?管理者でも薄給なのは一般職と変わらない。団はトランクに詰めて車ごと雑木林に隠し、疲れて帰った数時間後に検察の犬がたずねてきた。
『ロスト・ケア』はもう続けることができない。だが、重要なのはここから先だ。やるべきことをやると決めた。これは戦いだ。一矢報いる。

羽田洋子 2007年8月15日
14日後、羽田洋子はX地検本庁検事室に「母は実は殺されていた」と呼び出された。
家に盗聴器が仕掛けられ、犯人は介護のスタッフだったこと。検事から「極刑を求める」「羽田さんの被害者遺族としての想いを調書に加えたい」と言われた。
「献身的に介護した、最愛の存在のお母さん、とても無念ですよね?」「…はい」検事の語気に飲まれ肯定した洋子だが、嘘だ。
洋子の生活は母の死後、安堵と共に肉体的、精神的、経済的にも好転した。だからこそ母の死は無念な死でなく天寿を全うしたと思いたい。ボロボロ涙を流す洋子に検事が柔軟剤の香る高級なハンカチを出され『この人とは住む世界が違う』とよぎった。「…私、救われたんです。たぶん、母も」
検事の表情はこわばり、眉間にしわを寄せ「その言葉は、あなたがお母さんの死を望んでいたと解釈される可能性があります…調書に加えません」と「献身的に支えた被害者遺族」としてつじつまの合う心情を言葉にし、ソレに頷くだけだった。

大友秀樹 2007年8月17日
斯波の態度は43件の殺人のうち、団に対するものだけ殺意を否定した。
ほか42件の殺害動機が問題だった。「あなたたちがどんな判断を降ろそうとも、僕は正しいことをしました」犯罪は認めても罪は認めない宣言をした。

「実の父親を殺したことも正しいというのか?」
斯波の最初の殺人は父殺しだった。父が47歳で産まれた斯波は、母が幼いころ事故死し、父が唯一の親族だった。老人にしか見えない斯波は「父の介護の3年間は地獄だった」という。
認知症のアップダウンは、ときに暴言でなじられ、怯えられ、思いは報われない。物理的に時間と金、仕事もフルタイムはできない。貯金も底をつき三食食べられなくなった。生活保護も認可されず励まされて終わった。
一見豊かなこの国で“社会の穴”に落ちてしまうと容易に抜け出せない。
気付くと、父を支えようと誓った手で、無意識に父を叩いていた。もう人間の生活じゃなかった。

「お前はつらい介護から逃げ出すために父親を殺した身勝手な犯罪者い変わりない!」
「あなたがそう言えるのは、安全地帯にいると思っているからですよ」と佐久間と同じ四文字熟語に凍り付き、耳がわんわんと響き、後ろめたさに即座に反論できなかった

介護生活4回目の12月の父が比較的安定した日に『俺はもう身体だけでなく、頭もおかしくなっている。そのせいでお前を苦しめている。俺ももうそんなふうに生きていたくないよ。もう十分だ。もうこの先は生きていてもお前も辛いだけだろう。だったら終わりにしたい、殺してくれ』と言って泣きました。
僕は認知症で自我が引き裂かれても、人間は人間。守られるべき尊厳がある。生きながらえるだけで尊厳が損なわれる状態に陥っているなら死を与えるべきだと。その1週間後、父を殺しました。

タイプをする椎名は目元を赤くし、大友にもこみあげるモノはあった、でも流されてはいけない。
「ではなぜ、そのあと何人も殺めたんだ!」「ばれなかったからですよ」警察は何の疑いも抱かず自然死と判断した。僕が見逃された運命にやるべきことがあるからだ、と感じたという。
この国には、僕と父のようにな人がたくさんいる、事実想像以上にもがき苦しんでいる人がいくらでもいた。
“僕はかつて自分が誰かにしてほしかったことをしたんです”
だからこの『ロスト・ケア』が人に知られる日が来たら、堂々と主張しようと思っていました。僕は正しい事しかしていない。斯波は敬虔な信徒のように、フォレストの老人ホームに掲げられた聖書の一説「黄金律」を力強く言い切った。

大友は精一杯否定の言葉を振り絞った。
「死による救いなどまやかしだ!諦めに過ぎない!お前も、お前の父親も命を諦めたんだ。人は生まれながらに善性がある。おまえに他人の命を諦めさせる権利などない」大友の訴えに斯波はけたたましく笑った。
「そんなこと言えるあなたは、やっぱり安全地帯にいるんですよ。もしも死が救いでなく諦めなら、そのほうマシだと思う状況を作っているのはあなたたちだ!…それにあなたがそんなこと言うのは二重に滑稽ですよ。あなたは僕を死刑にするのでしょう?」
「僕が人殺しなら、あなたも人殺しですよ検事さん。“この世には罪悪感に蓋をしてでも人を殺すべき時がある”
「死刑で犯罪者を殺すのは、世のため人のためでしょう?だから罪悪感に蓋ができる。僕だって何も違いません」

被疑者は完落ちしている。斯波はサイコパスではなかった。大友は敗北した。
もちろん、地検そのものは斯波の動機に関係なく起訴した。
やがて大友は斯波の本当の目的がまだあることに気付いたが、もう手の届かなかった。

終章 2011年12月

大友秀樹 2011年12月2日
大きな地震のあった年の暮れ、斯波の『ロスト・ケア事件』はおよそ4年経て死刑判決が降った。
玲子が東日本大震災のあとうつ病だと診断され、子供と共に実家に帰らせ別居し、今は東京地検に単身赴任している。
父は去年、すい臓がんで世を去ったが、延命は望まない「尊厳死」が父の意思だった。
―死による救いなどまやかしだ!その死は諦めに過ぎない!
犯罪者に言った言葉が、自分にそのまま跳ね返り、恵まれた安全地帯にいた父が「諦め」と言えるのかもわからなかった。

最後までしっかりと介護サービスを受けられた父でさえ、死の二か月前に「斯波ってやつ、そんなに悪くねえよな…」と言った。世間には父のように斯波を擁護する意見も珍しくなかった。

『ロスト・ケア事件』は世間にフォレストの不正事件だけでなく、介護保険制度、安楽死、尊厳死問題、選民思想まで価値観どうしがぶつかったが、議論を避けることはできない想いは誰もが共有していた。その流れに斯波の真の目的に大友は気づいた。大友は斯波ともう一度対峙することに決めた。

斯波宗典 2011年12月13日
大友は4年前より痩せていて「確かめたいことがある」という。
「お前の本当の目的は、お前の事件が広く世に知られることだ!この社会の綺麗ごとで片づけられない歪みをお前の物語を、この国の歴史に刻み込む。目を覚ました人々がこの世界を変える。それがお前の目的だ!」
「何様だ!殉教者気どりか!救世主気どりか!」検事の怒鳴り声は悲鳴にも聞こえた。
斯波は真実を発見した理解者に感動を覚え笑みを浮かべ「いや」と首をふり「もしそうだとして…ええ、これは家庭の話です。そんな物語を人々に語ったとしても、なるようにしかならないかもしれない。もっと酷い事になるかもしれない…それでも僕と父を追い詰めたものにせめて一矢報いることができたら、戦う価値はあったのかもしれません」
検事は濡れて震えた声で罵声を叫んだ。「あなたと話ができて良かった」と斯波は沈黙した。

羽田洋子 2011年12月18日
洋子はスナックの常連だった冴えないけど優しい男と再婚することになった。
洋子は50、相手は60。3年前から付き合いこのままでもよかったが、息子も受け入れてくれ震災がありつながりを形にしたくなった。
『ロスト・ケア事件』の斯波宗典は私と同じだと思った。絆は呪い。それでも人は誰かと絆を結ばなければ生きていけない。「きっとこの世に誰にも迷惑をかけないで生きる人はいない」それが洋子の結論だった。

大友秀樹 2011年12月24日
この日は別居している妻の実家の鎌倉に来た
玲子は東日本震災での原発事故の放射能に過敏になり、マスクをつけてくれと涙ぐむ。
―分かっていたはずなんですけどね
災厄はあらかじめ黙示されていた。戦いを挑んだ男は拘置所で死を待っている。
分かっていたのに、人は立ちすくむばかり、正しい者は一人もいない。一人残らず罪人だ。―悔い改めろ!
耳の奥の痛みは二度と消えない。
だが絆はある。娘の佳菜絵は西の空のオレンジの光の柱の夕日に「天使様の通り道」という。
大友は人はこんな時に祈るのかと思った。もうすぐ、夜が来る。

Sponsored Link

【ロスト・ケア】まとめとおすすめ度

おすすめ度

読みやすさ  ★★★★ 
サスペンス度 ★★★★★
ドキドキ度  ★★
エグさ    ★

こんな人にオススメ

・サスペンスが好き
・介護問題に興味がある 
・死生観について興味がある

【ロスト・ケア】感想

タイトルの「ロスト・ケア」とはいったい何のこと?と読み始めますが、「死によって、要介護者も介護者も救われるケア」のことで、かなり社会問題の暗部に切り込んだ作品です。
ストーリーは主要人物たちの群像劇のように、それぞれの立場と気持ちからストーリー展開しますので、分かりやすく読みやすい作品です。

人は大切な人が亡くなった時の喪失感を「グリーフ」と言いますが、介護をしながら要介護者のその人らしさが失われていく様や、死の予期に悲しみや悼みを感じる状態を予期悲嘆と言います。
その期間に死にゆく人に対して、愛の言葉を伝えるなど、やり残していたことを済ませる時期でもありますが、それは介護の格差がある世の中では、安全地帯にいる人が持てる感情なのかもしれません。

人が尊厳を保ったまま死ぬことができない“社会の穴”に落ちた時、そうでなくとも見えない命の終わりをさまよわなければならなくなった時、命を終わらせることは罪なのか?本人が望む安楽死をなぜ認めてくれないのか?を考えさせられる作品です。

限界の来ている社会保険、年金問題など「分かっている」課題を、見て見ぬふりしていること自体が私たちの原罪。「死に方は生き方」といいます。
より良い死に方を選ぶために、人は選び、決めなければならない段階にいると感じさせられた物語でした。

高齢化社会の歪みに苦しむ人を救うための連続殺人事件。 介護を担う側の苦労は他人事ではない。だからといって、法律では人を殺す事は赦されない。人が人を裁く難しさ、一人一人の罪悪感についでに考えさせられる。

大雑把に言えば 介護におけるミステリー。しかし本作はそれにとどまらず 超高齢化社会 格差問題 安楽死などいろいろな問題を突きつけてくる。興味深いのは 超高齢化社会や原発などの問題を聖書をもちいて それらは 予め黙示されていたのだと書かれているところだ。介護において社会の穴に落ちた事がある人ならば 犯人を否定しきる事はできないだろう。ミステリーとしても秀逸です。

途中まで、想像していた犯人像が違っていて、とても驚きました。 また、介護の問題が、とても重かった。 そう、私達はみんな知っている。 この国の制度が行き詰まりつつあることを。 もうすぐ団塊の世代が介護を必要とする年齢になることを。 少子高齢化…誰が介護するのか、できるのか? 他人事ではすまされず。 だけど、その時々で自分にできることを選びながらやるしかなくて。 かなり暗い気持ちになりました。

関連記事と広告


関連記事


サブコンテンツ