【この川のむこうに君がいる/あらすじ・ネタバレ】読書感想文書き方例文・コツ・ポイント


「この川のむこうに君がいる」(理論社)
著者:濱野京子・作
本体価格:1,400円
ISBN978-4-652-20289-0

こちらでは
2019年の「第65回 青少年読書感想文全国コンクール」高校生の部の課題図書
『この川のむこうに君がいる』の「あらすじ・ネタバレ」と読書感想文の書き方のコツ・ポイントをご紹介いたします。

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『この川のむこうに君がいる』あらすじ・ネタバレ・こんな子にオススメ 
『この川のむこうに君がいる』読書感想文書き方例文とポイント
『この川のむこうに君がいる』読書感想文その他指定図書

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『この川のむこうに君がいる』あらすじ・ネタバレ・こんな子にオススメ

【出版社内容情報】
梨乃は、あえて同じ中学出身者のいない都内の高校を選んだ。それは、3.11の被災者であることを隠し、高校生活をまっさらな状態で始めたいと思ったからだ。大震災から三年後の、被災地から遠く離れた場所で、若い心の軌跡を追う物語。

被災した二人の高校生は偶然高校の同じ吹奏楽部で一緒になります。人は移動し、震災の哀しみも移動して、さまざまな出会いを生んでいきます……。傍らのその人がそうかもしれない。その想像力を大事にしたいと思う物語。

 
読みやすさ ★★★☆☆
感想文の書きやすさ ★★☆☆☆

『この川のむこうに君がいる』はフィクションなのでいいますが、暗いです。
文章も前後の脈略がない飛び飛びの表現や回りくどい言い回しをしているので、かなり好意的な読解力と理解のある人向けと言えます。下記の「あらすじ」を読んでから読書感想文本をこの本にするか決めてもいいと思います。

こんな子におすすめ
・震災について考えたい
・ボランティア活動をしている、興味がある
・大切な人を亡くした経験がある
など

【作者のねらい】
・被災者の気持の理解
・被災者同士でも気持に差がある事への理解
・被災者との接し方への理解

【この川のむこうに君がいる】~あらすじ・ネタバレ~

【登場人物】
岩井梨乃:私立緑野学園高校1年。東日本大震災被災者で兄を亡くしている。吹奏楽部に入る。戸田公園
~吹奏楽部~
赤崎陶子:梨乃と同じクラス。クラリネット担当。気さくでサッパリした子。蕨に住んでる。
若宮詩緒:3年クラリネットの憧れの先輩で部長。色気のある音を出す
崎山帆波:1年弦バスの経験者。辛口な子
小関真彩:1年フルート。小柄な子
戸川拓斗:2年アルトサックス
長尾純平:1年初心者でトランペット。遼と仲が良い。江古田に住んでる

紺野遼:1年トロンボーン。震災被災者だが明るい。地元の彼女と遠距離恋愛中。川向の浮間舟渡に住んでる

~同じクラス~
横手美湖:親切にすることが好きな美人。遼が気になる、梨乃の苦手な子
向原妃津留:ぽっちゃりした子で中学では吹奏楽。割と嫌味
~中学の同級生~
宮沢紅美:中学の時の明るくて親切でハキハキした子
~福島の友達~
菊池愛希菜:小学校からの親友
菅原太一:兄の親友で梨乃の元カレ              
渡辺佑香:遼の福島の彼女
岩井太一:梨乃の震災で亡くなった兄                       
                              
                                            

『ある晴れた夏の朝』~あらすじ・ネタバレ~

※太文字は各章物語の中のポイントです
黙読所要時間~11:46秒


岩井梨乃は高校に入学して念願の吹奏楽部に、前の席の陶子と入部する。
私立高で学費がかかると母がパートに出始めてお弁当も作ってくれないし、吹奏楽もいい顔をしない。そんな母にキツく返答した事を『もっとやさしい言葉で離さなければいけないのに』と反省する梨乃。クラスではキレイで優しい美湖や妃津留と話し「独りっ子かぁ、親の愛独占だね」と言われてただ静かに笑う梨乃だった。


4月後半吹奏楽部には9人入部した。
紺野遼は自分から震災被害者であると明るく自己紹介し、梨乃は混乱したり、希望してないアルトサックスの担当になったり「高校で始めるって勇気ある」の帆波の言葉に棘を感じる。帰り道、遼がまた震災の話題を遼がするので寄り道すると別れた。
美湖は遼に興味を持ち、梨乃に「頑張ってと伝えて」と言われるがなぜか気立ての良い美湖に苦手意識を感じた。5月の連休中、楽器を家で練習すると母が嫌がるので川辺に行くと、遠くの方から楽器の音が聞こえた気がした。


連休明け、遼から「東北に親せきいる?」と聞かれてごまかす梨乃。美湖からは遼を紹介してと言われ、彼女が宮沢紅美に似ていると気づく。
父の転勤で越してきたのに中学には被災者である事が広まっていて、クラスの紅美に「岩井さんを応援する」とかわいそうな被災者にされた。
震災の日、梨乃と母、父は無事だったが兄は5日後に見つかった。母の嘆きが激しく梨乃は現実感がなく泣けなかった。母は病気がちになり部活どころはなく、あの日、高台で母娘で抱き合い震えた空気や匂いの記憶、津波の夢をみる。誰にもわかるはずがないし、わかってほしいとも思わないからふつうにして欲しかった。紅美から善意で「東北の人は辛抱強い」「絆って大事だよね」など言われるたびにモヤモヤし高校は誰も進学しない都内を選んだ。
家では母に「兄を忘れたのか?そんな冷たい子だったなんて」と言われ心が凍り付き自分が死んだほうが良かったのか?と何度か言いそうになるも、心静かに過ごしたくて母を刺激せず抗わず、梨乃が我慢する事で自分を守った。
父に「誰も知らない私立に行きたい」と言うと「…すまんな」と言われ、兄の死も、家を失い二重ローンなのも、母の病気も誰のせいでもないのに。それなのにここでも美湖と遼、2人避けたい生徒ができた。


遼は福島の彼女と遠恋中で部活でも明るく被災ネタを言い、梨乃は目も耳もふさぎたかった。でも部活では詩緒先輩が吹く『黒いオルフェ』に聞き惚れ自分もいつか吹きたいとサックスにやる気がでた。
久しぶりに地元の親友、菊池愛希菜から「菅原太一さんが卓球部にいて梨乃を心配してたよ」とメールが来た。
太一は兄・貴樹の親友で小6の震災前のバレンタインチョコをあげたけど、ホワイトデーどころでなくなった。兄の死を本気で泣いてくれ「俺たちが仲良くなったら貴樹も安心する」と付き合う事になり母の愚痴や兄の話も聞いてくれるので太一の前だけでは泣けた。太一の家族も梨乃を歓迎するが対岸の太一の家族は犠牲者がいなくその後ろめたさから「ごめんな」と言われた時、心に小さなシミができた。それは梨乃も含め生存者が感じた、理不尽な死への怒りと悲しみと、生き残った後ろめたさと被災者同士、被災度の違いにあった。太一とは戸田に来てから別れてそういう苦しさはなくなった。
部活のコンクール曲に「復興」が選ばれドキっとし遼はどう思ったか気になった。それでも「黒いオルフェ」でサックスが好きになり家で口ずさんでいると母が「楽しそうね」の問いかけに「中学で吹奏楽部に入りたがってたの覚えてない?」と聞くとまた貴樹の話をしだし母は梨乃の言葉に興味がないと言われたようで心が痛んだ。
 

遼と美湖が仲良くなっていた。遼には近寄らないが、あまりに明るくしているので見る目が険しくなる。帆波からは「避けてるの?」と聞かれるが本心は言えない。美湖に遼を紹介したのに「(美湖は)優しく振る舞う事が好き」と辛口の帆波に同意したい自分は意地が悪いと思った。
初めてコンクールの全体練習に参加した日、急にめまいに襲われ視界が真っ暗になり耳鳴りがして動けなくなった。心配されつつなんとか練習に参加できたが、全体の厚みのある音が重なって響く時、あの黒い水の塊が押し寄せてくる光景が浮かんだのだ。
一か月ぶりに愛希菜からのメールに「太一先輩と付き合うことにしました」と連絡が来た。「なんで海がこんなにきれいなの?」と太一の前で泣いた昔を思い出したが明るく祝福の返信をし、悲しくはないけど寂しさは感じた。


家を出るのが遅れた日、遼と電車で鉢合わせしてしまった。
ぎこちなく会話しているうち福島の話をうっかり聞くと、遼は中学から上京していて遠恋の彼女は仮設住宅に住んでたし「自分たちは(放射能で)子供なんて産めない」と言うから「将来結婚しよう」と思ってる事や彼女にそんな事を言わせた怒りからも「意地でも明るく人生を生き抜いてみせる」と言った。
帆波から「チューナーに頼り過ぎてる」と指摘され梨乃が怒らないと陶子は言うが感情を押し殺しているだけと自覚していた。
また美湖が梨乃に「(遼に笑いながら)被害者が珍しいの?」と言われた事を相談し「ただ、力になりたいって…」の言葉にざわっと鳥肌を立てながらもフォローはしつつ、遼に彼女がいることを告げてしまう。
翌朝遼にその事を話すと「(美湖)どうせ本気じゃないから、自分をやさしく思いたいヤツ、たくさんいたし」「悪気がないのはわかってるけど、オレより原発の事とか関心持ってほしい」との意見に梨乃は傍観者ぶっている自分に心が痛んだ。
遼はコンクールが終わったら今は郡山にいる彼女・佑香に会いに行くというので、梨乃もお母さんに仙台のおじさんのとこに行かないか誘うと少し顔をゆがめて首を横に振るので、なるべく穏やかに一人で言ってくることを伝えた。


コンクールの演奏を終え、外で遼の中学同級生が声をかけてきた。その友達を見て梨乃は固まった…紅美だったのだ。しかも梨乃に気づき「梨乃も震災で宮城から引っ越してきて」と遼の前で話してしまった。梨乃は遼と目を合わせることができずコンクールは銀賞を取れたが逃げるように帰った。
翌日、遼に話したいと言われ、戸田公園で降りて荒川に行った。
梨乃が「被災者という役を強いられるがキツかった」
遼が「(放射能で)差別された」「ひどいことは、どこにでもある」「おれはこの身をさらしてやるって思った」
とそれぞれの思いはあれど「おれら、語れないことも、いくらでもある」のこれまでの経験に共感しつつ「一口に被災したといっても、いろいろだよね」同じ被災者でも違いがある事も確認しつつ、互いに話したくなったら話そうと言って別れた。梨乃はこれまで突っ張っていた気持が緩んだのを感じ、遼と通じる空気を感じたが復興の望みの違いも感じた。
8月下旬、愛希菜に会いに行く途中仙台駅ホームで車両を見た瞬間、脱線車体の映像がよみがえり立っていられなくなり、愛希菜が仙台まで来て会うことができた。
太一が貴樹への思いと震災体験を語る事や同級生たちの近況を聞き、抱えている問題の違いから誰が恵まれて誰がそうでないとも言えないと感じた。
愛希菜は「負けたらよけいに悔しいから、あたし、幸せになるって決めた」と言い、東京の人は「仮設住宅に2部屋ある」と言われたことに「あたしたちの街は都会じゃない」と怒った。失ったのは故郷じゃなく、親しい人の命とそれまでの暮らしそのもの。地域の繋がりも、被災者同士もそれぞれの方向に進み距離が開いていく。唯一連絡を取る愛希菜とも離れた3年の間に川があるのだろうかと思った。
 

3年は文化祭が最後でそれまでに詩緒のような艶のある音を吸収したいと思ってると、純平から音も雰囲気も柔らかくなったと言われた。遼に帰省に聞いた太一が震災体験を語る件を言うと「あんなこと、なかった方がいいと思う」と言われ兄が生きていたら梨乃はだめだめの末っ子ままでよかったのにと思った。
文化祭初日、手相占い付き甘味喫茶で美湖が遼の彼女・佑香に「子どもは2人産む」と占い、どう思ったのか気になった。
2日目吹奏楽部のステージでチューニング中にみた時間が2時15分。音が重なり合うのを聞いているうち倒れそうになった。すると遼がわざと譜面台を倒してステージの空気を変えてくれたので梨乃は持ち直すことができた。
ステージで詩緒や3年に迷惑をかけずに済んだし、純平は遼を思い『復興』の演奏を気にしたり、お互い思いやるありがたい仲間も大震災のおかげで出会ったので不思議を感じた。この頃は電車で遼と一緒になっても抵抗感もなく、梨乃が家では母親が嫌がるから笑えない空気である事や、遼がジャズが好きだったり、妹がいる話など震災以外にお互いを知る時間が増え、御岳山噴火のニュースはさすがに会話は減ったが2人だけに通じる共犯者のように思えた。その頃美湖はもう近づかなくなった。


「子どもたちが語る震災の記憶」という新聞記事に太一が載っていた。梨乃は動揺し、母に見られてはならないと、そのページを引き抜いた。
梨乃は遼に太一が語る「亡くした親友」は自分の兄である事を告白した。遼から「(兄は梨乃が)かわいかっただろうな」と言われ、梨乃自身兄が大好きで仲も良かったが、母親の愛には勝てない事や、死んだのがなぜ兄だったのか?自分には母を元気づける力がないと抱えていた言葉が出ると電車の中なのに涙が一筋流れた。
遼は「それは梨乃が背負わなくていいんじゃないの?」と言ってくれたが、逆に重荷を背負わせた気もした。
遼自身は最近彼女の気持ちがつかめないとぼやき、その3日後から「福島に帰る」と遼は学校や部活を休むようになった。
復帰した遼はいつもより暗く、佑香に距離を置こうと言われ「しょうがないのかなあ、遠く離れた場所で暮らしてると、見てるものが違うから」に梨乃も震災きっかけに太一と付き合った事や「私たちの間には川が、たくさんある」と話した。荒川の反対でトロンボーンの練習をしてたのは遼かもしれないし、人は自分の事をわからないし、自分自身でもわからない。不幸の多寡なんて量れるものではない。遼は「考えないとだめなんだ、一人で。」と言われ返す言葉もなくその日は別れた。

10
11月、あれから梨乃は遼に避けれていた。
たまたま隣で遼が吹いたトロンボーンの音が荒々しさや迷いや戸惑いを感じて、どうしたら遼に寄り添えるのか考えてしまう。
珍しく父が早く帰り、吹奏楽にも理解があり、母も穏やかで梨乃も子供らしくいられた。父と2人になると母の話題になり「母親って息子がかわいいっていうじゃん」を父は即否定した。父も弟が死んだ経験を持ち「(父も)辛かったけど、早死には気の毒だが親孝行だったとは言えないだろ」「(残された子は)不憫だと思うほどいい子になる。だが、もう梨乃しかいないから、幸せになってほしいと願えるのも梨乃だけ」と言われ目頭が熱くなった。
ある日の部活後、1年女子6人で甘味喫茶に初めて行く事になった。帆波に素直にキツイと言えたり、男子の噂をしたりするうちに遼と梨乃がなんか違うものがあり、2人が向き合ってると声をかけずらいと口々に言われた。
梨乃はみんなに自分も被災者である事や同情されたくなくて言いたくなかった事、たまにフラッシュバックした時、遼に助けられたり兄が亡くなってること、高校で4年越しの夢がかなって吹奏楽ができてみんなと出会えたことを嬉しいと言った。
帰り道、みんなに話せて肩が軽くなったと話す梨乃に、陶子は梨乃と遼の関係に少し嫉妬もするが、純平含めみんな遼の変化を心配していると話した。
1週間後、美湖が梨乃の事情を帆波に聞き、鈍感だったし傷つけたと謝ってきた。陶子は帆波を怒ったが帆波も「美湖がそれほど無神経だったとは」と必死に謝るので梨乃は笑って自分も警戒心強く不自然で構え過ぎだったと話し、思えば中学の紅美と大笑いしたこともあったのを思い出した。

11
梨乃が被災者である事はクラスに広まり、少しぎこちなくなったが、今は陶子や吹奏楽部と仲間もいるから中学の時ほどの息苦しさはない。久しぶりに遼からメールで「大丈夫?」と来たけどそれで終わった。2学期の期末後の部活も遼はライブを見に行くので休んでた。
11日の月命日、珍しく母は具合も悪くなく兄の遺影の側にプリンセチアがそなえてあった。母はクリスマスの貴樹の思い出に浸りながら編み物をするのでクリスマスコンサートに誘えなかったが、いつもより元気な母の様子や、あれから3年9か月たったことを遼にメールで伝えたかったけど、やめた。翌日も遼は部活を休み、純平もみんなも遼を待っていた。

12
クリスマスコンサート当日、梨乃は両親は誘わないが美湖や妃津留含め10人以上クラスメイトが来ていた。遼の妹と母らしい親子もいて遼は優しい音色を響かせていた。
打ち上げに遼は来なくて、純平から遼が半月前彼女と別れ仙台に震災の話をするイベントに行ったと話し、陶子と純平は被災者それぞれ十通りの体験があり一括りにできないけど、(被災してないと)想像が追い付かない事や遼の震災の話も話題にしちゃいけない気がしてたこと、『復興』でいいのかなと先輩たちも気にしていたと話した。遼が「自分のこと、嫌になったりすることあるか?」と弱さを純平に見せている話を聞いて、それを受け止める純平がいるから遼のことは心配いらないと思った。
久しぶりの愛希菜のメールには「太一の受験が終わったら東京に遊びに来る」あり梨乃は太一から「菅原君」と書き換えて返信した。
音楽室からトロンボーンが聞こえ、遼がいてかすかに笑ったような気がしたが、かける言葉が見つからず次音楽室に戻ったらもういなかった。
年明け、母が梨乃にセーターとマフラー、帽子を編んでくれ不思議とサイズはぴったりだった。母が糸と言う線は面になるだけでなく、立体にもなると言った言葉を思い出した。日の出前、荒川の土手に行き愛希菜からのLINEに太一とのツーショットがあり太一ってこんな顔してたんだと思った。今にして太一はやさしくしてくれたけど恋とは違う感情だったと気付いた。
梨乃は川に下りて「黒いオルフェ」をゆったり吹いた。あの日、遼もまちがいなく「黒いオルフェ」を吹いていた。対岸から別の音をたしかにとらえ梨乃は渡った事のない橋へと一歩踏み出した。

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『この川のむこうに君がいる』読書感想文書き方例文とポイント

【この川のむこうに君がいる・レビュー投稿された一例】
レビューでは本を読んでみんなが一番気になったポイントを書きます。
この物語は多少長いので主軸に迷いやすいのですが参考にするとよいでしょう。

課題図書なので読む。いい話だった。私の周りには震災の被災者がいなかったので、全く気付かなかったが、差別されていたのかも。その気持ちがうまく表現されていて、心に染みる良い話だった。高校生の吹奏楽部も楽しそうだし、恋愛についてもわかるし。素敵な話で、人を思いやる気持ちについても、すごくうまく書かれている。

同じ災害を経験しても、人によって場所によって、それぞれ傷が違うということを改めて認識した。時が流れて、痛みはだいぶ癒されたけれど、これを読んでまたいろいろと思い出した。主人公が吹奏楽部を選んで良かった。音楽が近くにあれば何とかやっていけることは少なくない。私自身も震災後は音楽にずいぶん助けられた。良い本だった。機会があれば、やがてまた、この本に出会って読み直してみたい。

被災者、といわれる子どもたちの葛藤や違和感を描いた物語。被災者である事を隠したい梨乃と、あえて公表しつつ明るく振る舞う事で同情されたくない遼。一見通じ合いそうな2人でさえ、背負ってきたものの違いに気付き、戸惑う。街の中にも心の中にも流れる「川」が象徴的で、余韻を残すラストも良い。読んで良かった! テーマは重いけど軽くて読みやすく、言葉も分かりやすいので、みんなに…子どもたちにも読んでもらいたい良作。

読みながら、いろんな感情が自分の中から出てくる。楽しさ、悔しさ、苦しさ、怒り。気づけば梨乃と同化していた。蘇る自分の記憶。父子家庭だった私も、高校入学で自分の事情を知らない友達が出来て、すごく伸び伸びとした明るい気持ちになったことを思い出した。ちゃんと梨乃が自分から話すまで待っていた友人陶子が大人だなあと思った。重い話ではあるけれど、吹奏楽の音楽とともにストンと胸の中に入ってくる。とても良かった。

同じ経験をしないとわからないことってたくさんあると思います。でも、災害や事故、病気、親族の死など、経験しろと言われても無理なこともたくさんあると思います。だからこそ、こういう物語を読んでほんの少しでもその立場の人のことを理解する機会を得られればと思いました。私自身も悪気が無くても過剰な親切が逆にその人を追い詰めてしまうということをこんなに深く考えたことはなかった気がします。「読んでよかった」と思える物語でした。

「この川のむこうに君がいる」読書感想文例文・1605文字

こちらでは、読書感想文の書き方のポイントを踏まえ読書感想文の例文を書いてみました。

・本と出会ったきっかけ
・本の簡潔な説明
・面白かったところ(興味を持ったところ)
・心に残ったところ
・物語と通じる自分の経験談
・本を読んでわかった事、学んだこと変わったとこ など

 
・本の簡潔な説明
東日本大震災から8年たち時代も平成から令和に変わりました。
あの大震災で死者15,895人、行方不明者2,539人。だけど遺族の人や被災された人が全部で何人いるかまではわかりません。
この物語は被災者で遺族でもある梨乃が心の傷を抱えながらも、被災者として扱われる苦しさからその事を隠し、吹奏楽を通して「立場の違う同じ被災者」の遼と少しずつ立ち直っていく物語です。

震災後8年たつと震災を知らない子供たち世代がだんだん大きくなっていきます。
もう8年、でもまだ8年でまだまだ復興しない土地やもう二度と元には戻らない町、現地にすら震災を知らない子供達が増えていくのでしょう。ですが私たちはあの震災で日本人全体が受けたショックを忘れて心の傷を抱える被災者を置いてけぼりにしてはいけない、忘れてはいけないと改めて思い出しました。

・面白かったところ(興味を持ったところ)
梨乃は被災者として親切にされる事でより傷ついた子です。
けして悪い子でも悪意があるわけでもない紅美と美湖は、ショックで呆然としている梨乃に日々「あなたは被災者である」と痛感させるような、失ったもの、体験した恐怖を思い出させるような「かわいそう」「えらい」を無意識に連呼するのです。
特に気の毒に思ったのが母にはまるで梨乃がいないかのように、兄の話ばかりされ病みがちの母のために梨乃が大人にならなければいけなかった事です。こういう時こそ家族一丸となって辛さを乗り越えるというのはあくまでも理想であって、家族の立場によってそれができなくなるという驚きがありました。
・心に残ったところ
梨乃は被災者であることをひた隠しにし、遼は言われる前に言う攻撃的防御をすることで自分を守ります。
やり方の違い、失ったモノと同じ被災者でも抱えている問題の違い、だけど共通する心の悼みや離れた人と心の距離ができる寂しさをやっと話し合える人ができ梨乃は少しだけ心が楽になりますが、逆に明るかった遼が彼女と別れたことで、本音が出てきます。『不幸の多寡なんて量れるものではない。遼は「考えないとだめなんだ、一人で。」』と心を閉ざしあの「意地でも明るく人生を生き抜いてみせる」とは彼女を支える事でやっと立っていた遼の足元が崩れたのかもしれないと思いました。
一見、元気な人、明るい人が本当に明るいとは限りません。震災から8年たち親切に苦しむ人がいるという事もきっとなかなか気が付けないものです。ホンネを見せる事で持ち崩してしまうなら鎧をつけていた方が自分をもだまして立つ事ができるからです。

・物語と通じる自分の経験談
被災者ではない我々もあの震災に呆然としました。被災者の人を救わなければと誰もが思い、善意のボランティアが被災者に感謝され喜んで帰ってくる人もたしかにいたのです。積極的に動かなくても傷ついた人を前に何もしない事にこそに罪悪感やを感じるのは普通なのかもしれません。自分が梨乃の同級生なら?なにもできない無力感を感じたかもしれません。

・本を読んでわかった事、学んだこと変わったとこ
この本で学んだのは善意の気持ちを伝えるのはとても難しいという事です。
傷ついた人に希望を与えるなんて簡単にできることではないのです。
梨乃のいう「ふつうにして欲しい」はおそらく心の傷が痛すぎて絆創膏を貼られるのもつらいという事かもしれません。悲しんでいる人がいたら私たちは待つ事から始めなければならないのかもしれません。傷ついた人の心を癒すのは「ときぐすり」時間だと言われます。その人が誰かを受け入れられるようになったら、その人が安心していれる場所を、あなたが必要だと求める事が必要なのでしょう。
そうすることでやっと心を開いてくれて、本当の気持を言えるようになるのしょう。
きっと優しい言葉は、何を言うかじゃなく誰が言うかなのです。
みんながみんな、その誰かになれないかもしれません。私たちは人に希望を与え勇気づけられる人にはなれなくても一つだけできることは、あの震災を決して忘れない事。共に悲しめる人であることから始めると良いのかもしれません。

『この川のむこうに君がいる』書き方のポイントとその他指定図書


 

用紙・字数
原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。
小学校低学年の部(1、2年生) 本文 800字以内
小学校中学年の部(3、4年生) 本文1,200字以内
小学校高学年の部(5、6年生) 本文1,200字以内
中学校の部 本文2,000字以内
高等学校の部 本文2,000字以内
句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
題名、学校名、氏名は字数に数えません。
応募作品
応募は日本語で書かれた作品に限ります。
応募は課題読書、自由読書それぞれに一人1編ずつ応募できます。
応募は個人のオリジナルで未発表の作品に限ります。他の類似コンクールとの二重応募は認めません。
入賞・入選作品は理由を問わず返却しません。

 


「ザ・ヘイト・ユー・ギヴ:あなたがくれた憎しみ」
(岩崎書店)
著者:アンジー・トーマス・作 服部理佳・訳
本体価格:1,700円
ISBN978-4-265-86043-2
【ザ・ヘイト・ユー・ギヴ(あなたがくれた憎しみ)あらすじ・ネタバレ】読書感想文の例文と書き方


「ヒマラヤに学校をつくる:カネなしコネなしの僕と、見捨てられた子どもたちの挑戦」
(旬報社)
著者:吉岡大祐・著
本体価格:1,400円
ISBN978-4-8451-1554-9
【ヒマラヤに学校をつくる/あらすじ・ネタバレ】読書感想文書き方のコツ・ポイント
  

【読書感想文2018課題図書】高校生の簡単!読める!書ける本の選び方


『車いす犬ラッキー:捨てられた命と生きる』…保健所話がえげつない、飼い主のビジネス話が長すぎる
『わたしがいどんだ戦い1939年』…主人公エイダの天邪鬼さと翻訳力不足が読みづらい
『いのちは贈りもの:ホロコーストを生きのびて』…とにかくエグい現実。腹を決めないと読めない

どうしても読書感想文を書くのが、本を読むのが苦手!という人は昨年の課題図書を参考にしても良いでしょう。なぜならばもう感想文が書かれていますので参考にすることができるからです。
個人的には昨年の課題図書も一長一短で、読みやすいのは『車いす犬ラッキー:捨てられた命と生きる』でしたがおすすめとはいいにくいかな?と思った次第です。

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