「クジラの骨と僕らの未来」読書感想文あらすじ・ネタバレ・例文と書き方の大ヒント

クジラの骨と僕らの未来
(世界をカエル10代からの羅針盤)

発売日:2021年07月29日頃
著者/編集:中村玄
レーベル:世界をカエル10代からの羅針盤
出版社:理論社
発行形態:全集・双書
ページ数:190p
ISBN:9784652204368

内容紹介:小さな頃から生き物が大好きで、様々な動物を飼っていた著者は、中学2年生の時、骨格見本に興味を持ち、死んでしまったペットのハムスターの墓あばきを思いつきました…。 クジラ博士となった研究者の骨から始まったストーリー。

こちらでは
2022年「第68回 青少年読書感想文全国コンクール」高校生の課題図書の「クジラの骨と僕らの未来」の「あらすじ・ネタバレ」読書感想文の書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。

【読書感想文2022中学生課題図書】あらすじ例文・おすすめ課題図書紹介と選び方


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「クジラの骨と僕らの未来」あらすじ・ネタバレ・こんな人にオススメ 
「クジラの骨と僕らの未来」読書感想文の書き方の大ヒント 
「クジラの骨と僕らの未来」読書感想文・例文みんなの感想 
うんちく・読書感想文の書き方は経験者から学ぶ!
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Sponsored Link

 

「クジラの骨と僕らの未来」あらすじ・ネタバレ・こんな人にオススメ

読みやすさ ★★★☆☆
感想文の書きやすさ ★★★☆☆
こんな子におすすめ
理科・生物に興味がある
研究者になりたい
動物が好き
好きな事で夢をかなえる方法が知りたい
食糧問題に興味がある

 

編集者コメント
研究者になるためにはどうしたらいいの? 生き物が大好きだった少年がクジラ博士になるまでを描きます。好きなことが仕事になるってこういうことだったんだ!

「クジラの骨と僕らの未来」あらすじ・ネタバレ


第一章 墓あばきから始まった

●中学校でのあだ名
小学生時代にトカゲに興味を持ち、色々調べて中学時代にやっとフトアゴヒゲトカゲを購入し、学校で「念願のトカゲを手に入れた!」と自慢すると以外にも友達にドン引きされ、そこから中学時代のあだ名は「ハチュウ」となった。
●女ドリトル先生
でも僕よりもっと生物への情熱がハンパないのが菊地昌子先生。大きな動物の骸骨標本を持ってきたり、ウシとブタの内臓観察会で教室は阿鼻叫喚となるが、実物を見ることで動物の体の精巧さと「中身」に思いをはせた。この実習で解剖や形態に興味を持つ大きなきっかけになった。
●ハムスターの墓あばき
菊地先生はウシとブタの頭を校内に埋めて、微生物に肉を分解させて標本にした、と聞き以前飼っていた「ハム(ハムスター)」のお墓を掘り出したら骨格標本がつくれるかも!と自由研究のテーマにしたいと両親に相談した。あっさり了解を得られて細かい骨は見つからなかったが初めて自分で骨格標本を作れた。菊地先生からも高評価され、さらに大きな哺乳類の死体を引き寄せることになった。
●タヌキ汁
高一の秋に中学に展示されているハムの全身骨格を作ったのが妹の兄と噂がひろがり、妹の同級生のお母さんから「家の前にタヌキが死んでるけどほしい?」と電話をもらった。
躊躇なくタヌキをもらい観察、解剖し、煮沸して肉を取ることにした。タヌキ汁の匂いは獣臭が強烈だ。だが数日に混んでも肉は柔らかくならず、ナイフやピンセットで骨を取り出したが、脂が抜けきらない。しかも交通事故死なので頭骨も粉砕骨折で復元できず失敗に終わった。だが初めての中型哺乳類の骨格標本作りの経験に感謝した。
●奥深き寿司ネタ
高校の理科室で透明骨格標本(オタマジャクシ)を見て感動し、生物部じゃないけど理科の向後先生のまわりをウロウロするようになり、先生の出身大学の研究室をのぞかせてもらう機会に恵まれ、実験用のウニのサンプリングに同行させてもらった。夜遅くまで手伝いながらウニの発生研究を聞き、生物の調査や研究に実際触れ、高校までの知識を詰め込むだけの勉強と研究のちがいをおぼろげに感じた。
●そうだ、南米に行こう!
母親が高校時代留学していたこともあり、自然と留学したい気持でいた。家を離れることにビビっていたが一大決心で高三で留学することにした。「どうせ行くなら生き物の宝庫でなるべく遠く」の第三候補のアルゼンチンに決まり、大したスペイン語も習得できないまま一年留学した。動物好きのホストファミリーの家で過ごし、乗馬しながら野生動物を見たり、平原で日本にはいない哺乳類骨をみつけては持ち帰り、集めて標本を作るのをホストファミリーは黙認してくれた。そしてホエールウォッチングに行った時にアメリカとニュージーランドの学生から「なぜ日本へはクジラを食べる?」「良くないんじゃないか?」と聞かれ捕鯨の状況を知らないので「日本が違法なことするわけない」と答えたが、悔しさや世界と日本の捕鯨に対する価値観の違いから捕鯨して良いか悪いか科学的データで世界を納得させられるクジラ研究者になりたいと漠然と思った。(しばらく忘れてしまうが)
留学を終え帰国し、一年留年して担任が理科の向後先生になった。先生から受験は「東京水産大学が向いているんじゃ?」と勧められ合格することができた。
●井から出た蛙、大海を知る
大学では水産学好きがあつまり、もはや研究者か水族館員のような知識と経験の連中がゴロゴロいて、焦りを感じ、他の人に負けない情熱を持てる分野は何か考えた。
大学二年魚類学でタイの全身骨格標本の美しさに魅せられ、魚の骨格標本を作りたいと築地のゴミ箱をあさりカツオを頭をもらい二個目で成功。家族から「物好きだねぇ…」と言われながら「刺身をつくるから」と丸物を買ってもらったり、台所作業を許してもらえる協力を得た。魚の頭のパーツは形は違えど、種類と個数は同じで、生活スタイルを反映しているのに気づき、「骨の形」の重要な意味に気付きおもしろくて虜になった。
●骨ブーム
学園祭で魚の骨格標本展示のブースをたちあげた。
変わった種類の骨格標本と生きている時の姿の写真を並べ比較できるようにした。このころ、骨のグラビアが書籍販売されたり、骨格標本作りの団体が発生するなど、骨ブームがおきていた。展示ブースも一般の人にも好評だった。この三年後大阪市立自然博物館の「なにわホネホネ団」主催「ホネホネサミット」に全国の高校会。個人があつまる企画があり、さらに多種の魚の骨格標本展示をしこれも好評で、骨は多くの人を魅了すると確信した。


●デカイ、クサイ!
四年で所属する研究室を決めなきゃいけない三年後半に、先輩からクジラの専門家が国の研究所から赴任してくると聞いた。
クジラは留学中に見た以外ないが、魚や無脊椎動物にない魅力を感じ先生を訪ねてみた。加藤秀弘先生のクジラ研究話に魅せられ、輪読(数人が順番に、一つの本を読んで解釈し、お互いに意見をかわすこと)と面接、小論文と共に配属が決まった。
フィールドワークでのクジラ研究は突如打ち上げられたクジラの調査の手伝いに行く。現地で大洗水族館、日本鯨類研究所、国立科学博物館のデータと標本採集の手伝いをする。メディアや地元民が「肉くれや」とあつまるが強烈な臭いで去っていった。
巨大なマッコウクジラに圧倒されながら計測、撮影、巨大大包丁での解体。体温の高いクジラの腐敗臭や、腹を切ると内臓の腐敗ガスの爆発での血しぶきに気を付けながらも、職員さんたちはテキパキした作業で動き、腐敗した胃の内容物も貴重なデータなので収集する。だが頭部は油の詰まった脳油という袋をやぶらないように、商業捕鯨時代の解剖員を翌日呼ぶという。そしてクジラは二年間砂浜に埋めて、骨格標本にする。
●クジラは遊ぶ
一か月後、生きているクジラを見る機会に恵まれた。
一九八九年から沖縄本島に冬になると来るザトウクジラの調査研究で参加することになった。卒業研究テーマも「沖縄ザトウクジラの増減」に決めた。美ら海水族館の人との海上調査では、目視で個体識別できるザトウクジラの腹側の模様を撮影し、個体数推測する。ザトウクジラはアクロバティックに海面をジャンプしたり、繁殖期に雄は歌う声やすぐ近くでスパイポップという海面上の様子を黙認に頭だけだされ恐怖を感じたり、メスをめぐるオス同士の力比べや遊びもする。
このフィールド調査で、論文や図鑑だけで分からない野外研究ならではの醍醐味を味わった。


●クジラの内臓
大学には世界最大級のセミクジラの骨格標本があり、加藤先生がやってきたので埋もれていた標本などを知ってもらう「クジラギャラリー」のオープニング式典が行われた。
だが、当日の懇親会中に「石巻でミンククジラが捕獲された」と連絡が入り、クジラの骨格標本を作る過程と捕獲調査のイロハを一から経験させてもらえるチャンスに2つ返事で引き受けた。
現場には日本鯨類研究所職員と解体専門の捕鯨会社の人がいた。
ミンククジラは解体されて土に埋める作業に立ち会う。ショベルカーで幅3×4の花を掘り、そこにパーツ分けした部位にラベル番号をつけ、漁網でつづんだり、ベニアで囲ったり、相見にまきつけたりし、四隅に目印の丈夫な杭を打ち撮影する。全て重要な工程で、2,3年後違う人が掘り出すかもしれないからだ。
その夜の歓迎会で翌日2日酔いのなか、クジラ捕獲の情報が入り骨でないミンククジラを見れることになった。
クジラの解体担当の「解剖さん」(解剖員)の解剖長の合図で巨大まな板の上に移動される。
調査員の写真撮影、傷・帰省中の有無の観察、体の30か所の計測。調査団長の「お願いいたします」で解体に移る。
解剖員は尾びれを切り落とし、胸ビレ、背ビレ、厚さ5センチの皮をはぎ、内臓が出され、組織の異常と捕獲時のモリによる損傷程度を調べ、臓器が切り出される。4つある胃袋の内容物を取り出し、大量発生のメロートしか食べていないことから、大型鯨類が海上生態系の余剰分(豊富に発生した生物)摂取で生態系維持しているのがよくわかった。ヒトはある種の魚が少なくなると希少価値が付き、さらに乱獲、減少するのでクジラに学ぶべきと感じた。
クジラの内臓は湯気が立つほど温かく、ウシの内臓と似た形で分泌物の色臭いも哺乳類的だと鮮烈に体験した。

第二章 南氷洋航海記 


●いざ、南氷洋
行きたいと思っていた南氷洋に4年の中頃、加藤先生から第2期南極海鯨類捕獲調査参加の話をされ飛びついた。11月から翌3月までの5か月間8千トンの「日新丸」と6隻で調査をしながらクロミンククジラ850頭、ナガスクジラ10頭捕獲の計画。大学側は特例で卒業研究発表を10月末に、卒論は船で執筆し期限までに提出でOKとなった。
出航1ヶ月前には勉強会。出航2日前に近代捕鯨発祥の地・下関に入る。
調査母船は軍艦のような迫力で個室の船室を与えられた。日新丸には120名乗船し僕が一番若年の23歳だった。出航式には水産庁や地元自治体関係者などに盛大に見送られ、多くの人がかかわる調査に参加させてもらうのだと、身が引き締まる思いがした。
●南へ南へ
出航数時間後、船酔いし最初の医務室利用者となり今後が不安になったが翌日からは復活。
南氷洋には1か月ちかくかけて向かい、その間も各部門で捕獲本番にむけて準備や事故予防にむけての予行練習をする。他にも「操練」という船の火災、浸水、沈没事故に対する訓練。船内各部署などの位置関係の把握。調査が始まれば時間との闘いになるので、事前の準備が必要になる。
出航から2週間、赤道通過し南半球に突入。“赤道祭”で「県人会」での懇親会が行われた。赤道を超えると、赤道補給が行われ資材や燃料の受け渡しをする。それからは日一日と寒くなり、南緯四十度を超えると偏西風が吹く「暴風圏」を越え「荒天対策」の指示が出て外には出れなくなる。そしてワタリドリが船の周りをを飛び回るようになり、一か月たち南氷洋に到達した。
●フィールドワークとは
この年の調査はロス海をふくむ日本の13倍の面積での調査。
クロミンククジラの個体数分布状況や捕獲することでしかわからない、年齢組織と将来予測個体数もある。胃の内容物を調べ何を食べ、栄養状態もわかるので実際に捕獲個体からのデータが必要になる。
●初漁式と神棚
採取船が最初のクロミンククジラを仕留め、それを母船に受け渡し引き上げる。デッキにクジラが上がると船長、調査団長、多くの乗務員が集まりクジラへの感謝と供養を込め「初漁式」が行われる。一堂に樽酒がふるまわれ、クジラの体に御神酒がかけられる商業捕鯨時代からの習わしで、他一日と十五日の朝は神棚にお参りをし昼食には赤飯と鯛がふるまわれる。


●ナンキョクオキアミ
初漁式後は、迅速に調査が始まる。
写真撮影、DNA標本採取、体表の傷・外部寄生虫の観察、体表に付着した珪藻採取、採血、各部位の計測。
次に解体が始まり、解剖員が大包丁で素早くばらしていく。解剖の進行に合わせ、調査員は筋肉、脂皮、肝臓、腎臓、脾臓、生殖腺など臓器を採取実験室で標本に入れる。肋骨が外されると、食性検査で四つの胃の内容物を調べる。ほとんどがナンキョクオキアミでクジラ以外にも食べられているので、これが南氷洋の生態系を支えているのを感じた。
一日十頭予定だが、予定以上に捕獲できたとき複数の個体の調査に臨機応変な対応ができず、迷惑をかけ無力さと情けない気持ちでいっぱいになった。船の中は逃げ場のない地獄だ。でも船の外の美しい自然をみながら自分をなだめながら過ごしていた。
●なが~い、ナガスクジラ
二月二日世界で二番目に大きいナガスクジラを捕獲することになった。
日新丸は元から捕鯨船でなくトロール船を改造したものなので引き揚げにはパワー不足と「ワイヤーがはじけるかも」と作業員も船内から見守り、慎重な作業で時間がかかった。
解体されたナガスクジラの肉会はクロミンククジラの十頭分以上。ウシの百頭分。食料不測の予測がされている近年、クジラは重要な食料資源になりうると感じた。かつて「鯨一等で七浦潤う」と言われ肉は食用に、脂は灯火・殺虫剤に、ヒゲは加工品に、骨・内臓は肥料に。7つの集落の人々の生活を支えられる重要な資源とされた。この食文化、技術、設備が失われたら捕り物すのは容易でない。


●騒動
1週間後、シーシェパードから襲撃された。
過激な妨害活動をしてくるのだが、こちらも妨害対策の手順で動画と音声で記録する。黒づくめ(中には女性も)の活動家も何か叫びながら撮影し、茶色い酪酸(水生生物にも有害な薬品)をデッキになげつけてくる。海にも落としているので、彼らの主義主張と実態はかけ離れている。
嫌がらの後なんとシーシェパードから「乗務員が海中転落した」と救難信号が入りシーマンシップで救助に向かうと「要救助者を発見した」と無線が入り「では、再び妨害活動に入ります」と言ってきた。
シーシェパード妨害活動からしばらくたったある夜、船内で火災が発生し1名の若い乗務員が亡くなり電気系統が故障した。
2018年12月、日本が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し約30年ぶりの商業捕鯨を再開となったが、捕鯨海域は日本の排他的経済水域(EEZ)内に制限される。南極など公海では捕鯨できず、政治的配慮や戦略の結果の再開に舵を切ったが、南氷洋のクジラ資源をみると食料不足への切り札に使えないだけに残念だ。


●帰港
火事の後、調査継続不可能と判断され、母船には最低限の人員が残り、僕は目視専門船・海幸丸で帰国することになった。
漫然とした思いでの帰国になったが、東京の大井ふ頭での家族や関係者迎えに、安堵の気持から通常の生活で味わえないことを経験したものだと改めて思った。そしてゆれない地面への違和感と、船上にはない緑の色が妙に刺激的に感じた。
卒業式には間に合わなかったが、修士課程での研究テーマに「南氷洋のクロミンククジラの肝臓中の水銀濃度を用いた長期的モニタリング」にして、水銀濃度の極めて低い南氷洋のクジラの水銀濃度を過去20年以上さかのぼり調べる内容だ。
研究は加藤先生やいろんな方の尽力で何とか修士論文にまとめられたが、自発的研究ができないようでは一人前といえず、今後の研究に確信が持てずにいた。そのころ開催されたのがホネホネサミットだった。やはり僕の原点として研究の原動力に「骨」を活かしたいと考え始めた。

第三章 クジラの骨と僕

●骨との再会
研究テーマに日本にはクジラの骨の標本が少ないことから「捕獲調査の現場で、研究に必要なクジラの骨の計測値を得る」研究がしたいと先生に相談するとあっさり許可をもらえた。クジラを埋め標本を作るだけで大学院生活はそれだけで終わってしまう。捕獲調査での頭骨から肉をきれいに取り除きながらデータを集め、最初の2年は試行錯誤したがだんだん3時間程度でできるようになった。調査現場の人からも「ミンククジラの頭骨を世界一見た人」と言われた。
この調査では肉体的つらさや心が折れそうになることもあったが、様々なデータが集まり同期と励ましあい、何より「クジラの骨」という心から面白いと思えるテーマに出会えたのが頑張れた理由だと思う。憧れの博士号をもらえ幸いにも博士研究員として雇用された。
●クジラを求めて北に南に
研究員になって半年、ノルウェーで初めての国際学会に参加した。
ミンククジラの頭骨の形に基づく発表と、現地研究者とのつながり作りを目的としていくと、最終日の晩餐会で知らない海外の研究者から過去の学術論文をほめられ、さらに僕の研究が学会賞を受賞したのだ。さらにうれしいことに、ノルウェーの研究者トーレさんからも協力を申し出てくれて目的がかなった。
数年後再びノルウェーを訪れ捕鯨船に乗せてもらい、頭骨と目的である体の模様のデータをとることができた。明確な違いがあるのにこれまで研究報告がなかったことに驚いたが、北半球のいいデータが取れた。
南半球のミンククジラは捕獲がされていないため、各国の博物館の骨格標本を調べることになる。特にアルゼンチンとブラジルには比較的多くの標本があり、高校時代の留学でスペイン語を習得していたので、現地の学芸員からより多くの情報が得られた。最後に(世界の果て)と呼ばれる南の町ウシュアイアにナタリー・ゴダールという79歳の研究者の施設博物館を目指した。建物の周囲の草地に何種類もの大型クジラ骨が骨格標本を作製するために雨風にさらされていた。
今は各国の若い研究者や学生8名がしばらく滞在し、研究調査や標本作成ボランティアをしている。僕も3日間過ごしナタリーや若手研究者と知り合えて大きな収穫だった。
思えば留学中のホエールウォッチングで吹っ掛けられた議論にも、今ならきちんと応戦できるし、当時同じ標本を見てもその価値に気づかなかっただろう。「なんらかの生き物専門家」になることができたと嬉しくなった。

おわりに――コロナ禍は建築家にとって大きなチャンス

20世紀までの建築の流れは効率追求、工業化社会の大原則の「大きなハコ」でしたが、それは人間を幸せにしたでしょうか?
その問いを突き付けたのがコロナです。もはや「大きなハコ」は効率的ではなくなっていて、コロナ以降は自然と一体化する建築に向かわなければなりません。コロナ後を生きるみなさんは、もはや別の時代を生き始めています。

Sponsored Link

「クジラの骨と僕らの未来」読書感想文の書き方の大ヒント

【読書感想文の応募要項】
・中学生の部 本文 2000字以内
(作文用紙400字×5枚)

 
字数が足りない場合は、以下のサイトの「文字数が足らない場合の対策」の部分が大変参考になります。
読書感想文の書き方 構成とコツ【中学生・高校生】コピペOK
 
 

青少年読書感想文全国コンクール審査基準
    ○ 応募規定にあっているか
    ○ 発達段階に応じた適切な本を選んでいるか
    ○ 読書のよろこび、楽しみが感じとれるか
    ○ 広い視野から作品を評価しているか 
    ○ 登場人物の心情や、作品の語っているものを的確にとらえているか
    ○ 著者の論旨を的確にとらえているか
    ○ 事実と著者の意見とを区別してとらえているか
    ○ 自分の意見・感想を率直に述べているか
    ○ 自分のことばで表現しているか
    ○ 発達段階に応じた考え方が表現されているか
    ○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか
    ○ 読書によって得た自己の変革がみられるか
    ○ 規定の文字数を十分に生かし、自己の思いを表現しているか

 
あらすじは簡単でもいいですが
・自分がどう感じたか?
・本を読んで何を感じ、今後にどう生かすか?
・「似たような経験」の自己開示 → 高得点ポイントです

「クジラの骨と僕らの未来」作者からのヒント


本書の著者インタビューや評論には、この本の一番意図としている部分がコメントとして書かれています。
読書感想文でもそこに触れると「コツを押さえている」と評価されますので参考になります。

『クジラの骨と僕らの未来』中村玄著 評者:田島木綿子【新刊この一冊】中村玄著/評者:田島木綿子
2021年11月26日
中央公論編集部 評者:田島木綿子
 著者とは何回か大型クジラの調査現場でご一緒したことがある。端整な顔立ちでどちらかというと「静」のイメージが最初に来るのだが、調査時の動きに無駄はなく、どんなことにも興味深く積極的に取り組む姿勢は、第一印象とはかけ離れたものであった。

 長年感じ続けたこのギャップは、本書によって解決することになる。身近にいるどんな生物にも興味を持ち、疑問を抱き、それを自ら解決していこうとする姿勢は、そうかあ、幼い頃から培われていたのかと納得するのだ。小学校4年生の時、ペットショップのグリーンイグアナに一目惚れし、その生態から飼育方法まで色々と調べ始める。中学生になると、「ハチュウ」というあだ名が付いてしまうほど、爬虫類に没頭する。その没頭具合は、本を読み漁るだけでは飽き足りず、自分で飼育し、死んだ個体は自ら解剖し内部構造までも理解しようとするほどだ。魚を捌くのも気持ち悪いと思うヒトがいる一方、著者のように自ら進んで様々に解剖するこの違いはどこから生まれてくるのであろう。中学時代の恩師も印象的で、ウシの内臓を使って実習をする、女ドリトル先生と呼ばれるこの理科教師との出会いが著者の生物好きに拍車をかけることになる。その後、第二志望の私立高校に進学するのだが、無類の生物好きという著者の噂は近所や学校中に知れ渡り、黙っていても様々な情報や生物が著者の下に集まってくるようになる。これまで飼育した動物は、哺乳類、鳥類、魚類はもちろんのこと、クワガタ、カイコに至る41種が列挙されている。そんな中、著者の探究心は国内では事足りず、高校2年生の2月から、南米アルゼンチンに1年間留学する。ここで南米特有の齧歯類について分類学を研究。博士号取得後には同国を再訪し、世界的に有名な、ウシュアイアにあるナタリー・グドール氏のプライベートクジラミュージアムも訪問している。私も訪れたことがあるが、世界的に珍しいクジラの骨格がゴロゴロ陳列される貴重な場所である。

 南米から帰国後、様々な興味深き生物の中から、高校の先生の薦めもあり、海洋生物に特化した東京水産大学(現・東京海洋大学)へ進学する。恩師の教えもあったのだろうが、この大学選びの描写がもう少し細かく紹介されていると、進路選びに悩む中高生にとって、より参考になったのではないだろうか。大学進学後、多種多様な海洋生物の中から、鯨類に魅了されていく。

 本書で紹介されているその理由の一つが、我々と同じ哺乳類であること。そうなのだ、私も海の哺乳類専門家として、そこに大きな魅力を感じている一人である。大学時代は調査捕鯨船の調査員になったり、博士号取得後は国際学会で受賞したり、同大学の教員となった現在まで、著者は鯨類の研究や調査を続けている。調査船での生活や南極という極域の情報など普段は知ることができない様々なことを本書で紹介してくれているのは興味深い。

 本書は、幼い頃好きだったことを、好きだけにとどめず、どうしたら将来に繋げていけるのかを考える時に非常に参考になる1冊ではないだろうか。今度現場で著者に再会できたならば、今はクジラ以外のどんな生物に興味を持っているのかと聞いてみたいものである。
(『中央公論』2021年12月号より)

読売新聞オンライン 2021/11/03 05:20
『クジラの骨と僕らの未来』中村玄著
著者は、1983年生まれのクジラの骨の研究者。中学時代に動物の骨格標本作りに興味を抱き、アルゼンチン留学を経て大学に進学。南極海の調査捕鯨に参加して20メートルを超すナガスクジラを計測したり、日本とノルウェーでミンククジラの頭骨を調べたりと、研究者への道のりを記す。
反捕鯨団体の妨害や海岸に漂着したクジラの死体を解体する際の臭いなどの苦労話も興味深い。クジラを求めて北へ南へ飛び回る情熱に胸を打たれた。(理論社、1430円)

 大学で究める夢発見サイト 夢ナビ
クジラはどうやって歌うのか?より
東京海洋大学
海洋資源環境学部 海洋環境科学科 助教
中村 玄 先生 メッセージ
もし自分の進路に迷ったら、本屋さんか図書館に行ってみてはどうでしょう。どんな分野のところで足を止めたり、立ち読みしたりしているでしょうか。ひょっとするとそこが本当に自分の興味ある分野なのかもしれません。大学受験のための勉強には強いモチベーションが欠かせません。どういう大学生活を送り、その先にはどういう仕事があるのか、楽しい将来を想像することはつらい受験勉強を乗り越える大きな力になります。めざす分野が決まったら、とにかく頑張って勉強してください。大学にはあなたのやりたいことがたくさん待っています。

先生の学問へのきっかけは?
高校で南米に留学した時、ホエールウォッチングでミナミセミクジラを目の当たりにし、クジラを研究するのは面白そうだと考えたことがありました。しかし、大学受験の頃にはすっかり忘れていて、生き物が勉強できて家から通えることを条件に大学を決めたのです。3年生の秋、ちょうどクジラの研究室ができたのが縁で研究を始めました。人間と同じ体の仕組みを持ちながら、完全に海で生活しているクジラはとても不思議な存在です。一つ疑問が解けると、また次の疑問が生じてきて、クジラに対する熱意はずっと冷めません。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?
研究所/水族館/博物館/高校教諭/水産庁/水産試験場/国家・地方公務員/IT産業他

READYFOR(クラウドファンディング)
突如、八丈島に現れたザトウクジラ。変化する生態系の謎に迫る!
・・・私が鯨類の研究を志してから、まだわずか十数年ではありますが、この間にも海洋の生態系が大きく変化していることを感じます。
その中で、特に目立つのが本研究プロジェクトの主役である、ザトウクジラの個体数の増加です。
北極海と南極海、正反対に位置する海域ですが、この現象は共通しています。また、この個体数の増加に伴って、生態系の変化が報告されています。
ザトウクジラは、商業捕鯨により個体数が激減したことを受け、1960年代以降世界的に保護されてきました。そして1990年代後半以降になると、世界各地から個体数が急激に復活しているという報告が聞かれるようになりました。人間の影響を受けて減少した生物が保護の結果、復活するのはとても素晴らしいことです。
しかし、すべていいことずくめというわけではありません。海洋生態系は多くの生物が複雑に関係しあっているため、特定の種類の個体数の増加もしくは減少は、必ず他の生物へ影響を与えます。
南極海や北太平洋の摂餌海域(餌を食べる海域)では、ザトウクジラの増加に伴って、同じ餌を食べている他の鯨類が追いやられているという報告もあります。また、人間との関係を考えると魚を巡って漁業との競合が起きたり、船舶との衝突事故などの頻度が上がる危険性もあります。
このように海洋生態系は常に変化をしています。今、どのようなことが起きているのか、そして今後どのように変化していくのかを予測し、適切な対策をとるための情報を提供していくことが求められています。
・ザトウクジラの来遊の将来予測
・新たな観光産業としての可能性

その他
2021年10月18日 教育家庭新聞で紹介されました。
2022年1月22日 しんぶん赤旗で紹介されました。

「クジラの骨と僕らの未来」読書感想文・例文みんなの感想

研究するってこんなこと。
生き物好きの少年が鯨類学の研究者になる過程を丁寧に本人がまとめた自伝。少年の日の理科の授業、骨格標本作りの試行錯誤、アルゼンチンへの留学とクジラとの出会い、進学と研究の始まり。南氷洋での観測の日々と、博士課程での自分のテーマを追う生活について。波瀾万丈というほどでもないが、確実に個性的な人生が描かれている。
出会うべきときによい出会いがあった幸運。アルゼンチンに留学した時に出会ったクジラ。しかしその時他の留学生に尋ねられた日本の捕鯨について高校生の著者は答えを持っていなかった。研究者となって再度訪ねたアルゼンチンで著者は博物館でクジラの標本に感動し、その価値を噛み締める。今なら捕鯨についても自分の意見を伝えられるというが、その時適当に答えてしまうようだったらクジラを自分のテーマとはしなかったのではないか。答えられなかったから自分のテーマになるひっかかりとなったのではないか。
人の本質は小さい頃から変わらないのかもしれない。著者は生き物が大好きな少年だった。採集したり観察したりという現在の仕事の芽がその頃から芽生えている。自分も振り返ればきっと小さな頃からの何かが今まで続いているのだろう。進路を考えている人は未来に思いを馳せるのもいいが、振り返ってみるのもいいのかもしれない。すでに一生のテーマとの出会いがあるかもしれない。 

魚の全身の骨すべてに名称がある。見た目こそ多様な魚たちだが構成している骨の種類と個数は同じ。元々同じ祖先から派生しそれぞれの生活スタイルに合わせて形を変えた結果。クジラの標本の作製の大変さ。ザトウクジラの雄が繁殖期に歌をうたうこと、遊びという行動をとることに驚く。また大型鯨類は海洋生態系の中の余剰分を上手く利用し生態系を維持している。標本や論文は過去から未来へのバトン。ヒトほど他の生き物に悪影響を及ぼしている動物はいないが、ヒトは将来を予測することができる。正しい情報をもとに考えながら行動することが大切。

中学校の先生のウシ・ブタ内臓鑑賞会、高校の留学は母の経験から、そしてたまたまクジラの専門家が大学に赴任したからこそ、著者もクジラの研究者への道を進む。やはり出会いだよねと思うが、それも著者の「生きものが好き、骨が好き」という気持ちを持ち続けたからこそ。「好き」は強い。 

幼少期、思春期と自分の気になることや好きなことに打ち込み、また周囲もそれを助けてくれる環境にあるならばその道に入っていくのは当たり前。生き物好きで骨が好きな少年は成長して鯨の研究者になった。とても楽しそうな学校(大学)生活、緊張感に包まれた調査船での生活。腐臭に包まれながら今日も鯨を解剖し、目視で鯨を探し、船に酔い、世界中の研究者と語らう。とてつもない苦労もあっただろうにこの本からはキラキラしているエネルギーを感じる。好きを仕事に持てるってすごい。 

子どもの頃って、何かまわりと違うと揶揄われたりいじめられたり… 他の人と同じものを好きでなくちゃいけないのかと悩むこともあると思うけど、そんなことないんだよ、好きなことを自信持って好きと言っていいんだよ、と子どもの頃の自分に贈ってあげたかった本。好きを貫いて花咲かせた著者に拍手!
強いて言うならば、これほどまでの動物好きが捕鯨という、研究の一環とはいえ結果的に動物を殺す行為に加担することへの葛藤はなかったのか、等、知りたかったです。(特に反捕鯨主義ではないですが)

 
 
【お手本はこちらがおすすめ】(外部サイト)
入賞作品集(過去の入賞作品まとめ一覧)
 
 

去年の受賞作と感想文をチェック!!

読書感想文の入賞作は審査員の合格基準に達した書き方をしています。
一言で言うと「読書したうえでの学習効果が感じられるか?」です。
参考になる入賞作は大いに参考になります。
昨年の入賞作2点を参考に、書き方のコツを学びましょう。

内閣総理大臣賞 
<中学校の部>
◆広瀬健伸 茨城県 洞峰学園つくば市立谷田部東中8年 
「本気の「好き」のその先に」・・・「牧野富太郎 日本植物学の父」(汐文社)より

2023年度前期に放送されるNHK連続テレビ小説第108作『らんまん』で牧野富太郎氏をモデルに、朝ドラとして放送されます。主演は神木隆之介さんです。

「牧野富太郎【日本植物学の父】」あらすじネタバレ・読書感想文の書き方のコツポイント

文部科学大臣賞 
<中学校の部>
◆武藤さくら 福島県 郡山市立富田中2年
「言葉に思いをこめて」・・・「春や春」(光文社)より

メインの大賞のひとつ文部科学大臣賞は、去年の課題図書「牧野富太郎 日本植物学の父」が受賞しました。
2023年度前期に放送されるNHK連続テレビ小説第108作『らんまん』で牧野富太郎氏をモデルに、朝ドラとして放送されます。主演は神木隆之介さんです。

入賞作を読むと読書感想文の雰囲気がわかりますので読んでみることをお勧めします。

関連記事と広告


関連記事


サブコンテンツ