【ある晴れた夏の朝/あらすじ・ネタバレ】読書感想文の書き方のコツ・ポイント】



欧米からの見学者も多い原爆ドーム


「ある晴れた夏の朝」(偕成社)
著者:小手鞠るい・著
本体価格:1,400円
ISBN978-4-03-643200-4

こちらでは
2019年の「第65回 青少年読書感想文全国コンクール」中学生の部の課題図書
『ある晴れた夏の日』の「あらすじ・ネタバレ」と読書感想文の書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。

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『ある晴れた夏の朝』あらすじ・ネタバレと感想・こんな子にオススメ 
『ある晴れた夏の朝』感想文と解説
『ある晴れた夏の朝』読書感想文の書き方のポイントとその他指定図書

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『ある晴れた夏の朝』あらすじ・ネタバレと感想・こんな子にオススメ

【出版社内容情報】
アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系とそのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?

反戦をテーマにした児童文学は、ほぼその刊行国の視点で描かれる場合が通例だが、この作品は、日本人作家による、アメリカ側の視点で描かれた物語である。メインテーマは原爆の是非だが、それぞれの登場人物のおかれた立場から、真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、アメリカマイノリティなどにも話が及ぶ。
「先の日本で行われた戦争とは、なんだったのか」
日本の若い読者にとっては、対戦国であったアメリカのいまの若者たちの姿を通して、客観的にこのことについて考えることができるだろう。
日本人作家による、YAジャンルのあたらしい試みともいえる作品。

 
読みやすさ ★★★★☆
感想文の書きやすさ ★★☆☆☆

こんな子におすすめ
・バトルものが好き
・差別について考えたい
・アイデンティティについて考えたい子
・世界史が好き
など

『ある晴れた夏の朝』はディベート合戦が主体ですので、テンポよく読みやすいので本としては面白く、集中すれば2時間で読めます。
管理人は読書2時間(付せんをつけながら)、あらすじ抜き出し2日(1日3時間くらいずつ)感想2時間強のだいたい4日で書きました。
内容的には太平洋戦争当時の世界史の歴史もはらんできますので「戦争物って難しい」と読書感想文に抵抗感がある人はおおいかもしれません。戦争は要は国同士のケンカですので、戦争の発端の理由や流れ、相手がどんな手で攻撃してきたか?など身近なレベルに引き下げて考えてみるとすんなり理解できるかもしれません。
夏休みですので、歴史検証したり、現在もある中国のチベット自治区の弾圧やイラン情勢など調べながら書けば、原発否定派として自分なりの意見も出せておもしろいです。
基本は「戦争と平和について考える」ですから相手を弾圧するだけでなく、共存するにはどうしたら良いのか?を考えるのもポイントです。
 
【作者のねらい】
・原爆投下は是非を自分なりにかんがえてもらいたい
・人種差別とは何かを知ってもらいたい
・原爆は「必要悪」か?
・無知や憎悪や偏見、憎しみと言う敵は我々の内側にいるのだ…に対抗する方法とは?
・平和を創造するとはどのようなことなのか? 

【ある晴れた夏の朝】~あらすじ・ネタバレ~

『ある晴れた夏の朝』は読書感想文課題図書ですが、すごく面白いです!
テーマが「広島・長崎への原爆投下は有りか?無しか?のディベート合戦」という非常に重いテーマです。が、参加しているメンバーそれぞれに色んなアイデンティティや思いを持ちながら懸命に戦うというまるでスポ根のような物語です。漫画でいうならスラムダンク、ベイビーステップ、 弱虫ペダル、ちはやふる、あさひなぐ、3月のライオンなどのバトル系スポーツ、成長、感動系の作品が好きなら人にはおすすめです。

【登場人物】
~原発否定派~
メイ:日本生まれの日本とアイルランドのハーフ。4歳までしか日本にいなかったので日本語も話せず広島・長崎も知らない。これがきっかけで人生の目標が決まる。

スコット:メイをディベート大会に誘った「天才」ニューヨーク生まれで猫好き

ジャスミン(リーダー):ハワイ生まれの平和活動家。ウッドストックで両親が知り合い結婚したので自称「平和の落とし子」いろんな人種がまざった大人っぽい雰囲気がある。英米軍によるイラク攻撃に抗議するためにこのイベントを立ち上げた。

ダリウス:ワシントン生まれ。デンゼル・ワシントンを若くした感じの唯一の黒人。医者になってアフリカの無医村で働きたい。

~原発肯定派~
ノーマン(リーダー):大柄で愛称「スノーマン」アイルランド系でニューヨーク生まれ。正義感が強くスポーツ万能でモテモテ

ケン:ニューヨーク生まれ。苗字は「カワモト」日系3世でヤンキースファン

エミリー:マンハッタン生まれ。苗字は「ワン」で中国系アメリカ人

ナオミ:マサチューセッツ生まれ。苗字は「コーエン」でユダヤ系。ノーマンと付き合ってるらしい。

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メイのお母さん:日本人で翻訳家
メイのお父さん:アイルランド系アメリカ人                
                       
                              
                                            

『ある晴れた夏の朝』~あらすじ・ネタバレ~

【始まりの日―2004年5月】
高校2年生になる前の3か月の夏休み、メイは予定がなく何をしようか考えていた日に突然、1学年上のノーマンと同級生だが飛び級で2学年上飛び級した「天才スコット」がやってきた。
2人ともモテモテの憧れの存在が来たことに戸惑うメイに「一緒に公開討論会・ディスカッションに参加して欲しい」と誘いたくて来たのだ。
テーマは『戦争と平和を考える』広島と長崎の原爆投下の是非を問うディベート合戦だ。
メイをスカウトしたかったのは学校でも有名な反戦・平和運動家のジャスミンで企画を立ち上げたのも彼女とのこと。
日系人のケンは肯定派に回るし、この問題に異を唱えないと思わないか?と問われた。
4歳でアメリカに来たのでメイは日本はほぼ外国なのだが、2人はすでに熱くなっていて
肯定派ノーマンは「必要悪ってものがある」否定派スコットは「学校でいつも正しい事を教えているとは限らない」と返した。メイは「きみに原爆投下を肯定する事なんてできないハズだ」と言われ、なんとなく否定派に参加する事を引き受けてしまった。
メイは単位がもらえるとは言え、この戦いがどんなに大変な日々になるか何もわかっていなかった。

【公開討論会第1回―ラウンド1】
8月7日広島原爆投下の日が1回目の討論会になった。
メイはこの日、広島の人はどんな空を見ていたんだろうと思った。
会場の100席満席で、知っている人やバレていないつもりの父さんまで来ていて、緊張するは恥ずかしいやら。1回目は肯定派からの討論で開始された。

■肯定派ノーマン
「原爆そのものと戦争を肯定しているわけではない」と前置きしたうえで「原爆とはどのような武器か」を数字を強調して説明した。その真意は「死者」を見えにくくしているもしくは、原爆に対する「感情」をあらわにさせないようにしている様だった。ところが最後に言ったのは…
・この原爆を使わなかったら、太平洋戦争は終わらず、何百万以上の日本人とアメリカ人が命を落とすだろう。…戦争を早く終わらせ平和を実現するため原爆を使用した正しい決断
と言った。

■否定派メイ
日本人の被爆者で詩人・峠三吉の詩(28歳で被爆36歳で死亡)『8月6日』を読んだ。背後のスクリーンには目を覆いたくなる光景をふんだんに映し出した、私たちも写真の選択は目に涙を浮かべながらした。

 あの閃光を忘れえようか
 瞬時に街頭の三万は消え
 圧しつぶされた暗闇の底で
 五万の悲鳴は絶え

 渦巻くきいろい煙がうすれると
 ビルディングは裂け、橋は崩れ
 満員電車はそのまま焦げ
 涯しない瓦礫と燃えさしの堆積であった広場
 やがてボロ切れのような皮膚を垂れた
 両手を胸に
 くずれた脳漿を踏み
 焼け焦げた布を腰にまとって
 吐きながら群れ歩いた裸体の行列

詩の前半部分が終わったので、メイは相手の意見に対し、反対意見を主張した。
(1)トルーマン大統領が「戦争終結」を願って原爆投下したのはウソ
 日本は8月9日のソ連参戦により降伏した。だがトルーマンは7月17日~8月2日の米・英・ソ連「ポツダム首相会談」でソ連の対日参戦を聞いていて、日本は降伏するだろうと米はわかっていた。にもかかわらず落とす必要ない原爆を投下した。
(2)何百万以上の日本人とアメリカ人が命を落とすだろうも根拠がない
 トルーマンは「数多くの米青年を救うために」原爆を落とした。と言ったがそこに日本人は含まれず『アメリカ人の命』だけ。
 何百万という数字も様々な資料であいまいに増えていき、根拠がない。数字は嘘をつき数字は正しくても正しく使わてれているとは限らない。
(3)原爆は人体実験だった?という疑惑
 新しい兵器・原爆は多額の費用をかけ3個できていた。
 最初の1個の実験で破壊力から実際にどのくらいの人が死ぬ威力かの実証とソ連と世界にアメリカの軍事力を見せつけたい野望、そして国民からの尊敬を得たい欲望。があった。そのために…
 ・町の選定(アメリカ軍の空襲を受けていない町)をしていた
 ・都市であること(人のいない上空では意味がない)
 ・広島の直後長崎にたて続き2発目投下は効果の違いを知るためでは?
(4)死者の数字… 原爆投下により亡くなった罪もない一般市民の数
 広島人工42万人、死者14万人(人口の1/3)
 長崎24万人、死者9万人(人口の1/3)
トルーマン大統領は、新兵器の人体実験の目的、強いアメリカを見せるため、野望のために原爆を使った。
その後も朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、湾岸戦争、今はイラクで同じことが起きています。アメリカは罪の無い人々を追いやる戦争を止め、原爆投下に正しい認識を持つ必要があると思います。原爆投下は間違っていた。最後に詩の後半をご紹介します。

 三十万の全市をしめた
 あの静寂を忘れえようか
 そのしずけさの中で
 帰らなかった妻や子の白い眼窩が
 俺たちの心魂をたち割って
 込めたねがいを
 忘れえようか!
 
メイの詩の朗読で終えると会場は割れんばかりの拍手喝さいが起こった。第1回目に手ごたえを感じ4人で勝利を確信し、拍手の波が引いた頃「いい気になるなよ!」とヤジが飛んだ「第二次世界大戦中、日本兵に殺された中国人数は、原爆で死んだ日本人の百倍だって忘れるな!」

【公開討論会第2回目―ラウンド2】
第2回目は8月14日、日本時間は8月15日の日本が無条件降伏した日だ。この日の午後、子供達は学校に集まって天皇の敗北宣言をラジオで聞いたと言う。戦争が終わったことを知った子供達が見上げた空はどんな色をしていたのだろう?希望の色か絶望の色か?前回1回目は否定派が6票差で勝利し、地元新聞でも報道され今回は200人収容のホールに変更された。

■肯定派ケン・カワモト
日系人のケンの立ち位置に疑問を抱く人は多いはずだ。ケンは「パールハーバーを忘れるな」と言った。
・日本は宣戦布告もせずにアメリカに戦争を仕掛ける卑怯なだまし討ちをしてきた。昼寝をしているネコにネズミが奇襲をかけたようなものだ。原爆投下は、人体実験という卑劣なものではなくアメリカ兵の命を守るもので、同時に真珠湾攻撃をした日本に対する報復・リベンジ・処罰だった。

■否定派スコット
スコットは「猫さんにドッカーンと原爆を落とされて、見る影もないネズミです」とジョークを効果的に使い注目を集めた。
原爆投下は真珠湾から3年9か月後、すでに米軍の連勝で日本がボロボロの状態の時だった。
(1)日本軍からの宣戦布告の遅れた理由=在米日本大使館員の対応の遅れ
日本は奇襲ではなく段取りを踏んでいたが、最初に受け取ったコーデル・ハル国務長官→ワシントンの日本大使館での英訳に手間取り後回しにした。攻撃から1時間後に宣戦布告が沙汰された。
(2)真珠湾攻撃されることをアメリカ事前に知っていて参戦の理由にされた
日本軍は空母2隻と戦艦修理施設の破壊に失敗し、しかも「卑怯な真珠湾攻撃」で国民の反対理由がなくなり、参戦を望んでいたルーズベルト大統領は正当な理由ができた。一説には日本軍の暗号解読も成功しており宣戦布告も事前に知っていたとの見方もある。
(3)真珠湾攻撃でなくなった人数とその内訳
ハワイで亡くなった民間人37人は米軍の戦闘による巻き添えによるもの。

■肯定派エミリー・ワン
原爆で亡くなった広島と長崎の人々は、殺されて当然の人々だったのでは?
・トルーマンは原爆投下の3日後に「日本をこらしめるためには、原爆投下しかなかった。獣に対処するには、相手を獣として扱うしかない」とある電報に返信している
・国家総動員法で老人、婦女子も竹やりで鬼畜米兵と戦うよう訓練した広島と長崎の人々も全員兵士になる。ならば殺されても当然。
・南京虐殺で日本兵が中国一般市民を虐殺、略奪、レイプなど一般市民に行った。広島・長崎の人々は日本の勝利を喜び続けていた人。
・被爆者=罪もない人ではない。原爆投下は罪もない中国人千六百万人を殺害した日本軍とそれを支持した人々への報復、
エミリーは泣きながら15分の持ち時間を10分オーバーした

■否定派ダリウス
・『目には目を歯には歯を』の考えである限り人類に平和は訪れない
アメリカの歴史の中で差別されてきた黒人はマイノリティで『ほんとうに罪もない人間』に入る。
中国人の歴史的事実は認める。だが広島・長崎の人々は軍国主義に洗脳されていても職業的軍人ではなく、南京虐殺の罪を広島・長崎の人々の死で償うのは受け入れられない
・当時日本は水面下で、和平交渉に東奔西走していた事実もあった。当時のリーヒ大統領付き参謀長「回想録―私はそこにいた」の一部<日本の敗戦はすでに明白であり、降伏の準備もできていた。私の個人的な感覚としては、この兵器を最初に使った国家として、我々アメリカは、暗黒時代の野蛮人たちの倫理基準を採用してしまった>

第2回目はわずかな差で肯定派の勝ちになったが、ダリウスの最後5分の主張にメイの両親もメイ自身も癒されこの討論会に参加した意義はあったと思えた。

【公開討論会第3回目―ラウンド3】

■否定派ジャスミン
原爆投下は報復でも処罰でも、戦争行為でもなく、根元にあったのは人種差別ではないか?
・アメリカは原爆を白人国家には落とさない
原爆実験が行われたのはネイティブアメリカンの土地。ビキニ環礁での実験や原爆の開発実験で選ばれるのは有色人種の土地ばかり。
・人種差別は国家権力と結びついている
西海岸中心に日本人意味排斥運動があった。特にアイルランド系移民が日系人に仕事を奪われると排斥運動をし、マスコミがあおりたてた。
アメリカは先住民の土地を奪う事から始め、人種差別に裏打ちされた戦争を何度も起こしている。日系人排斥も、原爆投下もおなじ一つの根から伸びてきたもの。

メイはアイルランド系の父に尋ねると
ある物事を人種単位で捉えたり決めつけたりするのは危険だし間違っている。
人は人種ではなく、まず個人として存在している。
過去は大いに反省しないといけないが、引きずったり、囚われちゃダメだ。といった。

■肯定派ナオミ
・ドイツ、イタリア、日本の三国同盟を結んだ東條英機はアジアのヒトラーであり、ヒトラーを原爆でこらしめる事の何がいけないのか?
・原爆投下で終戦を迎え救われた日本人もいたんじゃないか?
・日本人排斥運動で日系人が殺されたワケじゃない。ユダヤ人と一緒にしないで欲しい。

■否定派メイ
・日系アメリカ人の強制収容所には根強い東洋人差別があった。
・日系人男子を対象に志願兵442連帯を募り、アメリカ戦争史上最も勇敢で多くの勲章が授けられ、命がけでナチスドイツと戦った。その中には親が広島出身の人もいた。
・志願兵にならない日系アメリカ人は収容所から出すことはなかった。

■肯定派スノーマン
・日本の子供が使っている教科書が原爆投下を肯定している
Qグループ1なぜ広島が被爆したのか?戦争中広島はどのような場所だったのか?
A『原爆が広島に落とされたのは、軍事都市として発展してきたから』と結論付け、教科書がこのように導いてる…つまり日本の犯してきた非にあると日本人は教育され原爆を肯定し、過ちを認めている。
最後に広島平和記念公園の中にある慰霊碑にきざまれている日本語の文と英訳文を紹介した。
〈安らかに眠ってください
 過ちは
 繰返しませぬから〉
Rest in peace
For WE JAPANESE shall not repeat the error

スノーマンは「この懺悔と反省に敬意を表すためにも原爆投下を肯定していきます。
原爆は悪ではなく必要悪だったのです。」とくくった。

メイは原爆投下を日本人が認め、受け入れているなら、原爆肯定派の勝ちだと思いながらも最後の碑文で大きな無力感に包まれた。結果はやはり肯定派が56票差で大幅に否定派に勝った。
 
    
【公開討論会第4回目―最終ラウンド】 

■肯定派エミリー・ワン
日本は平和国家になっていない
・朝鮮戦争、ベトナム戦争で日本は経済大国となった。
米軍基地の提供、朝鮮、ベトナム戦争の一部、武器爆弾の生産。湾岸戦争では人的貢献の代わりに莫大な費用をつぎ込んだ。
平和国家の仮面をかぶり、原爆被害者づらをやめ、正しい歴史理解のもとに中国、朝鮮半島、東南アジアの罪もない人々に謝罪しなくてはなりません。そういう教育を子供達に施していかなくてはなりません。

■肯定派ケン・カワモト
かつて日系人排斥運動があった事をケンの一族は東海岸出身なので「そういうこともあったらしい」程度にしか知らなかった。だが自分はジャパニーズアメリカンでも生粋のアメリカ人だから自分の国を応援する。日本はぼくにとっては戦争を仕掛けてきた外国だし442部隊が日本で戦う狂気にならない為にも原爆投下は必要悪だった。

■否定派スコット
トルーマンと側近たちは原爆投下の是非について全く検討しなかった。なぜなら最初から決まっていたから。
1.将来の仮想敵国になりそうな気配の共産主義国家、ソ連に対して原爆投下でアメリカの威力を見せつけておきたかった(政治的理由)
2.膨大な費用をかけた原爆開発「マンハッタン計画」の正当性・必要性・結果を国民に示す必要(政治的理由)
3.アジア人、日本人に対する人種差別と偏見。白人至上主義。
3については政治的理由ではなく、モラル・人道的な問題であり、原爆の「悪」と「不必要性」にこだわりたい。

■否定派ダリウス
アメリカは日本に原爆投下した後も、ビキニ環礁で23回の核実験、アラスカでは原住民に嘘をついて核実験しようとした証拠もある。中止になったのは草の根的な反対運動があったからで、原住民だけでなく野生生物など生態系が守られた。個人の反対から、国家や世論を動かすことができる。

■否定派ジャスミン
確固たる平和を築くためには人種差別から解放される事。人種差別は自分自身をつまらない、くだらない、最低の人間にしたてている。差別とは憎悪で、偏見とは無知です。誰かを憎悪している人の内面が平和で美しいはずがない。戦争は美しくありません。戦争に勝ち負けはありません。核兵器とはそのような戦争の道具でそれを断じて肯定は出来ません。
そして広島で被爆した若い日本人女性25人をユダヤ系アメリカ人医師たちが無償で形成手術を施しました。
反対に杉原千畝という日本人外交官はポーランドから逃げてきたユダヤ人6000人以上を救うためビザを命がけで発行し救いました。

■肯定派スノーマン
軍隊は平和を守るために存在している。核兵器は平和維持のために存在している。
原爆の悲惨さを正確に把握しているのはアメリカ人であり、使用はしないが保持するのは平和を創造するための一環である。
もし仮に日本にふたたび原爆を落とそうとしている国家が現れたら、それを止めれるのはアメリカしかないし核兵器は平和の実現に一役も二役も買っていて、否定派はそれを認識するべきだと思う。広島・長崎の人々は世界平和のためにこそなった、尊い犠牲なのだ。
核兵器は悪に対抗するための平和の武器なのです。

■否定派メイ
メイは前回ノーマンが出した慰霊碑の日本語の文章と英語の翻訳文について、日本人で翻訳家の母にたずねると
その文章は「日本人が犯したあやまち」という狭い意味ではなく英文は誤訳であると言われる。
アメリカ人でも日本人でもなく「われわれ人類はあやまちをくりかえしません」と言っている。と教えられた。
日本語は主語を書かなくても誰の事を指しているのかわかるようにできていて、「あやまちをくりかえしません」と言っているのは私=日本人であり、あなた=アメリカ人であり、世界=人類でもあるということ。
原爆死没者が安らかに眠るためには「私たち人類は、もう二度と同じ過ちを犯してはいけない」と、この慰霊碑は語っているのです。原爆投下はアメリカの犯した罪ではない。人類の罪だと。
メイは改めて「日本語と日本文化に興味を抱き、自分の進路が決まったこと。個人として平和を創造していきたい。日本語を学び、子供達と平和と原爆について話し広島長崎にも行ってみたい。私の平和の創造は今日から始まります」と話した。
メイは誰よりも大きな拍手をもらった。

■肯定派ナオミ・コーエン
ナオミは前回と打って変わり、最初から否定派を擁護するような発言をしだしたのでメイは驚いた。
・平和を創造するためには人種差別や偏見をなくす必要がある。そのために他民族の文化の理解
現在もあるユダヤ人差別も、ユダヤ人文化や宗教への無理解から根差したもの。
・肯定派のデータ・政府見解、歴史的事実に加え、日本人文学者や芸術家の作人にも目を向けるべきだった。
ナオミの心を動かした本
イスラエル軍の攻撃で家族を亡くしたパレスチナ人医師の本〈I STILL LOVE THEM「それでも私は愛する」〉
家族を殺されてなお、この医師は「互いに相手を許し、愛し、憎しみと暴力をすてなくてはならない。我々人類は一致団結して、我々の共通の敵、無知や憎悪や偏見と闘わなければならない。憎しみと言う敵は我々の外側ではなく内側にいるのだ」と。この本はジャスミンがナオミに紹介してきた本であった。  

メイも峠三吉の詩を読んではじめて、真の意味での原爆反対派になり、一冊の本には人を動かし変える力があると納得した。

ナオミはこれまでの攻撃的な態度から変わり、原爆投下は間違いであり、広島長崎は人体実験でナチスのユダヤ人に犯した罪、原爆とガス室、二つの行為はどちらも間違ったものであったと語った。
メイの言葉に感化され「私たち人類はもう二度とあやまちはくりかえしてはならない。たぶん肯定派のメンバー全員そういう気持になっているのではないでしょうか。」とまとめに入り「平和の神様に感謝を!」と討論会を終了させた。

拍手はいつまでも鳴りやまなかったあの日、10年後のメイは日本で英語の教師をしている。
今でも耳を澄ますとまるで潮騒のような拍手が聞こえてくる。
1945年8月6日の朝、広島の人たちが、8月9日の朝、長崎の人たちが見上げた青い空に私の心は飛んでいく。
おなじ一つの青空のもとで、過ちは二度とくりかえしません、と。

  

『ある晴れた夏の朝』感想文と解説


↑これがわかれば大人です。

読後の感想として出てきた疑問は「戦争はどこから始まるのか?」というものです。
この討論会のテーマは「日本への原爆投下の是非」を問うはずが、ディベート合戦し合ううちに、それぞれのアイデンティティによる民族愛から人種差別に話が移行します。
純然たるアメリカ人はスコットのみで後の討論メンバーは皆○○系アメリカ人になります。
ユダヤ系のナオミは日本をユダヤ人迫害をしたナチスドイツの仲間と言い、中国系のエミリーは南京大虐殺を起こした日本は原爆投下をされても仕方がない悪い民族でこれは報復であると意見します。
ですが最初から差別の歴史の中にある黒人ダグラスは「目には目を」で考えである限り人類に平和は訪れないと、人として達観した意見で対抗します。

アメリカはこの戦争の後も現在も戦争をなお繰り返し、核を保有する事で世界平和の維持を図っていると正当性を主張します。日本は参戦はせずともそんなアメリカに軍事協力して平和国家と言えるのか?との肯定派の意見に対し、日本人個人で6000人以上のユダヤ人を救った杉原千畝のような存在がいたという意見も出ます。
だが第3回の最後にスノーマンが提出した広島平和記念公園にある慰霊碑にきざまれた碑文が日本人がこの戦争の責任と懺悔と反省の気持をつづっていると否定派の急所を突いてきます。

ここまでのディベート合戦はまるで小さな戦争のようです。
多民族国家であるアメリカで様々なルーツを持つ生徒たちは、それぞれ自分のアイデンティティにこだわり事実よりも感情論的にこじつけの理論を前面に押し出してくる生徒もいます。特にナオミとエミリーは被害者たちが国家賠償を受けたはずなのにメイのお父さんが言う「過去は大いに反省しないといけないが、引きずったり、囚われちゃダメだ。」に反して許さないという選択でこだわり続けています。この泥沼では和平の糸口がないまま、勝敗がきまっていしまいそうな流れでした。

ですが原爆を経験した先人はちゃんと答えを出していたのです。
『われわれ人類はあやまちをくりかえしません』つまり『原爆死没者が安らかに眠るためには、私たち人類はもう二度と同じ過ちを犯してはいけない』
と、被爆国の日本人はアメリカの犯した罪ではなく、原爆投下という事実は人類の罪だといっているのです。そこには日本人の反省もふくまれていますが、アメリカを責めると言うより「戦争をした人類が悪かったのだ」ともっと世界を俯瞰した目で見ているのです。

人間は大切な真理に気づくとき、とても大きな代償を払ってやっと気づくという事が間々あります。とり返しの付かない大切なものを失って初めて、それまでの愚かさに気付くのです。本当にすべてを失くした時、人は自分たちの何が悪かったのか?と気が付くことができたから日本はその後、大きく経済発展できたのかもしれません。

地球全体、人類全体の平和や安寧を考えた時、戦争ほどバカらしく無駄な行為はありません。どちらか一方がマウントを取るのではなく、おたがいWINWINであることを目指すのが、平和の第一歩です。
ここでの原爆投下の原因は人種差別とありますが、差別するとは「存在否定」することです。認めたくない存在、認められない存在、認めると都合の悪い存在なのかもしれません。
「我々の共通の敵、無知や憎悪や偏見と闘わなければならない。憎しみと言う敵は我々の外側ではなく内側にいるのだ」とある通り、理解する努力をしたくないとの概念もあるのかもしれません。
冒頭で述べた疑問は「戦争はどこから始まるのか?」の答えは相手を理解し受け入れる事への抵抗感、つまり恐怖心にあるように思われます。
「攻撃は最大の防御」との言葉がある通り、この戦争で欧米人よりも体格も文化も劣っているであろう日本人なのに、B29もろとも突っ込んでくるパイロットを初め、婦女子まで勝てるわけがないのに竹やりで応戦しようとする狂気の民族にアメリカは不気味さ感じていたのではないでしょうか?
そこにアメリカが莫大の費用をかけた世紀の大発明である原爆投下に踏み切ったのだと個人的に想像します。実験のために、国民への体裁のために、世界を支配するために。

平和運動も個人個人の草分け運動で始まるのなら、戦争も個人個人の問題が集結して始まるのでしょう。
イスラエル軍の攻撃で家族を亡くしたパレスチナ人医師が「それでも私は愛する」との本にナオミは自分の民族が犯した罪と許された事に、恥と反省を感じ日本を責める立場にない事に気づきます。
そして原爆投下を報復だと言ったエミリーは、現在も続く中国のチベット弾圧の現実を認識していれば、日本の事を責めることは出来なかったハズです。イエスの言う「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」に悲しいかな、人類は今も拳を振り上げることができないのです。

世界は本来平等です。
どの人種だからエラい、どの人種には遠慮をしなければいけない、謝らなければならない、威張っても許されるなどはありません。平和は世界共通の認識です。ですが、正義とは強く美しい言葉に見えても世界共通ではなく、実に脆弱なものなのです。地球の平和を創造するとは、どのようなことなのか?その答えはわからなくても、個人個人が手探りでも憎しみを生まない心でいることで答えが出るのかもしれません。

【ある晴れた夏の朝・レビュー投稿された一例】

さて、この小説の主題は、“第二次世界大戦における日本への原子爆弾投下の是非”ですが、同時に、真の意味で平和とは何か?人種差別とはどういうことか?日本は非軍事国と言えるのか?などにまで踏み込んでいます。
この様な、ともすると重くなりがちテーマを、アメリカの高校生に討論形式で語らせていることで、整理され大変に理解し易いものになっています。
また、ニューヨーク在住の著者ならではと言って良いのでしょう。アメリカと日本文化の相違も良く判り、その点も興味深い作品です。
この小説の読ませどころは、何といっても登場人物の高校生8人のせりふです。登場人物それぞれが非常に魅力的なキャラクタで、彼らの語る言葉は一言一言が実直で、本当に心に沁みる言葉です。
終盤のせりふは特に秀逸で、思わず繰り返し読んでしまい、その度に泪がこぼれそうになります。


現在アメリカで映画『One Thousand Paper Cranes』の製作が始まりました。

2歳のときに広島で原爆にあい、後遺症のため12歳で亡くなった佐々木禎子さんは広島平和記念公園の「原爆の子の像」のモデルです。千羽折ると治ると信じて折り鶴を折り続けました。のちに千羽鶴の話は絵本「禎子の千羽鶴」として出版され、多くの人が読むことになりました。

この逸話を知った、ジャーナリストとして広島に滞在した経験のあるカナダ出身のアメリカ人エレノア・コア(2011年没)が「Sadako and the Thousand Paper Cranes」という絵本を1977年に出版。この本によって禎子の千羽鶴の話は世界中で広まることになりました。

「サダコや他の被爆者の物語を忠実に伝え、彼らに最大の敬意を払うため、原作小説『千羽鶴』のイシイ・タカユキ氏と綿密な協力関係のもと映画化に取り組んでいます。
本作はサダコの視点で語られる作品であり、(寺島しのぶを含む)日本人キャストもおり、日本で撮影されます。これとは別に、サダコの千羽鶴が世界中に広まるキッカケを作ったアメリカ人絵本作家エレノア・コア(主演女優エヴァン・レイチェル・ウッド)の物語も伝えています。

こういう映画ができるとヒロシマがまた世界的に宣伝されることになります。
原爆資料館では見学に来た欧米の人が、頭を抱えて落ち込んでいる姿が結構見られます。まだの人も原爆ドームは一度は見学する事をおすすめします。

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『ある晴れた夏の朝』読書感想文の書き方のポイントとその他指定図書

用紙・字数
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募作品
応募は日本語で書かれた作品に限ります。
応募は課題読書、自由読書それぞれに一人1編ずつ応募できます。
応募は個人のオリジナルで未発表の作品に限ります。他の類似コンクールとの二重応募は認めません。
入賞・入選作品は理由を問わず返却しません。

 

★「星の旅人:伊能忠敬と伝説の怪魚」(小峰書店)
著者:小前亮・著
本体価格:1,600円
ISBN978-4-338-08162-7


★「サイド・トラック:走るのニガテなぼくのランニング日記」 (評論社)
著者:ダイアナ・ハーモン・アシャー・作 武富博子・訳
本体価格:1,600円
ISBN978-4-566-02459-5

【読書感想文2018課題図書】中学生向け簡単な本の選び方


「一〇五度」~【自分とくらべられる本】進学・就職、職業
「太陽と月の大地」~【知らない事が書いてある本】歴史・伝記
「千年の田んぼ」~【知らない事が書いてある本】歴史・伝記

どうしても読書感想文を書くのが、本を読むのが苦手!という人は昨年の課題図書を参考にしても良いでしょう。なぜならばもう感想文が書かれていますので参考にすることができるからです。
ですが自分でも多少は読まないとマズイという方は『一〇五度』がおすすめです。
昨年の中学生の課題図書は3冊とも大した面白くなかったので、中学生は悲惨でした。唯一読みやすいのは『一〇五度』です。

まぁ心の声としては、あれだけ攻撃的だったナオミがなんで最後に仕切って丸く収めてるの?エイミー納得したと思ってるの?なにユダヤ系だからみんな遠慮してるの?と思った次第です。
  


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